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- オンライン脳 ~東北大学の緊急実験~
小谷野です。
東北大学の脳科学者である川島隆太医師の『オンライン脳(㈱アスコム 2022.8)』を読みました。
「オンライン脳」とは、スマホ・タブレット・パソコンなどのデジタル機器をオンラインで長く使いすぎると、脳へのダメージが蓄積され、脳本来のパフォーマンスを発揮できなくなることを言うようです。
2020年6月から半年間かけて東北大学の学生の協力を得て実験が行われたそうです。
MRIやNeUという脳活動センサーを使用したプロジェクトで、NeUとは、東北大学と日立テクノロジーが出資した大学発ベンチャーが開発した脳内測定機のようです。
その実験の結果、対面ではないオンラインコミュニケーションでは、共感や協調が得られないというショッキングな結果が報告されました。
脳科学の研究から、他者との共感をする場合は、前頭葉の内側、側頭葉の先端、側頭葉と後頭葉の間の3ヶ所が反応することが分かっているそうで、これらを計測装置を使って実験が行われました。
「目は口ほどにものを言う」
1.「対面会話」と「WEB会話」
モニターを使用した「ウェブ会話」では、顔を直接見ながらの「対面会話」で起きる脳の同期が、会議参加者間で起きづらいそうです。
WEBではコミュニケーションが一方通行になりやすく、僅かに遅れる画面もマイナスに影響するので、相手の感情や空気感を読むには、リアルなアイコンタクトが重要なようです。
2.「双方向授業」と「一方向授業」
結果は予想通りで、協調活動の多い双方向授業では、生徒・教師間、生徒同士の脳活動の同期が強く見られたようです。
話相手とよいコミュニケーションが取れている場合は、お互いの脳が同期すると言う現象が起きます。
一方でオンラインコミュニケーションの問題点は、情報は伝達できても感情の共感ができにくいようです。
「オンラインとスマホの複合的リスク」
スイッチングが注意力を散漫し、集中力を奪い脳に悪影響を及ぼす。
スイッチングとは、何かに集中している時に妨害が入り、別のことをやり始めることを言います。
仙台市の5-18歳の児童生徒224名対象に3年間、脳の発達をMRIで観察する研究も行ったそうです。
その結果のひとつが、スマホ時間の長い子供は、「大脳灰白質」の広範囲において発達が遅れるという、衝撃的な事実も明らかになったようです。
大人においてもスマホの頻繁に使う人ほど、感情のコントロールが難しくなったり、うつ状態になりやすい傾向があるようです。
~スマホ操作に脳味噌を絞る、小谷野でした~