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- 東京証券取引所の市場区分変更 ~市場改革は道半ば~
小谷野です。
今週月曜日から東京証券取引所の市場区分が変更になりました。
先週までは、「市場第一部」、「市場第二部」、「マザーズ」、「ジャスダック・スタンダード」、「ジャスダック・グロース」と市場区分していましたが、今週から以下の3つの市場に集約されました。
「プライム市場」:グローバルな機関投資家向けの規模と流動性を持ち、高いガバナンス水準を持つ企業向けの市場。
「スタンダード市場」:一般の投資対象として充分な流動性とガバナンス機能を持つ企業向けの市場
「グロース市場」:リスクもあるが高い成長性が期待できる企業向けの市場
「東証一部上場会社」といえばハイブランドで、就職希望先として、また起業家の目標でもありました。今回、プライムに変更され、見慣れた新聞の証券欄の表示も変更になりました。
今回の市場改革の理由は、数多い市場区分の整理と、日本の最上位の市場である東証一部上場会社に中小規模の会社が増えるという質の低下があり、日本を代表する国際的資本市場として評価を高めるための市場区分変更でした。
しかし、元証券マンの私には改革は道半ばに見えます。
今回、旧一部上場企業の84%(1839社)がプライム市場に横滑り移行しています。
当初の改革案では、プライム市場の流通株式時価総額基準が500億円以上であったのが100億円以上に大きく引き下げられました。
時価総額30兆円を超える企業も存在するプライム市場に、流通株式時価が100億円の企業が混在しています。世界の機関投資家が安心して投資対象にできる規模ではありません。
これは、東証一部(プライム市場)からスタンダード市場へ格下げになることを嫌った、地方を含めた経済界が政治家を通じて金融庁に圧力をかけた結果といわれています。
しかし、道半ばでも今回の市場再編が、日本の資本市場の魅力を向上させる一歩になったのは確かです。
~「1級酒」消滅も久しく、遠ざかる昭和、小谷野でした~