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- データを制する者が世界を制する ~最強はマネーデータ~
小谷野です。
データ競争の本質を解説した『データエコノミー入門 激変するマネー、銀行、企業』(野口 悠紀雄著 PHP新書 2021.10.18)からです。
世界ではデータが経済価値を生む「データ資本主義」が加速しつつある。
注目すべきはマネ-データで、従来のビッグデータより強力な「マネーという最強のデータ」を巡る争奪戦が始まっている。残念ながら日本企業・銀行の理解は浅く、日本経済の衰退の根本的な原因となっている。
1.加速するデータ資本主義
データ資本主義の代表である米国のGAFA+M(*)の時価総額は、日本株式市場全体の時価総額を上回る。
(*)Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft
中国では、BAT(Baidu, Alibaba, Tencent)がビッグデータを掌握している。
1.マネーの種類
・電子マネー
銀行預金システムの上に作られ、預金口座から振込などを行う仕組みで、日本のPayPay、中国のAlipay、WeChatPay等がある。
・仮想通貨(暗号資産)
銀行システムとは無関係でネット上でやりとりされる、BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアムな)どがある。
・中央銀行が発行するデジタル通貨(計画中)
CBDC:Central Bank Digital Currency
・Diem(計画中)
法定通貨に対する価値が大きく変動しない大規模な仮想通貨(ステーブルコイン)でFacebookが提唱している。
1.マネーを制する者がデータを制する
マネーデータは、SNSからのデータなどよりも遙かに網羅的で、個人や企業の深い情報が入手できる。
銀行には大量のデータがあるが活用されてこなかった。今後は、データを外部のとの提携により(*)APIといわれるデータの連携化が進む。
(*)API(Application Programming Interface):異なるデータシステムを連結する仕組み。
1.融資審査に60秒のイギリス
オープンAPIを積極的に進めるオープンバンキングの動きによって、企業などの信用スコアリングにデータを活用することができ、貸し手側の与信評価が短時間で可能となる。
Iwocaと言う新興企業がロイズ銀行と開発した信用スコアリングシステムは、融資の申請をしてから審査完了までたった60秒しかかからない。
日本ではコロナ禍の緊急融資手続きでも、融資申請の対応に4ヶ月もかかったケースもあった。
1.中国はCBCD「デジタル人民元」の発行を計画しているが、そこには国民の詳細なデータを入手することと、一帯一路地域の人民元通貨圏を作る構想がある。
日本での新しい試みとして、三菱UFJ信託が開始した情報銀行構想「Dprime」がある。個人のパーソナルデータを企業などに提供すると預金利息と同じように企業から利益が得られる仕組みだが、マネーデータの活用は、まだまだこれからのようである。
~カードのデータで素行バレる、小谷野でした~