女性起業家が、創業時に資金調達を必要とする場面は多いでしょう。そのような時に活用したいのが各種の助成金や補助金、融資です。女性起業家が活用できる助成金や補助金、融資は多数存在しています。助成金や補助金、融資をうまく活用することで、創業時から拡大期までの資金繰りを安定させることができるでしょう。そこで本記事では、女性起業家に役立つ助成金や補助金、融資をご紹介します。
目次
女性起業家が知っておくべき助成金・補助金・融資とは?
今日の日本では女性が起業するケースも増えています。起業において資金が不足している場合は、調達する必要があります。助成金や補助金、融資のそれぞれの特徴を知って、有効に活用しましょう。
助成金とは
助成金は一定の条件を満たす事業を支援するために、国や地方自治体、民間団体から支給されるものです。要件を満たしており、規定の様式にしたがって申請を行えば、支給が決定される可能性は高くなるのが特徴です。
気を付ける点は、助成金は後払いとなるケースが多いため、必要な事業資金は事前に用意する必要があることです。とはいえ、返済不要であるため、起業を検討する女性は積極的に活用したい資金です。
補助金とは
補助金は国や地方自治体、民間団体から支給される資金です。採択される件数があらかじめ決められている場合が多く、助成金よりは選考が厳しい傾向にあります。
支給金額の上限も通常は決まっています。補助金と同様に後払いが原則のため、起業に当たっては事前の資金準備は必須です。ただ、返済は不要のため、安心して活用できる起業者向け資金の一つです。
融資とは
融資とは、金融機関などから事業資金を借りることで、女性が起業する際は、日本政策金融公庫や銀行、信用金庫から融資を受けるケースが多いでしょう。
特に、日本政策金融公庫は、新規開業資金のプランが充実しています。さまざまな相談にも乗ってくれるなど、女性や若者が起業する場合は頼りになる存在と言えるでしょう。
関連記事:女性が自己資金なしで起業することはできる?受けられる融資制度などについて詳しく解説!
女性起業家におすすめの助成金
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業【東京都】
東京都には、若手・女性リーダー応援プログラム助成事業があります。東京都内の商店街活性化を目的としており、「申請予定店舗が都内商店街であること」が申請要件です。
また、「女性または年度末時点で39歳以下の男性であること」も申請の要件になっていることから、女性起業家にとっては受け取れるチャンスが高い助成金と言えるでしょう。
なお、申請時の女性起業家の年齢は問われないため、東京都内の商店街で起業を考えている場合は、ぜひ活用することをおすすめします。
両立支援等助成金
両立支援助成金とは、従業員が介護や育児と、仕事を両立させることができるよう企業を支援する資金です。
「介護離職防止支援コース」「出生時両立支援コース」「育児休業等支援コース」など、複数のコースがありますが、女性起業家におすすめのコースは「育児休業等支援コース」です。
「育児休業等支援コース」は、女性が育児を理由として退職しなくてもよい環境を整えるために支給されるものであることから、女性起業家はぜひ活用したい助成金です。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者が企業内でキャリアアップすることを支援する助成金です。「正社員化コース」「障害者正社員化コース」「賞与・退職金制度導入コース」など、さまざまなコースが厚生労働省により準備されていますが、いずれも非正規雇用の労働者の処遇改善を行う際に申請が可能です。
非正規労働者の仕事の仕方を変えて、生産性をアップさせたいと考えている女性起業家にとって注目すべき助成金です。
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)は、中小機構と地方自治体、金融機関などが資金を出してファンドを作ることによって、中小企業の創業などを支援する仕組みです。地域中小企業応援ファンドは、中小企業者や創業者を対象としているため、女性起業家は支援が得やすいでしょう。
参考:中小機構 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
雇用関係助成金
雇用関係助成金は、雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両⽴⽀援といった企業の取り組みに対して支給される、厚生労働省が管轄する国の助成金制度です。大きく8つの分野に分かれていますが、どの分野も女性起業家としては押さえておきたい助成金です。
女性起業家におすすめの補助金
ここからは、女性起業家におすすめの補助金をご紹介いたします。助成金と比べると、やや支給要件のハードルが高くなる傾向がありますが、有用な資金が多いため積極的に活用しましょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、全国商工会連合会が実施している「小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する」制度です。
支給が小規模事業者に限定されているため、スモールビジネスのような比較的小規模な事業展開を検討している女性起業家に受給のチャンスがあります。ただし、上限金額が決まっていること、要件を満たしていても、すべての事業者が受給できるわけではない点には注意しましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が、小規模事業者などが取り組む革新的サービスの開発や生産過程の改善を行うための設備投資などを支援する制度です。
書類審査だけではなく、オンラインでの口頭審査もあるため、入念な準備が必要です。また、会社代表者1名で審査に臨まなければならないため、やや申請のハードルが高い補助金と言えます。ただし、革新的な「ものづくり」に挑戦する女性起業家は応募する価値があるでしょう。
IT導入補助金
IT導入補助金は、小規模事業者等が業務にITを取り入れて、生産性の向上、業務の効率化を図ることを支援する制度です。例えば、給与計算ソフトや経理ソフトを導入して、間接部門の効率化を図る場合や、システムをサイバー攻撃から守るためにセキュリティを強化したい場合などに支給されます。
これから新規で会社を立ち上げる女性起業家にとって、業務のIT化は必須のため、受給を検討したい補助金の一つです。
参考:IT導入補助金2024
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を行う中小企業や、事業再編、事業統合で経営資源の引き継ぎを行う中小企業などを支援するための制度です。
事業承継、事業再編、事業統合に際しては、業務の見直しや組織の再編、システムの導入などが必須なことから、当然資金が必要です。事業承継・引継ぎ補助金は、重要な経営資源をしっかりとバトンタッチできるよう支援します。何らかの事業を引き継いで事業を進めたい女性起業家にとっては有用な補助金です。
参考:事業承継・引継ぎ補助金
関連記事:事業承継補助金・引き継ぎ補助金とは?対象経費や対象者について解説
女性起業家におすすめの融資制度
以下では、女性起業家におすすめの融資制度をご紹介いたします。起業家やスタートアップ企業を応援する融資制度が揃っていますので、自身が該当する融資制度を使ってビジネスを成功に導きましょう。
女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若者/シニア起業家支援資金は、日本政策金融公庫が融資を行っています。名称に「女性」とついているように、女性起業家にとっては、最も使いやすい融資と言えるでしょう。
融資要件は「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性または35歳未満か55歳以上の方」となっているうえに、金利も低い傾向にあるため、女性が起業する際の資金調達には最適です。
参考:日本政策金融公庫 新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
新創業融資制度
日本政策金融公庫が行っている新創業融資制度は、創業期で事業期間が短い事業者への支援が目的で作られた制度です。
事業開始後税務申告を2期終えていない場合などは、金融機関から融資を受けづらいのが実情です。新創業融資制度であれば、営業実績が乏しくても審査の対象となるため、創業間もない女性起業家でも利用可能です。
関連記事:日本政策金融公庫の創業融資(新創業融資)とは?必要書類や申し込みの流れなどを詳しく解説!
女性・若者・シニア創業サポート事業【東京都】
東京都が東京都信用金庫協会、東京都信用組合協会と連携して創業をサポートする制度が「女性・若者・シニア創業サポート2.0」です。特に女性は、融資の上限金額が高いなどの優遇措置が取られているのが特徴です。そのため、東京都内で、地域の需要や雇用を支える事業を計画している女性は、ぜひ申し込んでおきたい融資です。
参考:東京都産業労働局 女性・若者・シニア創業サポート2.0
創業おうえん資金【横浜市】
横浜市の創業おうえん資金は、これから市内で創業を目指す方や創業5年未満の方を支援する制度です。担保は原則不要であるため、これから横浜市内で起業を目指す女性にとって頼りになる資金です。設備資金、運転資金のどちらにも使えることも使い勝手がよいポイントと言えるでしょう。
参考:横浜市 創業おうえん資金
女性・若者経営者支援資金/女性・若者起業家支援貸付【埼玉県】
埼玉県の女性・若者経営者支援資金は、県内で起業を計画している女性または35歳未満の方を対象とした支援制度です。女性には年齢制限がないため、埼玉県内で起業を目指している場合は、いつでもチャンスがあります。担保も原則不要です。
参考:深谷商工会議所 女性・若者経営者支援資金(女性・若者起業家支援貸付)
女性・若者・障害者創業支援融資制度【茨城県】
茨城県の女性・若者・障害者創業支援融資制度は、県内に住む女性、若者、障害者が創業する際に支援を行う制度です。若者の場合は35歳未満が支援対象ですが、女性の場合は年齢に関係なく支援の対象です。融資は、設備資金、運転資金、設備・運転併用の3種類に分かれています。
女性起業家が利用できるそのほかの資金調達方法
ここまで、女性起業家が利用できる助成金、補助金、融資制度をご紹介してきましたが、ここからは、そのほかの資金調達方法を解説していきます。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、商品やサービスの提供者がインターネット上で不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、商品やサービスの内容に賛同・共感した支援者から資金を集める方法です。
商品やサービスの提供者は、お金を出してくれた支援者に対して何らかのリーターンを設定するのが基本的なスタイルです。現在はさまざまなクラウドファンディングのプラットフォームが存在します。代表的なものとしては「CAMPFIRE」「Kibidango」「GREEN FUNDING」などが挙げられます。
コンペ
コンペは、主催者が応募者のビジネスの提案の中から、最も有望だと思われるものを選び、資金を提供するものです。
さまざまなコンペが存在しますが、女性起業家を対象としたコンペで有名なものは、日本政策投資銀行が開催する「DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」です。応募できるのは女性限定のため、女性起業家はぜひチャレンジしたいコンペです。
賞金付きの賞
賞金付きの賞は、さまざまな団体で設けており、女性起業家向けのものも存在します。一般社団法人日本起業アイディア実現プロジェクトが開催する「女性起業チャレンジ大賞」、京都府が主催する「京都女性起業家賞(アントレプレナー賞)」などがあります。
あくまでも賞金のため、金額は数十万円から数百万円ですが、第三者に自分のビジネスモデルや計画を審査してもらえる貴重な機会になることから、挑戦してみる価値は高いでしょう。
女性起業家が使える助成金・補助金等の探し方
ここからは、女性起業家が使える助成金・補助金等の探し方をご紹介いたします。どのサイトも起業家にとって有益な情報が満載です。上手に助成金・補助金等の情報を集めて起業を成功させましょう。
ミラサポplus
ミラサポplusは、経済産業省が運営する中小企業向けの補助金・総合支援サイトです。人気の補助金紹介や、中小企業の経営立て直し事例など、有益な情報が盛りだくさんです。起業時や経営時に困ったことがあった際の連絡先も記載されており、女性起業家は積極的に活用したいサイトです。
J-Net21
J-Net21は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するサイトです。起業マニュアル、業種別開業ガイド、法律コラムなど、女性が起業する際に役立つ情報が満載です。もちろん最新の補助金情報も載っているため、起業を考えている女性にとっては必見のサイトです。
創業手帳
創業手帳は、創業手帳株式会社が運営する、起業・資金調達に役立つ情報を載せたサイトです。資金調達に関する情報はもちろん、創業時に必要となる知識が豊富に掲載されており、起業家の強い味方になるでしょう。経営ガイドブック「創業手帳」「創業手帳woman」が無料でもらえるなど充実した支援もあります。起業を目指す女性は目を通しておきたいサイトです。
参考:創業手帳
女性の起業に強い税理士をチェックしておこう
起業する場合は、資金調達方法や税務、経理、経営の知識が必須です。また、従業員を雇うケースでは給与に関する知識も必要になってくるでしょう。女性の起業家では「資金調達方法や経理に疎い」ということも多々あります。そのようなときは、女性の起業に強い税理士に相談することも一つの方法です。日頃からアンテナを張り巡らせ、頼りになる税理士をチェックしておきましょう。女性の起業に強い税理士をお探しなら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。