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地方消費税はどうやって計算する?消費税との違いや算出方法を解説

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地方消費税はどうやって計算する?消費税との違いや算出方法を解説

地方消費税がどのような税金で、どうやって計算するのかご存じでしょうか。この記事では、地方消費税の概要や税率、算出方法について紹介しています。また、地方消費税と消費税との違いや地方消費税の納付時期も併せて紹介して紹介しています。地方消費税について知りたい方はぜひ本記事を参考にしてください。

地方消費税とは?消費税との違い

地方消費税とは、物やサービスを提供する際に消費者に対して課せられる税金です。地方消費税は都道府県税で、国ではなく地方の行政府に納める税金となっています。

消費税も地方消費税と同様に、物やサービスを提供する際に消費者に対して課せられる税金です。しかし、地方消費税が地方の行政府に対して納める都道府県税であるのに対し、消費税は国に納める国税であるという違いがあります。

地方消費税を納める際には消費税と分けて納める訳ではなく、消費税と合算して所轄の税務署に納付する事になっています。そのため、一般的には消費税と地方消費税を分けて考えることはなく、これらをまとめて消費税等と呼び、申告や納付を行うこととなっているのです。

参考:No.6303 消費税および地方消費税の税率|国税庁

地方消費税の課税対象

売上高の計算

地方消費税は物やサービスを提供する際に消費者に対して課税される税ですが、企業や個人事業主は消費者から受け取った地方消費税および消費税を国や地方の行政府に納めなければなりません。

しかし、すべての企業に消費税等の納税義務がある訳ではなく、一定の条件を満たしている企業や個人事業主にのみ納税義務が課せられています。

地方消費税を含む消費税等を納める義務のある企業や個人事業主を、課税事業者と呼びます。課税事業者となる条件は以下の通りです。

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円超である
  • 特定期間の課税売上高かつ、支払った給与等の金額が1,000万円超である
  • 適格請求書発行事業者に登録している

上記のいずれかに当てはまる企業や個人事業主は、消費者から受け取った消費税等を納めなくてはなりません。

上記における基準期間と特定期間は法人と個人事業主で異なり、それぞれ以下のように設定されています。

 

法人

個人事業主

基準期間

前々事業年度

前々年の1月1日~12月31日

特定期間

前年の事業年度開始の日から6ヵ月間

前年の1月1日~6月30日

上記の表からも見て取れるように、法人の基準期間は前々事業年度、特定期間は前年の事業年度開始日から6ヵ月間と決められています。個人事業主の場合の基準期間は前々年の1月1日から12月31日の1年間、特定期間は前年の1月1日から6月30日までです。

法人と個人事業主で期間が異なるのは、法人は事業年度を法人ごとに決められるのに対し、個人事業主の事業年度が1月1日から12月31日までの1年間と決まっていることが関係しています。

参考:消費税のしくみ|国税庁

参考:① 消費税課税事業者届出書|国税庁

関連記事:【税理士監修】インボイス制度と消費税の基礎知識!計算方法や納付の仕組みについても解説

地方消費税の税率および算出方法

消費税及び地方消費税の申告書

すでに解説しましたが、地方消費税は消費税と合算して納税します。

現在適用されている消費税率は、標準税率の10%と軽減税率の8%の2種類ありますが、この税率は地方消費税と消費税の税率を合わせたものです。

地方消費税の税率と消費税の税率の内訳は以下のようになっています。

税率

地方消費税

消費税

標準税率(10%)

2.2%

7.8%

軽減税率(8%)

1.76%

6.24%

地方消費税を含む消費税等の算出方法は、一般課税方式と簡易課税方式とで異なります。以下では、それぞれの課税方式における算出方法を解説していきます。

一般課税方式

一般課税方式は原則課税方式とも呼ばれる方式で、消費者から受け取った消費税-支払った消費税という計算によって納付すべき消費税額を算出する方式のことを指します。

すでに解説した通り、現在の消費税率は標準税率の10%と軽減税率の8%の2種類あるため、それぞれを分けて計算しなくてはなりません。

消費税の計算は、基本的に一般課税方式で行うようになっており、まずは消費税額を求めた後に地方消費税額を求めることになっています。

具体的な手順は以下のイメージです。

  1. (標準税率での売上額×7.8%)+(軽減税率での売上額×6.24%)=消費者から受け取った消費税
  2. (標準税率での仕入額×7.8%)+(軽減税率での仕入額×6.24%)=仕入にかかった消費税額
  3. 消費者から受け取った消費税-仕入にかかった消費税額=消費税額
  4. 消費税額×22/78=地方消費税額

例えば、標準税率での売上額が1,500万円、軽減税率での売上額が1,000万円の場合は、(1,500万円×7.8%)+(1,000万円×6.24%)= 179万4,000円が消費者から受け取った消費税額です。標準税率での仕入額が500万円、軽減税率での仕入額が300万円の場合は、(500万円×7.8%)+(300万円×6.24%)=57万7,200円が仕入にかかった消費税額となります。

消費税額は179万4,000円-57万7,200円=121万6,800円です。この金額に22/78を乗じることで地方消費税額が求められるため、121万6,800円×22/78=34万3,200円で地方消費税額は34万3,200円ということになるのです。

標準税率と軽減税率を分けなければならないため、計算が煩雑ですが上記の手順で地方消費税額が算出できます。

参考:消費税のしくみ|国税庁

参考:No.6303 消費税および地方消費税の税率|国税庁

簡易課税方式

簡易課税方式とは、一般課税方式よりも簡易的な計算によって納付額を算出する方式です。簡易課税方式は、基準期間における課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度選択届出書を提出した事業者のみが利用可能となっています。

簡易課税方式では、受け取った消費税額-(受け取った消費税額×業種ごとのみなし仕入率)で納付すべき消費税額を求めます。

事業区分ごとのみなし仕入率は次の通りです。

事業区分

仕入率

第1種事業(卸売業)

90%

第2種事業(小売業等)小売業、農林漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)

80%

第3種事業(製造業等)農林漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、建設業、製造業など

70%

第4種事業(その他)飲食店業など

60%

第5種事業(サービス業等)運輸・通信業、金融・保険業、サービス業

50%

第6種事業(不動産業)

40%

出典:消費税のしくみ|国税庁

上記の表からも分かるように業種は6つに分けられており、それぞれ適用されるみなし仕入率が異なるのです。2種類以上の業種で事業を行っているケースでは、基本的に課税売上高を業種ごとに分類し、該当するみなし仕入率をかけて算出します。

地方消費税額と消費税額をそれぞれ算出する場合は、以下の手順で求めます。

  1. 税込売上高÷110%=税抜売上高
  2. 税抜売上高×7.8=受け取った消費税額
  3. 受け取った消費税額×みなし税率=仕入にかかった消費税額
  4. 受け取った消費税額-仕入にかかった消費税額=消費税額
  5. 消費税額×22/78=地方消費税額

例えば、飲食業を営んでおり税込売上高が3,300万円だった場合は、3,300万円÷110%=3,000万円が税抜売上高となります。3,000万円×7.8%=234万円が受け取った消費税額です。飲食業のみなし税率は60%なので、234万円×60%=140万4,000円が仕入にかかった消費税額ということになります。

次に、234万円-140万4,000円=93万6,000円で消費税額が求められ、93万6,000円×22/78=26万4,000円で地方消費税額が算出できます。

参考:消費税のしくみ|国税庁

地方消費税はいつまでに納める?

カレンダーと納税のイメージ

すでに解説した通り、地方消費税と消費税はまとめて納税することになっています。地方消費税を含む消費税等の納付期限は法人と個人事業主で異なり、それぞれ以下のように設定されています。

  • 法人:事業年度終了日の翌日から2ヵ月以内
  • 個人事業主:課税期間の翌年の3月31日まで

原則として、地方消費税を含む消費税等は上記までに納めなくてはなりませんが、課税期間の特例を受けている場合は下記のスケジュールで消費税を納めます。

〈法人の場合〉

区分

納税期限

3ヵ月ごとの課税期間の特例

その事業年度を開始日以降3ヵ月ごとに区分した各期間の末日の翌日から2か月以内

1ヵ月ごとの課税期間の特例

その事業年度を開始日以降1か月ごとに区分した各期間の末日の翌日からヵ月以内

〈個人事業主の場合〉

区分

課税期間

納税期限

3ヵ月ごとの課税期間の特例

1~3月分

5月31日まで

4~6月分

8月31日まで

7~9月

11月30日まで

10月~12月

翌年3月31日まで

1ヵ月ごとの課税期間の特例

1月~11月分

各期間の末日の翌日から2ヵ月以内

12月分

翌年3月31日まで

消費税の課税期間の特例を受けたい場合は、所轄の税務署に消費税課税期間特例選択・変更届出書を提出しましょう。

参考:No.6601 申告と納税|国税庁

参考:No.6137 課税期間|国税庁

関連記事:【税理士監修】税務署の管轄とは?地域別・状況別・ オンライン利用時などの確定申告書提出先の詳細ガイド

地方消費税の計算方法や納付期限について理解しよう

地方消費税は、物やサービスを提供した際に消費者から受け取る税金のことで消費税と同じ目的の税です。しかし、消費税は国に納める国税であるのに対し、地方消費税は地方の行政府に納める都道府県税であるという点が異なります。

地方消費税は一定の条件を満たした課税事業者にのみ支払い義務があり、税率は標準税率で2.2%、軽減税率で1.76%です。地方消費税の算出方法は一般課税方式と簡易課税方式で異なり、基本的には一般課税方式を用いることになっています。

地方消費税を納める際には、消費税と合算して所轄の税務署に申告、納付しなければなりません。納付期限は法人と個人事業主で異なるため注意しましょう。

関連記事:確定申告に税理士に頼む際の費用とは?相場と費用対効果を知ろう

消費税や納税についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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