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法人税の節税に決算賞与は有効?決算賞与の概要やポイントを解説

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決算賞与のイメージ

法人税の節税に決算賞与が有効であると見聞きした人は少なくないでしょう。本記事では、決算賞与の支給に節税効果があるのかについて解説しています。また、決算賞与に係る税金の算出方法や決算賞与を支給するメリット、デメリットも併せて紹介しています。決算賞与の節税効果について知りたい方はぜひこの記事を参考にして下さい。

決算賞与とはどんなもの?

決算賞与とは、夏や冬に支給されるボーナスとは別に、業績に応じて決算の前後に支給されるボーナスのことを指します。決算賞与は通常のボーナスと同様に損金算入でき、予想を上回る利益が出た際に節税対策として支給されるケースが通例です。

関連記事:法人で利益が出過ぎた場合はどうする?知っておきたい節税対策を一挙にご紹介!

決算賞与を支給するメリットとデメリット

賞与規定

では、企業側にとって決算賞与を支給するメリットやデメリットにはどのようなものが挙げられるのでしょうか。以下で確認していきましょう。

メリット1:節税効果がある

通常、法人税は課税所得に税率をかけることで計算します。すでに解説した通り、決算賞与は損金算入が可能なため、予想を上回る利益が出た際に決算賞与を支給すると課税所得を減らすことができます。

法人税の税率は普通法人や一般社団法人などの区分によって異なりますが、仮に普通法人のケースでは以下のようになります。

課税所得額が1,700万円の場合、この金額に法人税率の23.2%をかけて法人税額を算出します。この場合の法人税額は、1,700万円×23.2%=394万4,000円となるため、394万4,000円を納めなくてはなりません。

しかし、上記のケースで500万円の決算賞与を支給したとすると(1,700万円-500万円)×23.2%=278万4,000円になるため、支払う法人税額は278万4,000円まで抑えられます。決算賞与を支給した場合と支給しなかった場合では116万円もの差が生まれます。

この例からも分かるように、決算賞与を支給することによって法人税の節税が可能になります。

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

メリット2:従業員の意欲向上に繋がる

決算賞与は毎年支給するものではなく、臨時のボーナスという名目で支給するのが通例です。夏や冬のボーナスに加えて賞与を支給することは、従業員の意欲向上に繋がると考えられます。

予想を上回る利益が出たことを賞与として還元することで、従業員に対しては会社に貢献してくれたという意思表示にも繋がるため、今後の仕事に対するモチベーションアップにも繋がると考えられます。

デメリット1:会社の資金は減少する

決算賞与を支給する場合、その支給額分だけ会社からお金が出ていく事になります。上述したとおり、決算賞与の支給は法人税の節税につながりますが、節税した額よりも多い金額を賞与として支給するケースがほとんどなので、結果として会社の資金は減少します。

例えば、課税所得2,000万円で税率が23.2%、決算賞与額が800万円の場合、決算賞与を支給すると1,200万円×23.2%=278万4,000円となるため、会社の資金として残るのは921万6,000円です。

決算賞与を支給しなかった場合は、2,000万円×23.2%=464万円となるため、会社の資金として残るのは1,536万円ということになります。このケースでは法人税は大幅に節税できていますが、結果として賞与を支給しなかった場合の方が会社の資金は残ります。

法人税の節税だけに目を向けてやみくもに決算賞与の支給を決めてしまうと、来期以降の資金繰りに影響を及ぼす可能性があるため、決算賞与を支給するか否かはじっくりと検討する必要があります。

デメリット2:経理の処理が増える

決算賞与を支給する場合は、決算賞与の額面から所得税を差し引く処理が必要となります。そうなると当然、経理業務が増えるため担当する従業員への負担増が懸念されます。

また、会社によっては決算賞与を業績に応じて支給したり、階級などによって差をつけたりすることもあります。このような観点からも、決算賞与の支給には手間と人的工数が増える点はデメリットと言えるでしょう。

関連記事:経営セーフティ共済の節税効果とは?知っておきたい概要や注意点を詳しく解説!

決算賞与に係る税金の算出方法

すでに解説しましたが、決算賞与を支給する場合は所得税や厚生年金保険料などを天引きして支給額を決定する必要があります。決算賞与に係る税金などは以下の通りです。

  • 雇用保険料
  • 厚生年金保険料
  • 健康保険料
  • 所得税

雇用保険料は、決算賞与の総額×保険料率で算出します。雇用保険料の保険料率は業種によって異なるため注意しましょう。

厚生年金保険料は、標準賞与額×18.3%で、会社と従業員とで半分ずつ負担することとなっています。健康保険料は標準賞与額×保険料率で算出可能で、健康保険料の保険料率は各保険組合ごとに異なります。

所得税は(賞与額-社会保険料)×賞与の金額に乗ずべき率で計算可能です。この乗ずべき率は、前月の給与等や扶養親族の人数で異なる点に留意が必要です。

参考:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 5 年分)|国税庁

参考:厚生年金保険料額表|厚生労働省

決算賞与を支給する際に注意すべきポイント

確定申告と節税のイメージ

決算賞与を支給する場合は、いくつか注意すべきポイントがあります。

例えば、決算賞与が決算月までに支給できず未払金として損金算入したい場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 決算賞与を支給するすべての従業員に対して、同時期に支給額の通知を行う
  • 決算日の翌日から1ヵ月以内に、通知を出したすべての従業員に対して通知額を支払う
  • 支給額の通知を出した日が属する事業年度で損金算入する

上記の条件を満たしていれば、決算月までに決算賞与が支給できていなくても、通知を出した日が属する事業年度で損金として扱うことができます。ただし、決算賞与の支給を決定した後に、上記の条件を満たすことができないケースもあるため注意しましょう。

例えば、決算賞与の支給対象であった従業員が退職したが、退職者が音信不通となったため支給ができなかった場合は要件を満たせなくなってしまいます。要件を満たせなかった場合は、決算賞与を支給した事業年度で損金算入することになります。

なお、税務調査の対策として、決算賞与の通知は書面で行い保管しておくと安心です。決算賞与の支給は節税対策されるケースが多いため、仮に税務調査が入った場合は確認されることが多い項目となります。要件を満たした上で未払いで損金算入していたとしても、その実態が不透明であると否認される可能性もあるため注意が必要です。

決算賞与を支給する場合は、銀行振込で支給して記録を残したり、現金支給の場合は領収書をもらうなどの対策をしておくと安心です。

参考:No.5350 使用人賞与の損金算入時期|国税庁

関連記事:【税理士監修】税務調査が入る確率はどのくらい?10~20年来ない?個人と法人の違いや売上いくらから

決算賞与を支給するかは資金面などから判断しよう

予想を上回る利益が出た際の節税として支給することが多い決算賞与ですが、実際は節税できた額より決算賞与として支給した額のほうが多くなるケースがほとんどです。決算賞与を支給するとその支給額を課税所得から差し引くことができるため、法人税の節税効果を期待して決算賞与を支給する企業は少なくありません。しかし、支給する際は節税できるという点だけではなく、会社の資金が減るという点を理解しておくことが大切です。

また、決算賞与を支給前に損金算入するには3つの要件を満たす必要があります。支給決定時に要件を満たしていたとしても、支給する時期になって要件を満たせなくなるケースもあるため注意しましょう。支給する際には、税務調査の対策として書面による支給額の通知や領収書の発行などを行っておくと良いでしょう。

決算賞与の支給には会社の資金が減少するというデメリットや税務調査で指摘を受ける、要件を突発的に満たせなくなるといったリスクがありますが、支給することで日ごろから会社に貢献してくれている従業員のモチベーションが高められるといったメリットもあります。

決算賞与を支給するか否かは、目先の節税だけではなく総合的に判断するようにしましょう。

節税についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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