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法人で利益が出過ぎた場合はどうする?知っておきたい節税対策を一挙にご紹介!

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法人で利益が出過ぎた場合はどうする?知っておきたい節税対策を一挙にご紹介!

法人の決算で利益が出過ぎてしまうと、高額な法人税が課せられることになります。そのような事態を避けるために、できる限り利益を圧縮して節税したいと考える方は多いことでしょう。そこで、今回は法人で利益が出過ぎた場合に有効な節税対策や、抑えておきたい注意点などについて詳しく解説していきます。

法人で利益が出過ぎた節税とは

経費増加による節税対策

  • 福利厚生

法人の社員を対象とし、レクリエーションやパーティー、社員旅行などを企画することで福利厚生費として経費計上することが可能です。ただし、福利厚生費として計上するためには社員の50%以上が参加することが要件となっており、役員のみを対象とするといった内容では対象外となるため注意しましょう。

  • 健康診断

社員の健康診断を実施することは企業の義務ですが、利益が出過ぎた場合は健康診断を人間ドックなどにアップグレードすることによって節税することができます。ただし、健康診断も全社員の50%以上が受診しなければ対象とはなりません。

  • 出張手当の設定

出張に必要な交通費や宿泊費は経費として計上できますが、出張手当を設定することで節税につながります。出張手当は、実費以外にかかる雑費を補填するという目的で支給されるものであり、法人にとっては損金です。

また、出張手当を受給した方にとっても所得に含まれないため、所得税や住民税、社会保険料などの負担を抑えることができます。さらに、国内出張に対する出張手当は消費税の課税仕入れに算入することができるため、消費税の節税対策としても有効です。

  • 未払い費用の活用

支払いが発生して債務が確定したものの、期間内には支払いが完了していない継続的な支出は、その年の経費として計上することが可能です。例えば、社員への給与や社会保険料、光熱費や固定資産税などが挙げられます。これらの未払い費用を計上したい場合は、金額と債務が確定していることが必要です。

  • 広告宣伝

企業活動に有効な広告宣伝ですが、利益が出過ぎたときには節税対策としても活用可能です。具体例としては、以下のような施策が挙げられます。

  • ランディングページの制作
  • ホームページの制作や大幅な改修
  • 採用ページの製作
  • ネット広告
  • 動画の撮影・配信

利益が出過ぎた際にはこのような広告宣伝に関する施策に投資をしつつ、経費として計上することで節税対策も行っていきましょう。

  • 短期コンサルティング

法人で利益が出過ぎた場合は、日頃から顧問に任せている分野以外に関して短期コンサルを依頼することで、コンサルにかかる費用を経費として計上することが可能です。また、セミナーなどの研修に必要な受講料も経費に含まれるため、節税につながります。短期コンサルの依頼やセミナーの受講は経営戦略としても有効であるため、利益が出過ぎた際は活用を検討してみてください。

  • 書籍購入

法人の実務に関する専門書は高額な場合が多いため、社内から購入依頼があったとしても、購入をためらう方も多いのではないでしょうか。書籍代は経費として計上可能であるため、利益が出過ぎたときに購入することによって節税につながります。

  • 短期前払費用の活用

契約から1年以内にサービスの提供を受ける場合、費用を前払いするケースがあります。通常では、毎月の債務が発生した段階で経費計上することができますが、以下のケースでは支払った年に全額を損金として算入することができる「短期前払費用の特例」という制度が適用されるのです。

  • 年払いであること
  • 物品の購入ではない
  • 1年以内にサービスの提供を受けること

年間の賃借料などを前払いすることによって活用することができますが、「1年以内にサービスの提供を受けること」という要件に注意しましょう。

給与増加による節税対策

  • 役員の増員

法人の利益が出過ぎた場合には、役員を増員して役員報酬を増やすことで節税が可能です。ただし、役員報酬は期首から3か月以内に変更しなければ、損金算入することができません。

  • 決算賞与支給

法人の利益が出過ぎた場合には、社員に決算賞与を支給することもおすすめです。決算賞与とは、決算が終了したタイミングで臨時支給するボーナスのことであり、金額は業績にもとづいて決定します。なお、決算賞与は以下の方法によって支給しなければなりません。

  • 社員別に決算賞与の支給額を確定し、通知する
  • 決算の翌日から1か月以内に支給
  • 決算賞与の支給額は、未払金として経費計上する

決算賞与の支給は節税対策になりますが、社員のモチベーションアップにもつながる有効な施策です。

資産変動による節税対策

  • 設備投資

生産性向上などを目的とした設備投資は、利益が出過ぎた場合におすすめの施策です。高額な設備投資は原則として「減価償却資産」にあたるため、利益が出過ぎたことが判明したタイミングで支出を行っても、その年の節税にはあまり効果がないかもしれません。

しかし、設備投資には「特別償却」と「税額控除」という税制優遇措置が設けられており、一定の要件に該当することでどちらを利用するか選択することができます。特別償却を選択すれば、通常の減価償却費とは別枠で「取得価額×30%」にあたる額を償却することができるため、節税対策として有効です。

また、税額控除を選択した場合は減価償却費として計上する枠を使用しないため、税額控除される額がそのまま節税メリットとして得られます。

  • 少額減価償却資産の購入

特定の要件に該当する中小企業者が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、「少額減価償却資産の特例」を利用することが可能です。正式には「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」といい、取得価額の全額を損金算入することができるため、節税につながります。なお、特例に該当するための要件は以下のとおりです。

  • 従業員数が500人以下であること
  • 資本金が1億円以下であること
  • 青色申告を行うこと

計上できる額は年間300万円が上限となっていますが、ソフトウェアや商標権、特許権などの無形減価償却資産や、中古資産も対象となります。

  • 不要な在庫の処分

法人で利益が出過ぎた場合は、不要な在庫の処分をすることで利益を圧縮することが可能です。売上原価には在庫(棚卸資産)も含まれているため、不要な在庫を処分すれば売上原価が増えることになります。その結果、売上利益を減少するため節税につながるという仕組みです。

不要な在庫を処分することは節税対策になりますが、赤字で処分することによってキャッシュに変えることもできるというメリットがあります。

  • 不要な固定資産の処分

不要な固定資産を処分することも、節税対策として有効です。売却する際は固定資産売却損、除却する際は固定資産除却損、廃棄する際は固定資産廃棄損として損金に算入することができます。不要な固定資産を処分することで資産を現金に変えることもできるため、使用していない固定資産がないか確認しましょう。

  • 個人所有資産を法人へ貸付

利益が出過ぎた場合には、法人の代表者やその家族が所有している不動産などを、法人に貸し出すことで節税対策になります。これは、個人の資産を法人に貸し出し、法人が賃借料を支払うことによって経費として計上できるからです。

また、賃貸物件の場合は名義を個人から法人に変更することで、家賃の一部を経費にすることができるため、こちらも節税対策として有効といえるでしょう。

  • 不動産投資

不動産投資を行うことも、利益が出過ぎた場合の節税対策として有効です。事業用として不動産を取得し、減価償却費を毎年計上していくことで課税所得を圧縮することができます。また、取得した不動産を賃貸し、家賃収入を得られるようになれば安定したキャッシュフローの確保にもつながります。

ただし、不動産投資による節税効果は減価償却期間中に限って有効です。不動産投資を行う際は、減価償却期間が終了するタイミングでどのように処分していくのか、出口戦略を検討しておくことも重要といえるでしょう。

保険活用による節税対策

  • 法人保険

社員の福利厚生を目的として法人保険に加入することで、保険料を損金算入できるため節税につながります。しかし、2019年の税制改正によって、解約返戻金の多い定期保険に対して損金算入できる割合に制限が入ったため、以前ほど節税効果を得ることが困難となりました。

とはいえ、法人保険による節税は全く活用できなくなったというわけではありませんし、課税を先延ばしにすることでキャッシュに余裕が生まれるというメリットもあります。

  • 団体定期保険

総合福祉団体定期保険は、法人が契約者となることで全社員の高度障害や死亡に対応する保険であり、掛け金の全額が損金算入の対象です。利益が出過ぎた場合の節税対策として有効ですが、保険金の受取人を法人に指定することができるため、弔慰金や死亡退職金の財源として利用することもできます。

  • 経営セーフティ共済

経営セーフティ共済とは、取引先などの倒産によって中小企業の連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための制度です。経営セーフティ共済の掛け金は損金算入することができるため、節税につながります。さらに40か月以上掛け金を支払い続けると、解約した際に掛け金が全額戻ってきます。

法人で利益が出過ぎた際の節税対策の注意点

過剰な経費利用によるキャッシュアウトに注意する

節税を意識するあまり、過剰に経費を利用するとキャッシュアウトしてしまうおそれがあります。経費を計上したいがために不要な支出をしてしまっては本末転倒です。手元のキャッシュが少ない場合や直近の資金繰りに不安がある場合などは、節税対策を実施するか慎重に検討するようにしましょう。

会計が不明瞭にならないように調整する

法人が節税対策を過剰に行うと、本来の必要経費や収益の内訳が不明瞭になる可能性があります。また、課税されるタイミングを先延ばしにすることが目的の場合、将来的な資金繰りが悪化する可能性も想定しておかなければなりません。節税対策を実施する場合は、法人の財務状況が正確に把握できるように、別途管理資料を作成しておきましょう。

段階的に計画した節税を行う

決算の間近になって税金の負担が大きいことに気づいた場合、その時点から実施できる節税対策は限られます。このような事態を避けるためには、年間のスケジュールを立て、段階的な節税計画を策定することが重要です。また、節税のために利益を圧縮し過ぎてしまうと、追加融資を受けづらくなるといったリスクも考えられます。節税対策を実施することが法人にとって必ずしもプラスに働くとは限らないため、中長期的な計画を検討しましょう。

脱税行為は絶対に避ける

たとえ利益が出過ぎたとしても、脱税行為は絶対に避けましょう。法人でよくある脱税行為としては、売上金を法人口座以外に入金したり、今期の売上請求書を翌期に計上したりするケースなどがあります。当然、架空の人件費などを経費として計上することなども脱税行為です。

申告内容に不審な点があれば、税務署は必ず気づきます。脱税行為によって厳しいペナルティを受けないよう注意しましょう。

法人で利益が出過ぎた場合に節税を行う見極めポイント

手法は大丈夫か?

上述のとおり、法人で利益が出過ぎた場合の節税対策にはさまざまな手法があります。これらの節税対策を利用したうえで、もっと節税効果の高い施策に取り組みたいという場合には、リースなどを利用した「節税商品」も選択肢のひとつとしてあります。

しかし、こういった節税商品は投資の一環でもあるため、損をするリスクがあることも把握しておかなければなりません。聞いたことがない節税手法は、高額な損失や脱税につながる危険性もあるため注意しましょう。

影響はどうか?

利益が出過ぎた年の節税対策としては有効だったとしても、その対策を恒久的に実施する必要がある場合、事業に悪影響がないか慎重に検討しなければなりません。また、初年度は節税になったとしても、その後は課税を先延ばしにするだけの施策であれば、あまり実施する意味がないかもしれません。継続的に実施する必要がある節税対策の場合は、その後の事業にどのような影響があるのか、しっかりと見極めることが重要です。

効果はあるか?

実施しようとしている節税対策は具体的にどのような効果があるのか、事前にシミュレーションしておくことが重要です。また、決算までに間に合うのか、実施することで新たにかかる費用はあるのかといった点も確認し、最終的にどれくらいの効果が見込めるのかを確認しておきましょう。

確認はしたか?

法人で利益が出過ぎた場合には、顧問税理士などの専門家に節税の相談をすることが重要です。税務のプロであれば、法人の状況に合わせた最適なアドバイスを受けられる可能性があります。もし納得のいくアドバイスを受けられなかった場合は、セカンドオピニオンとして他の税理士にも確認してみましょう。

法人で利益が出過ぎた場合は専門家に相談を検討

今回は、法人で利益が出過ぎた場合の節税対策について、その具体例や注意点などをご紹介してきました。法人の節税対策にはさまざまな種類がありますが、節税を意識するあまりに無駄な浪費をしてしまっては本末転倒です。適切な節税対策は法人の状況によって異なるため、どの施策を実施すればいいのかよくわからないという方は、専門家への相談を検討しましょう。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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