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会社設立の基礎知識

合同会社が赤字になった場合の税金はどうなる?納税の有無を解説

公開日:

合同会社が赤字になった場合の税金はどうなる?納税の有無を解説

法人は法人住民税や法人税の納税義務がありますが、赤字の場合もこれらの税金は支払わなくてはならないのでしょうか。本記事では、合同会社が赤字になった際の納税の有無について解説しています。また、赤字決算による節税や赤字決算をするデメリットについても併せて紹介しています。合同会社が赤字になった際の税金について理解を深めたい方はぜひ本記事を参考にしてください。

合同会社が支払うべき税金

ストックオプションの税金のイメージ

会社には株式会社、合同会社、合名会社、合資会社という4つの形態があります。そのうち合同会社は、出資者がそのまま経営者として会社の指揮を執り運営しています。合同会社を含む法人は以下のような税金を課せられています。

  • 法人税
  • 地方法人税
  • 法人事業税
  • 法人住民税
  • 特別法人事業税
  • 消費税

以下よりそれぞれの税金の意味や性質について解説をします。

法人税・地方法人税

法人税は事業活動によって得た所得に対して課せられる国税で、法人の規模などによって税率が異なります。法人税の税額は以下の計算で算出可能です。

課税所得額×税率-控除額

合同会社に課せられる法人税は、本業以外で得た利益や不動産売却などで得た利益も対象となっているため注意しましょう。また、法人税とは別に地方法人税も課せられます。

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

法人事業税

法人事業税は、法人税と同様に法人の所得に対して課せられる税金です。法人税が国税であるのに対し、法人事業税は地方税となっています。事業を行っていく上で利用する公共サービスや公共施設への負担という位置づけの税金です。

法人事業税は所得額や法人の規模により異なります。

参考:法人住民税・法人事業税|総務省

法人住民税

法人住民税は会社がある都道府県および市町村に対して納める地方税で、自治体の運営や管理に充てられています。法人住民税には均等割と法人税割という2種類に分けられており、税率は都道府県や市区町村によって異なります。

参考:法人住民税・法人事業税|総務省

特別法人事業税

特別法人事業税とは自治体同士の財政力の格差を埋めるために作られた税金で、法人事業税と併せて徴収される国税のことを指します。特別法人事業税は2019年に作られた新しい税金で、法人の規模などにより税率が異なります。

参考:特別法人事業税|東京都主税局

消費税

商品やサービスの提供時に消費者に対して課せられる税金を消費税といいます。一定の要件を満たす法人は消費者から預かった消費税を国に納める義務があり、合同会社も例外ではありません。消費税の納税義務がある事業者は課税事業者と呼び、課税事業者となる要件は一般的には以下の通りです。

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円超である
  • 特定期間の課税売上高と給与等支払額の合計額が1,000万円超である
  • 適格請求書発行事業者に登録している

上記の要件に当てはまる場合は、消費税の納税義務があります。ただし、設立2期目までは消費税の納税が免除されます。

参考:消費税のしくみ|国税庁

赤字になった場合でも納税は必要?

予定納税の申告イメージ

合同会社が納めなければならない税金には、法人税や法人事業税、特別法人事業税など様々な種類がありますが、赤字になった場合の納税の有無については税金の種類によって異なります。以下では、赤字でも納税しなくてはならない税と免除される税、それぞれを解説していきます。

納税しなくてはならない税

合同会社が赤字になった場合でも、消費税と均等割の法人住民税は納めなくてはなりません。消費税の課税対象となるのは、仕入などで支払った消費税額から受け取った消費税額を差し引いた金額となっています。この仕組みを仕入税額控除と呼び、例えば、物やサービスの提供時に消費者から受け取った消費税額が800万円、仕入時に払った消費税額が200万円の場合、800万-200万=600万となり、納める消費税額は600万円になります。

法人住民税には法人税割と均等割という2種類があり、法人税割は法人税額を基準に課税されることになっているため赤字決算になると課税されません。しかし、均等割は所得金額に関係なく課税される仕組みになっているため、たとえ赤字であっても納めなければならないのです。均等割の金額は自治体によって異なります。

参考:No.6451 仕入税額控除の対象となるもの|国税庁

参考:法人住民税|総務省

納税が免除される税

合同会社が赤字になった場合、法人税、地方法人税、法人住民税の法人税割、法人事業税、特別法人事業税に関しては納税が免除されます。これらの免除される税金には、会社の所得に応じて課税される仕組みになっているという共通点があります。そのため、赤字になってしまった場合は上記の5種の税金は納めなくて良いのです。

ただし、資本金が1億円を超えている、もしくはガスや電気を供給する企業の場合は法人事業税は免除されないでしょう。

関連記事:収入より経費が多い赤字の場合でも確定申告すべき?その理由と注意点を解説

赤字決算が節税になる?

税理士に節税を相談するイメージ

会社が赤字になってしまうと、今後の経営に不安を覚える方は少なくありません。しかし、赤字決算には節税効果があると言われています。

すでに解説しましたが、赤字決算をすると課税の対象となる所得がなくなるため法人税が課せられません。法人税は会社の所得に左右される仕組みになっているため、税額が上がりやすい税金の1つでもあります。赤字決算をすることで、高額になりやすい法人税が免除される点は赤字決算による節税のメリットと言えるでしょう。

また、青色申告を行っている合同会社であれば、欠損金の繰越控除を利用することで来期以降の節税対策が可能です。この制度を利用すれば、赤字になった部分を最大10年分の黒字と相殺できます。そのため、来期以降の所得に応じて課せられる税金の額を抑えられるのです。具体的なイメージは以下のようになります。

年度

赤字

所得

相殺後の赤字

相殺後の所得

2024年

200万円

0円

200万円

0円

2025年

200万円

30万円

170万円

0円

2026年

170万円

90万円

80万円

0円

2027年

80万円

120万円

0円

40万円

青色申告を利用している合同会社は、上記の欠損金の繰越に加えて欠損金の繰戻還付を受けることもできます。この制度では、前期の所得金額に今期の赤字を繰り戻して法人税額を再計算して生じた差額が還付されることになっています。

青色申告を利用している場合は、このような制度を利用すれば赤字決算によるメリットを享受できるでしょう。

関連記事:節税とは?基礎知識と効果的な方法・知っておくべきポイント・注意点などを解説!

赤字決算はデメリットもある

赤字決算には欠損金の繰越や繰戻還付といったメリットがありますが、当然デメリットもあります。もちろん、赤字決算を数回繰り返しただけでは大きな影響はありません。しかし、長期にわたって赤字決算を繰り返していると、脱税を疑われたり資金調達が厳しくなったりしてしまいます。

すでに解説した通り、長期にわたって赤字決算を繰り返していると節税のために意図的に赤字にしているのではないかと税務署から嫌疑をかけられるケースがあります。不正を行っていなかったとしても、税務調査が入れば過去の記録を調べられ、故意ではないミスから追加徴税を課せられる可能性もあります。

また、赤字決算が続くと信用が落ち、融資が受けられなくなり倒産してしまうというリスクもあるため注意が必要です。赤字決算にはメリットもありますが、長期的な視点で考え、赤字決算を行うか否かを判断することが重要です。

関連記事:税務調査とは?どこまで・何を調べる?流れや個人・法人の対応方法などについて詳しく解説

赤字になった際でも納めなければならない税がある点を理解しよう

合同会社は通常、法人税、地方法人税、法人事業税、法人住民税、特別法人事業税、消費税といった税金を納めなくてはなりません。赤字になった場合は、一般的には法人住民税の均等割と消費税以外の納税が免除されます。すべての納税が免除される訳ではないため、税負担がゼロになることはないという点に注意が必要です。

赤字決算を行うと欠損金の繰越などを利用して節税することが可能ですが、長期間にわたって赤字決算を繰り返すのはおすすめできません。会社の信用度が落ちて融資が受けられなくなったり、脱税を疑われて税務調査が入る恐れがあるためです。場合によっては首が回らなくなり倒産する可能性もあるため、赤字決算は慎重に行うようにしましょう。

赤字決算を行うか否かの判断や節税に関して不安な場合は、税理士などの専門家に相談してみましょう。税理士の中でも得意分野は異なるため、起業や資金繰り、節税対策に強い税理士に依頼すると安心です。

赤字決算についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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