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税務調査とは?どこまで・何を調べる?流れや個人・法人の対応方法などについて詳しく解説

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税務調査とは?どこまで・何を調べる?流れや個人・法人の対応方法などについて詳しく解説

「税務調査」と聞くと、大企業のみが対象となるイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし、実際は事業規模や事業形態を問わず対象となる可能性があります。税務調査が実施された場合に「何をどこまで調べるのか」「どういった流れで実施されるのか」といった点を把握しておけば、事前に対策することが可能です。そこで、今回は税務調査に関する基礎知識や、税務調査の対応方法などについて詳しく解説していきます。                                     

目次

税務調査とは

税務調査とは、個人や法人が行った税務申告の内容に関して、誤りや申告漏れがないかを税務署が調査することを指します。納税者が自ら所得と税額を計算して申告する「申告納税制度」が採用されているため、申告内容の正確性と公平性を担保するためには税務署のチェックが不可欠です。税務のプロである税務署が申告内容をチェックすることで、誤った内容があれば指摘し、隠ぺいや改ざんなどの不正行為も見逃しません。

税務調査の種類は2つ

任意調査

任意調査とは、税務署の職員が納税者の自宅や会社などを訪問し、申告内容に関する質疑応答や、帳簿書類の確認などを行う調査のことを指します。原則として、任意調査を実施する旨の事前通知があり、調査が実施されるまでに1週間程度の余裕があることが一般的です。なお、任意での税務調査とはなっていますが、税務調査官には質問検査権が付与されています。そのため、正当な理由なく指示に応じなかったり、虚偽の回答をしたりした場合には罰則が適用される可能性があります。

強制調査

強制調査は、国税局査察部(通称マルサ)が裁判所の令状をもって行う税務調査のことです。巨額の脱税などが疑われるケースで実施され、当然のことながら強制調査を拒否することはできません。また、強制調査によって脱税行為が発覚した場合には、刑事事件として取り扱われることになります。

税務調査が行われやすい時期

税務調査は8月〜12月の間に行われることが多い

税務調査が行われやすい時期は、毎年8~12月といわれています。これは、税務署の人事異動が7月に行われ、調査先の選定や業務の引継ぎが完了するのが8月頃だからです。そのほかの時期は、個人事業主の確定申告や法人税の申告で税務署が多忙になるため、税務調査が行われる確率は低いといえるでしょう。

コロナ禍で減少していたがコロナ明けで増加の可能性も

2020年から始まったコロナ禍の影響によって、対面で行う税務調査の件数は減少していました。しかし、コロナ禍の影響が落ち着きつつあることによって、これまで税務調査を実施したくてもできなかった対象者に対して、積極的に税務調査が実施される可能性があります。その場合、税務調査が行われにくいとされていた時期にも実施される可能性は十分にあるでしょう。

税務調査の連絡はいつ・どうやってくる?

税務調査の連絡が入る時期や方法については、特に決まりはありません。一般的には、上述した8~12月頃に行われやすいとされていますが、明確に定められているわけではないのです。基本的には税務署から納税者か顧問税理士に電話があり、その際に日程や場所を決定します。

税務調査の流れとは

税務署から連絡・日程調整

税務調査の実施が決定すると、まず納税者か顧問税理士に対して税務署から事前通知が入ります。日程に関しては希望を出すことができるため、仕事などで都合がつかない場合には日程調整が可能です。

税務調査前の準備期間

税務調査の日程や実施場所が決定したら、スムーズに対応するために事前準備を行いましょう。税務署から指示のあった必要書類を揃えたり、顧問税理士に対応方法を相談したりします。なお、税理士に税務調査の対応を依頼した場合、事前準備もサポートしてもらうことが可能です。

税務調査当日〜完了

税務調査では、申告内容に関するさまざまな質問が行われます。こちらから積極的に話す必要はありませんが、質問には答える必要があるため誠実に対応しましょう。なお、質問に対して黙秘したり、書類の閲覧を求める指示に応じなかったりした場合には、罰則の適用や余計な不信感を抱かれてしまうため注意が必要です。

税務調査結果の連絡

対象者や資産の規模にもよりますが、税務調査は1~3日程度の期間を要することが一般的です。そして、税務調査の結果が出るまでには1か月程度の期間を要します。修正の必要がない「申告是認」という結果になることもありますが、多くの場合は「修正申告」を求められることになるでしょう。

修正申告の手続き

修正申告とは、既に行った申告内容に誤りがあり、追加の納税が必要な場合などに求められる手続きです。納税者が自ら修正申告を行い、追加の税額に加えて過少申告加算税や延滞税などの追徴課税が課せられる場合もあります。

税務調査が入りやすい法人のケースとは

売上変動が大きい

税務調査はどのような法人に対して行われるのか、明確な決まりがないため予測することはできません。5年ごとに税務調査が実施される場合もあれば、起業以降ほとんど税務調査の対象となったことがないという法人も実在します。

そのため、断定できるわけではありませんが、売上の変動が大きい法人は税務調査の対象になりやすいといえるでしょう。

売上が増加しているにもかかわらず利益が少ない

通常であれば、売上と比例して利益も増加するはずです。売上が増加しているにもかかわらず、利益が少ない法人は疑いを持たれる可能性が高いといえるでしょう。

同規模の同業他社に比べて利益率が低すぎる

同規模の同業他社と比較して、極端に利益率が低い場合にも税務調査の対象となる可能性があります。また、不正行為が予見される場合も税務調査の対象となりやすいケースのひとつです。

事業規模が大きい

売上や利益など、事業規模の大きい法人は税務調査の対象になりやすいといえます。規模が大きければそれだけ納める税額も大きくなるため、特に税務署が注意している存在です。

不正が多い業種に該当している

実際に不正が多く、税務署が「調査の必要性が高い」と判断している業種に該当する場合にも注意が必要です。国税庁が公表している「実地調査の状況」を参照すると、不正の多い業種としてはバーやクラブなどの飲食業や、風俗業などが挙げられています。

税務調査で指摘を受けている過去がある

過去に税務調査の対象となり、申告内容の誤りを指摘されたことがある場合、その後も税務署から疑われやすくなってしまいます。過去に指摘された内容をきちんと遵守しているか確認されるため、税務調査の対象になりやすいといえるでしょう。

税務調査が入りやすい個人事業主のケースとは

売上が大きく増加している

個人事業主の売上が大きく増加している場合、本来納めるべき税額よりも少ない額で申告しているかもしれません。税務署は、このような修正申告の可能性が高い納税者を優先して調査する傾向にあるため注意しましょう。

確定申告の内容に不審な点や不備がある

確定申告の内容に不審な点や不備が見つかった場合も、税務調査の対象となりやすいでしょう。売上に対して計上している経費が多すぎる場合や、確定申告書と取引先の支払調書の金額に大きな差がある場合、税務署から不信感を抱かれやすくなります。

そもそも税務申告を行っていない

「税金のことはよくわからない」「忙しくて申告をする時間がない」といった理由で、税務申告を行っていない場合があります。「そもそも税務申告を行っていなければ、税務署から指摘を受けることはない」と考える方がいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。取引先などの情報から無申告が発覚するケースもあるため、税務申告はしっかり行うようにしましょう。

税務調査でチェックされやすい内容とは

売上

税務調査では、申告した売上額が正しいか、計上している時期は正しいのかといった点を主にチェックされます。また、今期に計上すべき売上を翌期に繰り越していないかという点もチェックされやすいポイントです。

交際費

事業とは無関係な経費を、交際費として計上していないかという点がチェックされます。また、交際費は計上できる額に制限があるため、ほかの科目として計上することで課税所得を減らしていないかという点もチェックされるでしょう。

人件費

従業員を雇用していないにも関わらず、架空の人件費を計上しているケースがあります。そのため、従業員名簿やタイムカードを調査し、本当に人件費がかかっているのかを調査します。また、法人の場合は役員報酬や退職金の妥当性もチェックされやすいポイントです。

棚卸資産

課税所得への影響が大きい棚卸資産は、不正行為に利用されやすい科目です。そのため、計上漏れや評価方法の正当性などがチェックされます。主に棚卸表や帳簿をもとに確認しますが、場合によっては倉庫などを調査することもあります。

仕入れ

架空の仕入れ経費を計上していないかという点が、主にチェックされます。架空の取引を経費として計上することで、税額を不正に減少させるケースがあるからです。また、売上と同様に、仕入れ経費についても今期に計上すべき額を翌期に繰り越していないかといった点がチェックされます。

税務調査が来た場合に必要となる法人の書類とは

請求書

税務調査が実施される旨の事前通知が入ったら、調査当日に必要な書類を準備していきます。まずは、仕入れや売上に関する請求書の準備が必要です。原則として、直近3期分の請求書を用意しましょう。

契約書

不動産の売買契約書や法人名義の賃貸契約書、リース契約書などの書類がある場合は準備しておきましょう。

稟議書

稟議書とは、自分の権限や裁量の範囲を超える事柄について、決裁権を持った上層部から承認を得るための書類です。交際費などの支払い根拠となるため、稟議書がある場合は用意する必要があります。

領収書の控え

請求書とともに、支払いの根拠となる領収書の控えも用意しましょう。また、領収書などは事業年度ごとや月ごとに整理しておくと、税務調査官の心象に良い影響を与えるかもしれません。

納品書

税務調査では、納品書などの原始書類を必ず調査されます。また、現金出納帳とのリンクが必要な場合もあるため、すぐに提示できるよう準備しておきましょう。

総勘定元帳

総勘定元帳とは、すべての取引を科目ごとに記録するための帳簿のことを指し、法人の会計処理を適切に行うために必ず作成するものです。この総勘定元帳もスムーズに提示できるよう、事前に準備しておきましょう。

議事録

税務調査では、株主総会議事録や取締役会議事録も確認されることがあります。きちんと作成しているか、署名捺印の漏れがないかといった点を確認しておきましょう。また、退職金の支給根拠にもなるため、退職金規定も合わせて確認しておくことをおすすめします。

税務調査が来た場合に必要となる個人事業主の書類とは

確定申告書の控え

個人事業主の場合、提出した確定申告書の内容に不備がある場合があります。そのため、税務調査当日は提出した確定申告書の控えを用意しておきましょう。

決算書

貸借対照表や損益計算書などの決算書類も、税務調査に必要な書類です。原則として、直近3期分の決算書類は準備しておきましょう。

預金通帳

資金の流れを確認するため、預金通帳の内容も調査対象です。預貯金の動きを細かく追っていくと、誤りや申告漏れが発覚することが多くなっています。逆に、預金通帳の提示を求められない場合には、既に金融機関で入出金履歴を確認済みということです。

請求書

税務調査の際に、請求書があれば取引の内容が事実であることを証明することが可能です。法的には請求書がなくても取引は成立しますが、商慣習として請求書の発行は常識とされています。請求書がないと税務調査官に不信感を抱かれやすいため、請求書は必ず保管しておきましょう。

納品書

納品書も、取引の内容を証明する書類として重要です。スムーズに提示できるよう準備しておきましょう。

領収書

支出の根拠となるため、領収書は税務調査において重要です。領収書があれば、取引の金額や内容、取引先の会社名などを証明することができます。領収書がなければ経費として認められない可能性があるため、注意が必要です。

帳簿

現金出納帳や当座預金出納帳、入出金振替伝票などの帳簿書類も事前に用意しておきましょう。一般的に、税務調査では直近3期分の資料を確認されますが、帳簿の保管期間は7年間とされているため、求められたら提示できるように準備しておくことをおすすめします。

棚卸表

期末の棚卸資産の額によって利益が変わるため、棚卸の数量を意図的に操作することで利益の額が調整できてしまいます。そのため、棚卸表を確認することで不正行為が行なわれていないかを確認する必要があるのです。

従業員名簿

従業員名簿やタイムカードなどを確認することで、従業員の存在や架空の人件費が計上されていないかといった点をチェックします。

源泉徴収簿

源泉徴収簿は、源泉徴収を正確に行うために作成する帳簿です。こちらも7年間の保存義務があり、源泉徴収税の確認などのために提示を求められる場合があります。

税務調査での注意点とは

税理士と事前に打ち合わせをしておく

税務調査が実施されることが決定したら、事前に税理士と打ち合わせしておくことをおすすめします。税務に関する知識は複雑であるため、税理士に相談することで必要書類や調査当日の対応についてもアドバイスを受けることが可能です。また、税務調査当日の質疑応答についても、税理士に対応を任せることができます。

必要な書類を準備・コピーしておく

税務調査では、調査官が対象者の承諾を得て資料を預かる場合があります。これを「留置き」といいますが、業務に必要な書類を預かられてしまう可能性があるため、事前にコピーしておきましょう。

質問されたことのみに答えるようにする

税務調査では質問されたことに対してのみ答え、聞かれていないことにまで答えないようにすることが重要です。余計なことを話してしまうと、あらぬ疑いをかけられてしまう場合があるため注意しましょう。

質問に答える場合は曖昧な回答は避ける

税務調査で質問されたことには曖昧に答えるのではなく、きちんと調べたうえで回答するようにしましょう。曖昧な回答をしてしまうと、調査官に不信感を抱かれてしまいます。税務調査での質疑応答が不安という方は、税理士に対応を依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。

税務調査を恐れすぎる必要はない

税務申告をきちんと行っていれば、過度に税務調査を恐れる必要はありません。脱税などの悪質な行為をしていない限り、申告内容に誤りが見つかったとしても修正申告で済む場合がほとんどです。事前準備をしっかり行い、税務調査当日は誠実な対応を心がけましょう。

税務調査に不安がある場合は専門家に相談を検討

今回は、税務調査では何をどこまで調べるのかといった基礎知識や、税務調査が実施された場合の対応方法などについてご紹介してきました。税務調査で指摘を受けないようにするためには、日頃から適切な会計処理を心がけておくことが重要です。税務調査の対応に不安があるという方は、専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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