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- 全国大学ラグビー選手権~新国立競技場はレガシー?~
小谷野です。
全国大学ラグビー選手権の決勝が、新国立競技場(2020東京オリンピック会場)開催と聞き、
足を運びました。
昨年来のラグビーブームも続いていることもあり、
チケットは非正規ルートでは何倍もの高値で取引されているようでした。
決勝カードは、23年ぶりとなる伝統の一戦、早稲田vs明治でした。
前評判では、この試合の40日前の関東対抗戦では明治が早稲田に37-6で圧勝、
全国大会でも明治の2連覇予想で、観客席は明治OBで溢れ、早大OBはアウェイな感じでした。
結果は、予想に反して11年ぶりに早稲田の16回目の全国制覇となりました。
そして日本一になったときだけに歌うことが許される、
早大ラグビー部の伝統歌「荒ぶる」を(初めて)聴くことができました。
ノーサイド後、早大キャプテン齋藤君のコメントです。
「40日前の大敗から、今回の戦い方を皆で真剣に考え練習を積み上げてきました。
ライバルである明治が自分たちを大きく成長させてくれました。」
評価満点のスポーツマンシップに溢れたコメントでした。
ラグビーで試合終了を告げる「ノーサイド」は、激しくぶつかり合うスポーツであっても、
ひとたび試合が終われば勝った側も負けた側(サイド)もなく、
互いの健闘をたたえ合う意味で日本では使っています。
国際的にはfull Timeを使いノーサイドは使われていませんが、
文化の逆輸出ができるといいですね。
また、ライバルという言葉からは、先月のTBSがっちりマンデー(放送日は日曜日です)で見た
業界トップ2対決を思い出しました。
1.伊藤園「おーいお茶」 vs サントリー「伊右衛門」
1.森永製菓「チョコモナカジャンボ」 vs 明治「エッセルスーパーカップ」
ビジネスの世界でもライバルがいたからこそ、しのぎを削って、
より良いものを消費者に届けることができた例はたくさんあります。
ところで、東京オリンピックの会場になる新国立競技場を建築物としてつぶさに見てきました。
建設予算が半分に圧縮(3000億円超から1569億円)されたせいか、
いたるところに安普請を感じる普通の建物で、「レガシー」、「聖地」などの言葉がとても縁遠く感じました。
デザインや仕上げ以外の最大の問題は、当初の設計要件であった「開閉式屋根」と
「稼働席」が見送られたのでイベント活用の幅が大きく狭まっていることです。
今後収益をあげるどころか、年間24億円(*)以上の維持費の回収が
心配になりました。
(*)民間なら負担する資産税等を加えると維持費は年間60億円以上とも言われる
屋根のあるドーム球場の多くは、本業の野球開催に加えて、コンサート、
展示会等のイベントで年間稼働率は80%を超え、高い収益性を維持しています。
東京都市大学、小松史郎教授『スタジアム・アリーナイベント実態と課題』(2017年)によれば、
屋根がないスタジアムのイベント稼働率は平均1.4%とあります。
確かにイベント運営側からすれば天候で中止にしなくてはならない会場は敬遠します。
また、席移動システムもないので、大方のスポーツで選手がいるフィールドまでが遠く、臨場感が削がれます。オリンピック後「負の遺産」にならないように民間に運営委託するようですが、
稼働率を上げるアイデアに期待です。
建築士の友人が呟いていました。当初のザハ・ハディドの建物であれば、
異次元、未来を感じさせる宇宙船のような競技場は伝説的・象徴的で、聖地としてレガシーになり、
稼働率の高い施設になっただろう。
~ 安物買いの銭失いが怖い、小谷野でした ~