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- 介護を考える ~認知症 鉄道事故裁判~
小谷野です。
親が80代90代になると、介護や認知症の話が多くなりました。
私の実家のご近所さんが、認知症家族の介護中に大きな事件に巻き込まれたことを思い出します。
その家族とは、私が小学校の頃からよく声をかけてもらった、不動産屋の社長さんでした。
社長さんは高齢で認知症を発症し、家族総動員で介護にあたっていたそうです。
2007年12月、家族が目を離した僅かな時間に外出して戻らぬ人になりました。
線路に立ち入り、電車に跳ねられたのです。
悲しみに包まれた遺族には、その半年後、JR東海から列車遅延・運行振替費用等の名目で、720万円の損害賠償請求がありました。
その後訴訟を提起され、介護していた家族は被告となりました。
認知症家族が原因の訴訟は当時前例が無かったようで、裁判は判決までに8年を要しました。
そして、名古屋高等裁判所までは遺族の敗訴でした。
自宅介護の是非、医師や病院の選択の是非、成年後見人手続き、監督義務者の責任範囲、法定相続の範囲など、裁判の論点は大きく広がり、大企業相手の裁判は、大変な苦労であったそうです。
その後「認知症の家族がいる場合は、その家族を閉じ込めないと罪になるのか」との報道により、多くの弁護士、医師の援軍がつくことになりました。
そして2016年、最高裁判所において、法定監督義務者に該当せず、本件の損害賠償義務は家族にないとする逆転判決となりました。
詳細は「認知症 鉄道事故裁判 (高井隆一著・ブックマン社)」にあります。
社会の高齢化に伴い、認知症患者数は右上がりを続けており、誰もがいつかは直面する問題といえます。
~93歳の父、他人事ではない小谷野でした~