代表 小谷野幹雄のブログ

2022年02月10日医療崩壊の真犯人 ~政府行動計画は不実行~

小谷野です。

 

『医療崩壊 真犯人は誰だ』(鈴木亘氏著 講談社現代新書2021.11.20)からです。

世界一の病床大国で医療崩壊は無縁と思われていたにも拘わらず、世界的に少ない感染者数や重傷者数で、入院できずに自宅で亡くなるコロナ患者が続出した原因分析と提言の記載がありました。

 

 

1.政府のガバナンス不足

感染症対策や病床確保は医療法で都道府県が担うと規定されている。一方で国が多くの権限や予算を握っている。

役割分担の曖昧さが、国と地方が仕事や責任を押し付け合う事態が発生している。

 

2009年の新型インフルエンザ流行を受けて、日本のパンデミックを想定した「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が制定され、2013年には「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」が策定されたにも拘わらず、医療提供体制の拡充策についても「計画」のみで実行されなかった。

 

 

1.高すぎる民間病院比率

政府が統制できる公立公的病院は施設数18.4%、病床数28.7%で、いずれも3割に満たない。OECD加盟国の公立病院の割合平均は52.7%。

お願いベースの協力要請しかできない民間病院が7割以上を占める。非常事態にコロナ患者の受け入れに関して強制力を持つ制度が必要と筆者は提言する。

 

 

1.小規模病院が多い

日本の病院の7割が200床未満の中小病院で、設備や装備的にも感染症への対応が難しく、中小病院がコロナ患者の受け入れを拒否すると病床逼迫がすぐに起こってしまう。

 

 

1.フル稼働できない大病院

大病院においても医療スタッフや設備が集約化されておらず、20人以上の患者を引き受けた大病院は1割に満たない。

 

 

1.病院間の不連携・非協力体制

大病院がコロナ患者を多く対応するには、軽症化した患者を近隣中小病院に転院させる必要がある。

日本では、患者はどこの医療機関に行っても良いという、フリーアクセス医療提供体制であり、悪く言えば近隣医療機関は商売敵のような存在で、連携や協力体制が進みにくい土壌がある。

 

欧州では「フリーアクセス」ではなく、診療所(かかりつけ医)、専門医療の病院、高度医療の大学病院など機能分化しており、協力連携体制が確立している。

 

 

~新型インフルエンザ等対策政府行動計画(2013)の実行元年に!、小谷野でした~

 

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