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勤労学生控除とは?親の税金は増えるの?条件や申告方法など学生が知るべき税金の節約術をご紹介!

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勤労学生控除とは?親の税金は増えるの?条件や申告方法など学生が知るべき税金の節約術をご紹介!

勤労学生控除とは、アルバイトやパートなどで働く学生を税金の面で支援することで、学業と仕事の両立を支援し、経済的な負担を軽減する制度です。ただし、適用されるためには一定の条件を満たす必要があったり、収入の金額によっては親の税額が増えたりする可能性もあるため、注意が必要です。

勤労学生控除とは?

勤労学生控除のイメージ

勤労学生控除は、学校に通いながらアルバイトなどで働く学生の税負担を軽減するための制度です。所得税や住民税が課税される前の所得から一定額を差し引ける制度のことであり、学生が学業と仕事を両立させやすくするための支援策として設けられています。

適用するためには、次の3つの条件を満たす必要があります。

  • 仕事から得た収入(給料など)があること
  • その年の合計所得金額が75万円以下で、勤労以外で得た所得が10万円以下であること
  • 特定の学校に通っている学生であること

勤労学生控除が適用されると、所得税からは27万円、住民税からは26万円、所得から差し引かれます。

通常であれば「基礎控除」と「給与所得控除」が適用されるため、年収103万円までであれば所得税は課税されません。年収103万円以下の場合、基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円の合計金額の範囲内のためです。

  • 基礎控除:年間の合計所得金額が2,400万円以下であれば、48万円が所得から差し引かれる(2019年までは所得制限なしで38万円)
  • 給与所得控除:年間の給与等の収入金額が162万5,000円未満の給与所得者であれば、55万円が所得から差し引かれる(2019年までは65万円)

勤労学生控除を適用すると、さらに27万円を差し引けるため、所得税がかからない年間の収入が130万円に引き上げられます。住民税については、非課税となる額が自治体によって異なるため、詳細はお住まいの自治体ごとに確認してください。

参考:国税庁|No.1175 勤労学生控除

関連記事:税金の控除とは?節税のために知っておきたい種類や目的を詳しく解説!

勤労学生控除を受けることで親の税金はどう変わる?

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勤労学生控除を受けることで、親御さんの税金にも影響が生じます。学生の個人だけで見れば納税額が減る場合でも、家計全体で見るとかえって税額負担が増えることもあるかもしれません。親の所得や納税額などが関係してくるため、年間の収入ラインについて家族で話し合うことをおすすめします。

年収が103万円を超えると親の扶養から外れる

勤労学生控除を受けることで、影響が生じる可能性があるのが扶養控除です。扶養控除とは、税法上、親が子供を扶養している場合に受けられる所得控除です。一方、勤労学生控除は前述の通り、学生がアルバイトなどで働いた際に、一定の収入までは所得税が非課税となる制度です。扶養控除と勤労学生控除の制度は、親と子の税金に直接関わってくるため、関係性を正しく理解しましょう。

ここで、扶養控除について少し触れておきましょう。

扶養控除とは、所得税を算出する際に本人や家族の状況を考慮して税額を計算する制度です。年間の合計所得金額が48万円以下の場合で適用されます。つまり、子供のアルバイトなどによる収入が、103万円以下であることが条件となるのです。一般的に「103万円の壁」と呼ばれています。103万円を1円でも超えてしまうと、扶養控除の適用範囲外となるのです。

控除額は子供の年齢によっても異なり、例えば以下のように定められています。

  • 子供が12月31日時点で16歳以上19歳未満の場合:38万円(扶養控除のみ)
  • 子供が12月31日時点で19歳以上23歳未満の場合:63万円(扶養控除38万円 + 上乗せ控除25万円)

勤労学生控除は130万円までの収入に対して所得税がかからないですが、年収103万円までは基本的に所得税は発生しません。そのため、家計全体の税負担を考えるには、103万円を超える場合に親の扶養控除から外れることによって発生する税額を考慮する必要があります。

参考:国税庁|No.1180 扶養控除

扶養控除が適用されないことで生じる税負担を考えよう

子供が年間103万円を1円でも超える収入を得た場合、子供は親の扶養から外れ、親はその子供に対する扶養控除を受けられなくなります。これは、税法上の扶養控除の要件を満たさなくなるためです。その結果、親の所得税や住民税の納税額が増えることにつながります。

例えば、20歳の大学生Aさんがアルバイトで年間120万円の収入を得た場合を考えてみましょう。Aさんは親の扶養から外れ、63万円分(扶養控除38万円 + 上乗せ控除25万円)の扶養控除を受けられなくなります。

親の年収は500万円とした場合、所得税と住民税は扶養親族の有無、つまり年間103万円以下の収入である子供の有無が大きく関係します。具体的には以下の通りです。

A

年収

500万円

500万円

B

給与所得控除

144万円

144万円

C

給与所得( A – B )

3,560,000円

3,560,000円

D

基礎控除

48万円

48万円

E

扶養控除

63万円

なし

F

厚生年金

45万円

45万円

G

健康保険

29万円

29万円

H

雇用保険

3万円

3万円

I

各種控除合計( D 〜 H )

188万円

125万円

J

課税所得( C – I ) 

168万円

231万円

K

所得税率

5%

10%

L

所得税( H × J)

8万4,000円

13万3,500円

M

住民税

19万1,000円

23万6,000円

※所得税率:課税所得が330万円以下の場合は10%、課税所得が195万円以下の場合は5%

復興特別所得税、均等割は含まれていない

あくまで概算ですが、扶養控除がない場合と扶養控除がある場合を比較すると、所得税が約5万円増えます。また、同様に計算すると住民税も5万円ほどの差があり、合計で約10万円も納税額が多くなっています。したがって、Aさんの年間の収入が103万円〜113万円の間の場合は、家族全員で考えると手取りが減ると考えられるでしょう。

ただし、年収や適用される各種控除によって所得税額は異なります。また、給与所得から控除合計を差し引いた課税所得の金額によって所得税率も変わるため、子供が103万円を超える収入を得た場合の税額は、各家庭の状況に合わせて算出しなければなりません。

関連記事:社会保険料控除ってなに?控除を利用する際の確定申告のやり方について解説

勤労学生控除の申告方法

勤労学生控除を受けるための申告方法には、年末調整と確定申告の2つの方法があります。ここでは、それぞれの手続きについて、具体的な手順を解説していきます。

年末調整で申告する

アルバイトの掛け持ちなどをしておらず、勤務先が1箇所の場合は年末調整で勤労学生控除の申告が可能です。

年末調整で申告する場合、まずは勤務先に控除の適用を受ける意向を明確に伝えましょう。勤労学生であることを証明するために、学生証のコピーや在学証明書の提出をお願いされる場合もあります。

勤務先から所定の申告書が渡されるので、その書類に勤労学生控除に関する事項を記入します。必要書類を提出することで、所得税が適切に調整されるため、学生にとっては手間が少なく便利です。

年末調整について詳しく知りたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。

関連記事:【税理士監修】年末調整と確定申告の違いとは?両方が必要なケースや適用される所得控除を解説!

確定申告で申告する

アルバイト先を2つ以上掛け持ちしている場合や、掛け持ちをしていなくても年末調整を行わなかった場合などは確定申告を行う必要があります。また、もしバイト先の年末調整で申告を忘れてしまった場合でも、毎年2月16日〜3月15日に行われる確定申告で申告すれば、勤労学生控除を受けることが可能です。

確定申告書は税務署でもらってきた書類に記入をして窓口に直接提出する方法や、郵送する方法もありますが、オンライン申告を利用するのが便利です。

確定申告のやり方について詳しく知りたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。

関連記事:【税理士監修】確定申告のやり方ガイド!いつからいつまでの収入?郵送のケースや必要書類・マイナンバーカードについて

勤労学生控除についてよくある質問

勤労学生控除のイメージ

ここからは、勤労学生控除についてのよくある質問として、以下の2点について解説します。

勤労学生控除を受けた方がいい人は?

勤労学生控除を受けて得すると考えられるのは以下の2パターンであると言えます。

  • 両親と離れて暮らしており、完全に独立している場合(納税者と生計を一つにしていない場合)
  • 103万円を超えないつもりが、働きすぎてうっかり超えてしまった場合

上記に当てはまる場合、そもそも親御さんが扶養控除の適用範囲外となるため、扶養控除と勤労学生控除の兼ね合いを考える必要がなくなります。

年齢制限はあるの?

勤労学生控除の適用条件に年齢の制限はありません。以下の条件を満たす学生であれば、何歳の方でも控除を受けられます。

  • 仕事から得た収入(給料など)があること
  • その年の合計所得金額が75万円以下で、勤労以外で得た所得が10万円以下であること
  • 特定の学校に通っている学生であること

年齢ではなく「学生であるか」が重要です。

他の控除との併用は可能?

基礎控除や配偶者控除、扶養控除など、他の控除との併用が可能です。ただし、控除額の合計が所得を超えない範囲での適用となりますので、控除額が所得を上回る場合は、所得がゼロとなるまでの控除しか受けられません。

また、所得税のみならず、住民税にも影響を及ぼしますので、確定申告や年末調整の際には注意が必要です。それぞれの控除の条件をしっかりと理解し、適切に申告することで、税負担を賢く軽減しましょう。

勤労学生控除の適用を受けると奨学金に影響はある?

勤労学生控除の適用が奨学金に影響を与えるかどうかは、奨学金の種類によって異なります。

返済不要の給付型奨学金の場合、収入が一定額を超えると支給対象外となることがあります。そのため、アルバイト等で得た収入が給付条件を超えてしまうと、奨学金の支給を受けられなくなる可能性があります。

一方で、返済が必要な貸与型奨学金の場合は、収入による影響は少ないですが、奨学金を提供する機関の規定を確認することが重要です。勤労学生控除を受ける前に、奨学金の条件をしっかりと確認しましょう。

勤労学生控除を活用して税負担を減らそう

勤労学生控除を上手に活用することで、学業とアルバイトを両立させている学生の税負担を軽減することが可能です。この控除は一定の条件を満たすことで所得税が軽減される制度であるため、合計所得金額や勤労以外の所得が10万円を超えていないかなど、自分が該当するかどうかをしっかりと確認しましょう。

年末調整や確定申告の際には、勤労学生控除を申告することで、場合によっては節税効果を得られるかもしれません。勤労学生控除やその他の税金のこと、節税などについて分からないことがあれば、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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