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会社設立の基礎知識

会社が副業を禁止するのはなぜ?理由や違法性について解説

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会社が副業を禁止するのはなぜ?理由や違法性について解説

本業だけではなく副業も始めれば、収入を増やすことができます。しかし、会社によっては副業を禁止していることがあります。会社で副業を禁止するのはなぜなのでしょうか?会社が副業を禁止する理由や、副業を内緒でした場合の違法性、バレた場合のペナルティなどについて解説します。

会社が副業を禁止するのはなぜなのか?

パソコンの前で悩む女性

コロナ禍で副業を認める会社が増えたものの、まだまだ副業を禁止する会社は多いです。会社が副業を禁止する理由には、以下が挙げられます。

長時間労働による業務効率の低下の防止

本業の休憩時間や本業後、休日に副業をすれば、社員の労働時間は長時間化します。労働基準法では、労働時間を「1日8時間、週40時間」と規定しています。これは、労働者の心と体の健康を守るためのものです。

会社が社員の健康や安全のために休憩時間や休日を適切に与えていても、副業をすれば労働基準法の規定労働時間は阻まれてしまいます。そうすると、労働者の健康や安全に影響が出ると考えられます。

長時間労働によって引き起こされる弊害は、社員の集中力や健康面の低下です。集中力や健康が低下すれば、本業の業務効率も低下することが予想されます。

最大限のパフォーマンスを引き出して業務効率を高めることや、社員の健康・安全を守るために副業を禁止する会社は多いです。

情報やノウハウの漏洩予防

会社が副業を禁止する背景には、会社の持つ情報やノウハウ、スキルなどの漏洩予防があります。

会社が売上を伸ばすためには、さまざまな研究や多くの営業活動などが必要です。そして、各業務の中で積み上げてきた情報やノウハウがあります。研究内容や顧客情報、仕入れのルーツ、独自の技術などは、会社にとって他社に渡したくない大切な情報です。

社員が副業をすれば、外部の会社で働く機会を与えることになり、自社の情報やノウハウが副業を通して漏れてしまうリスクがあります。故意ではなくても、「うっかり会社で使っているアカウントでシステムにログインしてしまう」「副業先に誤って本来送るべきデータではなく自社のデータを送ってしまう」などにより、情報が漏れてしまうかもしれません。

副業を禁止して会社の機密情報が漏洩しないようにすることで、会社の強みを守っているといえます。

利益相反が起こり得る

同業種で副業をすれば、利益相反が起こり得ます。利益相反とは、一方の立場では利益になるものの、他方の立場では不利益になる行為を指します。

例えば、本業で顧客情報を多く持つ社員が、副業の営業活動に本業で得た顧客情報を基に営業活動を行うことで大きな売上を得た場合には、利益相反になり得ます。

社員の副業で会社が不利益を被ることを防ぐために、副業を禁止しているケースもあるでしょう。

人材が流出するリスクがある

副業を認めると、社員は本業以外での収入も得ることになります。副業の収入が本業を超えるようなことがあれば、社員は転職や独立を検討するようになるかもしれません。会社側としては大切に育てた人材を失うリスクがあります。

近年では転職や独立する会社員も増えており、転職や独立のために他社で実力をつけようと考える人も少なくありません。

とくに同業種での独立開業となると、人材だけではなく売上シェアを損なう可能性も出てきます。会社の経営ノウハウやスキルなどを持った社員が独立開業することは、会社にとっては危険を伴うため、副業を禁止するケースもあります。

企業イメージの保全

社員が副業することで、会社のイメージが悪くなるケースもあります。企業イメージの保全のために副業を禁止するケースもあるでしょう。

例えば、自社の社員が水商売や悪徳商法、マルチ商法の会社などで副業をする可能性があります。万が一、自社社員が不適切と思われる副業をしていることが、取引先や世間などが知られたら、会社のイメージの低下に繋がるかもしれません。

SNSなどで社員の副業が拡散されれば、会社はイメージ低下による大ダメージを受けることも考えられるでしょう。

関連記事:副業の税金対策とは?いくらからかかる?副業で節税できる方法を詳しく解説!

会社が副業を禁止することの違法性について

副業での住民税に関するイメージ

そもそも会社が副業を禁止することは、違法ではないのでしょうか?本項からは、会社が社員の副業を禁止することの違法性について解説します。

副業は法律で禁止されていない

会社員の副業は、法律で禁止されていません日本国憲法第22条では、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定められています。

つまり、労働者には職業選択の自由があるということです。本業の労働時間外は労働者の事由に使える時間であり、その時間に副業をすることは法律違反にならないと解釈できます。

このことから、副業をしても法的な罰則を受けることはないといえます。

出典:日本国憲法 | e-Gov法令検索

公務員は副業が禁止されている

会社員の副業は法律違反ではないものの、公務員の場合は法律で副業が制限されています

国家公務員法第103条や第104条、地方公務員法第38条において公務員の副業を禁止する旨が規定されています。副業が発覚した場合は、国家公務員法第82条に定められた懲戒処分を受けます。懲戒処分は軽度のもので戒告や減給ですが、重い処分では停職や免職です。

公務員は国民に対して平等に働くことが活動の目的です。特定の会社や業種に利益を与えていると国民から誤解される行為を避けるために、副業が禁止されているといえます。

ただし、近年では公務員の副業も徐々に緩和されており、任命権者の許可があれば副業ができるようになりつつあります。

就業規則違反になる可能性がある

副業は公務員を除けば法律で禁止されていません。しかし、会社の就業規則に違反する可能性があります。

就業規則は、それぞれの会社が独自で定める雇用に関するルールです。常時10人以上の労働者を使用する場合、就業規則を作成することが法律で定められています(労働基準法第89条)。

就業規則に反した行為が認められた場合、就業規則に沿った懲戒処分を受けることになります。懲戒処分に関しては、次の章で詳しく解説します。

関連記事:副業は住民税でバレる?申告方法や会社にバレない方法を解説

会社で禁止されている副業がバレたらどうなるのか?

副業の経費がいくらまで認められるのかのイメージ

会社の就業規則で副業が禁止されているにも関わらず、副業をする人もいるかもしれません。

副業が本業の会社にバレてしまった場合、懲戒処分を受ける可能性があります。懲戒処分とは、就業規則に違反した場合の罰則であり、懲戒処分の内容も就業規則によって規定されています。

主な懲戒処分には、以下のようなものがあります。

種類

内容

戒告・けん責

口頭での注意や始末書の提出。

減給

賃金から一定額を差し引く処分。

減給1回の金額は平均賃金の1日の半分を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えることは認められない(労働基準法第91条)。

出勤停止

雇用契約は継続させながら、一定期間の就労を禁止する処分。

出勤停止中は無給になり、勤続年数も算入されないことが一般的。

降格

現在の役職や職位を引き下げる処分。

降格に伴い、賃金も下がることが一般的。

論旨解雇(論旨退職)

退職を促し、提出があれば退職扱いになり、提出がなければ懲戒解雇とする処分。

退職届の提出に応じた場合、自己都合退職の扱いになる。

懲戒解雇

一方的に労働契約を解約される処分。

懲戒解雇の場合は解雇予告手当が支給されず、退職金の全額もしくは一部が減給されることが一般的。

戒告・けん責が最も軽度な処分で、重度になると降格や解雇の処分が下されます。本業を継続したいと考えるのであれば、会社の就業規則に違反した副業は避けるべきでしょう。

関連記事:ダブルワークの年末調整や確定申告は必要?判断方法と手続きまとめ

副業をする場合の注意点

副業での住民税に関するイメージ

本業をしながら副業をしたい場合、いくつか注意すべき点があります。トラブルや問題が起こらないようにするために、次の注意点を確認しておきましょう。

就業規則を確認する

副業を始める前に、まずは就業規則を必ず確認しましょう。就業規則に副業に関するルールが明示されているはずです。

就業規則は、労働基準法によって「確認できる場所に掲示すること」や「書面での交付」「パソコンなどの電子媒体での記録とデータ共有」が規定されています。そのため、入社時に配布されていることや、社内のサイトなどで確認できると考えられます。

規定に副業に関する内容が記されていない場合は、上司や人事に確認することを推奨します。確認しておくことで、トラブルを回避できるでしょう。

副業を内緒にしてもバレる可能性が高い

会社にはバレないだろうと、内緒で副業を始める人もいるかもしれません。しかし、副業は自分が納める税金からバレる可能性が高いです。

副業の収入が給与所得の場合、住民税は本業と副業の給与所得の合算から計算されます。本業の勤務先には副業の給与所得を考慮した住民税が通知されるため、徴収額が多ければ副業を疑われる可能性が高まります。

また、副業の収入が事業所得の場合、確定申告で赤字申告をすることがあるでしょう。赤字申告をすれば、本業の給与所得と相殺されるので住民税額が低下します。その結果、副業がバレる可能性があります。

所得が20万円を超える場合は確定申告が必要

本業は会社が納税手続きをしてくれるため、確定申告をする必要がありません。しかし、副業で収入を得た場合、確定申告が必要な可能性があります。副業の所得が20万円を超える場合、確定申告が必要です。

確定申告の義務に違反して申告をしなければ、税務調査によって延滞税などが課せられて本来よりも多額の税金を納付しなければなりません。

確定申告の必要性を確認し、期限内に必ず申告しましょう。確定申告をしなかった場合のペナルティについては、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:【税理士監修】確定申告してない人が多い?その割合や無申告のペナルティを紹介!

副業の税金に関することは税理士へご相談ください

会社で副業が禁止されることには、情報漏洩や人材流出の予防など会社を守るための合理的な理由が背景にあります。しかし、近年では副業を推進する企業も増え、副業は広まりつつあるといえます。

副業をしたい場合には、本業の会社で禁止されていないか確認することが大切です。そして、副業をするのであれば、確定申告を適切に行いましょう。

会社員の場合、確定申告の知識や経験がないので手続きに時間がかかることも珍しくありません。誤った知識や情報で確定申告を提出してしまえば、税務調査の対象になってしまう可能性があります。正しく確定申告を行うためにも、専門家である税理士に相談することを検討しましょう。

小谷野税理士法人では、確定申告だけではなく会社設立など税金や税務処理に関するアドバイスやサポートを行っています。まずは問合せフォームよりご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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