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転換社債とは?会計処理の方法やメリット、デメリットを解説

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転換社債とは?会計処理の方法やメリット、デメリットを解説

転換社債の概要や会計処理の方法をご存じでしょうか。本記事では、転換社債の概要からメリット、デメリット、会計処理の方法を解説しています。転換社債やその会計処理について理解を深めたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

転換社債とは

転換社債(ファイナンス)のイメージ

転換社債は新株予約権付社債とも呼ばれており、一定の条件で発行体企業の株式に転換できる社債のことを指します。転換社債は企業の資金調達として利用されており、株式と債券のどちらの側面も持ち合わせた金融商品です。

転換社債の社債権者は半年ごとや1年ごとなど、一定期間ごとに利息の受取が可能です。満期になると額面金額で償還されます。

転換社債では、一般的に株価の上昇に伴って転換社債の価格も上昇します。たとえ株価が下落したとしても満期まで保有していれば額面で返済されるため、一定水準以下への値下がりはしづらいのが特徴です。

参考:CB(Convertible Bond 転換社債型新株予約権付社債)|企業年金連合会

転換社債と普通社債の違い

転換社債とよく比較される金融商品に普通社債があります。普通社債とは事業債とも呼ばれており、企業が資金調達のために発行する債券のことです。

普通社債は満期に額面で返済されますが、満期前に現金化したい場合は時価で売却可能です。満期までの間は利息としてクーポンが発行されます。

すでに解説したとおり、転換社債は株価が上昇すれば転換部の価値も上昇し、株価が下落すれば転換部の価値は減少する仕組みになっています。

債券と株式の両方の側面を持っているのが転換社債です。転換社債と普通社債の取得価格などが同じ条件の場合、満期まで保有すると普通社債のほうが利回りが高くなっています。

それぞれの仕組みから考えると、転換社債と普通社債の大きな違いは転換権があるか否かという点だと言えるでしょう。

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社債に関するご相談は「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。

転換社債のメリット

転換社債(株価アップ)

株式と債券両方の側面をもつ転換社債ですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、転換社債のメリットを紹介していきます。

新株予約権が行使された際に資金の流失がない

会社の株式の交付を受けられる権利を新株予約権と言いますが、転換社債では新株予約権が行使された場合でも現金での返済が必要ないため資金の流失がありません。

通常、社債は満期になると現金での償還が必要ですが、株式へ転換されれば資金の流失を防ぐことができるという点はメリットと言えるでしょう。

転換社債を発行することで資金を調達できる

転換社債は、発行した時点で資金調達が可能です。転換社債は将来的に現金で返済するという決定をしなくても資金調達が可能なため、スピーディーに資金を調達したい企業にとってはメリットと言えるでしょう。

転換社債については現金での返済を望む社債権者もいるため、株式に転換された場合でも株式の希薄化は最低限に留められます。

通常の借入に比べて低い金利で資金を得られる

転換社債では、社債権者に将来株式へ転換する権利を与える代わりに、低金利で資金を調達できます。

企業の株価が上昇すれば社債権者は通常より低い価格で株式を手に入れることが可能です。そのため、成長が期待される企業には投資家が集まりやすくなるという傾向があります。

企業側にとっては低金利で資金調達をできる点が、投資家にとっては低い価格で株式を手に入れられるという点がメリットと言えるでしょう。

株式市場でのIPOよりも手続きが簡易

転換社債の発行は株式市場でのIPOよりも手続きが容易なことが特徴です。

通常、新株発行をしようとすると上場までに多くの時間と費用を費やさなければなりません。しかし、転換社債の場合は手続きが簡略化されるため素早く資金調達できます。

また、転換社債は株式投資よりもリスクが抑えられるため投資家から出資してもらいやすいという特徴もあります。

加えて、転換社債により資金を調達する場合はバリュエーションの評定が不要なため、企業価値算定が難しい状況においては大きな利点であると言えるでしょう。

関連記事:事業者が利用できるローンとは?ビジネスローンなどについて詳しく解説!

資金調達に関するご相談は「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。

転換社債のデメリット

転換社債には企業側にも社債権者側にも多くのメリットがありますが、デメリットもあります。転換社債についての理解を深めるためにも、以下では転換社債のデメリットを紹介していきます。

株式の希薄化や大株主が発生する可能性がある

多くの社債権者が株式への転換を望み、大々的に株式への転換が行われると新しい株主が増加します。株主が増加すると株式の希薄化が進むリスクがあるという点はデメリットと言えるでしょう。また、転換社債を多く購入した投資家が償還前に株式に転換することで大株主になる可能性もあるという点にも留意しておきましょう。

転換が進まない場合の負担増加

株式への転換が大々的に進められることで、いくつかのデメリットが生じる可能性があります。一方、株式への転換が進まない場合でも企業にダメージを与えることも考えられます。

企業側は転換社債で調達した資金で事業を拡大したり業績を上げることで株価を上場させ、投資家たちが株式へ転換することを想定しています。

しかし、想定とは裏腹に株価が上昇しない場合、株式への転換が進まず償還時に現金が流失するリスクがあるのです。

資金調達を目的とした転換社債によって、より苦しい経営状況に陥る可能性があるという点はデメリットと言えるでしょう。

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転換社債の会計処理

電卓を使って計算をする男性のイメージ

すでに解説した通り、転換社債は新株予約権が付属している社債です。そのため、転換社債は複合金融商品として取り扱われます。

転換社債のような契約の片方の当事者の払込資本が増加する可能性がある金融商品は、払込資本を増加する可能性のある部分とそうでない部分がそれぞれ認識できるのであれば、別々に会計しても問題ないとされています。

企業会計基準適用指針第17号「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」では、転換社債の会計方法として以下のように記載されています。

新株予約権付社債の会計処理

転換社債型新株予約権付社債の場合

(発行者側の会計処理)

18. 転換社債型新株予約権付社債の発行に伴う払込金額は、次のいずれかの方法により会計処理する。

(1) 転換社債型新株予約権付社債の発行に伴う払込金額を、社債の対価部分と新株予約権

の対価部分に区分せず、普通社債の発行に準じて処理する(一括法)。

(2) 転換社債型新株予約権付社債の発行に伴う払込金額を、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分した上で、社債の対価部分は普通社債の発行に準じて処理し、新株予約権の対価部分は新株予約権の発行者側の会計処理(第 4 項参照)に準じて処理する(区分法)。

19. 転換社債型新株予約権付社債に付された新株予約権が行使されたときの会計処理は次のように行う。

(1) 新株を発行する場合

新株予約権が行使され、新株を発行する場合において、発行時に一括法を採用しているときは、当該転換社債型新株予約権付社債の帳簿価額を、資本金又は資本金及び

資本準備金に振り替える。[設例 1]

 また、発行時に区分法を採用しているときは、当該転換社債型新株予約権付社債における社債の対価部分(帳簿価額)と新株予約権の対価部分(帳簿価額)の合計額を、資本金又は資本金及び資本準備金に振り替える。

(2) 自己株式を処分する場合

新株予約権が行使され、自己株式を処分する場合の自己株式処分差額の会計処理は、自己株式を募集株式の発行等の手続により処分する場合に準じて取り扱う(自己株式等会計基準第 9 項、第 10 項及び第 12 項)。

自己株式処分差額を計算する際の自己株式の処分の対価については、発行時に一括法を採用している場合は、当該転換社債型新株予約権付社債の帳簿価額とする。

また、発行時に区分法を採用している場合は、当該転換社債型新株予約権付社債における社債の対価部分(帳簿価額)と新株予約権の対価部分(帳簿価額)の合計額とする。

なお、権利行使時に交付する株式の数に 1 株に満たない端数がある場合で、当該端数に相当する金銭を交付するときは、新株予約権が行使された場合の会計処理(第 5 項なお書き参照)に準じて処理する。

(取得者側の会計処理-新株予約権付社債の発行者以外が取得者となる場合-)

20. 転換社債型新株予約権付社債の取得価額は、社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分せず、普通社債の取得に準じて処理し、権利を行使したときは株式に振り替える(一括法)。

出典:企業会計基準適用指針第17号 払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理 |企業会計基準委員会

上記からも分かるように、転換社債では一括法と区分法という2つの会計方法があります。

一括法とは、社債の対価部分と新株予約権の対価部分を分けずに処理する方法です。

対する区分法は社債の対価部分と新株予約権の対価部分を分けて処理する方法です。

ただし、一括法と区分法を選べるのは転換社債の発行者だけで取得者は一括法でしか処理できないという点は留意しておきましょう。

転換社債の内容や会計処理について理解を深めよう

転換社債とは新たな株式を発行する権利が付いた社債で、社債と株式の2つの側面を持ち合わせた複合金融商品です。

転換社債は通常の借入に比べて金利が低く、簡易的な手続きで発行できるというメリットがあります。

その一方で、多くの投資家が株式への転換を行った場合は、株式の希薄化が起こる可能性があり、反対に転換が進まない場合は多くの現金が流失してしまう恐れがあります。

転換社債には社債の対価部分と新株予約権の対価部分を分けて処理する区分法、分けずに処理する一括法という会計処理があり、発行元はどちらの会計処理を選択しても問題ありません。

転換社債には企業側、投資家側共に多くのメリットとデメリットがありますが、資金調達の1つの方法としてしっかりとその概要や会計処理を理解しておくと安心です。

転換社債の会計処理でお悩みなら「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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