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会社設立の基礎知識

手形貸付とは?証書貸付との違いやメリット・デメリットなどをわかりやすく解説!

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金融機関による融資にはさまざまな種類がありますが、主に短期融資が必要な企業に活用されている方法が手形貸付です。手形貸付を上手に活用することができれば、企業の資金繰りをスムーズに行うことができます。しかし、手形貸付の利用を検討する際は、メリットだけでなくデメリットもきちんと把握しておくことが重要です。そこで、今回は手形貸付に関する基礎知識や、証書貸付との違いなどを詳しく解説していきます。

手形貸付とは

手形貸付の仕組み

手形貸付とは、銀行宛の約束手形を借主が振り出し、この約束手形を担保として貸付を行う融資方法のことを指します。また、約束手形とは振出人・受取人・金額・支払期日などを記載し、振出人が手形の期日に全額支払うことを約束した有価証券の一種です。

約束手形は主に企業間の支払い方法として利用されるものであり、約束手形で支払いを行うと期日に振出人の当座預金から代金が引き落とされるという仕組みになっています。つまり、手形貸付によって銀行へ約束手形を振り出した場合、振出人は期日までに手形に記載した全額を支払わなければなりません。

手形貸付を利用する場合は当座預金口座が必要

当座預金口座とは、主に事業者が小切手の支払いのために利用する決済口座のことです。普通預金口座のようにATMで自由に入出金することはできず、預金利息も発生しません。入出金には所定の手続きが必要であり、支払いは手形や小切手を振り出す形で行われます。

上述のとおり、手形貸付では振出人の当座預金口座から引き落としが行われるため、手形貸付を利用したい場合は当座預金口座の開設が不可欠です。当座預金口座の開設後、期日までに約束手形に記載した金額を入金することで、手形貸付を利用することができます。

手形貸付が活用される場面とは?

つなぎ融資

手形貸付は、住宅ローンのつなぎ融資としても活用されています。注文住宅の工事では、土地の購入から建物完成までの間に何度か支払いのタイミングがあることが一般的です。しかし、土地の購入費用や工事の着工金を支払うタイミングでは住宅ローンを利用することができないため、自分で資金を用意する必要があります。土地の購入費用や工事費用には多額の資金がかかるため、そこで活用されているのが手形貸付を活用した「つなぎ融資」というわけです。  

手形貸付であれば、支払いが必要なタイミングで必要資金を借り入れることができます。最終的には手形貸付から証書貸付へと借り換えを行い、長期返済へと移行していくことが一般的です。なお、手形貸付と証書貸付の違いについては後述しますので、参考にしてみてください。

短期運転資金

手形貸付は、建設業などの短期運転資金としてもよく利用される方法です。建設工事では、数か月かけて工事を完了した後に報酬が支払われます。しかし、工事が完了する前に資材の仕入れ金や人件費、リース料などの支払いをしなければなりません。そこで、これらの経費にかかる金額を手形貸付で借り入れ、工事完了後に代金を回収したら一括返済を行うという利用方法が一般的です。手形貸付は必要なタイミングで資金調達をすることができ、期日までは何も返済をしなくてよいことから、建設業などに適した借り入れ方法となっています。

長期間の借りっぱなし(短コロ)

メーカーや商社など、常に一定の在庫を抱えている業種の場合、入金がある度に返済していては次の仕入れ資金に困ってしまいます。このような場合に利用するのが、期日に再び手形貸付で資金を借り入れる「短期転がし」略して「短コロ」です。手形貸付の書き換えを継続することで資金を長期間借り続けることができるため、疑似的な自己資金になるというメリットがあります。

バブル崩壊後、短コロは金融機関による貸し剥がしによって減少しました。しかし、金融庁が方針を転換し、近年では中小企業等にとって有効な借入手段として見直しが図られています。

手形貸付のメリット

すぐに資金調達できる

手形貸付は金融機関にとって事務手続きが少なく、審査に通過すればスピーディーに資金調達を行うことが可能です。既にご紹介したとおり、手形貸付は住宅ローンのつなぎ融資や建設業などの短期運転資金としてよく利用されています。一時的な借り入れが必要な際に、すぐに資金調達できる点は大きなメリットだといえるでしょう。

印紙税が安い

手形貸付は約束手形を振り出すことで借り入れを行う方法ですが、この約束手形は印紙税の対象となっています。借入金が1,000万円で4,000円、5,000万円で1万円、1億円で2万円の収入印紙が必要です。しかし、契約書を作成する場合よりも印紙税は安く、約束手形は契約書のように2部作成する必要もないため、借り入れコストを抑えられるというメリットがあります。

審査期間が短い

手形貸付は約束手形を担保として融資を実行するため、審査項目や必要書類が少ない点が特徴です。そのため、審査完了までの期間が短いというメリットがあります。

手形貸付のデメリット

短期融資であるため長期的な融資は受けられない

手形貸付の返済期間は原則として1年以内となっているため、基本的に短期融資として利用されるものです。よって、借入金が高額かつ長期的な融資には向いていない資金調達方法となっています。ただし、短期転がし(短コロ)のように手形貸付の書き換えを行うことができれば、継続的に融資を受けることは可能です。

企業の信用度が低いと審査に通過することが難しい

手形貸付は、約束手形に記載された期日までに全額返済するという約束のもと成り立っている方法です。通常の融資とは違って必要書類も少なく、審査機関が短いというメリットはありますが、企業の信用度が低い場合には利用することが困難といえるでしょう。

また、手形貸付の審査では期日までに返済する能力があるかという点をチェックされます。企業の財務状況が好調な場合など、申し込みに適したタイミングを検討することが重要です。

不渡りに陥った際のリスクが大きい

不渡りとは、何らかの理由で手形や小切手の決済ができなかった状態のことを指します。手形貸付では、約束手形に記載された期日までに当座預金口座へ借入金全額を入金しておく必要がありますが、期日になっても残高不足だった場合には不渡りとなってしまいます。

もし不渡りを出してしまった場合、銀行は手形交換所に不渡り届を提出し、手形交換所から全国銀行協会へ報告されるという流れです。つまり、不渡りを出してしまった事実を、全国の金融機関に把握される状態となります。1回目の不渡りでは他の処分を受けることはありませんが、金融機関からの信用度は著しく低下するでしょう。それによって、新たに融資を受けることはほぼ不可能な状態となってしまいます。

また、不渡りを出してしまったことを取引先が知った場合、警戒される可能性が高いといえます。取引の縮小や、最悪の場合は取引中止となることも想定されるため、1回の不渡りで被る損害は計り知れません。

さらに、1回目の不渡りから6か月以内に再び不渡りを出してしまった場合には「銀行取引停止」となってしまいます。融資はもちろん、当座預金口座を利用した取引が2年間停止されるという重い処分です。事実上の倒産ともいえる状況に陥ってしまうため、2回目の不渡りを出すことだけは避けねばなりません。

手形貸付はスピーディーに資金調達ができる便利な方法ですが、これらのリスクがあることも念頭に置いたうえで慎重に利用するようにしましょう。

手形貸付と証書貸付の違いとは?

証書貸付とは

証書貸付とは、銀行に借用証書を提出して融資を受ける方法のことを指します。手形貸付では約束手形を振り出しますが、証書貸付では借用証書という契約書によって融資を行う点が特徴です。この借用証書は「金銭消費貸借契約書」と呼ばれ、融資額や金利、遅延損害金や期限の利益喪失事由などの細かい情報が記載されています。

借入期間の違い

手形貸付との違いとしては、証書貸付のほうが借入期間を長く設定できるという点が挙げられます。手形貸付は短期融資として利用されるものであり、借入期間が原則として1年以内です。一方、証書貸付は1年以上の借入期間を設定することが多くなっています。場合によっては数十年の借入期間が設定される場合もあるため、長期の返済期間を希望する場合には証書貸付を利用することになるでしょう。

融資金額の違い

手形貸付・証書貸付ともに融資金額の制限はありません。しかし、手形貸付は返済期間が短いことに加えて一括で返済する必要があるため、少額の融資に利用されることが一般的です。高額の融資を希望する場合には、証書貸付のほうが適しているといえるでしょう。

返済回数の違い

手形貸付の場合、期日までに一括返済することが基本です。対して、証書貸付では分割返済が認められています。証書貸付では最終期日に全額返済できるよう、毎月一定額を返済していくことが基本的な利用方法です。ただし、証書貸付の返済方法は自由度が高く、返済方法や返済回数は契約内で柔軟に設定することができます。

以下、手形貸付と証書貸付の違いを表にまとめましたので参考にしてみてください。

貸付方法

借入金額

返済方法

借入期間

手形貸付

少額

一括返済

1年以内

証書貸付

高額

分割返済

1年以上

手形貸付の利息はいくら?

融資には利息が発生しますが、手形貸付の利息は前払いとなっています。例えば、300万円を金利5%で借り入れ、期日は3か月後だった場合の融資金額は以下のとおりです。

利息:300万円×5%÷365日×90日=36,986円
融資金額:300万円-36,986円=2,963,014円

このように、手形貸付では期日までの利息を控除した額が融資される仕組みとなっています。利息は利用する金融機関によって大きく異なるため、利息額がいくらになるのか事前に確認しておきましょう。

手形貸付でお金を借りる際の流れ

金融機関を選ぶ

まず、手形貸付を利用する金融機関を選定しましょう。手形貸付は期日までに一括返済するという約束のもと成り立っている資金調達方法であるため、企業の信用度が重要です。そのため、日頃付き合いのない銀行や信用金庫では、手形貸付を利用できないことも少なくありません。

また、当然のことながら銀行は過去の取引履歴や企業の業績を記録しています。手形貸付を利用するには、日頃から金融機関との信頼関係を構築していくことが重要といえるでしょう。

申し込みを行う

手形貸付の申し込みには、以下の書類などが必要となります。

  • 利用する金融機関所定の約束手形
  • 履歴事項全部証明書
  • 法人代表者の本人確認資料
  • 2期分の決算書
  • 事業計画書または月別収支計画書
  • 当座照合表

これら以外にも、金融機関によって必要書類を指定される場合があります。また、基本的に申し込みは窓口にて行いますが、ノンバンクでは来店不要で手続きができるなど、利用する金融機関によって対応が異なるため注意しましょう。

審査を受ける

申し込み後、提出書類をもとに審査が行われます。審査期間は金融機関によって異なりますが、通常の融資に比べて書類が少ないため、比較的スピーディーに審査が完了します。ノンバンクの場合はさらに審査機関が短く、即日で結果がわかる場合もある点が魅力です。ただし、銀行よりも金利が高い傾向にあるため注意しましょう。

金利が低い代わりに審査のハードルが高い銀行か、スピード重視でノンバンクを利用するのか、状況に応じてどの金融機関を選択するのか検討してみてください。

契約する

手形貸付の返済期日や返済方法など、条件を確認したら契約を締結します。契約の際には以下の書類などが必要になるため、事前に確認しておきましょう。

  • 申し込みの際に提出した必要書類
  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 借入金額に応じた収入印紙

無事契約を完了したら、期日までの利息が控除された額が入金されます。

手形貸付の効率的な使い方を知りたい場合は専門家にも相談を検討

今回は、手形貸付に関する基礎知識について、メリット・デメリットなども踏まえながらご紹介してきました。手形貸付は手続きが簡便であり、短期間で審査が完了するため便利な資金調達方法といえます。しかし、万が一不渡りを出してしまった場合のリスクは非常に大きく、利用する際には慎重に検討することが重要です。とはいえ、上手に活用できれば事業をスムーズに進めることができるため、手形貸付について詳しく知りたい方は専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

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今野 靖丈

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