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会社設立の基礎知識

【税理士監修】法人の税金対策を徹底解説!節税方法から法人化まで

更新日:2024.3.26

中小企業の法人税率のイメージ

法人が節税をするなら、どのような税金対策ができるのでしょうか?ここでは、個人事業主、法人の経営者や経理担当者に対して、効果的な税金対策と法人運営に役立つ知識を提供します。また、税金対策としての法人化についても詳しく解説します。合法的な方法で節税対策に取り組み、資金繰りや経営の安定化につなげてみましょう。

法人が支払う税金の種類

合法的に節税対策をするためにも、まずは、法人が支払う税金の種類についてしっかりと把握しておきましょう。

法人が支払う主な税金の種類

法人が支払う主な税金の種類は以下の通りです。

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 特別法人事業税
  • 消費税及び地方消費税
  • 所得税
  • 自動車税
  • 固定資産税

法人の支払う税金の中でも、節税効果が表れやすいのが法人税です。法人税とは、法人の所得に対して課せられる税金です。法人税の額は、法人の種類や資本金の額、年間の所得金額などで税率が変わります。

参考【国税庁 法人税の税率

個人事業主にかかる税金

法人と比較するためにも、個人事業主にかかる主な税金の種類を押さえておきましょう。

  • 所得税
  • 復興特別所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税及び地方消費税

法人の主な節税対策

中小企業の法人税率のイメージ

節税方法にはさまざまな手段があります。ここでは、節税効果が期待できる対策をいくつか紹介します。

役員報酬の損金計上

法人の役員に対して支給する役員報酬を損金として計上しましょう。役員報酬は、定期の同額給与であることなど、一定の条件を満たすことで経費扱いとして会社の利益から差し引けるからです。

役員報酬を損金として計上できた分だけ利益が減り、法人税の節税につながります。ただし、役員報酬の額を適切に設定しないと、節税効果が薄れる点に注意が必要です。損金を増やすために役員報酬の額を増やしてしまうと、役員個人の所得税が増えてしまうからです。

役員報酬の額を決めるときは、節税対策に効果的な額とするためにも税理士などの専門家に相談することをおすすめします。役員報酬は原則1年間固定で、金額の決定や増減は、株主総会で行われます。さらに、役員報酬を損金計上するときは、株主総会の議事録が必要です。議事録は税務調査で確認される可能性が高いため、きちんと保管しておきましょう。

従業員に決算賞与を支給する

業績が好調で資金に余裕があるときは、従業員に決算賞与の支給を検討してみましょう。決算賞与を支給することで、節税効果だけでなく従業員のモチベーションアップや業績のアピールなどが期待できるからです。ただし、節税するためには以下の3つの要件を満たすことが必要です。

  1. 各人かつ同時期に決算賞与の支給を受けるべき全ての従業員に対して、事業年度内に支給額を通知していること
  2. 事前に通知した金額を、全ての従業員に対して通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1カ月以内に支払っていること
  3. 支給額を通知した日の属する事業年度において損金処理をしていること

この要件を満たすことが節税対策の条件であるため、条件を満たさない場合は節税にはなりません。

経営者や従業員の家を社宅扱いにする

会社名義で賃貸住宅を借りて経営者や従業員に社宅として貸している場合、会社が支払った家賃と経営者や従業員から受け取った賃貸料の差額を経費として計上できます。社宅を取り入れて従業員や経営者の住居費の負担が軽減できれば、魅力的な福利厚生になるでしょう。

社宅扱いには、会社名義で賃貸物件を借りること、物件に入居する経営者や従業員から一定の賃料を受け取ることが条件です。

ただし、賃貸物件に入居している従業員や経営者から受け取る賃料の設定には注意が必要です。賃料を無料にしたり、会社が貸主に支払っている家賃と賃料の差額が大きすぎたりすると、現物支給として課税対象となることがあります。

本社の家賃を年払いにする

継続的な支払いが決まっている家賃を年払い契約にして前払いにすることで、前払い分もその期の経費として計上できます。前払いした費用については、短期前払費用として処理します。

短期前払費用を利用するときは、賃貸契約の際に年払いとして契約をすること、毎年継続して年払いにすることが条件です。

未払費用の計上

今期に発生した費用のうち、支払が来期になる未払費用を漏れなく計上しましょう。未払費用とは、社会保険料のうちの会社負担分、通信費、従業員の給与などが該当します。決算時に未払費用を計上することで利益を減らし、節税につながるからです。未払費用の計上は、所得が大きいほど高い節税効果が期待できます。

貸倒引当金を計上する

売上や貸付の回収不能に対する備えとして、貸倒引当金を計上しましょう。期末の時点で売掛金の金額が高い場合は、貸倒引当金の計上により高い節税効果が期待できるからです。貸倒引当金の計上は、細かい要件があり税務調査の対象になり得ます。そのため、貸倒引当金を計上するときは、顧問税理士に相談することをおすすめします。

貸倒引当金の計上でお困りなら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください

売上を計上するタイミングを確認する

売上げ計上を次の期にずらすことで、売上が減り納税額を少なくできます。ただし、売上の計上基準を見直したときに、現在の計上タイミングから遅らせることが合理的であること、計上基準を継続適用することが原則です。

消耗品の購入

消耗品を決算時にまとめて購入することで、節税効果が期待できます。決算時に消耗品を購入した方が、税額に与える影響が大きく資金繰りにもメリットがあるからです。ただし、以下の条件を満たさない消耗品の購入は、経費としてみなされないことがあるため注意が必要です。

  1. 毎年おおよその一定数量を購入しているものであること
  2. 毎年経常的に消費するものであること
  3. 継続して同じ処理方法を適用すること

また、消耗品費として計上できるものには、以下のものが挙げられます。

  • 事務用消耗品費
  • 作業用消耗品費
  • 包装材料
  • 広告宣伝用印刷物
  • 見本品
  • 上記に準ずる棚卸資産

ただし、金銭等価物に該当する郵便切手、レターパック、物品切手、収入印紙などは適用対象外です。

参考【国税庁 販売費及び一般管理費等

取引先との飲食費や交際費を経費にする

取引先との接待でかかった飲食費用などを交際費として計上することで、節税効果が高まります。ただし、内容によっては交際費として認められないことがあること、損金として計上できる交際費の金額は、企業規模による限度額が定められていることに注意しましょう。

参考【国税庁 交際費等の範囲と損金不算入額の計算

出張旅費規程を決める

出張旅費規程を決めることは、交通費や宿泊費などの実費に加えて旅費日当を費用計上でき、節税効果を高めます。旅費日当とは、出張にかかる食費、少額の雑費などの支払いに充てる費用です。また、従業員への慰労や労いも含まれているため、交通費のような実費精算ではなく、一律の金額を支給します。

旅費日当の支給により、会社と従業員の双方に節税効果が期待できます。会社は、従業員が出張に出かける度に旅費日当を経費として計上できます。従業員は、受け取った出張料費日当に対する所得税、住民税、社会保険料がかかりません。

経営セーフティー共済に加入する

経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済制度)の掛け金は、損金として計上できるため節税につながります。経営セーフティー共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済制度で、取引先の倒産が原因で起こる連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。

掛け金は毎月5,000円~20万円の範囲で自由に設定でき、無理のない支払ができます。また、掛け金は毎月5日までに変更手続きを行えるため、資金繰りに余裕があるときは掛け金を増額するなど、より効果的な節税対策を実現できます。

さらに、向こう1年分の掛け金については前納できるのです。そこで、資金に余裕があるとき、売上が大きく伸びた期に前納を活用することで、節税効果が高まります。ただし、任意解約した場合は、元本割れを起こすことがあるため注意が必要です。

経営セーフティー共済について「経営セーフティ共済の節税効果とは?知っておきたい概要や注意点を詳しく解説!」でも解説していますので、あわせてご覧ください。

生命保険・損害保険への加入

生命保険や損害保険の保険料は、一部もしくは全額を費用計上でき、節税対策に効果的です。損害保険の場合は、補填が目的であれば全額費用計上できますが、生命保険については、費用として扱われるもの、資産として扱われるものがあります。

リスクに備えた補償を受けられる保険であれば、節税効果と安心感を得られます。ただし、保険の種類や補償内容は多岐にわたるため、自社が必要とする補償を得られるか、どの程度の節税効果が得られるのかをしっかりと見極めることが大切です。

保険について「保険は節税になる?ならない?賢い選択で節約しながらリスク管理をしよう」でも解説していますので、あわせてご覧ください。

社員旅行の実施

社員旅行や健康診断は福利厚生費としてかかった費用を計上できます。ただし、社員旅行を福利厚生費として計上するには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 4泊5日以内
  2. 従業員全体の50%以上が参加
  3. 社会通念上の一般的な内容であること

社員旅行を実施することで、社員のリフレッシュや社内のコミュニケーションの活性化も期待できます。

健康診断の制度化

役員や従業員に健康診断を実施する費用は、福利厚生費で費用計上できます。労働安全衛生法に基づいて、事業者は労働者に対して健康診断を実施する義務があります。従業員に健康診断を実施することは、福利厚生の充実につながるだけではありません。

従業員が自身の健康に対して意識を高めることで、病気による長期間の離脱を防ぐ効果も期待できるのです。ただし、健康診断を福利厚生費とする場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 対象者全員が受診できる環境が整っていること
  2. 企業が直接医療機関に費用を支払うこと
  3. 常識の範囲内の金額

自社に適した節税対策をお探しながら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください

節税対策につながる法人化とは

中小企業の法人税率のイメージ

個人事業主は、経営や収益の状態によっては法人化した方が、社会的信用度のアップや節税対策になることがあります。ここでは、個人事業主が法人化するメリットについて、主に節税面について詳しく解説します。

法人税と所得税の節税効果

会社の利益を役員報酬として支払うことで、法人税だけでなく、個人としての所得税も軽減できます。個人事業主の場合、事業で得た利益については全て課税対象となるのに対して、法人化して役員報酬を支払った場合は給与所得控除を利用できるからです。

家族に給与を支払うことで節税

家族が会社の経営に従事しているなら、役員報酬を分散させることで、特に所得税節税効果が高まります。所得税は、所得が高くなるに従って税率が高くなる「累進課税制度」という仕組みです。

そのため、役員一人にまとまった役員報酬を支給すると、累進課税率によって個人の所得税や住民税が増えて、税負担が重くなります。役員報酬を家族間で分散できれば、一人当たりの税負担が軽くなり、高い節税効果が期待できます。

車や自宅の家賃を経費にできる

法人化した場合、不動産の所有者と会社が賃貸契約を結び、支払う家賃を経費として計上できます。ただし、その物件に役員や従業員が住むこと、妥当な額の家賃を会社に支払う条件を満たさなければ、経費として認められません。

また、車についても家庭用と事業用の利用割合に応じて経費に計上できます。プライベートの使用がない場合は、全額を経費にできるのです。車を購入すると資産として計上しますが、減価償却処理をして、毎年一定額を費用に充てられます。

個人事業主の場合、自宅兼事務所として使用している建物の家賃については、事務所として使っている部分のみが経費となるため、法人化により節税効果が高まります。

赤字を10年繰り越せる

赤字が出たときに、法人であれば10年間繰越損失を持ちこせるため、節税につながります。事業を営んでいると黒字となる期もあれば、赤字になる期もあります。また、赤字と黒字を繰り返すなど、経営が安定しないこともあるでしょう。

そこで、赤字を翌年以降に繰り越せると、翌年以降の所得と相殺できる制度があります。個人事業主では、赤字の繰越期間は3年とされていますが、法人の場合は最大で10年間、赤字の繰り越しが認めらます。個人事業主で青色申告をしていれば、繰越損失を3年間持ち越せますが、法人になるとその期間が10年に延びるのです。

繰越控除の期間が短い場合、赤字の額が大きいと短期間で控除を使いきれないことがあるでしょう。法人化により控除の期間が長くなれば、それだけ節税効果も高まります。

従業員への退職金を損金扱いにできる

法人化により、従業員に支払った退職金を損金として計上できるため、法人所得が減り減税効果が高まります。個人事業主でも、従業員に支払った給料やボーナスを一定の条件を満たすことで経費にできます。

個人事業主が法人化を検討する目安は?

法人化により節税効果が期待できます。しかし、全ての個人事業主が法人化により節税効果を得られるわけではありません。節税効果を得たいなら、年収で判断するのが望ましいです。

法人化を検討する年収の目安は800万円~

個人事業主が節税目的で法人化するなら、800万円の利益を目安にしましょう。その理由は所得税と法人税の税率の違いです。所得税は、事業での利益が増えるほど税率が上がる累進課税を採用しているのに対して、法人税は法人所得の金額に関わらず、一定の税率が適用されるからです。

また、住民税についても所得が増えると税額が増えます。住民税は所得額に応じて税額が決まる「所得割」(一律10%)と、所得額に関係なく一定額を負担する「均等割」から成り立っています。

参考までに、所得税の税率は5%から45%、法人税は所得800万円までは15%、800万円を超える場合は、23%程度です(中小企業の場合)。このことから、個人事業主にかかる税負担は最大で55%(所得税の最高税率45%+所得割の税率10%)であるのに対して、法人の利益にかかる税率は最大で23.2%です。

利益が少ないうちは、個人事業主として所得税や住民税を支払っていた方が、税負担を少なくできます。しかし、利益が増えて適用税率が上がってしまう場合は、法人化した方が節税効果が高いです。

参考【国税庁 所得税の税率

参考【総務省 個人住民税

法人が税金対策をするときの注意点

税金対策をするときは、合法的なやり方であるのはもちろん、いくつかの点に注意しなくてはいけません。ここでは、税金対策の主な注意点について紹介します。

法律を遵守する

節税方法を誤ったり、過度に対策を取り入れたりすると、違法となる恐れがあります。脱税と節税は異なります。税務調査が入ったときに違法性を指摘されると、追徴課税などのペナルティの対象となり得るかもしれません。

違法性があると判断された場合、労力や費用の負担が大きいだけでなく、法人としての信用を低下させる原因の一つです。節税対策をするなら、法律を遵守することが大原則です。

脱税について「脱税とは?種類・法的なリスク・そして正しい税務対策について解説」でも解説していますので、あわせてご覧ください。

節税対策の合法性や適性に不安があるなら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください

不明瞭な会計処理はしない

節税対策に励みすぎると、不明瞭な会計処理が増えがちです。このような不明瞭な会計処理は、税務調査で指摘される可能性が高く、ペナルティの対象になり得ます。適切に節税をするためにも、一時的な節税効果ではなく、継続的な節税対策を取り入れることが望ましいです。

過度な出費を避ける

損金が増えるとそれだけ売上が減り節税効果が上がりますが、過度な出費は経営に支障をきたすリスクです。節税することも大切ですが、事業を成長させること、安定させることがより重要です。

設備投資などや備品の購入といった出費があるときは、利益を上げるために必要なものなのか、節税以外のメリットがあるのかをよく検討したうえで、支払いをするのかをしっかりと判断しましょう。

計画的な節税対策の実施

無計画な節税対策は、不明瞭な会計処理につながりやすいです。節税対策は思い付きで取り入れるのではなく、計画的に実施することが効果的な節税対策です。決算の1年前から計画を立てて、会計資料を作成してくおくと、適切な節税対策を取り入れやすくなるでしょう。節税対策の計画を立てるのが難しいときは、顧問税理士に相談することをおすすめします。

法人に適した効果的な税金対策で節税効果を高めよう

ここでは、法人の税金対策について解説しました。同じ売上高でも、税金対策の活用次第で納税額が変わります。効果的な節税を実現できれば、節税できた分を事業に使用したり、福利厚生を充実させたりと有効に使えます。

しかし、やり方を誤ってしまうと、節税効果が薄れる可能性があります。適切な節税対策を取り入れるためにも、税金のプロである税理士に相談しながら、自社に合った対策を検討しましょう。

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