顧問税理士に不満を持ったことはありませんか?今回は、税理士に対して多くの人が抱く不満や苦情について紹介します。税理士に不満を持ちながら業務を依頼し続けていると、本業に支障が出ることもあるのです。そこで、税理士への不満対策、良い税理士を探すコツや、税理士変更のスムーズな手順についても解説します。
目次
税理士への不満ランキング
税理士には当たりはずれがあります。また、税理士との相性もあるため、不満を感じる内容はさまざまです。ここでは、他の人がどのようなことで税理士に不満を感じているのかを、下記のアンケート結果を参考にランキング形式で紹介します。
税理士への不満ランキング1位:コミュニケーション
税理士への不満として最も多く挙げられているのがコミュニケーションに関することです。コミュニケーションは円滑、円満に業務を進めるために必要不可欠ですが、税理士と意思疎通ができないと不信感につながります。以下に具体例を挙げながら、不満を感じたポイントを紹介します。
- 態度が大きく一方的(上から目線)
- 質問事項に対しての対応が不満
- 気が利かない
- 機嫌が悪いときがはっきりしている
- 他人事のような言い方をする親身さがない
- 毎月、来社するといいながら来ない。こちらから連絡をして来る
- 連絡対応の遅さ
- 依頼事項が数か月間放置された
- 疑問点に関する回答のレスポンスが遅い
- 連絡がつきにくいことがある
- IT化が遅れており手作業が多い
- こちらの思いが伝わり切れてない
- 説明が分かりにくい
- コミュニケーション不足で誤解が生じた
- 担当者交替が頻繁であったことから意思の疎通が悪くなった
- 担当税理士の移籍にともなう引継ぎが大変だった
税理士への不満ランキング2位:サービス
プロのサポートやアドバイスを必要として税理士に依頼しているのに、期待するサービスが得られないことで、不満につながるケースが多いです。税理士のサービスに不満を持った具体例を以下に紹介します。
- アドバイスがない
- 自社にとっていい情報・やり方を教えてくれない
- 経理処理的な面でのアドバイスをくれない
- 説明が要領を得ない
- 相続に対する適切なアドバイスがもらえず苦労している
- 相続や土地の取得などにおいてアドバイスが欲しかった
- 節税に対する提案が少ない
- IT化の遅れ
- 税務署対応に不満
- 常に税務署寄りのスタンス
- 税務調査の際に戦ってくれなかった
- 税務調査の段取りが悪く国税の担当者に対して不快な印象を与えた
税理士への不満ランキング3位:価格
価格が高すぎる、価格に見合ったサービスを受けられないことが、税理士への不満になっています。他にも、料金について不満を感じる具体例を以下に紹介します。
- 顧問料の値上げ
- スポットの作業費用が高い
- 決算時の料金が高い
- 仕事量のわりには高い
- 相場より顧問料が高め
- 通常料金に比べ決算料金が高すぎる
価格が妥当でないと感じるなら、相場を確認してみることをおすすめします。
決算業務の費用は、月額顧問料の4~6か月分が相場だといわれています。顧問契約をしている場合は、毎月の顧問料にプラスして、決算申告量が発生します。
ただし、相場はあくまでも目安です。依頼主となる企業や個人の売上高、取引件数によって税理士の業務量が大きく変わります。そのため、業務量や業務の内容に応じて顧問料が変動するケースがほとんどです。相場と比較して高額だからといって、費用とサービスが見合っていないと一概にいえません。
他にも、オプションとして別途の支払いが発生する業務もあります。たとえば、記帳代行、給与計算、年末調整といった業務は、一般的な顧問業務とは別で提供されるケースが多いです。できるだけ費用を抑えたいと考えるなら、自力で対応できる業務を自社で対応することも手段の一つです。
税理士に支払う費用については「税理士の相談料について知っておくべきこととは?料金相場と選び方のポイント」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
税理士への不満ランキング4位:スキル
税理士に不満を感じる主な原因の一つが、スキル不足です。スキル不足を実感した具体例を以下に紹介します。
- 単純なミスが多い
- 確定申告での不注意
- 正確性にかけた
- 税額のミスがあった
- 指示通りしたら追加納税
- 事前の精査が不十分で修正申告になった
- 税額のミスがあった
- 事前の精査が不十分で修正申告の事態となった
- 節税が出来なかった
- 向こうのミスで修正申告を行った
税理士への不満への解決策は?
税理士に不満があるなら、さまざまな対策を試してみましょう。不満がある税理士へ業務の依頼を継続することで、経営や財務に悪影響が出るリスクが高まるからです。ここでは、主な解決策について解説します。
担当者変更を依頼
複数の税理士を抱えている税理士事務所なら、担当者を変更することで不満が解消されることがあります。担当者の変更を依頼するときは、不満がある税理士本人ではなく、所長に相談をすることをおすすめします。所長は、現在の担当税理士に対する不満をくみ取り、適切な人材を紹介してくれる可能性が高いです。
苦情窓口に相談
不満がある税理士が所属している税理士事務所や税理士会に相談してみるのも手段の一つです。税理士との話し合いで問題が解決できるのが理想ですが、話し合いによって却って問題がこじれることもあります。
税理士会の紛議調停委員会という機関では、事業者と税理士との間で発生した苦情について、話し合いで解決するために働きかけてくれます。税理士は、税理士会からの呼び出しに応える義務があるため、問題解決に向けて動いてくれるはずです。
また、税理士が所属している税理士事務所の所長に相談することで、解決策を提案してもらうことも検討してみましょう。
税理士変更
税理士に不満があるなら、税理士を変更することも検討してみましょう。適切なタイミングとやり方で変更手続きを進めれば、税理士を変更しても問題ないでしょう。ただし、契約を解除したい税理士への対応、適切な手順をふむなど、慎重に対応することが大切です。
税理士が合わないときの対策について「【税理士監修】税理士が合わないと感じたら税理士変更がおすすめ!税理士不満ランキング」でも解説していますので、あわせてご覧ください。
税理士に不満があるなら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください
税理士変更の手順
税理士に不満を抱く度に、税理士をコロコロと変えるのはよくありません。特に、法人が税理士を頻繁に変更すると、税理士からの信頼を得にくくなります。頻繁な税理士変更が、税理士のサービス低下につながっていることもあるため、税理士変更の手順を守り慎重に対応しましょう。
契約内容の確認
税理士変更を検討したら、まずは現在付き合いのある税理士との契約内容を確認してください。契約書には、契約期間、解約時期のタイミングが定められています。特に、契約期間の縛りは絶対です。契約解除の期間が決まっており、それ以外の時期に解約した場合、違約金が発生する場合があります。
事前に解約時期や解約の条件などを確認しておかないと、税理士との間でトラブルが起こるだけでなく、税理士変更の手続きがスムーズに進まなくなるでしょう。
新しい税理士を見つける
税理士が不在となる期間が発生しないように、新しい税理士を見つけておきましょう。税理士を探す主な方法を紹介します。
- インターネット
- 知人の紹介
- 税理士会や商工会議所
- 税理士紹介サービス
- 税理士事務所が主催するセミナーに参加する
これらの方法で、良さそうな税理士を見つけてみましょう。最終的に依頼する税理士を決めるときは、実際に税理士と対面して話をしてみることが大切です。それは、評判の良い税理士でも、自社に合ったサービスを提供してくれる、相性が良いとは限らないからです。
税理士と直接会う場を設けたときは、以下のポイントを確認しながら、今後依頼をしたいかどうかを見極めてみましょう。
- 分かりやすい説明
- 相談しやすさ(相性)
- サービス内容
- 料金
- 事務所の規模や業務の質
必要書類の準備
新しい税理士が決まったら、引継ぎのための書類を準備しましょう。税理士を変更する際には、新旧税理士の間で引き継ぎをしません。そこで、新しい税理士がスムーズに業務をスタートできるように必要な書類を準備する必要があるのです。主な必要書類を以下に挙げます。
- 決算報告書
- 届出書・申請書
- 会計書類
- その他の書類
上記の書類は、社内保管が基本ですが、税理士が保管していることもあります。社内で見つからないときは、早めに税理士に連絡をして書類を取り寄せておきます。必要書類を税理士から取り寄せるときは、税理士を変更したいからという本当の理由を伝えるのは控えましょう。
書類の受け渡しに悪影響が出るかもしれないからです。そこで、過去の数字を確認したいといった、当たり障りのない理由を伝えます。
契約更新を断る
現在顧問契約を結んでいる税理士に、契約更新をしない旨を伝えましょう。契約解除を申し入れる前に、顧問契約書を確認しているはずです。契約解除の申し出について期限が設けられていることもあるため、期限内に断ることが大切です。
契約を更新しないときは、口頭で伝えるだけでなく文書を取り交わしてください。文書に税理士の署名や捺印をもらっておくことは、契約解除に関連するトラブル対策になります。
また、顧問税理士に契約更新を断る場合、税理士との関係性が悪化しないように、当たり障りのない理由を伝えてください。税理士に対する不満を伝えてしまうと、税理士が不快な気持ちになり、新しい税理士に引き継ぐ書類の回収が困難となるかもしれないからです。
必要書類の返却を依頼
現顧問税理士から契約更新しないことについて承諾を得られたら、税理士に預けている書類を返却してもらいましょう。税理士が預かっている書類は依頼している業務や職種などによって異なりますが、以下のような書類が該当します。
- 決算書
- 勘定元帳
- 試算表
- 仕訳帳
- 請求書と領収書
- 給与明細など給与管理書類
- 税務相談に関する資料とデータ
- e-taxに関わる情報(利用者識別番号など)
税理士から返却してもらう書類は、今期分だけでなく最低でも過去3~7期分の書類を返却してもらいます。新しい税理士に業務を引き継ぐ際に、過去のデータも必要となるからです。また、口頭で伝えるだけでなく、返却書類を明記した文書を税理士に渡して、返却漏れがないようにしましょう。
新しい税理士と契約
現顧問税理士との契約解除のタイミングに合わせて、新しい税理士を見つけて契約をしておきましょう。スムーズに税理士の変更ができないと、税理士不在の期間が生じてしまい、業務に支障が出ることがあります。
原則、新旧税理士同士で引き継ぎをしません。新しい税理士がすぐに業務に取り掛かれるようにするために、業務開始日までに必要な書類、相談内容などをまとめておくことが大切です。
新しい税理士の探し方とは?
新しい税理士は慎重に探しましょう。税理士を変更しても、新しい税理士に不満が見つかれば、税理士を頻繁に変えることにつながるからです。ここでは、税理士を探すための主な手段について紹介します。
知人の紹介
知人から、税理士を紹介してもらうことも手段の一つです。知り合いの会社経営者、個人的に税理士を利用している親族や知人などから、税理士事務所や税理士の情報を教えてもらいましょう。
知人から紹介してもらうメリットは、実際に利用している人から税理士の評判を聞けるため、比較的短時間で良い税理士を見つけやすいことです。また、知人からの紹介ということで、価格などの契約条件を交渉しやすく、伝えづらいことも相談しやすいでしょう。
一方で、紹介してもらった手前、別の税理士に変更しづらいことがデメリットです。紹介してもらった知人にとって良い税理士だったとしても、自社に合わないこともあり得ます。
知人から紹介を受けた税理士と契約をするときは、必ず税理士資格の有無を確認してください。日本税理士連合会の「税理士情報検索サイト」を使うと、税理士登録の有無を簡単に調べられます。
インターネットで探す
インターネットを使うと手軽に税理士情報を取得できます。インターネットを使って絞り込み検索をすると、自社のニーズに合わせた税理士を見つけやすくなります。さらに、税理事務所のWebサイトを参考にすることで、実績や評判を比較できるのです。
また、インターネットの税理士紹介サービスの利用も検討してみましょう。紹介サービスを利用すると、条件を満たす税理士を紹介してもらえますが、サービスだけに頼るのは大変危険です。税理士事務所のホームページや税理士が書いたブログなどを参考にし、ある程度自分で選考することで、自社に合った税理士を見つけやすくなります。
インターネットを使った税理士検索は、短時間で効率よく税理士を探せるのがメリットです。しかし、インターネット上で全ての情報が得られるわけではありません。興味を持った税理士には、実際に会ってみて顧問契約を依頼するかを決めることをおすすめします。
新しい税理士の探し方について「【税理士監修】税理士変更するなら税理士紹介サービス?おすすめサービスは?」でも解説していますので、あわせてご覧ください。
銀行や商工会議所からの紹介
取引や付き合いのある銀行や商工会議所から税理士を紹介してもらうのも方法の一つです。規模が大きく、社会的な信用度の高い税理士事務所と契約している金融機関もあります。
銀行から紹介してもらうと、税理士を探す手間が省けますが、紹介してもらった税理士が、自社のニーズに合うとは限りません。そこで、対応してくれるサービスや費用について、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
実際に税務相談やセミナーに参加することで、税理士の人柄や対応を確認できます。商工会議所では税務相談や税務に関するセミナーを無料で行っているケースが多いため、問い合わせてみましょう。しかし、良い税理士が見つかっても、条件などを理由に顧問契約に至らないことがあります。
税理士協会への相談
税理士協会に相談することで、条件に合う税理士を紹介してもらえます。税理士は、事務所の所在地を管轄する税理士会に所属し、日本税理士連合会の名簿に登載されています。
税理士と直接面会できるというのはメリットですが、複数の税理士と比較して決められないことがある点に注意が必要です。
税理士のセミナーなどに参加する
税理士が行っているセミナーに参加し、税理士の人間性や説明の分かりやすさ、対応をチェックしてみましょう。確定申告の時期などは、税理士が頻繁に無料セミナーを行っているため、税理士と直接会えるチャンスです。実際に、セミナーへの参加を通じて、顧問契約に至るケースも多いのです。
セミナーを行う税理士は、基本的に営業目的であるため、顧問契約の依頼を受けてくれる可能性が高いでしょう。しかし、大手の税理士事務所に所属している税理士の場合、講師本人に業務を担当してもらえないこともあります。
小谷野税理士法人では、定期的にオンラインセミナーを開催していますので、気軽に参加できます。
良い税理士を選ぶためのポイント
税理士選びで判断を誤ると、税理士の対応に不満を持つリスクが高まります。自社に合った信頼できる税理士を選ぶためにも、良い税理士を選ぶポイントを押さえておきましょう。
依頼したい内容は明確に
税理士しか対応できない独占業務である「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の他に、税理士の業務内容は多岐にわたります。
税理士に依頼したいこと、相談したいことは、業種、会社の規模、会社の方針などは、状況によって異なります。そこで、税理士と円滑に意思疎通を行うために、依頼したい業務をできるだけ具体的かつ明確に示すことです。
税理士のサポートや代行が必要な業務について明確化しておくと、自社のニーズを満たす税理士を見つけやすく、不満も起こりにくくなります。
直接面談して契約を決める
インターネットや紹介などで税理士を探せますが、顧問契約する税理士を決めるときは直接会うことを強くおすすめします。経歴や実績などインターネットや紙面からの情報だけでは、税理士の人柄や業務に対する姿勢、コミュニケーションスキルまで把握できないからです。
顧問税理士の人柄や説明の分かりやすさ、コミュニケーションの取りやすさなどは、長く付き合うために欠かせない要素です。直接会って話をしてみて、信頼できる、依頼したいと思えたなら、税理士との顧問契約を検討してみましょう。
相性・人柄
相性や人柄の良さも、税理士を選ぶときにチェックしておきたいポイントの一つです。税理士に業務を依頼するときは、円滑なコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションや対応に違和感があれば、それが税理士への不満につながる可能性が高いのです。
自社のニーズに合いそうな税理士でも、コミュニケーションがとりづらい、こちらが言っていることを理解してくれないと感じたら、顧問契約を見直しましょう。
年代と経験・得意分野
自社のニーズに合う税理士と契約するためにも、年代、経験、得意分野をチェックしましょう。自社の業種や業界の経験、知識がある税理士を選ぶことで、税務申告や節税対策といった業務の質の向上が期待できるからです。また、業界や業種に関する経験や知識があると、引継ぎもスムーズです。
コミュニケーションツールや面談の頻度
税理士が主に使用するコミュニケーションツール、面談の頻度も確認しておきたいところです。デジタル化を進めている税理士も多いのですが、昔ながらのやり方にこだわる税理士もいます。
契約前の問い合わせ、相談にスピーディーに対応するためには、ITツールの活用が求められます。実績豊富で信頼できる税理士でも、対応や返答のスピードが遅いと、業務に支障をきたすことがあるのです。そこで、ITツールの活用状況や対応の速さをチェックしましょう。
税理士の面談頻度は、年商規模などによって変わります。適切なサポートやアドバイスを受けるためにも、自社に適したタイミングで面談の機会を設けてくれる税理士を選ぶことが大切です。
基本料金とオプションはわかりやすい?
明確な料金提示は、税理士に対する信頼につながります。顧問料について明確な説明がないまま契約してしまうと、後日料金のことでトラブルになる可能性が高まるため、注意しましょう。
また、依頼内容に応じて顧問料が変わります。そこで、全体的な料金を含めて、基本料金とオプション、それぞれの内訳を細かく説明してもらえると安心して依頼できます。
現在の税理士への不満についての反応は?
現在の税理士に対する不満を述べたときの、税理士の反応をチェックしてみましょう。税理士の反応で、税理士の人柄を確認できます。現顧問税理士の悪口を表立って言うような税理士は、信頼性に欠けるでしょう。
現税理士に対して抱いた不満が起こらないように、対策やアドバイスを提示してくれると、安心感を得られます。
税理士に不満があるなら税理士の変更を検討してみよう
税理士に対して不満を持つ理由はさまざまです。税理士に不満を抱きながら業務を依頼し続けることは、本業に悪影響を与える原因になります。税理士に不満があるなら、税理士の変更を検討してみましょう。新しい税理士を探して、税理士変更の手続きをするときは、慎重に計画を立てて実行することが大切です。