現在契約を結んでいる税理士が合わないと感じていませんか?残念ながら、顧問税理士に不満を持つ事業主は意外と多いです。そして、不満が生まれた時こそ税理士変更を検討するベストタイミングです。今回は、事業主が抱える税理士への不満ランキングをご紹介した上で、税理士変更でトラブルを生まないための注意点について解説していきます。
目次
税理士と合わないから税理士変更ってあり?
税理士変更と聞くと「ずっと付き合いのある税理士さんだから…」「解約したいと切り出しにくい…」と二の足を踏まれる事業主様も多くいらっしゃいます。現在の税理士と長くお付き合いされている方ほど、税理士に不満があっても税理士変更に踏み切れずに悩んでいる方が多いです。
しかし、税理士は税金の申告や確定申告、監査業務など事業にとって重要な業務を担っています。そんな重要な業務において不備があったり適切な税務が行われなければ、効果的な経理や税務管理ができない恐れがあります。
正確な申告、適切な税務管理は法令順守という企業の信頼性を高める重要な要素です。税理士に気を遣って不満を抱えたままでは、事業の成長においてデメリットとなってしまうでしょう。事業を継続する上で、税理士の変更は決して珍しいことではありません。契約に違反しない限りいつでも税理士の変更は可能です。税理士の業務や対応に不満がある、あるいは税理士と合わないと感じる方は、税理士変更を検討するのがおすすめです。
ただし、新しく契約を交わす税理士は本当に不満を解消してくれるのか、という点は熟考しなければなりません。特に、税理士を変更するタイミングについては、時期を間違えると税務に大きな支障をきたす場合もあるので注意が必要です。
税理士を変更するベストタイミングや手続きの流れについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
税理士変更は決算書が引継ぎのカギ?ベストタイミングや手続きの流れを徹底解説
税理士変更を決めた不満ランキング
こちらの画像は、企業向けに財務、会計、給与、販売などの基幹システムを開発・販売している株式会社ミロク情報サービスが実施したアンケートです。アンケートの内容は、事業主を対象に「税理士との契約を解約に至った理由」を問うものです。
それでは、税理士変更を決めた不満ランキングの詳細を見ていきましょう。
1位:コミュニケーション(46.7%)
税理士変更を決めた不満ランキング第1位は「コミュニケーション」です。
- 税理士の口調がビジネスからほど遠い
- 偉そうに言う
- 同じことを何回も聞いてくる
- 年一回しか連絡がない
- 連絡不備、遅かった
税理士と顧問契約を結んでいる約半数もの事業主が、コミュニケーションにおいて不満を抱えています。事業主と税理士という間柄ですが、やはり基本となるのは人と人との人間関係であり信頼関係です。
人間関係において、横柄な態度であったり重要な業務における連絡が全く無いのであれば、信頼関係を築くことはできず不満が出てくるのは当然です。税理士と契約を結ぶ前の打ち合わせでは、担当の対応は丁寧か、質問に対する回答は明確か、どれくらいの頻度で連絡をとり合うのかなどをしっかりと確認しておきましょう。
2位:税務署・トラブル対応(15.6%)
第2位は「税務署・トラブル対応」です。
- 税金申告トラブル
- 未払金の取扱
- 決算報告書が分かりにくい
- 得意先との支払条件等で無理な提案をされた
事業主は、税理士に全幅の信頼を寄せて申告業務や監査業務を任せているはずです。それなのに、税務署寄りの対応ばかりする場合や業務上不備がある場合は、税理士自身の姿勢に問題があるかもしれません。税務署への対応は税理士の経験によって大きく左右される場合が多いです。
また、事業のなかで、取引先との間で無理のある条件を提示されるなど、支払に関するトラブルに見舞われることがあります。その際に、契約している事業者側につくのではなく、事業者に我慢や無理をさせるような提案ばかりをする税理士は信頼できません。
契約前に正確な業務を行なってくれるかを見極めるのは難しいですが、税理士の実務経験やこれまでの実績などは事前にチェックしておくのがおすすめです。
3位:対応連絡の遅さ(13.3%)
第3位は「対応連絡の遅さ」です。
- 依頼した業務が遅い
- 連絡しても返事が遅すぎた
- サービスの遅れ
- 疑問点に関する回答のレスポンスが遅かった
- 税理士資格を持っていない人が担当者になっていたので質問に時間が掛かる
対応連絡の遅さは、事業主と税理士だけに限った話ではなく、どんなビジネスであってもトラブルの原因となり得る要素です。税理士事務所のスタッフが経験不足であったり、事務所の業務体制がしっかり整っていない場合に対応や連絡が遅くなりがちです。事務所に何人の税理士が在籍しているのか、創業年数が長いしっかりした税理士事務所なのかは確認しておきたいポイントです。
3位:アドバイスに関して(13.3.%)
同率第3位は「アドバイスに関して」です。
- 自社にとっていい情報ややり方を教えてくれない
- 節税のアドバイスが無かった
- 事業承継対策で期待した対応が貰えなかった
- 経営移譲や相続に対する知識が少ないこと
税務において、特に節税に関して効果的なアドバイスがなかったことに対する不満です。節税に関するアドバイスがもらえないという不満は、実務において多くの事業主が抱えています。
しかし、合法的な範囲で有効な節税方法はそれほど多くはなく、税理士がアドバイスできる提案には限りがあるのも事実です。不満が出てくる一番の原因は節税のアドバイスがなかったことではなく、普段から節税について一緒に考えてくれる姿勢があったのかどうかだといえるでしょう。
3位:ミス(13.3%)
こちらも同率で第3位は「ミス」です。
- 損益計算書や給与明細などとにかく間違いだらけ
- 税額のミスがあった
- 海外の方の扶養控除の申請ができるのに抜けていた
- 事前の精査が不十分で修正申告の事態となった
- 税理士のミスで修正申告を行った
業務におけるミスも、税理士に対する不満の一つです。もちろんミスがないに越したことはありませんが、税理士といえど人間である以上ミスは誰にでも起こり得ます。
重要なのは、ミスをした後の真摯な対応、迅速な対応です。ミスが不満を抱く要因となるのは、ミスが起こったことだけでなく、ミスを許せない関係性が出来上がってしまっているせいかもしれません。
6位:価格(11.1%)
第6位は「価格」です。
- 高かった
- 通常料金に比べ決算料金が高すぎる
月々の顧問料ではなく、決算料金や税理士報酬に対して高いという不満をお持ちの事業主が多くいらっしゃいますが、これには理由があります。一般的に、日々の経理上の入力は会社の事務員が行うため、税理士には手間がかからないので月々の顧問料は安く設定されています。一方で決算は、税理士が別途手作業で入力を行い書類を作成するため、決算料金や税理士報酬が高くなっているわけです。価格に対する不満が出てくるのは、税理士側の料金体系の周知不足であることがほとんどです。
税理士変更待ったなし?税理士とのトラブルランキング
前項では税理士変更を決めた不満ランキングをご紹介しましたが、契約解除という重大な決断に至るには、何かしらトラブルがあったことが伺えます。次にご紹介する税理士とのトラブルランキングの中で、もし当てはまる項目がある場合は税理士変更を検討するか、その後の税理士との付き合いを慎重に見ていくべきです。
1位:アドバイス(30.1%)
税理士とのトラブルランキング第1位は、「アドバイス」です。
- 自社にとっていい情報・やり方を教えてくれない
- 経理処理的な面でのアドバイスをくれない、説明が要領を得ない
- 相続に対する適切なアドバイスがもらえず苦労している
- 全く提案がない
- 依頼事項が数か月間放置された
税理士から事業主へのアドバイスについては3割、およそ3人に1人がトラブルに遭っています。事業主が求めるのは税理士からの適切なアドバイスなので、やはり「良いアドバイスをもらえない」「提案がまったくない」のはトラブルに発展する大きな要因です。
2位:態度・口調(14.9%)
第2位は、税理士自身の態度や言動によるものです。
- 態度が大きく一方的だった
- 偉そうに同じことを何回も聞いてくる
- 質問事項に対しての対応が不満
- 他人事のような言い方で親身さがない
- 会社側主張に対して横柄な態度での対応
事業主と税理士はビジネスパートナーであると同時に人と人との付き合いです。その中で、税務に関する独占業務を取り扱う税理士の方が偉いと考えている税理士も少なからず存在します。偉そう・横柄・他人行儀な対応をされれば、どれだけ正確に税務をこなしてくれたとしてもトラブルに発展するのは容易に想像できます。
3位:価格(13.3%)
第3位は「価格」に関するトラブルです。
- 顧問料の値上げ
- スポットの作業費用が高い
- 決算時の料金高い
- 仕事量のわりには高い
- 相場より顧問料が高め
価格に関するトラブルの多くは、月々の顧問料ではなく決算料金や税理士報酬についてです。原因のほとんどが税理士側の料金体系の周知不足ですが、ビジネスの根幹となる価格についてしっかり事業主に提示していないのは、税理士側が不誠実といえるでしょう。
4位:ミス(11.9%)
第4位として「ミス」に関する指摘の声も多くあがっています。
- 単純なミスが多い
- 確定申告での不注意
- 税額のミスがあった
- 給与明細など間違いだらけ
- 指示通りにしたら追加納税
信頼して任せている税務にミスがあれば、当然トラブルに発展します。特に税金申告や確定申告など数字に関するミスは、申告後に税務調査が入る要因にもなりかねません。税理士も人間ですので誰しもミスをする可能性はありますが、できる限りミスがない税理士を選びたいですね。
5位:対応・連絡の遅さ(10.5%)
「対応・連絡の遅さ」は第3位にあがっています。
- メールでの問い合わせに返答を忘れていた
- 訪問が無い
- 依頼した業務が遅い
- 依頼事項が数か月間放置されたこと
- 疑問点に関する回答のレスポンスが遅い
税理士に限った話ではなくビジネス上の関係である以上、対応・連絡の遅さはあらゆる場面で業務に支障をきたす要因になり得ます。依頼した仕事が遅い、問い合わせに関する返信が遅い、無いのはビジネスパートナーとしては論外です。
6位:コミュニケーション(9.8%)
「コミュニケーション」でトラブルを起こす税理士も多く、第6位のトラブル理由となっています。
- 求めていた回答が得られなかった
- 訊いていることにストレートで答えてくれない
- こちらの思いが伝わり切れてない
- 担当者交替が頻繁であったことから意思の疎通が悪くなった
1位の「アドバイス」にも通じますが、適切なアドバイスは事業主との綿密なコミュニケーションから生まれるものです。コミュニケーションが不足している税理士は適切なアドバイスを行うことができませんし、結果的にコミュニケーション不足は事業主と税理士との溝を深める要因となります。
7位:税務署対応(4.2%)
第7位は、税理士の「税務署対応」で、多くのケースでトラブルの火種といえます。
- 常に税務署寄りのスタンス
- 税務調査の際に戦ってくれなかった
- 税務調査があった際、税務調査の段取りが悪く、国税の担当者に対して不快な印象を与えた
- 税務調査を受けた時の対応がいい加減だった
税理士は税務に関して事業主の頼れる味方であるべきですが、税務調査の際に税務署寄りの対応をされてしまっては不信感を覚えても仕方ありません。税務署との関係を悪くしたくないという税理士の思惑もあると思いますが、事業主からすれば裏切られたように感じてしまいますね。
税理士変更のメリット
税理士に対する不満ランキング、税理士と事業主の間で起こりやすいトラブルについて、ご紹介しました。ランキングの項目の中で当てはまるものがあれば、税理士変更を検討するのがおすすめです。
税理士変更は、手続きが色々と面倒だと思われがちですし、タイミングを間違えると業務に支障が出る恐れがあるのは事実です。しかし、税理士変更は、時期をしっかりと見極めて手間と時間をかけるだけのメリットが多いのです。ここでは、税理士変更を行なった場合に生まれるメリットについて順に見ていきましょう。
適切なアドバイスが受けられる
税理士が事業主に対して行うアドバイスは、トラブルランキングの第1位にランクインするほど税理士との関係の中で重要な項目です。「自社にとって最適なアドバイスがもらえない」「実務はきちんとやってくれるけど、提案がまったく無い」といったお悩みは、多くの事業主が抱える税理士に対する不満です。
一口に税理士と言っても、税金の申告や確定申告など申告業務に強い税理士もいれば、税務相談に強い税理士、さらに各業種の税務に特化した税理士と様々です。例を挙げると、これから新しい事業を展開しようとお考えの事業主には、融資・資金調達に強い税理士を選んだ方がより効果的なアドバイスを受けられるでしょう。自社の成長に合わせて、自社の抱える課題に特化した税理士へ変更すればより適切なアドバイスを受けることができ、自社の成長を加速させることができます。
節税効果につながるかも
事業主であればやはり節税は気になるポイントですが、節税や経理処理について適切なアドバイスがないのも不満やトラブルに発展しやすい項目のひとつです。前項と似た内容になってしまいますが、税理士には実務だけを淡々とこなす税理士もいれば、節税や経理など税務相談に強い税理士もいます。
また、ご自身の事業に特化した税理士を選べば、節税や経理以外でもより適切なアドバイスを受けることができるでしょう。合法的な範囲で税理士が節税についてアドバイスできる提案には限りがあるのは確かですが、節税についてもっとアドバイスがほしいとお考えの事業主は税理士変更がおすすめです。
税理士報酬の減額
事業を継続していく上で、契約当初は適切と思った税理士報酬が、経営状況の変化に応じて負担に感じるのは起こり得ることです。安すぎて税務をしっかりこなしてくれない「安かろう悪かろう」にならないよう注意する必要はありますが、現在の税理士より報酬が安い税理士に変更できれば、事業にとって大きなメリットになります。税理士報酬の減額はそのまま経費削減につながるため、経営に余裕が出たり浮いた経費を他に回すことができるでしょう。
業界の知り合いが増える可能性がある
上述のように、税理士には申告業務に強い税理士、税務相談に強い税理士の他に、各業種の税務に特化した税理士がいます。そして、各業種に特化した税理士は当然ながらその業界に携わる事業主と多くの繋がりがあります。
そういった税理士と関係を築いていけば、税理士が同じ業界の事業主を紹介してくれることもあるでしょう。ご自身の業種に特化した税理士を選べば、業界の知り合いが増える可能性があり、取引先が増えることでビジネスを成長させるチャンスになる可能性があります。
税理士変更のデメリット
税理士を変更するメリットが把握できたところで、デメリットとしてはどのようなことが考えられるのでしょうか?ここでは、税理士を変更する2つのデメリットをご紹介します。
節税にならない場合も
繰り返しになりますが、税理士には申告業務に強い税理士もいれば、税務相談に強い税理士もいます。節税や経理など、税務相談に強い税理士を選ばなければ、結局節税に関して適切なアドバイスを受けることができず、節税効果は感じられない可能性があります。
また、税理士変更はタイミングが非常に重要です。確定申告・決算の申告期間中など税理士の繁忙期に急に変更手続きを行うと、
- 現在の税理士から新しい税理士へスムーズに引継ぎができない
- 後回しにされ申告期間に間に合わない
など、節税効果がないだけでなく税務に支障が出るリスクもあるため、税理士変更を行うタイミングには注意が必要です。
税理士変更には時間と手間がかかる
税理士変更には時間と手間がかかるのが大きなデメリットです。変更したくてもすぐにできるわけではなく、
- 現在の税理士へ契約解除を申し出る
- 自社のビジネスに合った税理士を探す
- 現在の税理士が持っている各種書類を回収する
このようなプロセスを経て、およそ3ヶ月から半年程度を要します。忙しい事業主にとっては、日々の業務と並行して税理士変更の手続きを進めていくのは、思った以上に大きな負担となります。しかし、その時間と労力をかけてでも税理士を変更することに価値があると判断したのであれば、その時が変更のベストタイミングかもしれません。
税理士変更でトラブルを生まないための注意点
税理士変更は珍しくないため、多くの税理士が契約解除に応じてくれます。しかし中には、「解約に応じてもらえない」「書類を返してもらえない」といったトラブルに巻き込まれるケースもあります。トラブルを生まずスムーズに税理士変更を行うために、どういった手順で税理士の変更を進めていけばよいのか見ていきましょう。
税務調査も念頭に新しい税理士を見つけておく
税理士変更で最も注意しなければならないのが、時期・タイミングです。具体的には、税理士の繁忙期といわれる11月から5月は避けたいところです。たとえば、確定申告期間の2月や3月に解約の申し出をしても、税理士が忙しく対応が遅くなってしまうのです。一般的には、所得税・法人税の申告時期と年末調整の時期が税理士の繁忙期とされています。
- 個人所得税の申告 2月16日~3月15日
- 法人税の申告 決算期末から2ヶ月以内
- 年末調整 1月末まで
税理士の繁忙期は11月から5月までなので、その期間は避けるのが無難です。また、法人税の申告をした直後も税理士変更を行うタイミングとしておすすめです。
法人税申告の完了は、税理士に依頼している業務における、ひとつの区切りです。さらに法人税申告の直後であれば、次の法人税申告まで一年間の余裕ができるのも、このタイミングで税理士変更を行う大きなメリットといえます。
税理士変更は、税理士の繁忙期を避け、法人税申告の直後に間に合うよう、事前に新しい税理士を見つけておきましょう。
現在の税理士との契約書を要確認
現在の税理士に契約解除を申し出る前には契約書を見直し、税理士とどういった契約を交わしているのか詳細を把握しておきましょう。契約書には契約期間のほかに契約解除の意思表示ができる期間が記載されているのが一般的です。
定められた期間外での解約には違約金の問題が生じる場合もあり、期限外であればそもそも解約できないといったケースもあります。契約解除を申し出る前には契約書を確認し、解約期間のほかに報酬の支払い期限などを把握しておきましょう。
契約更新のお断りは口頭+文書で行う
契約解除を申し出て契約更新を断る際は、対面・電話など口頭で伝えるだけでなく、メールなど文書でのやりとりを記録として残しておくと、後々助かります。口頭だけでなく文章でも伝えておくと、以下のようなメリットがあります。
- 言った・言わないの水掛け論を避けられる
- 第三者機関に相談する際、やりとりを見てもらえるのでスムーズ
- 裁判になった場合は証拠となるので有利に裁判を進められる
特に現在の税理士との関係性があまりよくない方は、揉める可能性を見越して何らかの記録を残しておくのがおすすめです。
決算に必要な書類を返してもらう
現在の税理士から解約の承諾を得たら、税理士に預けていた各種書類を返却してもらいましょう。事業に関する書類を回収できなければ、情報漏えいのリスクが高まるだけでなく、新しい税理士が現状を把握するのが難しくなります。新しい税理士へデータを引き継ぐために必要となる書類は、
- 請求書、領収書
- 勘定元帳、試算表、仕訳帳などの会計データ
- 決算書
- 給与明細など給与に関する書類
- 登記簿謄本
などです。
また、e-Taxで電子申告を行なっている場合に忘れてはならないのが、利用者識別番号と暗証番号です。利用者識別番号は、他者がなりすまして電子申告を行うのを防ぐために導入された16桁の番号で、1事業主につき番号が1つ発行されます。電子申告を利用する際は、この利用者識別番号と暗証番号が必要となるので、忘れずに引き継いでおくようにしましょう。
加えて、利用者識別番号はオンラインから取得することが可能ですが、その際にメールアドレスを利用して登録します。登録に使ったメールアドレスがそのままだと、メールアドレスを知る人間に利用者識別番号の登録情報を改ざんされる恐れもあるので、メールアドレスの変更もしてもらう必要があります。
参考:国税庁 ご利用の流れ|国税電子申告・納税システム e-Tax
契約解除通知後の面談の際は録画・録音をする
契約解除の意思を書面で送付した場合は通知後に面談を行うことになり、この段階で必要書類などを返却してもらいます。この時、直接対面で面談する場合は録音、オンラインでの面談の場合は録画を忘れずにしておきましょう。
のらりくらりと時間稼ぎをして結局解約をうやむやにしようとしたり、書類を返却してくれなかったりと、契約解除への嫌がらせを行う税理士も、少なからず存在します。こういった迷惑行為に遭った場合、録画・録音をしておけば強力な証拠となります。その証拠を持って税理士会に相談すれば、税理士会が問題解決に向けて動いてくれるでしょう。
新しい税理士へ引き継ぐ
ここまで解約手続きが済めば、あとは新しい税理士と新規に契約を交わして引き継ぎ作業へと移ります。書類回収がスムーズにできていれば、引き継ぎは問題なくできるはずです。
新しい税理士との契約内容に応じて、必要な書類やデータを提出しましょう。
税理士に不満を感じたら税理士変更を検討しよう
税理士に対する不満として一番多いのが、税理士とのコミュニケーションや連携がとれないことです。「長い付き合いだし、もう少し様子を見るか」「解約手続きが面倒」と不満の解消を先送りにすることは事業にとってマイナスです。
「より良い税理士と良い関係を築き、ビジネスを成長させる機会だ」と前向きに捉え、税理士変更を検討してみてはいかがでしょうか。税理士変更には手間や労力が伴いますが、事業にとってはその苦労に見合うだけのプラスとなるはずです。