0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

複式簿記の5要素とは?単式簿記との違いやメリット・デメリットついても解説

公開日:

最終更新日:

複式簿記の5要素とは?単式簿記との違いやメリット・デメリットついても解説

企業の財務状況を管理するために欠かせない「簿記」。その中でも複式簿記は、複式簿記ではすべての取引を二つの側面から記録する会計手法です。取引の因果関係が明らかになるため、単なる収入や支出の管理にとどまらず、経営判断に必要な情報を把握しやすくなるのが特徴です。簿記の基本から単式簿記と複式簿記の違いや、複式簿記を理解する上で重要な「5要素」について解説します。

簿記とは?

簿記とは、企業の経済活動を正確に記録し、整理するための仕組みです。お金の流れや資産の変動を体系的に記録することを目的としています。

記録の基盤となるのが「簿記の5要素」で、資産・負債・純資産・収益・費用の5つに分類されます。この5要素の理解が、企業の財務状況の把握のために欠かせません。正しい知識を身につけ、企業の成長に役立てていきましょう。

単式簿記と複式簿記の違い

簿記には大きく分けて「単式簿記」と「複式簿記」の2種類があります。単式簿記は、各取引を一つの側面から記録するシンプルな方法です。

例えば「現金が増えた」「支出が発生した」という形で収入・支出を記録します。記録が簡単で分かりやすいため、小規模なビジネスに適しています。

しかし、単式簿記は取引の詳しい背景や流れを把握しにくく、財務状況を正確に分析するのには不向きです。

対して複式簿記は、すべての取引を二つの側面から記録する方法です。1つの取引に対し「借方」と「貸方」の両面で記録を行い、取引の「5要素」である資産・負債・純資産・収益・費用を適切に分類します。

複式簿記を利用すると、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を正確に作成できます。さらに、企業の財務把握や経営判断にも役立つでしょう。しかし、記帳のルールが複雑で一定の知識が必要というデメリットもあります。

関連記事:帳簿の種類と付け方|単式・複式簿記についても解説

簿記の5要素とは?

公務員による企業のイメージ

簿記の基盤となるのが「5要素」で、以下5つの項目に分類されます。

  1. 資産:現金、預金、商品、建物、備品、土地など企業が有する価値のあるもの
  2. 負債:買掛金、借入金など、企業が返済しなければならない義務があるもの
  3. 純資産:資本金や繰越利益余剰金など、資産から負債を差し引いた正味の財産
  4. 収益:売上、受取利息、受取手数料など、事業活動で得た収入
  5. 費用:仕入費、人件費、宣伝広告費、水道光熱費など、収益を得るために支出したお金

上記の5要素を正しく記録することにより、企業の財務状況を正しく把握できます。そして、適切な経営判断を下せるようになるのです。

関連記事:資本金を使ってしまったあなたへ!会社設立後の資本金の必要性を解説!

資産

資産とは、企業が所有する価値のある物や権利のことです。具体的には、以下のようなものが該当します。

  • 現金や預金
  • 商品や在庫
  • 建物や土地などの不動産
  • 設備や備品

資産は、簿記の5要素において企業の経済基盤を支える重要なものです。正確な記録を行うことで、企業の財務状況を正しく把握できるだけでなく、適切な資産管理にもつながります。定期的に資産状況を見直し、将来の投資や事業拡大のための戦略を立てましょう。

負債

負債とは、企業が他者に支払う義務があるものを指します。

  • 借入金(銀行からの融資など)
  • 買掛金(仕入れた商品やサービスの未払金など)
  • 未払いの請求書(未払い賃金や税金など)

負債は企業の資金調達手段の1つですが、過度に増加すると返済に負担が生じ、キャッシュフローを圧迫するリスクがあります。

そのため、負債の状況を常に把握し、それに応じた負債計画を策定しなければなりません。収支のバランスを維持することで返済リスクを低減し、安定した企業の成長を実現できるでしょう。

純資産

純資産とは、資産から負債を差し引いた残りで、企業の「純粋な財産」を示します。資本金や繰越利益剰余金などが純資産に分類されます。また、純資産は経営者や投資家が特に注目する指標で、企業の将来性を見極める材料ともなります。

  • 純資産の増加:企業の成長や財務が安定し、業績向上を示す
  • 純資産の減少:事業継続のリスク増加を示す

純資産は、企業の財務の安定性を示す重要な項目であるため、常に正しく把握しましょう。

関連記事:会社設立における見せ金とは?資本金にした場合のリスクやバレる理由

収益

収益とは、企業が商品やサービスを提供することで得た収入です。以下のようなものが該当します。

  • 売上
  • 受取利息(銀行預金の利息収入)
  • 受取手数料

収益の増加は、企業の成長を示す重要な要素ですが、必ずしも利益につながるわけではありません。なぜなら、収益が増えても費用が同時に増加することもあるからです。

そのため、収益と費用のバランス管理が重要だと言えるでしょう。収益は負債や費用などと密接な関係があるため、それぞれとの相互作用を見極めましょう。

費用

費用とは、収益を得るために発生する支出を指します。企業運営において避けられないコストです。

  • 人件費(従業員の給与や福利厚生)
  • 材料費(商品を作るための原材料)
  • 水道光熱費
  • 広告宣伝費

必要以上の支出を抑え、利益を最大化することが重要です。費用を細かく分析するとコスト削減のポイントを特定でき、より効率的な経営を実現できるでしょう。

簿記の5要素と複式簿記の関係性

電卓で税金の計算をするイメージ画像

簿記の5要素である資産・負債・純資産・収益・費用の5要素は、取引を記録する際の基本となるものです。それぞれ関係性を理解することで、複式簿記の本質をつかめます。

借方・貸方での5要素の分類

借方と貸方の仕組みを理解すると、簿記の5要素を正しく把握できます。

簿記では「資産」と「費用」の増加は借方に、「負債」と「収益」の増加は貸方に記入します。純資産は、株主資本や留保利益などを含む特別な項目です。

例えば、資産が増加した場合、その金額を借方に記載します。その際、資産増加の原因となる取引を貸方に記入することで、帳簿全体のバランスが保たれるのです。この仕組みにより、企業の財務状況を明白にでき、不正や誤りを防げるのです。

実際の記帳例で学ぶ複式簿記

複式簿記を正しく理解するために、実際の記帳例を見てみましょう。例えば「商品を10,000円で販売し、現金で受け取った場合」は、以下のように記帳します。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

現金

10,000円

売上

10,000円

この取引では、収益の発生と同時に資産が増加していることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

次に「5,000円の水道代を現金で支払った場合」は以下のように記録します。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

水道光熱費

5,000円

現金

5,000円

この取引では費用が発生すると同時に、資産が減少しているのが分かります。このように実際に取引を記録してみると、資産・負債・資本・収益・費用の関連性が学べるので試してみてください。

複式簿記と単式簿記それぞれのメリット・デメリット

複式簿記と単式簿記には、それぞれ異なる特徴があり、メリットとデメリットが存在します。どちらの記帳を選ぶかは、事業の規模や目的により異なります。双方の記帳方法を正しく理解し、適切な方法を選択しましょう。

複式簿記のメリット・デメリット

複式簿記の特徴は、取引の因果関係を明確に記録できる点にあります。収益と費用、資産と負債など、簿記の5要素を双方向から記録するため、取引の全体像を把握しやすくなります。

複式簿記のメリット

複式簿記のメリットは、財務状況の正確に把握できる点です。すべての取引が借方と貸方の両側に記載されるため、資産や負債の状況を正確に把握できます。

また、複式簿記を利用すると、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を正確に作成できるため、資金調達やビジネスを発展させる際に役立つでしょう。

複式簿記のデメリット

一方、複式簿記にはデメリットもあります。まずは、記帳に関する知識やスキルが求められるため、初心者にとっては取引の仕訳や記入方法を理解するのに時間がかかる点が挙げられます。

さらに、記帳ミスの際には財務状況の分析が困難になることもあるので注意しなければなりません。

ミスが累積すると、経営判断に悪影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。専門知識が必要なため、小規模事業者にとっては教育や運用に関するコストが負担となるかもしれません。

単式簿記のメリット・デメリット

単式簿記は、シンプルかつ簡単に記帳できるのが特徴です。簿記に関する専門知識がなくても運用しやすいため、主に小規模事業や個人事業の帳簿管理に利用されます。

単式簿記のメリット

単式簿記を使用する一番のメリットは、記帳が簡単である点です。収入や支出を一つの視点から記録するだけなので、特別な専門知識がなくても直感的に理解しやすいでしょう。

このため、特に専門的な資格を持たない人でも直感的に理解しやすく、短期間で運用を始められるのが利点です。少ないコストで導入が可能で、簡易的な資金管理を目的とした場合に適しています。

単式簿記のデメリット

単式簿記は、取引の因果関係を記録しないため、経営の健全性を正確に把握するのが難しい点がデメリットとして挙げられます。

貸借対照表を作成できないため、資産と負債の関係を見られません。そのため、事業規模が大きくなると、単式簿記では対応できなくなり、複式簿記への移行が必要となるケースもあります。

関連記事:青色申告の事業者必見!簡易簿記と複式簿記を比較

まとめ

簿記の5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)を正しく理解した上で記帳を続け、財務状況を明確にし、将来の計画を立てましょう。

複式簿記と単式簿記、事業規模や目的にあった方法を選ぶことで、経営をスムーズに進められます。簿記を上手に活用し、会社の成長につなげていけるはずです。

複式簿記についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談