「宇宙はなぜ面白いのか」という本は、
「探査機はなぜ最短距離を飛ばないのか」
という章から始まります。
例えば、地球から月へ探査機を飛ばす場合、
最短距離を飛ばそうとすると、地球や月の
引力に抗うために大量の燃料が必要となり
実現が困難であるため、実際には、地球や
月の周りを5~6周回りながら、少しずつ
目的に向かうのだそうです。惑星や衛星の
引力に逆らうのではなく、目的達成のため
に利用するという考え方に基づき軌道を
設計する技術は、「スウィング・バイ」と
呼ばれるそうです。
月のような遠い目標に、持ち合わせた燃料
では到達が困難な場合であっても、まわりの
力を使って方向や速度を調整することで、
本来持っている燃料以上の力を得る
「スウィング・バイ」作戦は、仕事や生活
をする上でも参考になるかもしれません。
また「「宇宙視点」を持つと、世界観が変わる」
という章では、「オーバービュー・エフェクト」
という概念が紹介されていました。
人類で初めて宇宙飛行をした旧ソ連の宇宙飛行士
ユーリ・ガガーリンは「地球は青かった」という
言葉で有名ですが、その後に続く多くの宇宙飛行士
たちが、実際に宇宙から地球を眺めることによって、
世界観や人生観が変わってしまうような経験を
語っているそうです。これは研究の対象にもされ、
「オーバービュー・エフェクト(概観効果)」
と呼ばれているとか。
暗い宇宙の中に、丸く青い地球が浮かび、
特別な輝きを放っている光景。
そういう「宇宙視点」を持つと、
日常での悩みごとがひどく小さなものに感じますね。