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- イタリアの税制~伊訪問記[2]~
小谷野です。
5年ぶりのイタリア訪問記の続きです。今回は真面目な税金の話です。
(消費税-VAT付加価値税)
イタリアの標準税率は22%ですが、軽減税率があります。
食肉、卵、薬などは10%、生鮮野菜、牛乳、チーズ、パスタ、新聞などは4%です。
日本も来年の消費税率10%への引き上げ時に軽減税率が導入される予定です。
伊での教訓ですが、消費税率も20%という水準になると、脱税が増えます。
個人宅の内装工事の発注などで、現金支払いで領収書不要なら2割引という取引が
よくあるそうです。
イタリアでは実際の税収額の2割以上の脱税額があると言われています。
この防止策として、現金取引の上限設定、
インボイス方式(税計算のための厳格な証憑)の導入が予定されています。
(法人税・所得税)
日本では30%位の法人税負担が、イタリアでは実質25%以下で済むことが、
個人会社が多い理由の一つでもあります。
一方、所得税負担は高く、高所得者50%程度の税負担は日本とあまり変わりませんが、
低・中所得者層の税負担は日本と比較にならないほど高いです。
低所得者でも30%程度の税負担があります。
しかし、これはイタリアが高いと言うよりも、所得税負担率10%以下の層が8割以上という
日本の現状制度に異常性があるようです。
(相続税率)
税率は4%で基礎控除も1.3億円あります。
日本の最高税率55%で基礎控除3000万円と比較すると税負担が極端に低い国と言って良いでしょう。
昔、財産とともに母と娘がイタリアに移住したケースがありましたが、
その背景にはこの税制がありました。
ファミリー会社(日本で言う同族会社)の相続が容易であり、
ノウハウや伝統を受け継ぎやすい環境とも言えます。
日本も先月、平成の徳政令といわれる会社相続の特例措置が導入されました。
(詳しくは http://koyano-cpa.sblo.jp/article/182695575.html )
ところで会計の世界の話ですが、複式簿記はイタリア人数学者ルカ・パチョーリが
繁栄していた商業の街、ベネチア商人の様々な取引を整理するために発明したと言われています。
商業と銀行業の記録・計算のために発達したようです。
ちなみに銀行業もイタリアが発祥で、12世紀に伊で両替に使った長机(banco)が
バンクの語源にもなっています。
この他、イタリア起源としては、クラッシック音楽、オペラ、
最古の総合大学といわれるボローニア大学、フランス料理も
フランス王アンリ2世に嫁いだイタリア・メディチ家からカトリーヌが
持ち込んだ料理が起源と言われています。