税務調査で追徴課税を課されると、延滞税や利子税など追加の負担が発生し、場合によっては財産の差し押さえに至ることもあります。しかし、追徴課税は事前の対策や制度を活用することで回避や負担軽減が可能です。本記事では、追徴課税の種類や平均額、課されやすい事例を整理し、納税猶予や換価の猶予などの救済措置、さらに日常的にできる税務リスク回避の方法まで分かりやすく解説します。
目次
追徴課税の種類

まずは、追徴課税の種類についておさらいしましょう。
税目 | 課されるケース | 税率 |
過少申告加算税 | 確定申告をしたが納税額が少なかった場合 | 不足税額50万円以下:10% 50万円超:15% |
無申告加算税 | 期限内に申告しなかった場合 | 50万円以下:15% 50万円超:20% 300万円超:30% |
不納付加算税 | 源泉所得税を納付期限までに納めなかった場合 | 自主納付:5% 税務署指摘後:10% |
重加算税 | 帳簿改ざん・売上隠しなどの不正行為 | 過少申告・不納付の場合:35% 無申告の場合:40% |
延滞税 | 納期限までに納めなかった場合 | 2ヵ月以内:年7.3%または基準割合+1%のいずれか低い割合を適用(令和7年は2.4%) 2ヵ月超:年14.6%または基準割合+7.3%のいずれか低い割合を適用 (令和7年は8.7%) |
利子税 | 延納を認められた場合 | 年7.3%または特例基準割合を適用(令和7年は0.9%) |
追徴課税には、申告や納付の遅れ、不正行為の有無などによって種類や税率が異なります。自主的に申告・納付を行うことで加算税が軽減される場合もあります。しかし、延滞や不正が重なると大きな負担となり、経営や生活に深刻な影響を与えかねません。
参考:延滞税の割合|国税庁
追徴課税の平均額

続いて追徴課税の平均額について個人と法人それぞれの額を解説します。
個人の平均額
令和4年度の税務調査では所得税と消費税ともに追徴課税の総額が大きく増加したのが特徴的です。所得税では合計980億円で前年比126.1%、1件あたりの追徴課税額は274万円で前年比84.8%と減少しています。
消費税も同様で、合計322億円と前年比141.2%の増加となりましたが、1件あたりは156万円で92.9%とやや減少しました。つまり全体の課税規模は拡大しているものの、件数が増えたことで1件あたりは小さくなる傾向が見られます。
法人の平均額
令和5事務年度の調査で申告漏れ総額は9,741億円、追徴税額は3,197億円にのぼりました。総額自体は前年度比でわずかに減少しましたが、1件あたりの追徴額は550万円と増加しており、個々の調査での負担が重くなっている点が特徴です。
業種別では「バー・クラブ」が不正発見割合59.0%で最多となりました。また「その他の化学工業製造」では1件あたりの不正所得が1億円超と高額でした。さらに海外取引関連の申告漏れも2,870億円と増加しており、国税庁は輸出入や海外投資を行う法人への調査を強化しています。
法人にとって税務調査はより厳格になりつつあり、業種や取引内容によっては高額な追徴リスクを負う可能性が高まっているのです。
参考:法人への追徴課税最多の3572億円 中小の8割はAIが抽出|日本経済新聞
追徴課税が払えない場合はどうなる?

結論から言うと、滞納を続ければ最終的に財産を差し押さえられます。 追徴課税は原則1ヵ月以内に支払う必要があり、免れることは基本的にできません。支払わず放置すると、税務署からの督促を経て強制的に回収される仕組みです。
差し押さえまでの流れは以下の通りです。
- 税務署から督促状が届く
- 差し押さえ可能な財産を調査
- 催告書が届く
- 差し押さえの実行
差し押さえ対象は預貯金や保険金などの金融資産、土地・建物などの不動産などが挙げられます。差し押さえられた財産は競売にかけられ、通常の市場価格よりも低い値段で売却されるため、大きな損失につながります。
税務調査で追徴課税が発生する可能性のあるケース
事前にどのようなケースで追徴課税が課されやすいか把握しておくことが重要です。ここでは代表的な事例を紹介します。
申告漏れ
売上や収入の計上漏れは、追徴課税の最も典型的なケースです。よくある事例には以下があります。
- 計算ミスや勘定科目の誤り
- 前年度に計上すべき売上を次年度に計上
- 会社資産を利用して得た個人収入の未計上
- インターネットを通じた収益の申告漏れ
所得税や法人税はもちろん、消費税や相続税でも申告漏れの可能性があるため注意が必要です。
無申告
申告自体を行わない無申告も、税務調査で発覚すれば追徴課税の対象です。「申告していないから調べられない」と思っても、税務署は独自システムで無申告者を把握できます。
無申告などが判明すると、延滞税や過少申告加算税、無申告加算税などが課されます。さらに、悪質な所得隠しや虚偽申告と判断されれば、重加算税が課される場合もあるのです。
使途不明金
証拠書類や説明が不十分な経費は、使途不明金とみなされることがあります。使途不明金の具体的な例は以下の通りです。
- 個人的な飲食代を接待費として計上
- 帰省費用を交通費として計上
- 自身の買い物を会社備品や消耗品として計上
ほかにどのような経費が不明金になるか判断に迷う場合は、税理士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
追徴課税が払えない場合の救済措置
以下では、追徴課税が払えない場合に活用できる2種類の救済措置について解説します。
納税の猶予
納税の猶予は納税期限に一括で支払えない際に、正当な理由があれば1年間の分納が認められる制度です。資金繰りが厳しい場合は「納税の猶予」を活用することで、支払いを分割し延滞税を軽減できます。
災害・病気・盗難・廃業・貸し倒れ・不渡りなどが典型的な理由にあたり、申請には「猶予申請書」と「修正申告書」が必要です。なお、修正申告で税額が確定してから1年以上経過していても申請できるケースがあります。
換価の猶予
財産の差し押さえを避けたい場合は「換価の猶予」を申請するのが有効です。この換価の猶予は、一括納付が難しく事業や生活に支障をきたすと認められれば、差し押さえを猶予してもらえる制度です。
申請条件は以下の通りです。
- ほかに滞納がない
- 一括納付が困難な状況である
- 期限から6ヵ月以内に申請している
担保が必要な場合もありますが、条件次第では不要です。また、e-Taxでのオンライン申請も可能です。資産差押えに不安がある場合は、早めに換価の猶予を検討しましょう。
税務調査で追徴課税を回避するためにやるべき対策
追徴課税を受けると余計な税負担が増えるだけでなく、時間や労力も無駄になってしまいます。だからこそ、事前に対策を講じておくことが重要です。ここでは、特に効果的な2つの方法を解説します。
スケジュール管理を徹底する
まずやるべきなのは、申告期限を正しく把握して余裕をもった行動を心がけることです。法人と個人それぞれの申告期限をおさらいしましょう。
- 法人:決算日の翌日から2ヵ月以内
- 個人:毎年2月16日~3月15日(期限が休日の場合は翌平日)
期限直前の対応はミスや遅れのリスクが高まります。早めに書類整理や準備を進め、スケジュールに余裕を持たせれば、追徴課税を回避しやすくなります。
こまめに記帳をする
日々の取引をその日のうちに帳簿へ記録する習慣をつけるのも有効な手段です。売上や経費を後回しにすると、記入漏れや科目の誤りが起こりやすくなります。こまめな記帳を徹底すれば正確な申告ができ、結果的に税務リスクを大幅に減らせます。
まとめ
追徴課税は、申告漏れや経費の不適切な計上、無申告などで発生します。延滞税や利子税、場合によっては重加算税といった高額な負担につながります。
しかし納税の猶予や換価の猶予といった救済措置を活用すれば、支払いを分割したり差し押さえを避けたりすることが可能です。申告期限を守るスケジュール管理や日々の記帳の徹底といった基本的な対応を行うことが、追徴課税のリスクを減らすポイントです。
税務の知識や経験が不足している場合は、誤った対応によって不必要な負担が増える可能性もあります。追徴課税に関する疑問や対応に不安がある場合は、早めに税理士に相談し、正確かつ安心できる手続きを行うことをおすすめします。
小谷野税理士法人では税務調査の対応経験が豊富な税理士が複数在籍しております。はじめての税務調査で不安なことがあれば「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。









