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個人事業主の多角経営とは?複数事業できる?始め方や注意点,行うメリットも

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個人事業主の多角経営とは?複数事業できる?始め方や注意点,行うメリットも

近年では業種問わず、大手から中小企業まで多くの会社が多角経営を導入しています。法人が複数の事業を展開するのと同じように、個人事業主も1人で多角経営が可能です。今回は、個人事業主が多角経営を取り入れるメリットや注意点、始め方について徹底解説します。収益の柱を増やし、収入を安定させる手段の1つとして検討しましょう。

多角経営とは?

ひとつの事業に縛られず、複数の事業やサービスを展開していく成長戦略の1つです。現在の企業活動と同じ分野で事業を拡大するものから、ノウハウを活かした他分野の商品開発、全く違う分野への進出など、多角経営の方向性はさまざまあります。

近年では突然の取引停止やコロナによる自粛、物価上昇、顧客ニーズの多様化など事業環境がどんどん変化しています。多角経営を導入し、さまざまな状況に柔軟に対応できるようにすることが、求められている重要なポイントです。

個人事業主は多角経営できる?

税法上、個人事業主の多角経営は可能です。実際に個人事業主の多くが複数のサービスや業種を組み合わせて、多角的に経営を行っています。1つの開業届で複数の事業を記載でき、後から事業の追加もできます。

事業ごとに別の屋号を使用可能ですが、屋号は必ずつけなくてはならないものではないため、屋号を登録せずに多角経営も可能です。

関連記事:個人事業主の複数事業における確定申告の仕方は?

多角経営が注目される理由

国内外における経済状況や時代の変化に呼応して、消費者のニーズも多様化しています。多様化する消費者のニーズに対応するには、既存の事業のみに固執せず、新たな商品やサービスの提供の模索が重要です。

単一の事業に頼りすぎると、消費者ニーズの変化についていけず経営が悪化する可能性もあります。新規事業に取り組み、収益源を増やせば企業としての成長も期待できるでしょう。多角経営は、競争の激化や市場ニーズの変化に柔軟に対応しつつ、より強固な経営基盤を築くために欠かせない手法として注目されています。

多角経営の4つの型

控除について考えるビジネスマン

多角経営には4つの型があり、それぞれの特徴について解説します。

垂直型

既存の市場において保有している資源やノウハウを活かし、新サービスのシェアを拡大させていくのが垂直型です。垂直型は、リスク分散や収益の安定化、相乗効果の創出を目的としています。

既存の事業と類似している市場が対象となるため、既存事業の知識やノウハウを活用でき、シナジー効果が期待できるメリットがあります。しかし、その分野の成長が伸び悩むと、業績も悪化するリスクも考えなければなりません。

水平型

所有する生産技術を活かして既存事業と似た市場に新たな商品・サービスを投入する戦略です。既存の技術や設備、流通経路などを活用できるため、コストを大幅に抑えられるメリットがあります。

また、既存事業と似た市場を対象にしているため、これまでのノウハウを活用でき、失敗のリスクも最小限に抑えられるでしょう。

集中型

自分の強みや得意分野を生かして、まったく新しい市場へ進出する戦略です。これまで培ってきた技術や経験を活用できる大きなメリットがあります。

ただし、市場ニーズの読み違いや、要求される品質の差などによって、新規販路開拓などに想定以上の労力やコストが生じてしまうリスクもあります。営業力が肝になるため、販売の難易度が高い点もデメリットでしょう。

コングロマリット型

コングロマリットとは、異なる産業やビジネス部門を所有・運営する企業の組織形態を指します。現在の事業と関連性のない、異なる分野に進出する戦略です。

これまでのノウハウを活かせないため高い初期投資が必要となるものの、ビジネスの可能性を広げられるほか、成功すればこれまで以上の収益を得られる可能性があります。ハイリスクハイリターンだと十分に理解しておくことが大切です。

関連記事:【コングロマリット】メリット・デメリットやスキームをわかりやすく解説

個人事業主が多角経営を行うメリット

個人事業主が多角経営を行うメリットについて解説します。

収入の安定とリスク分散ができる

事業の失敗は事業全体の業績悪化を意味しますが、複数の事業に経営資源を分散していれば、特定の事業が上手くいかなくても他の事業がその不調をカバーできます。

さらに、各事業が異なる市場や顧客層をターゲットにするため、特定の市場の不安定さに左右されず、安定した収益を確保できます。同業種であればシナジー効果、異業種での場合はリスクヘッジ効果が見込めることが、第二の事業を始めるメリットです。

スキルと資産の最大活用

保有しているスキルや資産を有効活用できるのも多角経営の大きなメリットです。活用できる資源は、機械設備などの製造・開発に関わる部分だけに限りません。

経営・マネジメントといったノウハウも共有できる上に、季節営業の施設などの活用可能な時間や季節に縛りがある土地・建物なども新しい事業展開によって有効活用が可能です。

【個人事業主向け】多角経営の始め方

多角経営の始め方について解説します。

本業の見直しと土台の強化

多角経営は本業が安定しているからこそ機能します。土台が安定していなければ、事業の維持・拡大は困難です。適材適所の人材配置を行ったり、ITを活用したりして本業の現状を見える化し、強化する過程が欠かせません。

自分のリソースと市場ニーズを分析

次に、自分の得意分野や興味のある分野、展開可能な事業アイデアを洗い出します。洗い出しは単なる「得意なこと」のリストアップではなく、あなたの強みと市場ニーズの交点を見つける作業です。事業の方向性や戦略を明確にし、効果的なビジネスを展開できます。

小さく始めて反応をみる

最小限のコストで新しい事業を小さく始め、顧客の反応を分析し、改良と修正を行いましょう。リスクを小さく抑えながら顧客ニーズに沿った製品やサービスの開発を行えるメリットがあります。

事業としての仕組み化を進める

仕組み化とは、誰が同じ業務を行ってもスムーズに遂行できるように、業務の手順やマニュアルを明確にする方法です。持続可能なビジネスモデルでは、限られた時間を最大限に活用するため仕組み化し、業務プロセスを最適化することが重要視されています。

M&Aや業務提携を活用する

既に確立された事業やノウハウを持つ他者との提携や、M&A(小規模企業・個人事業の買収)を活用するのも有効です。現行の事業を買収して自社に取り込むため、自分では一から立ち上げが難しい分野でも、短期間での事業拡大が可能です。

関連記事:M&Aを行う際に独占禁止法はどう関係する?事例と注意点を徹底解説

個人事業を複数もっている場合の確定申告は?

個人事業主が複数の事業を持っていても、確定申告書の作成は1通だけです。すべての事業の所得を合算して確定申告書を作成します。事業所得以外に不動産所得や雑所得に該当する収入がある場合は、それぞれの所得ごとに記載しましょう。

確定申告は手間と時間がかかりますが、個人事業主は毎年行わなければなりません。日々の業務が忙しい場合は、税務の専門家である税理士に確定申告の手続きを依頼するのもおすすめです。詳しくは、以下の記事で解説しています。

関連記事:個人事業主は税理士に確定申告のみ依頼できる?丸投げとの違いと費用感を比較

個人事業主が多角経営するときの注意点

個人事業主が多角経営する際の注意点について解説します。

時間と労力が分散する

多角経営を行う場合、1つの仕事にかける労力や時間が分散してしまいます。それが良い方向に働く可能性もありますが、1つの仕事にもっと集中したい場合には、中途半端に感じてしまう場合もあるためご注意ください。

資金繰りが悪化しやすい

新規事業には初期投資や準備費用がかかります。気合を入れて多額の初期費用を投資してしまうと、新規事業が失敗して資金繰りが悪化し、多額の損失を抱えるリスクがあります。自己資金やキャッシュフローを十分に確保したうえで行いましょう。

関連記事:資金繰りに困ったら?中小企業・個人事業主が相談できる窓口6選紹介

新事業を過信しすぎない

新事業やサービスが必ずうまくいくとは限りません。本業を犠牲にして新事業に注力しすぎると、結果的に全体の収益が下がる危険性があります。主力の事業と新事業のバランスを考えたり、戦略の微調整をしたりと、全体を俯瞰しながら進めましょう。

個人事業主の多角経営についてよくある質問

FAQ

個人事業主の多角経営について、よくある質問を回答とともに紹介します。

複数事業を行う場合、屋号はそれぞれ別でもいい?

飲食店と不動産賃貸業など、それぞれの事業で屋号を持っている場合でも、主たる事業だけの屋号でも問題ありません。屋号は必ずつける必要がないため、屋号を登録せずに複数の事業が可能です。ただし、事業ごとに屋号を付けることで、手がけている各事業の方向性が分かりやすくなるメリットがあります。

インボイス登録は事業ごとに選べる?

個人事業を複数展開している場合、事業ごとにインボイス登録はできません。インボイスは個人事業主1人につき1つの登録番号が与えられるので、インボイス発行事業者として登録した場合は、それぞれの事業で同じ登録番号を記載する必要があります。

複数事業は確定申告が複雑になる?

個人事業主として複数事業を運営すると、確定申告や会計管理が複雑化しやすいです。収支管理が複雑になると、思わぬミスや混乱を招き、事業の安定性を損なうリスクもあります。その場合は、会計ソフトの導入や税理士などの専門家への依頼が有効です。税理士に依頼すれば、節税に関するアドバイスなども受けられるでしょう。

関連記事:【税理士監修】2024年版|フリーランスに確定申告は必要?申告のメリットや方法、節税のポイント

多角経営のメリットやリスクを知ろう

個人事業主の多角経営は、単なる副業ではなく、将来的な事業成長や安定収入の構築を目指すための「戦略」です。もちろん、すべてがうまくいくわけではなく、失敗もあります。あらかじめリスクを理解した上で、事業計画や市場調査などの準備を入念に行い取り組みましょう。

事業の種類が異なる場合や規模が拡大していく過程で、帳簿の分け方、青色申告の扱い、消費税の課税区分など、税務・会計面での判断がより重要です。また、M&Aや業務提携の際にも法的・財務的なアドバイスが必要となるケースがあります。

そのような際には、信頼できる税理士に相談がおすすめです。小谷野税理士法人では、税務・財務面での相談やアドバイスも承っております。お困りごとやご相談はぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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