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会社設立の基礎知識

個人事業主で税務調査が入る金額の目安と確率は?どれだけ遡って調べられる?

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個人事業主の確定申告のイメージ

税務調査は、一定の収入がある個人に対しても行われる場合があります。基本的には税務署から事前に通知があったうえで実施されますが「個人の場合いくらから調査対象になるのか」「帳簿類はどこまで調べるのか」といった不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。税務調査は、適正に税務申告を行っていれば恐れる必要はありませんが、内容について事前に把握しておくことが重要です。そこで、この記事では個人に対する税務調査について、基礎知識や注意点などを詳しく解説していきます。

税務調査とは

税務調査の対象となる個人

税務調査とは、納税者が適正な税務申告を行っているかを税務署が調査することです。日本では「申告納税制度」が採用されており、所得税や法人税などの税額を、納税者自らが計算して申告・納付する必要があります。すべての納税者が正しく税金を納付できていれば問題ありませんが、税額の計算ミスをしてしまう場合や、虚偽の申告が行われる可能性もあります。そこで、申告内容にミスや偽りがないかを確認することを目的として、税務調査が行われているのです。

税務調査は、会社などの法人を対象に行われるというイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、個人事業主やフリーランスの方も対象となる場合があります。

なお、国税庁が発表した「令和2事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」を参照すると、「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得⾦額が⾼額な上位10業種」は以下のとおりとなっています。

順位

業種

1件当たりの申告漏れ所得⾦額

1件当たりの追徴税額

(含加算税)

1

プログラマー

4,927万円

716万円

2

畜産農業(肉用牛)

3,515万円

503万円

3

内科医

3,339万円

805万円

4

キャバクラ

2,834万円

864万円

5

太陽光発電

2,603万円

825万円

6

建築士

2,325万円

624万円

7

経営コンサルタント

2,268万円

477万円

8

小売業・犬

2,051万円

456万円

9

不動産代理仲介

1,804万円

614万円

10

商工業デザイナー

1,759万円

389万円

個人事業主に対して実施された税務調査のなかで、1件当たりの申告漏れ所得金額が最も大きかった業種は「プログラマー」という結果となりました。申告漏れ金額は4,927万円と、非常に高額な申告漏れが発生していることがわかります。申告漏れが発覚した場合、本来納める必要のない追徴税額も生じてしまうため、適正な申告を行うことが重要です。

インターネット取引を行っている個人も税務調査の対象

個人事業主やフリーランスの方以外に、インターネット取引を行っている個人にも税務調査が実施されるケースがあります。国税庁は積極的に税務調査を行う姿勢を打ち出しており、令和2事務年度では1,071件の実地調査が行われました。なお、令和2事務年度におけるインターネット取引を行っている個人の調査状況は以下のとおりです。

取引区分

件数

1件当たりの申告漏れ所得金額

ネットトレード

432件

2,456万円

ネット広告

50件

2,253万円

ネット通販等

208件

1,166万円

シェアリングビジネス

191件

1,208万円

デジタルコンテンツ

30件

1,572万円

その他

152件

1,966万円

相続税の申告を行った個人も税務調査の対象

相続財産の額が一定の基準を超える場合、相続税の申告・納付義務が発生します。この相続税を申告した方のうち、約30%もの割合で税務調査が実施されているのです。なお、令和2事務年度における相続税の調査実績は以下のとおりとなっています。

 

令和元事務年度

令和2事務年度

実地調査件数

10,635件

5,106件

1件当たりの申告漏れ課税価格

2,866万円

3,496万円

1件当たりの追徴税額

641万円

943万円

申告漏れ等の非違件数

9,072件

4,475件

簡易な接触件数

8,632件

13,634件

簡易な接触

1件当たりの申告漏れ課税価格

494万円

410万円

簡易な接触

1件当たりの追徴税額

48万円

47万円

令和2事務年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響によって実地調査の件数が大幅に減少しましたが、不正が見込まれる事案について優先的に税務調査が行われました。その結果、1件当たりの追徴税額は943万円と、過去10年間で最高額となっています。

また、文書や電話による簡易な接触も積極的に行われており、令和元事務年度における件数と比較しても大幅に増加しています。相続税は、事業や取引を行っていない方であっても納税義務が発生する場合があるため、申告の可能性がある方は十分に注意しましょう。

税務調査の種類

任意調査

税務調査には大きく分けて2種類あります。まず、税務署の職員が実施する「任意調査」です。税務調査の大半が該当するものであり、事前に電話で通知がされたのち帳簿などを調査されます。「任意」という言葉が含まれているものの、任意調査は法律で受忍義務が定められているため拒否することはできません。もし、納税者が正当な理由なく税務調査に応じない場合、1年以下の懲役または20万円以内の罰金が適用されてしまいます。

一般的には、事前通知があったうえで税務署職員と税務調査の日程を調整しますが、事前通知なしの「無予告調査」が実施されるケースもあります。無予告調査が実施されるのは、帳簿書類の改ざんや隠蔽といった不正行為の可能性がある場合など、国税通則法第74条の10に該当する場合です。ただし、無予告調査が実施された理由について税務署職員に確認し、通知したうえで後日あらためて税務調査を依頼できる場合もあります。

強制調査

強制調査とは、国税局査察部によって実施される税務調査です。裁判所の令状をもって強制的に行われ、悪質な脱税の疑いがある場合などに行われる一種の犯罪調査にあたります。立件を目的とした税務調査であるため拒否することは不可能であり、事前連絡なしに実施されます。

税務調査は個人でいくらから調べられる?

税務調査は、納税者が適正な税務申告を行っているかを確認するために実施されます。よって、税務申告を行う必要がない方は税務調査の対象とはなりません。個人で税務調査を受ける可能性があるのは、以下のような方が考えられます。

  • 個人事業主
  • 年間の副業収入が20万円を超える方
  • 相続税の申告をした方

年間の副業収入ですが、ネットオークションでの不用品販売などで、気づかぬうちに20万円を超える収入を得ている場合があるため要注意です。

また、個人で税務調査が入る可能性が高くなる目安として「課税売上高1,000万円以上」といわれることがあります。課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となることからそう考えられていますが、これは税務調査が入る明確な基準ではありません。課税売上高1,000万円以下であったとしても税務調査が実施されるケースは存在するため、準備を怠らないよう注意しましょう。

税務調査は個人の場合どこまで調べられるのか?7年遡って調べられるって本当?

税務調査が実施された場合、一般的には「過去3年分」まで遡って調査が行われるとされています。少額の申告漏れがあった場合などが該当しますが、1年~2年遡った段階で特に問題がなければ、その時点で調査が終了するケースもあります。

なお、国税通則法において税務調査は5年前まで遡及できると定められており、3年分の調査をした段階で問題が見つかれば、5年前まで調査される可能性が高いといえるでしょう。また、税金の徴収権と還付請求権にも、5年の期間制限が定められています。

では、7年前まで遡って税務調査が実施されることはないのでしょうか。これは、税務申告に「偽り、その他不正の行為」が見つかった場合に、7年前まで遡って税務調査が行うことが可能と定められています。つまり、悪質な脱税行為などが発覚した場合には、通常と異なる時効期間が適用されるというわけです。

よって、適正な税務申告を行っている場合や、少額の申告漏れ程度の問題であれば、7年前まで遡って税務調査が行われることはないといえるでしょう。しかし、帳簿類の保存期間は7年と定められています。税務申告に問題がなかったとしても、帳簿の保存ができていないことを指摘されないよう注意が必要です。

税務調査は個人の場合、いつ来る?

税務調査が行われる時期は特に決まっていませんが、一般的に3月の確定申告が終わった4月~5月頃に実施される傾向にあります。そのほか、税務署や国税局の人事異動が終わる7月~11月頃も多いとされています。明確な決まりがあるわけではないため、いつ税務調査が入ってもいいように、日頃から準備しておくことが大切です。

税務調査が個人に入る確率はどれくらい?

年間で税務調査を実施した件数について、国税庁が毎年データを公表しています。税務調査が実施される確率は「実調率」から確認することができ、個人事業主が主に対象となる所得税の実調率は約1%となっています。ただし、この数字はあくまで税務申告されたものに対する実調率です。税務申告をしていない個人事業主への税務調査も別途行われているため、実質的な割合は1%よりも高くなると考えられるでしょう。

税務調査が入りやすい個人事業主の特徴とは

申告をそもそもしていない

税務調査が入りやすい個人事業主の特徴として、まず税務申告をしていないことが挙げられます。税務調査は税務申告の内容をチェックするものであり、申告自体をしていなければ税務調査の対象とならないと考える方がいるかもしれませんが、残念ながらそうではありません。

なぜなら、「反面調査」によって申告漏れが発生する場合などがあるからです。この反面調査とは、取引先の税務申告などによって自分の売上高が発覚し、税務調査が実施されることを指します。つまり、自分が税務申告を行っていなければ税務調査が実施されないという認識は、誤りといえるでしょう。

売上に不審な数字が記載されている

売上に不審な数字が記載されていると判断された場合も、税務調査が実施される可能性が高くなります。なぜ不審な数字が発覚するかというと、取引先の会社が税務署に「支払調書」を提出する場合があるからです。この支払調書には、その会社が1年間に行った取引の合計額が記載されているため、自分の売上も判明してしまいます。よって、売上を過少に申告している疑いがあるとされ、税務調査が入る可能性が高くなります。

経費に不審な数字が記載されている

税務調査は売上に関することだけではなく、経費に関しても不審な点があれば実施される可能性があります。例えば、個人事業主が自宅を事務所としても使用している場合、事務所として使用している一室分を「地代家賃」として計上することが可能です。しかし、家賃の全額を経費として計上することはできません。また、事業とはあまり関係のない経費が多額に計上されている場合も、不審に思われる可能性が高くなります。

売上が大きく伸びている

売上が大きく伸びている場合、修正箇所も増加していると考えられることから税務調査が実施される場合があります。修正箇所が増えるほど申告漏れや修正申告の可能性が高くなるため、税務署が税務調査を実施する意味も大きくなります。税務署の職員数は限られているため、申告漏れなどの可能性が高い事業者を優先して税務調査が実施されることになるのです。

税務調査が個人に入った場合の対策

領収書は事前に整理しておく

上述のとおり、領収書などの帳簿類は7年間保存しておかなければなりません。書類によっては5年間の保存で足りるものもありますが、区別が曖昧になる危険性があるため、すべての書類を7年間保存しておくことをおすすめします。なお、帳簿をデータで保存しておくことも認められていますが、その場合は税務署に申請書を提出しておく必要があるため注意しましょう。

誠実な対応を心がける

税務調査というと「何か不正の疑いを持たれている」と、不快に感じる方が多いかもしれません。しかし、税務調査は申告漏れや不正の疑いがある個人のみを対象としているわけではありません。適正な税務申告を行っている方や、納税金額がゼロになる可能性がある方に対しても実施されるケースがあるのです。税務調査を過剰に恐れる必要はなく、税務署からの連絡には誠実な対応を心がけましょう。

税理士に相談する

税務調査の対応が不安な場合は、税理士に立会いを依頼することも可能です。税理士に依頼することで当日の対応はもちろん、税務調査までにどのような準備をしておくべきかについてもアドバイスをもらうことができます。また、税理士が立ち会うかどうかによって税務調査の結果に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。税務調査の通知があった場合は、できる限り税理士に相談することをおすすめします。

税務調査が個人に入った場合には専門家へ相談して対策を実施すべき

きちんと税務申告を行っている場合でも、さまざまな理由で税務調査が入る場合があります。何も後ろめたい事実がなかったとしても、いざ税務調査が実施されるとなると不安になるのは仕方ありません。また、事業規模が大きくなると申告内容も複雑になるため、修正箇所が増加する可能性が高くなります。個人に対して税務調査が入った場合は速やかに専門家へ相談し、対策を検討していきましょう。

この記事の監修者

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今野 靖丈

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