確定申告の際に源泉徴収票が手元にない場合、不安を感じる会社員や個人事業主も多いのではないでしょうか。この記事では、確定申告の際に源泉徴収票が必要な方や未着・紛失などの対処法について、詳しく解説します。税にまつわるペナルティやリスクを未然に防ぐためにも、ぜひ参考にしてください。
目次
確定申告に源泉徴収票は必要?
確定申告の時期が近づくと、源泉徴収票が手に入らなかったり、会社から送られてこなかったりと、お悩みや不安を抱えている方が多くいます。とはいえ、そもそも確定申告で源泉徴収票は本当に必要なのでしょうか?この章では、確定申告時の源泉徴収票の必要性について解説します。
確定申告書の作成時は源泉徴収票が必要
源泉徴収票は、確定申告書を作成する際に必要です。源泉徴収票には、会社から支払われた給与所得や源泉徴収税額などが記載されています。正しい確定申告書を作成するには、源泉徴収票に記載されている詳細な情報を漏れなく記入しましょう。
源泉徴収票が手元にない場合、次のような問題が生じてしまいます。
- 正確な給与所得を把握できず、確定申告書の誤記入が発生
- 所得税の徴収額を確認できず、誤った支払金額を申告してしまう
確定申告書の作成をスムーズに終わらせるために、できるだけ早く源泉徴収票を手に入れるのがおすすめです。もし、会社から源泉徴収票がまだ発行されていない場合は、速やかに勤めていた会社の人事部や経理部門に連絡し、発行を依頼してください。
確定申告提出時は源泉徴収票は不要
確定申告書の提出時に、源泉徴収票を添付する必要はありません。とはいえ、確定申告後も、源泉徴収票やコピーは破棄せず保管しておきましょう。万が一、税務署から申告内容の確認をされた場合、源泉徴収票をもとに迅速に対応できるはずです。
特に、還付金の申請をする際には、給与所得や源泉徴収額の確認が必要です。紛失に注意して保管しましょう。
参考:【確定申告・還付申告】
関連記事:【税理士監修】確定申告のやり方ガイド!いつからいつまでの収入?郵送のケースや必要書類・マイナンバーカードについて
源泉徴収票が交付されていない場合の対処法
確定申告の時期が近づくと、源泉徴収票をはじめとした必要書類の準備をし始める方も多いはずです。しかし、会社が源泉徴収票の交付を怠った場合、手元に源泉徴収票がない状況で確定申告を行わなければなりません。一体、どのように対処すれば良いのでしょうか?
まずは会社に発行を依頼する
手元に源泉徴収票がない場合、まずは会社に源泉徴収票の発行を依頼しましょう。多くの場合、会社の担当者が忘れていたり、発行手続きが遅れていたりします。会社に対してメールや電話での連絡はもちろん、会社の総務部や経理部に直接問い合わせるのも効果的です。
発行を断られたら「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する
万が一、会社から源泉徴収票の発行を断られたり、発行期限を過ぎても手元に届かなかったりした場合は、税務署に源泉徴収票不交付の届出書を提出できます。源泉徴収票が交付されなかった事実を税務署に知らせる書類です。提出後、税務署から会社に指導が行われる可能性があります。
届け出の際は、最寄りの税務署で源泉徴収票不交付の届出書を入手し、必要事項を記入して提出しましょう。提出後は、一時的に確定申告の代替措置が提供される可能性があります。確定申告の期限は厳守する必要があるため、書類が揃わない場合でも、可能な限りの手続きを行い、申告の準備を進めましょう。
関連記事:【税理士監修】年末調整と確定申告の違いとは?両方が必要なケースや適用される所得控除を解説!
源泉徴収票を紛失した場合の対処法
「確定申告の準備中に、うっかり源泉徴収票を紛失してしまった」そんな方もいるはずです。源泉徴収票を再取得する方法はいくつかあるため、焦らず対処しましょう。源泉徴収票を紛失していない方も、万が一のために再取得の方法を事前に確認しておくのをおすすめします。
PDFやデータで受け取っていないか再度確認
近年、多くの企業が電子データで源泉徴収票を交付しています。紙の源泉徴収票を紛失した場合、PDF形式やデータとして受け取っている可能性もあります。以下の場所を確認しましょう。
会社のメール:源泉徴収票が送信されているメールがないか、受信トレイや重要なメールフォルダを確認しましょう。
会社のポータルサイト:従業員用のポータルサイトにログインして、源泉徴収票がダウンロードできるセクションを探しましょう。
クラウドストレージ:会社がDropboxやGoogle Driveなどのクラウドストレージを利用している場合、そちらに保存されている可能性もあります。関連するフォルダを探しましょう。
上記の確認作業を行ったうえでも源泉徴収票が見つからない場合、次の対処法を検討するのをおすすめします。
会社に再発行してもらう
電子データでも源泉徴収票が見つからなかった場合、会社に再発行を依頼するのが最も確実な方法です。再発行の依頼方法については、以下の手順を参考にしてください。
まず、給与担当者または総務部に電話やメールで連絡し、源泉徴収票を紛失したことを伝え、再発行を依頼しましょう。会社によっては、再発行申請書の提出をはじめとした手続きが発生する場合があります。手続きには身分証明書が必要なケースもあるため、準備しておくとスムーズに進められるでしょう。
再発行には通常、数日から一週間程度かかります。源泉徴収票の紛失に気づき次第、早めに再発行の申請をし、確定申告の期限に間に合うよう用意してください。万が一、会社が再発行に対応してくれない場合は、税務署や税理士に相談するのもおすすめです。
どうしても源泉徴収票を発行してもらえない、または会社が倒産している場合は?
確定申告に必要な源泉徴収票が手に入らない方で、会社が倒産している場合や、再発行依頼をしても貰えない場合にはどうしたら良いのでしょうか?いくつかの対処法があるため、必要な対応を確認し、確定申告を無事に終わらせましょう。
会社が倒産していたら破産管財人へ
万が一、勤務先の会社が倒産した場合、最初に破産管財人に連絡を取ってください。破産管財人とは、会社の資産を整理し、債権者に分配するため裁判所から選任された人物です。破産管財人は、従業員への未払い給与や源泉徴収票の発行に関する責任を負う必要があります。
具体的には、以下の手順で連絡を取るのをおすすめします。
- 会社が倒産した時点で、どの弁護士が破産管財人に任命されているかを把握します。通常、倒産した会社の連絡先や官報などの公的な情報に記載されているはずです。
- 破産管財人に連絡を取り、源泉徴収票の発行を依頼します。必要であれば、自分の勤務期間や給与の証拠となる書類を準備しましょう。
源泉徴収票の再発行手続きは、破産管財人が対応できない場合もあります。その際は、管轄の税務署に直接相談し、今後の手続きの流れを案内してもらうと良いでしょう。
最終的には税務署に直接相談する
破産管財人に連絡しても源泉徴収票が発行されない場合や、破産管財人が見つからない場合には、税務署に直接相談しましょう。税務署に相談する際には、以下のポイントを押さえておくとスムーズに対応してもらえます。
まず、申告内容の確認に必要となる会社名や所在地、倒産した場合はその時期などの情報を準備してください。また、収入を正確に証明するため、給与明細や振込明細などの収入証明書類を全て揃えて持参しましょう。
次に、事情を詳しく説明し、源泉徴収票が手元にないため確定申告が困難である旨を説明します。税務署が代替手段を提供してくれる場合があるため、遠慮せずに相談するのをおすすめします。
以上の手順を踏めば、源泉徴収票が手元になくても確定申告を行えます。ぜひ参考にして、適切な対処を行ってください。
関連記事:【税理士監修】支払調書と源泉徴収票|その違いと使い方を徹底解説!
確定申告は給与明細でも対応できる?
確定申告には、一般的に源泉徴収票が必要です。とはいえ、特定の状況下では、給与明細を使用した確定申告も可能です。
給与明細には、所得金額や控除額など確定申告に必要な情報が詳細に記載されています。給与明細に記載されている情報を漏れなく記入すれば、源泉徴収票がない場合も正確な確定申告が行えるでしょう。スムーズな確定申告のために、給与明細を整理し、月や年ごとの金額を事前に確認しておきましょう。
関連記事:【税理士監修】個人事業主が確定申告を税理士に依頼するには?料金相場や依頼するメリット・デメリットも解説!
確定申告を効率的にミスなく終わらせたい場合は税理士に相談しよう
確定申告は多くの情報を記入する必要があるため、専門知識を持つ税理士に相談するのがおすすめです。迅速かつ正確な申告手続きが可能になり、時間の節約とミスの防止が期待できます。また、税理士のアドバイスを受けることで、源泉徴収票がない場合の対処法も明確になります。確定申告をスムーズに終わらせたい方は、小谷野税理士法人へのお問い合わせを検討してみてください。