確定申告を行う際に、どの所得がどの区分になるのか迷う人は少なくありません。なかでも、一時所得と雑所得は混同されがちな所得です。本記事では、一時所得と雑所得の違いや10種の所得区分について解説しています。また、一時所得の確定申告の必要性についても併せて紹介しています。一時所得と雑所得の違いや所得区分について知りたい方はぜひ本記事を参考にしてください。
目次
所得は10種類に分けられる
- 給与所得
- 事業所得
- 不動産所得
- 退職所得
- 配当所得
- 利子所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
給与所得や不動産所得などは字面からもどのような所得なのか連想できますが、一時所得や雑所得に関してはどのようなものが該当するのか連想しづらく、確定申告などの際に頭を悩ませる方は少なくありません。
以下では、一時所得や雑所得とは具体的にどのような所得なのか、この2種にはどのような違いがあるのかについて解説していきます。
一時所得とは
一時所得とは営利目的ではない一時的な所得のことを指します。たとえば、競馬などで得た払戻金や懸賞で当たった賞金、生命保険などの満期払戻金などが一時所得に該当します。労働の対価として得た所得は一時所得には該当しないため注意しましょう。
例えば、イベントで講演を行い謝礼をもらった場合は、講演という行為に対して支払われた報酬であるため一時所得とはなりません。また、株式の売却や不動産の売却によって得た所得は一時的な所得ではありますが、資産の譲渡によって得た所得であるため譲渡所得に該当します。
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混同されがちな雑所得との違い
一時所得と雑所得は混同されがちですが、一時所得が営利目的ではない一時的な所得を指すのに対し雑所得は他の9種の所得区分いずれにも該当しない所得のことを指します。
具体的には、副業によって得た所得や公的年金などが雑所得に分類されます。雑所得の金額は、(公的年金などによる収入-公的年金等特別控除)+(公的年金以外の収入-必要経費)で計算し、通常は他の所得と合算して税額を計算することになっています。
また雑所得は基本的に確定申告が必要な所得です。ただし、副業の報酬として雑所得を得ており、給与所得以外の所得が雑所得のみ、かつ雑所得が20万円以下の場合は確定申告は不要です。
一時所得に確定申告は必要?
毎年2月16日から3月15日の間に行う確定申告ですが、一時所得については所得が年間50万円を超えると確定申告が必要となります。
一時所得の控除額は50万円となっているため、一時所得が50万円以下の場合は確定申告の必要はありません。また、宝くじの払戻金や損害保険の一時金、サッカーくじの払戻金に関しては課税されないことになっています。したがって、たとえ一時所得が50万円を超えていても、控除分を差し引いて50万円以下になれば確定申告を行う必要はありません。
一時所得の計算方法
一時所得の金額は、以下の計算式で求めます。
一時所得による収入-一時所得のための支出-特別控除額50万円 |
一時所得のための支出とは、競馬で払戻金を得た馬券の購入費用などが該当します。
例えば、一時所得による収入が120万円、一時所得のための支出が15万円の場合は120万円-15万円-50万円=55万円となります。
一時所得は、その所得金額の2分の1に相当する金額に対して税金が課せられます。
一時所得に課される税金の計算方法
一時所得に課される税金は、他の所得と合算して計算する総合課税で算出します。課税所得金額は、一時所得×1/2 +その他の所得の合計金額で求められ、この金額に所得税率をかけ、控除額を差し引くことで税額が決定します。所得税率は、国税庁のHPに掲載されている速算表を用いることでスムーズに計算が可能です。
課税される所得金額
税率
控除額
1,000円 から 1,949,000円まで
5%
0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで
10%
97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで
20%
427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで
23%
636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで
33%
1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで
40%
2,796,000円
40,000,000円 以上
45%
4,796,000円
※平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。
先ほどの例を用いて一時所得の金額は55万円、その他の所得の合計額を750万円とすると、課税所得金額の算出は以下のようになります。
55万円×1/2 + 750万円=777万5,000円 |
この課税所得金額となる777万5,000円の所得税率は23%、控除額は63万6,000円になります。ここから控除分を差し引いて所得税を算出します。
777万5,000円×23%-63万6,000円=115万2,250円 |
復興特別所得税を含めない場合、所得税は115万2,250円を納めるということになります。
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一時所得と雑所得の違いや確定申告の有無について理解しよう
所得には、給与所得、事業所得、不動産所得、退職所得、配当所得、利子所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得という10種の区分があり、特に一時所得と雑所得は混同されやすい所得となっています。
一時所得は営利目的ではない一時的な所得という枠組みですが、雑所得は他の9種の所得のいずれにも当てはまらないという違いがあります。また、確定申告に関しては一時所得は年間50万円超で必要となり、雑所得に関しては基本的には確定申告が必要となっています。ただし、例外もあるため本記事を参考に確定申告の有無について確認しておきましょう。