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自社株の配当金には税金がかかる?税額の算出方法も解説

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自社株の配当金には税金がかかる?税額の算出方法も解説

自社株の配当金に税金が発生するのか、疑問に思う人は少なくありません。本記事では、自社株の配当金にかかる税金の概要や、税額の算出方法について解説しています。自社株を取得している方や自社株の配当金にかかる税金について知りたい方はぜひ本記事を参考にしてください。

自社株の配当金の取り扱い

自社株によって得た配当金は配当所得として取り扱われます。配当所得とは、株主が会社から受け取る利益の配当や余剰金、投資法人からの金銭の分配や投資信託などに関する所得のことです。配当所得は、 収入金額-株式を取得するための借入金の利子で求められます。

自社株によって得た利益には税金が発生し、株を所有している人はその税を納めなくてはなりません。

参考:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)|国税庁

配当所得にかかる税金と課税方式

配当金領収書

すでに解説しましたが、自社株の配当金は配当所得として取り扱われます。配当所得には所得税と住民税が課税され、基本的には総合課税で税額が算出されます。しかし、上場株式の場合は総合課税のほかに申告分離課税が選択可能です。

以下では、それぞれの課税方式について詳しく解説していきます。

総合課税とは

総合課税とは、1年間で得た全ての所得を合算した金額に対して課税する課税方式です。配当所得にかかる所得税は、累進課税となっており所得が多いほど税額も多くなります。総合課税の対象となるのは、以下に挙げられる所得です。

  • 利子所得(国外で支払われる預貯金などの利子など)
  • 配当所得(申告分離課税を選択したものを除く)
  • 不動産所得
  • 事業所得(株式等の譲渡による事業所得は除く)
  • 譲渡所得(土地建物や株式等の譲渡による所得は除く)
  • 給与所得
  • 一時所得(源泉分離課税になるものを除く)
  • 雑所得(源泉分離課税になるものを除く)

上記からも分かるように、申告分離課税を選択したものを除く配当所得には総合課税が適用されます。

申告分離課税とは

申告分離課税とは、他の所得とは合算せずに税額を算出する課税方式です。この方式では自社株の配当金と他の所得とを分離して税額を算出し、確定申告によって納税します。申告分離課税方式が適用される所得の一例に、以下のような所得が挙げられます。

  • 山林所得
  • 上場株式の配当所得
  • 退職所得
  • 土地建物等の譲渡による譲渡所得
  • 利子所得(総合課税になるものを除く)

上記に挙げた通り、上場株式の配当所得においては申告分離課税が選択できます。

参考:No.2220 総合課税制度|国税庁

参考:No.2240 申告分離課税制度|国税庁

配当金の税金の算出方法

既出の通り、自社株の配当金には所得税と住民税が課税され、その課税方法は上場株式か否かによって選択の幅が異なります。国税庁のHPでは、配当金にかかる税金の税率について次のように記載しています。

配当所得は、配当等の支払の際に次に掲げる株式等の区分に応じて所得税等が源泉徴収されます。源泉徴収された所得税等は、原則として、その年分の納付すべき所得税額等を計算する際に差し引きます。

(1)上場株式等の配当等の場合(大口株主等が支払いを受ける上場株式等の配当等を除きます。)

15.315パーセント(他に地方税5パーセント)の税率により所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。

(注1)発行済株式の総数等の3パーセント以上に相当する数または金額の株式等を有する個人(以下「大口株主等」といいます。)が支払を受ける上場株式等の配当等については、この軽減税率適用の対象となりませんので、次の(2)により源泉徴収されます。

(注2)平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に支払を受ける配当等については、所得税とともに復興特別所得税が源泉徴収されます。

(2)上場株式等以外の配当等の場合(大口株主等が支払いを受ける上場株式等の配当等を含みます。)

20.42パーセント(地方税なし)の税率により所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。

出典:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)|国税庁

以下では、総合課税方式と申告分離課税方式それぞれの税金の算出方法について具体例を基に解説していきます。

総合課税の場合

総合課税の場合の配当所得の税額は課税所得に応じた税率で計算します。例えば、配当金の課税所得が800万円だった場合は、約41万円の所得税です。総合課税の場合、配当控除を受けることが可能です。

申告分離課税の場合

申告分離課税の場合の配当所得の税額は配当金の金額×15.315%で計算します。例えば、配当金が20万円だった場合は、20万×15.315%=30,630となるため30,600円の税金を納めなくてはなりません。

参考:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)|国税庁

参考:No.2220 総合課税制度|国税庁

参考:No.2240 申告分離課税制度|国税庁

自社株の配当金に確定申告は必要?

受取配当金の益金不算入に関する明細書

株式を証券会社で管理していない場合、自社株の配当金に係る税金は自分で確定申告をして納めなくてはなりません。しかし、一定の条件を満たすことで確定申告が不要になります。この制度を確定申告不要制度と呼び、具体的には以下の条件に当てはまるものは確定申告が不要とされています。

  • 少額配当に該当する
  • 上場株式等の配当等および投資法人からの金銭の分配に該当する

少額配当とは、1回に支払われる配当金が10万円×配当計算期間の月数÷12よりも少ないケースのことを指します。しかし、配当計算期間が1年以上になる場合は12ヵ月として計算します。加えて、配当計算期間の中に1ヵ月に満たない端数がある場合は1ヵ月として計算しなくてはなりません。

上場株式等の配当等および投資法人からの金銭の分配に当てはまる場合は、配当金の金額に関係なく確定申告は不要です。しかし大口株主等が支払を受ける場合は、確定申告が必要になるため注意しましょう。

確定申告不要制度を利用するか否かは、1回に支払われる配当金ごとに選択できます。なお、この制度を利用する配当所得に係る源泉徴収税額は、その年の所得税額から差し引くことはできないため留意しておきましょう。

参考:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)|国税庁

関連記事:確定申告に税理士に頼む際の費用とは?相場と費用対効果を知ろう

自社株の配当金にかかる税金について理解を深めよう

自社株によって得た配当金は配当所得として扱われ、所得税と住民税が発生します。配当所得の課税方式は総合課税と申告分離課税の2種類があり、非上場株式では総合課税、上場株式では総合課税もしくは申告分離課税のどちらかを選択できます。総合課税の場合の税率は所得によって異なり、所得が増えると税率も高くなります。申告分離課税の場合は15.315%と税率も異なるため注意が必要です。

基本的に、株式を証券会社で特定口座の源泉徴収ありで管理している場合は源泉徴収が行われるため確定申告は必要ありません。しかし、株式を一般口座や源泉徴収がされない特定口座で管理している場合は確定申告が必要になります。また、一定の条件を満たすことで確定申告不要制度が利用できるため、制度内容を確認しておくと良いでしょう。

税金についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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