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【税理士監修】インボイス制度が海外取引に与える影響とは?海外仕入れにも適用される?

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【税理士監修】インボイス制度が海外取引に与える影響とは?海外仕入れにも適用される?

インボイス制度とは、インボイス(適格請求書)発行事業者から仕入れた商品やサービスの消費税額のみを仕入税額控除として認める制度です。インボイス制度は国内取引だけに影響すると思われるかもしれませんが、実際には海外取引にも影響をおよぼします。海外取引は取引内容によって消費税が課税か免税か決まるので、取引ごとにインボイス制度への対応を確認していきましょう。本記事では、インボイス制度が海外取引に与える影響を解説します。

インボイス制度とは

インボイスと海外取引のイメージ

インボイス制度とは、インボイス(適格請求書)発行事業者から仕入れた商品やサービスの消費税額のみを仕入税額控除として認める制度です。仕入れ税額控除に必要になる適格請求書は、適格請求書発行事業者として登録した課税事業しか発行できません。

そのため、これまでは免税事業者だった個人事業主や法人も適格請求書発行事業者になるかの選択しなければなりません。インボイス制度については、下記の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご参考ください。

関連記事:【税理士監修】インボイス制度とは?中小企業にとっての影響と導入時の注意点やメリット・デメリット

出典:「令和5年10月からインボイス制度が開始!事業者間でやり取りされる「消費税」が記載された請求書等の制度です」政府広報オンライン

海外のインボイス導入状況

インボイス制度は日本だけの制度ではなく、イギリスやドイツなどのEU諸国やシンガポール、オーストラリアでも導入されています。近年ではインボイスの電子化が進み、各国の制度でも下記の点が共通しています。

  • 適格請求書の保存が必要である
  • 適格請求書に記載されている税額が控除される
  • 適格請求書には「付加価値税番号」「適用税率」「税額など」が記載されなければならない

今後もインボイス制度や電子インボイスの導入は進み、電子インボイスの国際規格である「Peppol」の採用も進んでいくはずです。

出典:「主要国の付加価値税におけるインボイス制度の概要」財務省

インボイス制度が海外取引に影響するケース・しないケース

インボイスと海外取引のイメージ

インボイス制度は国内取引だけでなく、海外からの輸入に影響をおよぼす場合もあるので注意しなければなりません。インボイス制度が海外取引に影響するケースと、影響しないケースを解説していきます。

海外取引に影響するケース

取引先が事業を行う場所(PE)が日本国内にある場合、消費税の課税対象となるため売り手は適格請求書を発行しなければなりません。PEとは、Permanent Establishmentの略であり恒久的施設とも呼ばれ、海外法人の日本支店や日本の工場などが該当します。

また、海外取引に対して消費税が課税されるかは、内外判定が用意されています。下記に該当する場合は国内取引に該当し消費税がかかる仕組みです。

  • 資産の譲渡や貸付を行うとき、その資産が国内にあるかどうか
  • サービスの提供を行うとき、実施場所が国内かどうか

なお、内外判定によって国外取引であると判断されたとしても、下記のケースでは日本の消費税が課税される場合があるので注意しなければなりません。

  • 海外事業者と国内で取引する場合
  • 海外事業者の資本金が1,000万円以上の場合
  • 海外事業者の基準期間(前々年もしくは前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合

出典:「国外取引」国税庁

出典:「非居住者及び外国法人の申告・届出の方法」国税庁

海外取引に影響しないケース

消費税の内外判定で国外取引と判定されるケースでは、消費税は課税されないため、インボイス制度が影響をおよぼすことはありません。

海外取引におけるインボイス制度の影響は消費税の内外判定を中心に判断できますが、実際の取引時に対応方法に迷ってしまうケースもあるでしょう。次の章では、ケース別に海外取引時のインボイス制度への対応方法を解説します。

【ケース別】海外取引時のインボイス制度への対応方法

インボイスと海外取引のイメージ

海外事業者から輸入する際には、海外事業者から直接輸入する場合と国内事業者に代行してもらうケースでは、インボイス制度への対応が異なるので注意しなければなりません。本章では、特に注意が必要な下記の取引時にどんな対応をすべきかそれぞれ解説していきます。

  1. 海外から直接輸入するケース
  2. 海外からの輸入を国内事業者が代行するケース
  3. 海外事業者が課税事業者であるケース
  4. 海外事業者が免税事業者であるケース
  5. 輸入申告名義人と実質的な輸入者が異なるケース
  6. 輸入業者が輸入取引を行うケース
  7. 海外へ輸出するケース
  8. 日本国内で営業している外国法人と海外取引するケース

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

海外から直接輸入するケース

取引場所や輸入する商品、サービスの所在が国外にある場合、消費税は課税されないため、適格請求書は不要です。先ほど解説したように国外取引と判定されれば、消費税は課税されないからです。

一方で、下記のいずれかが国内にある場合は、国内取引に該当し消費税がかかるため、適格請求書が必要です。

  • 取引場所
  • 輸入する商品
  • サービスの所在

なお、保税地域から貨物を仕入れる輸入取引に該当する場合は、輸入許可通知書がインボイス制度の適格請求書と同様の役割を持ちます。そのため、輸入許可通知書を使用すれば仕入税額控除を適用可能です。

海外からの輸入を国内事業者が代行するケース

海外から商品を輸入する場合、海外事業者と直接取引をするのではなく国内事業者が代行するケースもあるでしょう。国内事業者が商品の輸入を代行する場合は、下記によって消費税の扱いが決まります。

  • 仕入れる商品の所有権がどこにあるか
  • 所有権を持つ事業者が課税事業者か免税事業者のどちらに該当するか

たとえば、海外事業者が課税事業者である場合、国内事業者が仕入税額控除を適用するには海外事業者に適格請求書を発行してもらわなければなりません。海外からの輸入を国内事業者が代行するケースでは、インボイス制度への対応が非常に複雑です。仕入税額控除を適用するためにも、税理士にインボイス制度の対応について相談するのが良いでしょう。

輸入申告名義人と実質的な輸入者が異なるケース

海外からの輸入取引では、輸入品を受け取る事業者は輸入許可通知書が適格請求書と同様の効力を持つため、仕入税額控除を適用可能です。しかし、「実質的な輸入者」と輸入許可通知書に記載されている「輸入申告名義人」と異なる場合が実際の取引にはあります。

たとえば、輸入を代行した国内業者が、輸入申告名義人として取引を行うケースもあるでしょう。この場合、国内の代行業者から代行手数料だけでなく消費税も請求されますが、自社が輸入申告名義人ではないため、仕入税額控除を適用することはできません。

このように、輸入代行業者に依頼する場合は、輸入申告名義人は誰になるのか事前に確認しておく必要があります。

出典:「輸入取引に係る輸入手続を委託した場合の仕入税額控除の取扱いについて」国税庁

出典:「第11章 仕入れに係る消費税額の控除」国税庁

海外へ輸出するケース

海外へ輸出する際には、免税取引に該当するため自社が適格請求書を発行する必要はありません。

日本国内で営業している外国法人と取引するケース

日本国内で商品の販売やサービス提供を行っている外国法人と取引する場合、国内取引として判定されるため消費税の納税義務が発生する可能性があります。そのため、日本国内で営業している外国法人と取引する場合、外国法人に適格請求書を発行してもらう必要があります。

海外取引時のインボイス対応は専門家である税理士に相談を

インボイスと海外取引のイメージ

国外取引では消費税がかからないため、海外取引をしても外国法人に適格請求書を発行してもらう必要はありません。ただし、取引場所や商品、サービスの所在地によって国内取引と判定された場合は、消費税がかかり外国法人に適格請求書を発行してもらう必要があります。

また、海外から直接商品を輸入するのではなく、国内事業者に輸入代行してもらう場合はインボイス制度への対応がさらに複雑になります。取引ごとにインボイス制度の対応を確認する、事務手続きを行うのは非常に手間がかかり、事業や業務に大きな影響をおよぼすでしょう。

インボイス制度に関する疑問や困りごと、不安に関しては、税理士に相談するのがおすすめです。具体的には、下記の内容について相談できます。

  • インボイス制度の概要や仕組みに関する質問
  • 適格請求書の作成・発行に関する相談
  • 免税事業者からの仕入れへの対応に関する相談
  • インボイス制度への対応に関する経営計画の策定に関する相談

「インボイス制度について、どこの誰に相談したらいいかわからない」という方は、まずは「小谷野税理士法人」にご連絡ください。中小企業庁や税理士などの専門家のサポートを活用しながら、制度の詳細や特例措置などの内容を確認し、ビジネスの継続性と成長を保つ提案を行えます。

この記事の監修者
今野 靖丈小谷野税理士法人 税理士
1997年中央大学経済学部卒業後、東京国税局に入所しました。法人の税務調査の現場では税の議論だけでなく、企業の経理体制の優れた点の説明や、改善すべき点をアドバイスしてきました。国税徴収に関わる部門では、多くの中小企業の経営者、個人事業主と財務に関わる面談をし、資金操計画の作成アドバイスを行ってきました。
会計・財務・税務に関する様々な相談に対応し、提案をすることをライフワークと考えています。お気軽にご増段下さい。
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