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【税理士監修】法人税申告書とは?別表の概要や必要書類、作成手順まで詳しく解説!

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【税理士監修】法人税申告書とは?別表の概要や必要書類、作成手順まで詳しく解説!

法人税申告書とは、法人が事業年度の所得に基づいて納める法人税について、その税額を計算して提出する書類のことです。法人税申告書は「別表」と呼ばれる複数の書類で構成されています。別表の種類や内容は、法人の規模や業種、取引の内容によって異なります。法人税申告書の作成は、法人の経営状況や税務上の問題点を把握するためにも重要です。この記事では、法人税申告書の作成手順や種類、提出方法について、わかりやすく解説します。

法人税申告書とは?

法人税申告書とは、法人が事業年度ごとに行う税務手続きに関する書類のことです。法人は、所得に対して課せられる法人税の額を計算し、税務署に申告書を提出する義務があります。個人の確定申告書と同じようなものと考えていただければわかりやすいでしょう。

法人税申告書は、e-taxというインターネットを利用した電子申告システムで作成・提出できます。e-taxを利用すると、申告書の作成や提出が簡単になり、税務署に直接持っていったり、郵送したりといった手間が不要になります。e-taxを利用しない場合は、税務署で配布されている紙の申告書を手書きで作成したり、郵送または持参で提出したりする必要があります。

法人税申告書は国税庁のホームページからもダウンロードできます。また「確定申告書等作成コーナー」では、画面の指示にしたがって金額等を入力することにより確定申告書を直接作成できます。このコーナーで作成した申告書は、そのまま税務署に提出できますので、ぜひご活用ください。

参考:国税庁|令和5年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和5年4月1日以後終了事業年度等分)

参考:国税庁|確定申告書等作成コーナー

法人税申告書の提出期限

法人税申告書の提出期限は、法人の決算日から2ヶ月以内です。たとえば、決算日が3月31日の法人は、5月31日までに申告書を提出しなければなりません。ただし、5月31日が土日祝日で税務署が閉庁している場合は、翌営業日が提出期限となります。

法人税申告書の提出期限は、厳守が求められます。提出期限を過ぎても申告しない場合や、提出期限を過ぎてから申告する場合は「期限後申告」とみなされ、無申告加算税や重加算税、延滞税などの追加税が課せられる可能性があります。また、納付期限までに納付しない場合や、納付額が不足している場合は、財産の差し押さえなどの滞納処分を受ける可能性もあります。

法人税申告書の提出期限を守るためには、事前に必要な書類や情報を準備し、申告書の作成に十分な時間を確保することが大切です。また、やむを得ない事情で提出期限に間に合わない場合は、税務署に相談し、申告期限の延長を申請できます。申告期限の延長を受けるには、法令で定められた要件を満たす必要がありますので、詳しくは税理士や、管轄の税務署にお問い合わせください。

法人税申告書の作成でお困りなら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」にご相談ください。

参考:国税庁|確定申告書の提出期限

法人税申告書(別表)の種類

法人税申告書は、単に所得と納税額を記入するだけではありません。法人の経営状況や財務内容を詳細に開示する必要があります。そのため、法人税申告書には「別表」と呼ばれるさまざまな明細書が付属しています。

法人税申告書には「確定申告書」と「明細書」の2種類の書類が必要です。確定申告書は、法人の所得や納税額を簡潔に記載する書類で、別表1と呼ばれています。明細書は、確定申告書の補足として、法人の経営状況や財務内容、特別控除の適用などを詳細に記載する書類で、別表1から別表20までの20種類があります。

別表の中には「別表3(1)」「別表3(2)」のように、付表と呼ばれるさらに細かい明細書が含まれます。付表も合わせるとその数は約100種類にものぼりますが、すべてを作成する必要はありません。法人の種類や規模、事業内容、決算期によって異なりますが、別表1・別表2・別表4・別表5(1)・別表5(2)は、どの企業でも必ず提出が求められます。

決算内容によって、法人税申告の際に提出する別表の種類が異なりますが、別表の種類や作成手順については、後述します。ここでは、特に重要な別表1から別表7までの概要と注意点を解説します。

参考:国税庁|令和4年4月から令和5年3月の間に提供した法人税等各種別表関係(令和4年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分)

別表1:各事業年度の所得に係る申告書(法人税申告書)

別表1は、法人税申告書の中核となる書類です。「確定申告書」と呼ばれており、法人の基本情報や所得の金額、納税額の計算などを記入します。別表1には、青色申告書と白色申告書の2種類がありますが、ここでは、普通法人等の青色申告について説明します。

別表1は、期末の申告だけでなく「中間申告」や「修正申告」にも使用できます。その場合は、中間・修正申告用の記入欄にチェックを入れます。

「一般社団・財団法人の区分」は、該当する場合のみ記入します。

税務署処理欄は、原則として記入不要ですが、売上金額の欄は、消費税の事業者免税点を判定するために記入することが推奨されています。翌年以降送付要不要の項目で、送付不要にチェックを入れると、翌年度以降に別表セットと勘定科目内訳明細書が送られてこなくなりますので、注意が必要です。

参考:国税庁|別表一「各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分」様式(PDF)

参考:国税庁|別表一「各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分」記載要領(PDF)

別表2:同族会社等の判定に関する明細書

別表2は、法人が同族会社や特定同族会社に該当するかどうかを判定するための明細書です。同族会社や特定同族会社に該当すると、納税額が変わる場合があります。判定の基準は、株主との関係性と保有株式比率です。具体的には、以下のとおりです。

  • 特定同族会社の判定割合が50%を超える場合:特定同族会社

特定同族会社は、一定の条件を満たすと、特定同族会社の特別税率の規定が適用されます。

  • 特定同族会社の判定割合が50%以下で、同族会社の判定割合が50%を超える場合:同族会社

同族会社は、一定の条件を満たすと、役員給与の損金算入制限や利益積立金の損金算入制限などの規定が適用されます。

  • 同族会社の判定割合が50%以下の場合:非同族会社

非同族会社は、上記の規定の適用を受けません。

参考:国税庁|別表二「同族会社の判定に関する明細書」様式(PDF)

参考:国税庁|別表二「同族会社等の判定に関する明細書」記載要領(PDF)

別表3(1):特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書

別表3(1)は、別表2で特定同族会社に該当した場合に、特定同族会社の特別税率の規定の適用を受けるための明細書です。

特定同族会社の特別税率の規定とは、特定同族会社が一定の留保金額を超えると、超過分に対して高い税率を適用するというものです。この規定は、特定同族会社が納税額を減らすために利益を留保しすぎないようにするためのものです。

参考:国税庁|別表三(一)「特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書」様式(PDF)

参考:国税庁|別表三(一)「特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書」記載要領(PDF)

別表4:所得の金額の計算に関する明細書

別表4は、法人の課税所得金額を計算するための明細書です。法人の課税所得金額とは、会計上の利益(損失)に一定の調整を加えたものです。調整の内容は、加算と減算に分けられます。

加算とは「会計上は収益ではないが税務上は益金に当たるもの」または「会計上は費用だが税務上は損金に当たらないもの」を加えることです。たとえば、減価償却超過額や役員給与と交際費の一部などが該当します。

減算とは「会計上は収益だが税務上は益金に当たらないもの」または「会計上は費用ではないが税務上は損金に当たるもの」を引くことです。たとえば、還付法人税や受取配当金などが該当します。

別表4は、別表1で納税額を計算する際に重要な役割を果たします。別表4には、通常方式のほか、簡易様式と詳細様式があります。

簡易様式:一定の条件を満たす法人が使用できる簡略化された様式

詳細様式:特別な所得特別控除や特例に該当する法人が使用する様式

参考:国税庁|別表四「所得の金額の計算に関する明細書」様式(PDF)

参考:国税庁|別表四「所得の金額の計算に関する明細書(簡易様式)」様式(PDF)

参考:国税庁|別表四「所得の金額の計算に関する明細書」記載要領(PDF)

別表5(1):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書

別表5(1)は、法人の税務上の純資産を記載する明細書です。税務上の純資産とは、資本金や利益積立金などの資本的な項目を合計したものです。別表4で計算した所得金額や欠損金額は、この純資産に反映されます。

純資産の額によって、法人税の税率や控除額が変わる場合があります。たとえば、中小企業の減税や中小企業配当控除などの制度が該当します。

参考:国税庁|別表五(一)「利益積立金額及び資本積立金額の計算に関する明細書」様式(PDF)

参考:国税庁|別表五(一)「利益積立金額及び資本積立金額の計算に関する明細書」記載要領(PDF)

別表5(2):租税公課の納付状況等に関する明細書

別表5(2)は、法人が該当年度に発生した租税公課の納付状況を記載する明細書です。租税公課とは、法人税や住民税などの国税や地方税を指します。

別表5(2)は、法人の納税義務の履行状況を確認するために重要な明細書です。また、租税公課の納付状況によって、法人税の計算に影響を与える場合があります。たとえば、延滞税や加算税などが該当します。

参考:国税庁|別表五(二)「租税公課の納付状況等に関する明細書」様式(PDF)

参考:国税庁|別表五(二)「租税公課の納付状況等に関する明細書」記載要領(PDF)

別表6(1):所得税額の控除に関する明細書

別表6(1)は、法人が事業年度中に支払いを受ける利子・配当・償還差益等に課税された所得税の税額控除を受けるための明細書です。税額控除とは、所得税の納税額から一定の金額を差し引くことで、納税負担を軽減する制度です。

参考:国税庁|別表六(一) 「所得税額の控除に関する明細書」様式(PDF)

参考:国税庁|別表六(一) 「所得税額の控除に関する明細書」記載要領(PDF)

別表7(1):欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書

別表7(1)は、法人が過去に発生した欠損金や災害損失金を損金として算入するための明細書です。損金算入とは、所得金額から一定の金額を引くことで、納税額を減らす制度です。

別表7(1)は、法人が過去の損失を回復するために重要な明細書です。また、損金算入の額によって、法人税の納税額が変わります。損金算入には、繰越欠損金の損金算入と災害損失金の損金算入の2種類があります。

  • 繰越欠損金の損金算入:法人が過去に発生した欠損金を、翌年度以降に所得金額から引くこと

繰越欠損金の繰越期間は、令和5年4月1日以後に終了する事業年度からは9年間となりました。

  • 災害損失金の損金算入:法人が災害によって被った損失金を、当該年度の所得金額から引くこと

災害損失金の損金算入には、一定の条件を満たす必要があります。

参考:国税庁|別表七「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」様式(PDF)

参考:国税庁|別表七「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」記載要領(PDF)

法人税申告書に必要な書類と情報

中小企業の法人税率のイメージ

法人税申告書は、法人税申告書とその別表からなる書類ですが、それだけでは不十分です。法人税申告書には、他にも必要な書類や情報があります。ここでは、法人税申告書に必要な書類と情報について、概要と注意点を解説します。

利用者識別番号と暗証番号

e-Taxで法人税申告書を作成・送信するには、利用者識別番号と暗証番号が必要です。法人申告書に記載する箇所がある訳ではありませんが、法人税をe-Taxで申告する際に必須の情報です。

利用者識別番号は、e-Taxの利用者として登録した際に発行される半角16桁の番号で、確定申告書等送信票や税務署からの通知書などに記載されています。暗証番号は、利用者識別番号を取得または更新した際に自分で設定した半角英数字8文字以上50文字以内のパスワードです。

利用者識別番号と暗証番号は、e-Taxにログインする際に必要不可欠なものです。利用者識別番号や暗証番号を忘れた場合は、変更等届出書を提出する必要があります。ただし、秘密の質問と答えを登録済みの場合は、暗証番号の再設定をオンラインで行うことができます。

マイナンバーカード方式を利用する場合は、利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)を入力することでe-Taxへログインができます。マイナンバーカード方式を利用するためには、マイナンバーカードを持っていることと、事前にe-Taxへの登録が必要です。

また、法人税は、一定の法人が法人税や消費税などの申告を、紙の書類ではなく、インターネットを通じてe-Taxというシステムによって行わなければならないという、「e-Taxの義務化」という制度があります。この制度は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用とされています。

e-Tax義務化の目的は、税務手続きのICT化を推進し、データの円滑な利用を進めることにより、社会全体のコスト削減や企業の生産性向上を図ることです。

対象法人でなくでも、e-Taxで法人税の電子申告を行うことも可能です。e-Taxを利用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 税務署や金融機関に行く必要がなく、移動時間や待ち時間などの手間が省ける
  • 確定申告書などの印刷代や郵送代を節約できる
  • 平日は24時間、申告や納税ができる
  • 添付書類の提出を省略できる
  • 還付申告の場合の還付金を早く受けられる
  • 納税証明書の交付手数料が安くなる

参考:e-Tax 国税電子申告・納税システム|利用者識別番号や暗証番号をお忘れになった場合は

参考:国税庁|大法人の電子申告義務化について

決算報告書(決算書)

法人税申告書に必要な書類の一つに「決算報告書(決算書)」があります。決算報告書とは、会社の経営状態や財務状況を表す書類のことで、正式には「財務諸表」と呼ばれます。

決算報告書は、次の4つの書類から構成されます。

  • 貸借対照表(バランスシート)
  • 損益計算書(インカムステートメント)
  • 株主資本等変動計算書
  • キャッシュフロー計算書

これらの書類は、会社の資産や負債、収益や費用、資本の増減、現金の流れなどを数字で示します。決算報告書は、会社の株主や債権者、税務署などに対して、会社の経営成績や財務状態を報告するために作成・提出されます。

決算報告書を作成するには、会計ソフトやエクセルなどのツールを使うことができますが、その前に、決算報告書の元となる帳簿や書類を整理する必要があります。具体的には、以下のような帳簿・書類が必要です。

  • 総勘定元帳
  • 勘定科目内訳明細書
  • 賃金台帳
  • 領収書綴り
  • 前期の決算書

総勘定元帳:会社のすべての取引を科目ごとに記録した帳簿で、決算報告書の数字の根拠となる

勘定科目内訳明細書:主な勘定科目の詳細な収支を記載した書類で、税務署からの調査に備えて保管する必要がある

賃金台帳:社員の給与や控除額などを記録した書類で、人件費の計算に使われる

領収書綴り:経費として支出したものの領収書を日付順にまとめたもので、経費の証拠として必要

前期の決算書:前年度の決算報告書で、売上や利益、損失などを比較するために必要

以上のように、決算報告書を作成するには、領収書や賃金台帳、前期の決算書などが必要です。これらの帳簿・書類は、決算報告書の数字の根拠となるだけでなく、税務署からの調査にも対応できるように、きちんと整理・保管しておくことが重要です。

勘定科目内訳書

勘定科目内訳明細書とは、貸借対照表や損益計算書に記載されている勘定科目の詳細を示す決算書類の一種です。法人税法施行規則第35条に基づいて作成・提出が義務付けられています。決算日の翌日から2ヶ月以内に他の必要書類と一緒に税務署に提出しなければなりません。

勘定科目内訳明細書は、税務署が申告書類の正しい作成や取引の適正性をチェックするために利用されます。たとえば、売上高や経費の内訳、資産や負債の詳細、役員や株主との取引などを記入することで、税務署は会社の実情を把握できます。また、税務調査の際にも、勘定科目内訳明細書は重要な証拠書類となります。

勘定科目内訳明細書は、国税庁のホームページより用紙をダウンロードし、手書きして作成することも可能ですが、会計ソフトなどを利用して作成することもできます。会計ソフトを利用すると、勘定科目内訳明細書は簡単に作成できます。用紙には、以下の16の内訳書があり、該当するものがあれば作成する必要があります。

  • 預貯金等の内訳書
  • 受取手形の内訳書
  • 売掛金(未収入金)の内訳書
  • 仮払金(前渡金)の内訳書
  • 貸付金及び受取利息の内訳書
  • 棚卸資産(商品又は製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品)の内訳書
  • 有価証券の内訳書
  • 固定資産(土地、土地の上に存する権利及び建物に限る。)の内訳書
  • 支払手形の内訳書
  • 買掛金(未払金・未払費用)の内訳書
  • 仮受金(前受金・預り金)の内訳書
  • 借入金及び支払利子の内訳書
  • 土地の売上高等の内訳書
  • 売上高等の事業所別内訳書
  • 役員報酬手当等及び人件費の内訳書
  • 地代家賃等の内訳書
  • 工業所有権等の使用料の内訳書
  • 雑益、雑損失等の内訳書

これらの内訳書には、それぞれの勘定科目の相手先や金額、期間などを記入します。記入する際には、一定の金額以上のものや、役員や株主との関係があるものは個別に記入することが求められます。また、期末残高がなくても、期中に取引があったものは記入する必要があります。詳細な記入方法は、各内訳書の注意点を参照してください。

勘定科目内訳明細書は、会計ソフトやエクセルなどのツールを使って作成できます。会計ソフトを使う場合は、仕訳を入力すると、総勘定元帳や補助元帳などで内訳ごとの残高を集計できます。その集計結果をもとにすることで、勘定科目内訳明細書の作成が簡単になります。

参考:国税庁|勘定科目内訳明細書の提出について

法人事業概況説明書

法人事業概況説明書とは、法人の基本情報や事業内容、従業員数、主要科目などを記載し、確定申告書と一緒に税務署に提出する書類です。この書類は、税務署が法人の事業状況や経営状態を把握するためのもので、2006年の法改正で提出が義務化されました。

国税庁が所轄する法人は「会社事業概略説明書」、税務署が所轄する法人は「法人事業概況説明書」を提出します。ただし、資本金1億円以上の企業は、法人の所轄にかかわらず、「会社事業概況説明書」を提出します。

提出期間と提出方法 法人事業概況説明書は、確定申告のときに他の書類とともに提出します。提出先は、企業の本社がある地域の税務署で、e-Taxでも提出可能です。

法人事業概況説明書は、法律で提出が義務付けられている書類ですが、提出しなくても罰則はありません。ただし、確定申告自体には影響しませんが、新型コロナウイルス感染症に関連する給付金や補助金を申請するときに、提出した法人事業概況説明書の控えが必要になることがあります。

法人事業概況説明書は、様式が決まっており、国税庁のホームページからダウンロードできます。

法人事業概況説明書は、法人が確定申告のときに提出しなければならない書類のひとつです。提出しなくても罰則はありませんが、新型コロナウイルス感染症に関連する給付金や補助金を申請するときに、控えの提出が必要になることがあります。事業内容などの部分は年度が変わっても変わらないので、一度作っておけば、次からは比較的簡単に作成できます。

参考:国税庁|[手続名]法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)

参考:国税庁|法人事業概況説明書の記載要領

適用額明細書

適用額明細書は、会社が租税特別措置法の優遇措置などを受ける場合に、その租税特別措置法の条項、適用額などを記載し、法人税申告書と一緒に税務署に提出する書類です。租税特別措置法の適用状況や効果を明確にするための仕組みとして、平成23年4月1日から提出が義務化されています。

租税特別措置法とは 租税特別措置法とは、特定の社会政策や経済政策の目的を達成するために、国税について、期間を限定して、減税や課税する特例を定める法律です。たとえば、中小企業の法人税の減税や中小企業投資促進税制における特別償却などがあります。

確定申告書の申告期限までに適用額明細書を提出しなかった場合であっても、弾力的な対応が図られており、故意に提出しなかった場合や、虚偽の記載をした場合を除いて、後から適用額明細書を提出しても優遇措置を受けられます。ただし、手間や否認リスクなどを考えると、当初申告に適用額明細書の添付もれがないように気をつけることが重要です。

適用額明細書を提出する必要がないケースもあります。租税特別措置法の適用を受けない場合や、赤字で税額が発生しない場合など、特例税率の適用を受けないケースで、かつ10~30万円未満の資産を一括損金算入していないケースにおいては、適用額明細書の提出は不要となることが多いです。

参考:国税庁|適用額明細書の記載の手引(令和5年4月1日以後終了事業年度分)

株主の情報

法人税申告書には、法人の株主や出資者の情報を記入する必要があります。この情報は、別表2に記載します。別表2には、以下のような項目があります。

  • 株主や出資者の氏名
  • 株主や出資者の住所
  • 株主や出資者の株式数や出資金額
  • 株主や出資者と法人の代表者との続柄

法人税申告書別表の作成手順

法人税申告書は記載する枚数が多いですが、必要となる別表について順を追って作成していけば難しくありません。ここでは、効率的な法人税申告書の作成手順について解説します。

別表6の情報をまとめる

まずは、別表6に記載する事項を確認し、情報をまとめることから始めると書類作成がスムーズに行えます。別表6の様式は、国税庁のホームページからダウンロードできます。

別表6は、法人税の所得金額の計算に関する情報が記載されている重要な表です。

また、別表6の情報をまとめることで、控除税額を算出し、別表4において加算できます。別表6には、利息や配当金などの源泉所得に対する所得税額の控除に関する情報も記載されています。この控除は、法人税額から直接差し引くことができる税額控除であり、節税効果が高いものです。また、別表1で算出した法人税額から税額控除を行うこともできます。申告書の他の部分の情報も整理できるため、まず初めに別表6の情報をまとめるのがおすすめです。

別表6の情報をまとめるには、決算書や仕訳帳などの会計資料から金額を確認する必要があります。また、必要に応じて、会計士や税理士に相談することもあるため、別表6の情報をまとめる作業は、時間や労力がかかる場合もあります。したがって、申告期限に間に合わせるためにも、初めに別表6から取り掛かると効率的でしょう。

別表7の記載

次に、別表7に記載する事項を確認し、情報を記入しましょう。別表7の様式は、こちらからダウンロードできます。

別表7は、法人税の欠損金や災害損失金の損金算入や繰越に関する情報が記載されている表です。この表によって、赤字の金額を翌期以降に繰り越すことや、黒字の金額と相殺できます。

別表7は、次のような場合に記載が必要です。

  • 前期までに欠損金が発生している場合
  • 当期に欠損金が発生した場合
  • 災害により損失が発生した場合
  • 更生等の手続きにより債務免除等があった場合

別表7は、欠損金と災害損失金のそれぞれについて、以下のような内容を記載します。

  • 控除前所得金額と控除限度額
  • 控除未済欠損金額と当期控除額
  • 翌期繰越額と繰越期間
  • 災害の種類と災害により生じた損失の額
  • 保険金等の額と繰戻しの対象となる災害損失欠損金額

別表7の記載内容は、別表4や別表6の作成とも関連しています。別表7に欠損金や災害損失金の情報を記入すると、別表4の所得金額や欠損金額が自動的に計算されます。また、別表7の当期控除額や繰越額などは、別表1にも反映されます。

別表7の記載には、法人税法や租税特別措置法などの法令の規定に従う必要があります。また、欠損金や災害損失金の損金算入や繰越には、一定の要件や制限があります。国税庁のホームページなどを参考にしながら、正確に記載してください。別表7の記載は、法人税の申告において重要な作業ですので、注意深く行ってください。会計士や税理士に相談することもおすすめです。

参考:国税庁|令和4年版 法人税のあらましと申告の手引

参考:国税庁|欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書

別表4の作成

続いて、別表6と別表7の情報をもとに、別表4を作成します。別表4の様式は、こちらからダウンロードできます。

別表4は、法人税の「所得金額」の計算に関する明細書です。この表によって、会計上の当期利益や当期欠損に、法人税法上の加算や減算を行って、所得金額を求めることができます。

別表4で記載する「所得金額」は、当期利益又は当期欠損の額に別表6や別表7で計算した加算・減算額を加えたり引いたりした金額です。加算や減算の項目は、別表4の欄に記載されていますので、参考にしましょう。

所得金額の計算が終わったら、法人税と地方税の当期の確定税額を求めます。所得金額に税率をかけて、税額を算出します。また、税額控除や還付金などがある場合は、それらを考慮してください。法人税と地方税の税率は、別表1の税率表に記載されています。

所得金額は、別表1の課税所得額欄にも記入します。また、所得金額に税率をかけて、法人税額や地方税額を算出するなど、他の別表にも使用します。

別表5(1)の作成

別表5(1)は、利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書です。この表によって、法人税の「資本金等の額」を求めることができます。別表5(1)の様式は、こちらからダウンロードできます。

別表5(1)で記載する「資本金等の額」は、次のように計算します。

資本金等の額=資本金+資本準備金

資本金は、決算日における会社の資本金の額です。資本準備金は、決算日における会社の資本準備金の額です。利益積立金額は、決算日における会社の利益積立金の額です。

利益積立金額は、次のように求めます。

利益積立金額=当期利益積立金額+前期利益積立金額

当期利益積立金額は、当期に積み立てた利益積立金の額です。前期利益積立金額は、前期までに積み立てた利益積立金の額です。

別表5(1)の記載には、別表6や別表7の情報との整合性が必要です。別表6や別表7で計算した所得金額や欠損金額などは、別表5(1)で計算した利益積立金の額に影響します。たとえば、別表7で欠損金の控除を行った場合、利益積立金の額が減少します。この場合、別表5(1)で利益積立金の額を減らす必要があります。別表6や別表7の情報と別表5(1)の情報が矛盾しないように、注意して記載してください。

別表5(1)の作成は、法人税の「資本金等の額」の計算において重要な作業です。別表5(1)の情報は、別表1の資本金等の額欄にも記入します。また、資本金等の額に基づいて、法人税の課税率や減税措置などが決まります。

別表1の作成と法人税額の確定

別表1は、法人税の「課税所得額」と「法人税額」の計算に関する明細書です。この表によって、法人税の申告額を求めることができます。別表1の様式は、こちらからダウンロードできます。

別表1で記載する「課税所得額」は、別表4で計算した「所得金額」から、別表6で計算した「控除税額」を差し引いたものです。また、「課税所得額」には、別表7で計算した「欠損金の控除額」や「災害損失金の控除額」なども影響します。別表1の課税所得額欄には、これらの項目を記入します。

課税所得額を計算したら、別表1の法人税額欄に、法人税の「法人税額」を記入します。「法人税額」は、「課税所得額」に「法人税率」をかけて求めます。「法人税率」は、別表1の税率表に記載されています。

また、「法人税率」は、別表5(1)で計算した「資本金等の額」によって異なります。資本金等の額が一定の基準を超えると法人税率が高くなり、基準を下回ると低くなります。また、中小企業やベンチャー企業などには、法人税の減税措置があります。これらの減税措置は、別表1の減税額欄に記入します。

別表5(2)にも法人税額を記載

別表5(2)は、別表5(1)の記載に係る事項の明細書です。この表によって、別表5(1)で計算した「利益積立金額」の内訳を詳しく記載できます。別表5(2)の様式は、こちらからダウンロードできます。

別表5(2)には、別表1で計算した「法人税額」を記入する必要があります。別表5(2)の法人税額欄には、別表1の法人税額欄に記入した金額をそのまま記入します。

別表2で同族会社等の判定基準情報を記載

別表2は、法人税の「同族会社等の判定基準」に関する明細書です。別表2の様式は、こちらからダウンロードできます。

別表2では、法人の株主構成を記載する必要があります。具体的には、以下の項目を記入します。

  • 株主の氏名または名称
  • 株主の住所または所在地
  • 株主の株式保有割合
  • 株主が同族会社等に該当するかどうか
  • 同族会社等に該当する場合、その理由と該当する条項

株主や出資者の情報を記入する理由は、法人が特定同族会社かどうかを判定するためです。特定同族会社とは、資本金が1億円超の法人で、親族や同族関係者が株式の過半数以上を所有している場合や、資本金が5億円以上の法人の100%子会社などの場合に該当する法人です。

特定同族会社に該当すると、法人が利益を配当せずに内部留保することに対して、留保金課税という追加の税金がかかります。留保金課税とは、法人の純資産の増加分に対して、一定の税率で課税される制度です。

特定同族会社かどうかを判定するには、株主や出資者の情報が必要です。株主や出資者の情報によって、親族や同族関係者の有無や、その株式数や出資金額の割合を確認できます。

法人税申告書の作成でお困りなら、ぜひ、私たち「小谷野税理士法人」にご相談ください。

参考:国税庁|通算法人における特定同族会社の判定

法人税申告書の提出方法

法人税申告書の提出方法は、税務署窓口・郵送・e-Taxで電子申告の3つがあります。それぞれの方法の特徴や注意点を説明します。

税務署窓口

税務署窓口で提出する場合は、法人税申告書と必要な添付書類を持参して、担当の税務官に手渡します。

税務署窓口で提出するメリットは、税務官に直接質問や相談ができることや、受領印をもらえることです。税務署窓口で提出するデメリットは、税務署の営業時間や場所に制限されることや、混雑時に待ち時間が発生することです。

税務署窓口で提出する場合は、事前に税務署の営業時間や場所を確認し、余裕をもって行動しましょう。

郵送

郵送で提出する場合は、法人税申告書と必要な添付書類を封筒に入れて、税務署に送付します。

郵送で提出するメリットは、税務署の営業時間や場所に制限されないことや、混雑時に待ち時間が発生しないことです。郵送で提出するデメリットは、税務官に直接質問や相談ができないことです。

郵送で提出する場合は、簡易書留や特定記録郵便などの追跡サービスを利用し、送付状況を確認しましょう。また、遅くとも申告期限の前日までに郵送することを忘れないようにしましょう。

e-Taxで電子申告

e-Taxは、国税庁が提供する国税電子申告・納税システムで、インターネットを通じて、法人税の申告や納税を行うことができます。e-Taxを利用するには、事前に利用者識別番号と電子証明書を取得する必要があります。

e-Taxで電子申告するメリットは、税務署の営業時間や場所に制限されないことや、混雑時に待ち時間が発生しないことです。

e-Taxで電子申告するデメリットは、インターネット環境やパソコンの操作に慣れていないと、電子申告の手続きが難しいことです。その場合、税理士が代理で申告することも可能です。

法人税申告書作成を税理士に依頼する理由

法人税申告書は、法人の所得や支出を計算し、納めるべき税額を算出するための重要な書類です。しかし、初心者にとって、法人税申告書の作成は手間と時間がかかり、非常に困難な作業です。会計アプリなどを利用しても、決算書の作成や必要な別表の選択など、専門的な知識や経験が必要です。そのため、法人税申告書作成を税理士に依頼することが、多くの法人にとって有効な選択肢となります。

決算書の作成から正確さが問われる

法人税申告書の作成には、まず決算書を作成する必要があります。決算書は、法人税の節税や税務調査を回避するためにも、正確さが求められます。

しかし、決算書の作成には、会計基準や税法の知識が必要です。たとえば、売上や経費の計上方法や時期、減価償却の方法や期間、資産の評価方法など、決算書の内容に影響する要素は多岐にわたります。

これらの要素を適切に判断し、決算書を作成するには、税理士などの専門家のサポートが必須といえるでしょう。

必要な別表を見極めなければならない

法人税申告書の作成には、必要な別表も添付しなければなりません。

たとえば、固定資産の明細や減価償却の計算、資本金の変動や株主の状況、関係会社の取引や移転価格の設定など、別表に記載する内容は多岐にわたります。法人の特性や事業内容に応じて、さまざまな種類の中から、どの別表を作成しなければならないのか、判断する必要があります。

別表を作成するには、法人の状況を正確に把握し、必要な別表を見極める能力が必要です。また、別表の作成にも、会計基準や税法の知識が必要です。必要な別表を作成しない場合や、不正確な別表を作成する場合、法人税の課税や税務調査に影響する可能性があります。そのため、別表の作成にも、税理士など専門家の助けが必要です。

税理士に依頼する際の費用相場については、以下の関連記事を参考にしてください。

確定申告に税理士に頼む際の費用とは?相場と費用対効果を知ろう

法人税申告書は税理士に依頼して効率的に

この記事では、法人税申告書とその別表の種類や内容、作成手順、提出方法などについて詳しく解説しました。

法人税申告書は、法人の所得や税額を計算し、税務署に提出する必要がある重要な書類です。しかし、法人税申告書の作成は、決算書の作成から正確さが問われるため、難易度が高く、時間もかかります。また、必要な別表を見極めることも重要です。

法人税申告書の作成と提出は、法人の税務上の義務であり、適切に行わないと、税務調査や追徴課税などのリスクがあります。そのため、法人申告書作成を税理士に依頼することも一つの選択肢です。税理士に依頼することで、法人税申告書の作成にかかる手間や時間を省くことができますし、税務上のミスやトラブルを回避できます。法人税申告書の作成なら、ぜひ私たち「小谷野税理士法人」にご相談ください。

この記事の監修者
今野 靖丈小谷野税理士法人 税理士
1997年中央大学経済学部卒業後、東京国税局に入所しました。法人の税務調査の現場では税の議論だけでなく、企業の経理体制の優れた点の説明や、改善すべき点をアドバイスしてきました。国税徴収に関わる部門では、多くの中小企業の経営者、個人事業主と財務に関わる面談を市、資金操計画の作成アドバイスを行ってきました。
会計・財務・税務に関する様々な相談に対応し、提案をすることをライフワークと考えています。お気軽にご増段下さい。
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