個人事業を営む場合、取引先からの入金が遅れたり、取引先の減少によって収入が減少したりすることがあります。仮に、取引先からの入金が数週間、数ヶ月と遅れた場合、事業運営費をはじめ、生活費や税金などのやりくりが難しくなることもあるでしょう。万が一のトラブルにより所得税が払えなくなった場合、どのような対処法があるのでしょうか。この記事では、個人事業主の方へ、所得税を払えないときの対処法について解説します。
目次
所得税の滞納|督促状が届いても対応しなかった場合に起こりえる3つのこと

所得税を滞納した場合、所得税の納付を促す督促状が税務署から届くのが一般的です。督促状が自宅に届いた時点で対応しておくと、これから紹介するリスクを抑えられます。ここでは、督促状後に対応しなかった場合に起こりえることを3つ紹介するので、個人事業主の方は今後の参考にしてください。
延滞税がかかる
所得税を滞納すると、延滞税がかかります。延滞税は、法定納付期限の翌日から納付するまでの間に自動的に課され、日数に応じて生じる税金です。
所得税をはじめ、相続税や贈与税などの国税は、納付期限から2ヵ月を過ぎた時点で延滞金の利率が上がります。延滞税が増えれば、納税額が増えることになるため、できるだけ早いうちに税務署へ相談することが大切です。
財産を差し押さえられる
所得税の滞納が続くと、税務署は財産を差し押さえ、滞納された所得税に充当します。財産の差し押さえは、当人の了解を得ずとも行われるものです。税務署は、さまざまな金融機関への照会が可能なため、状況に応じて滞納者の口座・預金情報を取得できます。
当然、定期的な入金が確認できる口座についても調査されるので、本人が知らないうちに手続きが進み、口座が凍結することも珍しくありません。
なお、差し押さえに該当する財産には、預金や給与をはじめ、不動産なども含まれるので、土地などを所有している場合は注意が必要です。
ローン審査に影響が出る場合がある
所得税などの国税を滞納すると、金融機関によるローン審査に影響する可能性があります。特に住宅ローンの融資を希望する場合、納税証明書の提出が求められ、提出できない場合、滞納が発覚し、貸付を受けることができません。
ローン審査に影響が出れば、資金調達ができず、生活や事業の見通しが狂うことになるでしょう。
所得税を払えない場合の対処法
何らかの理由によって所得税を払うことができず、また、そのまま放置すると、延滞税がかかるなどのリスクが生じます。では、所得税を払えない場合は、どのような行動を取るべきなのでしょうか。ここでは所得税が払えない場合の対処法を3つ紹介します。
税務署に相談する
所得税を払えない場合は、まず税務署へ相談しましょう。税務署では納税に関するさまざまな相談を受け付けており、専門職員が適切なアドバイスを提供してくれます。
なぜ払うことができないのか、理由と状況を説明することで、分割納付など、具体的な対応策を教えてくれるでしょう。
参考:No.9206 国税を期限内に納付できないとき|国税庁
国税を期限内に納付できないときは、どうしたら良いですか?|財務省
納税の猶予を活用する
納税の猶予も方法の一つです。納税の猶予とは、一定の条件を満たしている場合、財産の差押えは行われず、延滞税の一部または全額免除される仕組みを指します。
事業において著しい損失を被ったり、災害・盗難によって財産を喪失したり、事業を廃業・休業したりした場合に受けられます。
納税の猶予について知りたい方は、最寄りの税務署に問い合わせるか、以下資料をご確認下さい。
全国法人改装連合|税務署に申請することにより、納税が猶予されます
換価の猶予を活用する
所得税の支払いが難しいときは、換価の猶予制度も選べます。換価の猶予とは、差押財産の売却(換価)が猶予される制度です。国税を一時的に納付することで、事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがあると認められる納税者に猶予が与えられるのです。
資産の売却による現金化が困難な場合などに適用され、一定の条件を満たすことで申請できます。
なお、適用を受けるには換価の猶予について調べ、必要書類を揃えてから税務署を訪ねることをおすすめします。
所得税を払えない状況を回避する方法

所得税を払わないままにしておくと、延滞税が発生したり、財産を差し押さえられたりするなどのリスクが生じかねません。このような状況を回避するためには、計画的な資金管理が欠かせません。ここでは、具体的な方法について解説します。
納税資金を早めに準備しておく
所得税の納付時期が近づいてきた時期に慌てることのないよう、納税資金の準備を習慣化させましょう。所得税は国税の一つであり、所得がある人であれば払わなければならない税金に該当します。
個人事業主やフリーランスの場合、収入の変動が大きくなりがちです。万が一の収入の減少により所得税が払えなくなる前に、計画的に資金を確保し、納税に対する不安を軽減させましょう。
納税時期を把握しておく
所得税の納付時期を把握するのも方法の一つです。所得税の納付期限は、法律で定められています。納付時期について調べた後は、スマートフォンのカレンダーなどに記入しておくと納付のし忘れを防止できます。
普段から経営状況や納税額を把握しておく
自社の経営状況や、納税額について把握することも大切です。普段から経営状況や納税額を把握しておくと、納税額に対して必要な資金が明確になり、適切に準備することができます。
特に、個人事業主やフリーランスの場合、経費や売上の変動が税金に直接影響を与えやすいものです。売上の増減が見込まれる場合は、その都度、経営状況を見直す習慣をつけましょう。
税金について不明点があれば税務署に相談する
自身の所得税についてや納付方法、払えないと判断した場合などは、できるだけ早期に税務署に相談しましょう。税務署に相談する行動は、税務署に対して納税意思を伝えることにつながります。
自身の納税額や納付時期など、税金についてはなにかと不明点が多いです。分からないことをそのままにしておくと、滞納や滞納による延滞税など、さまざまなリスクを招きかねません。相談せずにいれば、納税する気がないとみなされ、財産を差し押さえられる可能性があります。
納税に関する不安は、税務署に相談することで解消できます。後のリスクを防ぐためにも、困りごとがあるときは、できるだけ早いうちに税務署に相談しましょう。
所得税については早いうちに専門家に相談しよう
所得税を滞納した場合、延滞税やローン審査への影響など、さまざまなリスクが存在します。所得税は国税に該当するため、滞納が続くほど、ローン審査に大きな影響を与えかねません。
どうしても所得税の納付が難しいときは、できるだけ早期に税務署へ相談することです。
なお、税務署に相談しにくい方は、この機会に専門家を頼ることをおすすめします。








