フリーランスとして働いていると「確定申告をしたら還付金がいくら戻ってくるのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。還付金の額は一律ではなく、個々の収入や経費、適用する控除によって異なります。この記事では、還付金の概要や受け取り方、平均額から計算方法まで、スムーズに受け取るまでのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも還付金とは?
税金を納めすぎた際、国から返還されるお金のことを還付金と呼びます。
フリーランスの場合、収入に対してあらかじめ税金が差し引かれるケースがあります。確定申告の結果、源泉徴収や予定納税などで実際の納税額より多く支払っていた場合には、その差額が還付金として返ってくるのです。
フリーランスが還付金を受け取るには確定申告が必要
フリーランスが還付金を受け取るためには、確定申告で正しい所得や控除額の申告が必須です。会社員であれば年末調整で税金が調整されますが、フリーランスの場合は自ら所得や経費、控除を申告し、納税額を確定させなければなりません。
もし申告をしなければ税務署側が過払い分の把握をできないため、本来受け取れるはずの還付金は受け取れません。
そのため、期限内に必要書類を正確に準備し、忘れずに提出することが大切です。不備や申告漏れがあると還付が遅れる原因となるため、書類作成やチェックは慎重に行いましょう。
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還付金を受け取れる主なケース
実際納付すべき税金より多い金額をあらかじめ納めていた場合に、還付金が発生します。フリーランスの場合、例えば以下のようなケースが挙げられます。
源泉徴収で税金を納めすぎていた
源泉徴収とは、報酬や給与からあらかじめ所得税を差し引いて支払う制度です。フリーランスの場合、案件によっては報酬の支払い時に源泉徴収されることがあり、実際の納税額より多く引かれているケースも少なくありません。
このような場合、確定申告で正確な所得や控除を申告すれば、払いすぎた分が還付金として戻ってきます。源泉徴収で差し引かれる税額は、控除を考慮せずに計算されたおおよその金額であるためです。
予定納税の過納分があった
予定納税とは、前年の所得をもとに、あらかじめ納める所得税を指します。翌年の税負担を分散させる制度ですが、実際の収入が予定より少なかった場合、税金を納めすぎてしまうことがあります。
例えば、前年の収入が高かった場合でも、翌年に売上が減少すると、予定納税額が実際に支払うべき税額を上回るケースがあるのです。このような過納分は、確定申告によって還付を受ける対象となります。
退職後に再就職しなかった
会社を退職したあと再就職せず、フリーランスになるか無職の期間があると、所得が大きく減少することがあります。
会社員時代は給与から自動的に所得税が差し引かれるため、退職後に収入が減った場合、実際の税額よりも多く納税していたというケースがあるでしょう。こうした場合でも、確定申告を行えば、差額分の税金を還付金として受け取れます。
特に、退職後は年末調整が行われないことに注意しましょう。会社に代わって自分で確定申告を行わなければ、払いすぎた税金は戻ってきません。退職により収入の変動があった年は、確定申告を忘れずに行いましょう。
確定申告で利用できる控除を申告した
所得税の控除には様々な種類があります。確定申告で各種控除を適切に申告することで納税額が減少し、結果として差額が還付金として戻ってくるケースがあるので、忘れずに申告を行いましょう。
代表的な控除には、医療費控除、扶養控除、生命保険料控除、社会保険料控除などがあり、正しく申告すれば支払う税金が軽減されます。
さらに、確定申告によって正しく控除を申告すると、すでに支払った税金のうち過払いとなっている分が還付金として戻るため大きな節税にもなるでしょう。
控除を受けるためには、領収書や証明書などの書類が必要です。医療費の領収書や保険料の控除証明書などは、日頃から整理・保管しておくと確定申告がスムーズに行えます。
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フリーランスの還付金の平均額はいくら?
フリーランスの還付金額は、一般的に数万円から十数万円程度が多いとされていますが、条件によっては数十万円の還付が発生する場合もあります。しかし、「収入」「経費」「適用した控除」などによって大きく異なり、一概に示すことはできません。
還付金の額は、源泉徴収や予定納税で前もって納めた税金と、最終的な確定申告で算出される所得税の差額で決まります。さらに、医療費控除や生命保険料控除、社会保険料控除といった各種控除を活用すると、還付金が増える可能性もあります。
また、収入や経費の変動によっても、還付金がいくらになるか左右されることを覚えておきましょう。特に事業を始めたばかりの時期や、売上が想定よりも大きく下がった年には、還付金が多くなる傾向にあるのです。
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所得税の還付金を計算する方法
所得税の還付金を計算するには、「すでに納めた税額(源泉徴収や予定納税)」と「本来の税額(確定申告で計算)」を正しく把握することがポイントです。
還付金額=すでに納めた税額(源泉徴収・予定納税)−本来納めるべき税額(所得税+復興特別所得税-税額控除)
- 1年間の収入から必要経費や各種所得控除(基礎控除、扶養控除、医療費控除など)を差し引き、課税対象となる所得(課税所得)を算出します。
- 次に、課税所得に所得税率をかけて、さらに控除額を差し引き、本来払うべき所得税額を計算します。所得税は、稼いだ利益が多いほど税率も高くなる仕組みなので、国税庁の最新の税率表を確認して計算しましょう。
- 計算した所得税額に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を加えます。
- すでに納めている源泉徴収税額や予定納税額と、本来納めるべき税額を比較し、納めすぎていればその差額が還付金となります。
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還付金を受け取る方法
還付金を受け取るには、確定申告の際に指定した金融機関への銀行振込が一般的な方法ですが、郵便局やゆうちょ銀行の窓口で還付金を受け取ることも可能です。
どちらの場合でも、申告書に正確な口座情報や必要事項の記入が必要です。ここでは、2つの方法について詳しく解説します。
銀行振込による受け取り
もっとも一般的な還付金の受け取り方法が、指定した口座への振込です。多くの金融機関に対応しており、申告時に指定した銀行口座へ直接振り込まれます。そのため、現金の授受や書類のやり取りなど面倒な手続きは必要ありません。
ただし、口座情報に誤りがあると、還付金の入金が遅れるだけでなく、修正手続きが発生することがあるので記載の際には十分に気をつけましょう。
郵便局・ゆうちょ銀行窓口での受け取り
普段から郵便局を利用している方や、銀行口座を持っていない方は、郵便局やゆうちょ銀行窓口での受け取りも可能です。
申告書にその旨を記載しましょう。受け取り時には運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です。
なお、郵便局窓口での受け取りは、銀行振込よりも処理時間が長くなる場合もあるため、スケジュールに余裕を持って進めることをおすすめします。
確定申告や還付金に関する注意点
還付金を受け取るには確定申告が必要ですが、その際にはいくつかの注意点があります。特に「申告期限」と「受け取り口座」の確認は忘れずに行いましょう。それぞれの詳細を解説します。
還付申告には期限がある
還付申告は、原則として対象となる年の翌年1月1日から5年間が申告期間です。この期限を過ぎてしまうと、たとえ納めすぎた税金があったとしても還付を受けられなくなってしまいます。
還付申告は期限内であればいつでも可能ですが、できるだけ早めに行うと税務署での処理がスムーズに進みます。
また、過去の申告漏れに気づいた場合でも、5年以内であれば申請できるので、気付いた時点で早めに手続きを始めましょう。
ネット銀行では還付金を受け取れない場合がある
還付金の受け取り口座にネット銀行を指定した場合、一部のネット銀行では税務署からの還付金処理に対応していないことがあるので注意が必要です。
そのため、確定申告の際にネット銀行の口座を登録する予定がある場合は、あらかじめ還付金の振り込みに対応しているかどうかを確認しておきましょう。
希望のネット銀行で還付金を受け取れない場合には、メインバンクやゆうちょ銀行の口座を利用するのがおすすめです。
まとめ
フリーランスが還付金を受け取るには、確定申告で正確な所得や控除を申告することが必要です。還付金は、源泉徴収や予定納税で多く納めた税金が戻る仕組みであり、収入や経費、各種控除の内容によって金額が変わります。
還付金の平均額は一概には言えませんが、一般的には数万円から十数万円程度であるケースが多く、控除をしっかり活用すればより多く受け取れる可能性もあります。
申告は期限を守り、口座情報や書類にミスがないように注意しましょう。還付金の受け取りや確定申告について不安がある場合は、税理士など専門家に相談すると安心です。