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税務調査で外注費が認められない?判断基準とリスクを解説

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税務調査で外注費が認められない?判断基準とリスクを解説

税務調査では、企業の経費処理が厳しく確認される中、外注費の取り扱いも重要なポイントとなります。形式的に外注費として計上していても、税務調査で詳細な確認が行われることで、思わぬ指摘を受けるケースもあるでしょう。本記事では、外注費に関する税務調査のチェックポイントや注意点を解説し、適正な対応を取るための方法を紹介します。

税務調査で外注費が問題視される理由

税務調査において、外注費の取り扱いは重要なチェックポイントの一つです。企業が本来給与として処理すべき支払いを外注費と偽装し、税負担を軽減しようとするケースがあるため、税務当局は厳しく監視しています。

外注費は成果報酬として支払われるのが原則ですが、業務の実態が雇用契約と同じであれば、給与と判断される場合もあるでしょう。その場合、源泉所得税や社会保険料の未納が発生し、企業側に追徴課税のリスクが生じます。

こうした不正を防ぐため、税務署は外注費の支払い条件や業務実態を細かく確認し、適正な税務処理が行われているかをチェックします。企業は、契約内容と実態が一致しているかを見直し、税務調査に備えましょう。

関連記事:【税理士監修】外注費と給与の違いは?判断基準や区分について

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外注費が給与と判断される5つの基準

個人事業主に対する税務調査のイメージ

外注費が給与と判断されるかどうかは、業務の実態によって決まります。契約内容だけでなく、指揮命令関係や報酬の支払い方法などが重要な判断基準となるでしょう。以下で、税務調査で特に注意すべき5つのポイントを解説します。

  1. 指揮命令関係
  2. 勤務時間や業務場所の指定
  3. 報酬の支払い方法
  4. 経費負担の有無
  5. 外注先の業務実態

1. 指揮命令関係

外注先が業務の進め方を自由に決定できるかが重要です。企業側が細かく指示を出し、業務の遂行方法を管理している場合、実態として雇用関係と見なされる可能性が高くなるでしょう。

特に、業務の流れや作業手順を企業が指導し、報告義務を課している場合、外注契約とは言えず、給与と判断される場合があります。外注先の自主性を尊重し、業務の進め方に一定の裁量を持たせることが必要です。

2. 勤務時間や業務場所の指定

外注契約の場合、業務の遂行場所や時間は基本的に外注先が決定するものです。しかし、企業側が勤務時間を厳密に指定したり、オフィスへの出社を義務付けたりすると、労働者としての管理が強まるため、雇用関係と見なされる可能性があるでしょう。

シフト制や定時勤務の義務がある場合は、外注費ではなく給与と判断される可能性が高まるため、業務の自由度を確保することが重要です。

3. 報酬の支払い方法

本来、外注契約では成果物や業務の完了に応じて報酬が支払われます。しかし、時間単位や月額固定で支払われている場合、給与とみなされる可能性が高くなるでしょう。

例えば、毎月一定額の支払いが継続し、実際の成果に関係なく報酬が発生する場合、給与と判断される可能性があります。外注費として適正に処理するためには、業務の成果に応じた報酬形態を導入し、契約内容と実態を一致させることが求められます。

4. 経費負担の有無

外注先は、原則として業務遂行に必要な機材や消耗品を自ら用意し、費用を負担するのが一般的です。しかし、企業側が業務に必要なパソコンや作業服、材料を提供し、外注先に使用を義務付けている場合、雇用関係と判断される可能性があるでしょう。

外注契約では、業務遂行にかかる費用を外注先が負担することが重要であり、企業側が過度に業務環境を整備すると、実質的に従業員とみなされる可能性があります。

5. 外注先の業務実態

外注先が特定の企業にのみ依存している場合、独立した事業者とは認められず、給与と判断される可能性が高いでしょう。外注先が他のクライアントとも取引しているか、請求書を自身の名義で発行しているかなど、独立性を証明できるかが重要です。

また、外注先が自ら事業運営を行い、広告や営業活動を行っている場合は、外注費としての適正性が認められやすくなります。契約時に、外注先の業務実態を確認し、必要な書類を整備しておきましょう。

外注費が否認された場合の3つのリスク

リスク

税務調査で外注費が給与と認定されると、企業には以下の3つの税務リスクが発生します。

  1. 源泉所得税の追徴
  2. 消費税の仕入税額控除の否認
  3. 遡及課税と罰則の適用

1. 源泉所得税の追徴

外注費が給与と認定された場合、企業は過去に遡って源泉所得税を支払う必要があります。給与として支払う場合、企業は源泉徴収を行う義務がありますが、外注費と誤認していた場合、その義務を果たしていないことになるため、不足分が追徴されるでしょう。

さらに、不納付加算税や延滞税が発生し、想定外の税負担が企業にのしかかる可能性もあります。こうしたリスクを回避するためには、契約内容と業務実態の整合性を確保し、適切な税務処理を行うことが重要です。

関連記事:源泉徴収する・しないの基準とは?対象の報酬・給与や計算法を解説!

2. 消費税の仕入税額控除の否認

外注費として計上した支出が給与と判断されると、仕入税額控除の適用が認められなくなります。これは、給与には消費税が課されないため、外注費として消費税を計上していた場合、それが無効とされるためです。

その結果、企業が想定していた消費税控除が認められず、税務調査後に追加の納税義務が発生する可能性があります。また、仕入税額控除を適用していた期間が長いほど、修正申告による税負担が大きくなるため、慎重な対応が求められます。

関連記事:仕入税額控除ってなに?インボイスとの関係についても解説

3. 遡及課税と罰則の適用

税務調査により外注費が給与と認定された場合、過去数年分に遡って修正申告を求められる可能性があります。特に、意図的に外注費として処理していたと判断された場合、加算税や重加算税が適用されることもあり、企業の税務負担はさらに増加するでしょう。

また、税務当局からの指摘により、企業の信用にも悪影響を及ぼし、取引先や金融機関との関係にも支障が生じるリスクがあります。税務リスクを最小限に抑えるためにも、契約の適正化と業務実態の見直しを行いましょう。

関連記事:税務調査はどこまで調べるのか?知っておきたい対象範囲や注意点・手続きなどを詳しく解説

税務調査で外注費を適正に処理するための5つの対策

税理士を変更するデメリットのイメージ

外注費を適正に処理し、税務リスクを回避するための5つの対策を解説します。

  1. 業務委託契約書を明確に作成する
  2. 業務の進め方を外注先の裁量に任せる
  3. 報酬の支払い方法を成果ベースにする
  4. 外注先の業務実態を確認する
  5. 専門家に相談する

1. 業務委託契約書を明確に作成する

業務委託契約書は、外注費の適正性を証明する重要な書類です。契約内容を明確にし、指揮命令関係がないことを示しましょう。

契約書には、業務範囲や報酬の支払い条件、成果物の有無を具体的に記載し、雇用契約とは異なる点を強調してください。また、定期的に契約内容を見直し、実態と一致しているかを確認することも重要です。

2. 業務の進め方を外注先の裁量に任せる

外注契約においては、業務遂行方法を外注先に委ねることが求められます。企業側が詳細な業務指示を出したり、作業の進め方を管理したりすると、雇用関係と判断されるリスクが高まるためです。

業務の進行管理やツールの選択は、できるだけ外注先の裁量に任せ、企業側が業務フローを細かく統制しないよう注意しましょう。こうすることで、業務委託の実態を明確にし、外注費としての適正性を担保できます。

3. 報酬の支払い方法を成果ベースにする

報酬の支払い方法は、外注費と給与の判断に大きく影響します。時間単位や月額固定で報酬を支払っている場合、給与とみなされるリスクが高くなるでしょう。

適正な外注費として処理するためには、業務の成果や納品物の提出を基準に報酬を支払う形をとることが重要です。また、報酬の支払いが業務完了後に行われるよう契約書に明記し、適正な証拠書類を管理しておきましょう。

4. 外注先の業務実態を確認する

外注費として認められるためには、外注先が独立した事業者として活動している事実が必要です。税務調査では、外注先が他社と取引しているか、請求書を自社名義で発行しているか、経費を自己負担しているかなどが確認されます。

外注先の業務実態が不明確な場合、給与と判断されるリスクが高まるため、契約時に独立性を証明できる書類を整備し、必要に応じて定期的に確認するようにしましょう。

5. 専門家に相談する

外注費の税務処理は複雑であり、誤った処理をすると税務調査で指摘を受ける可能性があります。契約内容や取引形態を適正化し、リスクを最小限に抑えるためには、税理士などの専門家に相談するのが最善策です。税務の専門知識を活用し、適切な外注契約の整備や税務対策を講じることで、安心した事業運営を行いましょう。

外注費の税務調査で不安がある方は専門家に相談

税務調査で外注費の適正な処理に不安がある場合は、専門家への相談をおすすめします。外注費と給与の区別は税務上の判断が難しく、誤った処理をすると追徴課税やペナルティのリスクがあります。

小谷野税理士法人では、企業の税務リスクを軽減するためのアドバイスや契約書の適正化をサポートしています。外注費の適正な処理に関する疑問や税務調査への対応でお困りの際は、ぜひ小谷野税理士法人へご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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