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期の途中からインボイス登録できる?請求書や仕訳の注意点も解説

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期の途中からインボイス登録できる?請求書や仕訳の注意点も解説

期(事業年度)の途中からでもインボイスの登録は可能です。しかし、登録希望日の15日前までに手続きが必要です。また、期の途中で登録すると、請求書や経理処理・仕訳のルールが変わるため注意しましょう。併せて、免税と課税の期間が混在するため、税務申告も複雑です。この記事では、期の途中にインボイスの登録をする際の手続きや、登録前に注意したいポイントについて解説します。

期の途中でもインボイス登録は可能!手続きを解説

適格簡易請求書のレシートのイメージ

ここでは、期の途中にインボイス登録する際に必要な手続きについて解説します。同じ「期の途中の手続き」でも、事業を始めてからしばらく経っている場合と、事業開始直後では、適用期間が異なります。

期(事業年度)の途中からでもインボイス登録は可能

期の途中でも、インボイス登録できます。登録希望日の15日前までに「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出しましょう。

例えば12月決算(1月〜12月が事業年度)の法人が、翌事業年度の初日から登録を希望する際は、前年の12月17日までに提出します。これで、翌事業年度は丸ごとインボイス登録者として事業ができます。

個人事業主でも同様です。個人の事業年度は、原則1月1日から12月31日の期間です。提出が遅れると、希望するタイミングで適格請求書が発行できないのでご注意ください。事前に計画を立て、申請期限を確認しましょう。

参考:適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁
参考:課税期間の中途での登録|国税庁

事業開始直後なら期の途中に申請しても初日からインボイス登録が可能

事業開始直後であれば、期の途中に申請書を提出しても、事業開始日からインボイス登録者として事業ができます。適用するためには、設立年度の末日までに「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出しましょう。

通常はダメですが、事業の開始直後に限り年度内に提出すれば、初日に遡って登録が適用されます。法人設立前には登録申請ができないためです。

例えば12月決算の新設法人が1月1日の設立日から登録を希望する場合、設立した年の12月31日までに提出します。これで、たとえ提出日が12月でも、1月1日に遡って登録が適用されます。

個人事業主も、開業した年の12月31日までに手続きすれば、開業した年の1月1日から登録できます。

この際、申請書には「事業の開始日から登録を希望する」という旨を書きましょう。書き忘れると、希望通りに適用されない可能性があります。

また、登録番号交付前に発行した請求書には、登録番号が記載されていません。取引先が控除を受けられるよう、必要に応じて登録番号が書かれた訂正請求書などを発行しましょう。

参考:新たに設立された法人等の登録時期の特例|国税庁
参考:開業日から登録を受けることはできますか?|国税庁

なお、令和11年以降は「課税事業者選択届出書」も併せて出す必要があるので注意しましょう。

参考:免税事業者が令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合|国税庁

期の途中からインボイス登録する前に注意したいポイント

請求書

ここでは、インボイス登録する前に知っておくべきポイントを5つ解説します。期の途中からインボイス登録したいと考えている方は、ぜひご一読ください。

請求書のルールが変わるので記載漏れに注意する

インボイス登録後は、請求書のルールが変わるので注意しましょう。発行する請求書は、適格請求書としての要件を満たすものである必要があります。

インボイス登録後は、「仕入税額控除を適用できる適格請求書(インボイス)」を発行できます。適格請求書には「登録番号」「適用税率」「税率ごとの消費税額」などの記載が必要です。

記載漏れがあると、その請求書は適格請求書とは認められません。結果として取引先が仕入税額控除を受けられず、予期しないコストが増えてしまいます。もしくは、再発行を求められるなどの手間が発生します。

期の途中からインボイス登録をする際は、登録日以降の請求書に記載漏れがないか確認しましょう。

参考:適格請求書等の記載事項|国税庁

参考:適格請求書の記載事項(PDF)|国税庁

なお、月の途中でインボイス登録者となった場合、支払いを受ける日によって通常の領収書か適格領収書か異なります。詳しくは下記の国税庁ホームページをご確認ください。

参考:月の中途で適格請求書発行事業者となった場合の適格請求書等の交付方法|国税庁

インボイス制度の請求書・領収書の書き方に関して詳しくは下記の記事をご確認ください。

関連記事:【税理士監修】インボイスの領収書の書き方は?見本やテンプレート、登録番号なしの場合は?

事前に取引先へインボイス登録のタイミングを通知する

期の途中でインボイス登録する場合、事前に取引先へ登録日を通知しておきましょう。事前に伝えないと、取引先の税務処理やコストに影響が出て、トラブルの原因になる可能性があります。

例えば取引先がこちらのインボイス登録時期を知らなかった場合、登録後の請求書を見て、登録前の請求書も適格請求書と誤認するリスクがあります。

そうすると、仕入税額控除を受けるつもりでいた取引の控除が受けられず、税額が想定より増えてしまう可能性もあるので注意しなければなりません。

また、インボイス登録を事前に伝えていない場合、取引先が登録日以降の請求書を適格請求書として認識できない可能性もあります。そうすると、取引先はせっかく使える仕入税額控除が適用できなくなってしまいます。

取引先との信頼関係構築のためにも、登録開始日の1〜2ヶ月前には通知しておくとベストです。取引先が準備しやすくなるので、メールや文書にて、以下の内容を正式に通知しましょう。

  • 適格請求書を発行できるようになる日
  • インボイス登録番号
  • 取引に関する変更点(請求書のフォーマット、支払条件の変更など)

長年の取引先には、口頭でも説明してフォローするとより丁寧なはずです。

参考:事前の確認・検討を!!|国税庁

税抜方式か税込方式か?経理処理と仕訳のルールを確認する

インボイス登録を期の途中から行う場合、経理処理の方式によって、仕訳ルールが異なります。消費税の経理処理方式には、税抜方式と税込方式があります。事前にどちらの方式で処理するのか確認し、対応できるよう準備しましょう。

特に税抜方式の場合は、仕訳ルールが変わるのでご注意ください。売上を記帳する際は「仮受消費税」を、仕入を記帳する際は「仮払消費税」を追加する必要があります。

一方、税込方式の場合は、日々の仕訳ルールは変わりません。しかし税務申告の際は、税込金額から消費税を抜き出して計算する必要があります。

まとめると、税抜方式の場合、日々の記帳は大変ですが税務申告はスムーズです。税込方式の場合、日々の記帳は楽ですが、税務申告時に消費税計算の手間があります。

インボイス登録後の経理処理の違いや手間の負担を把握し、税抜方式か税込方式かを事前に決めておきましょう。

税抜方式と税込方式の違いについて、詳しくは下記の記事をご確認ください。

関連記事:【税理士監修】消費税の確定申告とは?やり方や計算方法、インボイス制度との関係

また、仕訳については下記の記事も併せてご確認ください。

納税額が増える可能性があるので事前にシミュレーションをする

インボイス登録後は消費税の納税義務が発生するため、登録前に納税額のシミュレーションを行いましょう。納税額を把握せずにインボイス登録すると、思わぬ税負担が発生し、資金繰りや経営に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

特に、仕入が少ない事業者は仕入税額控除があまり活用できないため、税負担が増える傾向があります。

一方で、「2割特例」や「簡易課税」が適用できれば、納税額を軽減できる場合もあります。これらは、小規模事業者向けの税負担を軽減する制度です。

2割特例や簡易課税について詳しくは下記の記事をご確認ください。

関連記事:【税理士監修】インボイス制度の負担軽減措置「2割特例」とは?要件や計算方法、適用期間を解説!
関連記事:簡易課税制度とは?消費税の計算方法やメリット・デメリットまとめ

事前にシミュレーションを行い、納税額がどの程度になるか、どの制度を適用すれば得なのかを把握しておきましょう。

シミュレーションは税金対策と経営戦略の両面の観点から不可欠です。不安な方は税理士などの専門家と計算して見極めましょう。

免税期間と課税期間が混在し複雑になるので専門家への相談を検討する

期の途中からインボイス登録すると「免税期間」と「課税期間」が混在するため、消費税の申告が複雑になってしまいます。税務の知識や経験が少ない方は、税理士などの専門家に相談するのも一つの方法です。専門家が介入することでミスのない申告ができます。

例として、10月1日からインボイス登録者になった個人事業主の場合を見てみましょう。確定申告時には「1〜9月までの売上」と「10〜12月の売上」を分けて集計し、それぞれの税額を計算する必要があります。

この場合、免税事業者期間と課税事業者期間で、売上・仕入・経費を明確に分けて計算しなければなりません。また、課税期間の税務処理を間違えると、過少申告や過大申告につながります。

申告でミスが発覚すると、修正申告や「更正の請求」の手間が発生します。また、追徴課税など余計な費用が発生する場合もあります。免税期間と課税期間が混在することによる計算ミスを避けるため、専門家に相談し確実な申告を行いましょう

修正申告、更正の請求、追徴課税について詳しくは下記の記事をご確認ください。

関連記事:修正申告とは?税務調査で修正申告が発生するのはどんな時なのか詳しく解説
関連記事:【税理士監修】確定申告が間違っていたときの修正申告のやり方・流れ
関連記事:追徴課税とは?加算税の種類や計算方法、対象期間について解説

期の途中からインボイス登録すると複雑!税理士に相談を

この記事では、期の途中にインボイス登録する手続きや、インボイス登録する前に注意したいポイントについて解説しました。

期の途中からインボイス登録すると、免税期間と課税期間が混在し、売上・仕入・経費の消費税処理が複雑化します。計算や処理を誤ると、税務調査のリスクも高まります。

「税金を払いすぎて損をする」「計算ミスで追徴課税される」といった事態を防ぎたい方は、税理士にご相談ください。インボイス登録による影響のシミュレーションをサポートいたします。また、インボイス登録後の複雑な税務申告もお任せください。

途中からインボイス登録する際のお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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