0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

マイナスの請求書の仕訳はどう処理したらいい?書き方や管理方法について

公開日:

マイナスの請求書の仕訳はどう処理したらいい?書き方や管理方法について

マイナスの請求書は、通常の請求書とは異なり特別な処理が必要です。特に、経理担当者はその正確な処理や書き方をきちんと理解することが求められます。適切な仕訳や管理方法を押さえ、インボイス制度に対応した手続きを行いましょう。法に則った正確な対応により、経理業務全体をスムーズに進められます。本記事では、マイナスの請求書の処理方法について解説します。

マイナス請求が発生する原因とその対処法・仕訳例

割引

マイナス請求が発生する理由はさまざまです。マイナス請求の適切な対処を行うには、まずその発生原因を理解する必要があります。ここでは、その原因と対処法・仕訳例について詳しく見ていきましょう。

大量購入による割戻

特定の取引先による大量購入が発生した場合、大量購入による割戻を適用する場合があります。購入量に応じて適用される割戻額を計算し、請求書にマイナスの表記を記載します。

その後、仕訳処理を行い、通常の請求書と同様に帳簿に記録。また、取引先とのトラブルを避けるため、割戻の基準となる価格を明確にするなどの工夫も必要です。例えば、下記の仕訳例を見てみましょう。

例:A社は、B社から1,000万円分の商品を購入、その後A社の大量購入に対するリベートとして、B社はA社に対して購入金額の10%(100万円)の割戻を行うことを決定。B社はこの割戻を反映させたマイナス表記の請求書(-100万円)をA社に発行した。

上記の例の場合、割戻の際の仕訳は下記のように行います。

借方

金額

貸方

金額

買掛金

100万円

仕入割戻

100万円

また、仕入割戻ではなく仕入の勘定科目を使用するケースもあります。

クレームを受けた際の返金対応

商品やサービスの品質に問題があり、クレームが発生した場合、返金や値引きの適用が求められる場合もあります。

クレーム対応は迅速さが必要ですが、同時に適切な請求書の発行も必須です。返金契約や値引き内容を正しく請求書に記載することが、後々のトラブル防止に繋がります。仕訳例を見てみましょう。

例:A社はB社に100万円分の商品を販売したが、商品の一部に不良品があったため、B社からクレームを受けた。A社は20万円分の返金に同意し、マイナス表記の請求書(-20万円)をB社に発行した。

上記の例の返金対応時の仕訳例は、下記が考えられます。

借方

金額

貸方

金額

売上値引

20万円

現預金

20万円

売掛金と買掛金を相殺したとき

過去の取引で未払いの金額を相殺する取り扱いがあります。取引をスムーズにし、双方にとっての事務負担軽減を図るためのやりとりです。

相殺する際は、相手も納得できる明確な金額を示すことが求められ、両者間での合意形成がとても大切です。相殺された金額は新たな請求書に反映し、明確に記載しておきましょう。

例:A社はB社に対して20万円の商品を販売した。A社はB社に対して30万円の買掛金があったため、今回の売上と過去の買掛金を相殺することに2社間で同意し、A社は証拠としてB社に-20万円の請求書を送付した。

上記の例の返金対応時の仕訳例は、下記の通りです。

借方

金額

貸方

金額

売掛金

20万円

売上

20万円

買掛金

20万円

売掛金

20万円

マイナス請求書の書き方と注意点

インボイス イメージ

返品や値引きなどの理由でマイナス請求となった場合、その請求書の書き方には気をつけるべきポイントがあります。ここで、その作成方法や留意点について詳しく解説します。特に、インボイス制度に適応した正確な記載方法の知識を身につけましょう。

インボイス制度に対応した書き方

マイナス請求書は、インボイス制度において、特に正しく作成することが求められます。インボイス制度では、マイナスの請求が発生した場合「適格返還請求書(返還インボイス)」を発行しなければなりません。適格返還請求書の記載要件は以下の通りです。

  • 請求書発行者の名称および登録番号
  • 返還を行う年月日
  • 基となる取引を行った年月日
  • 取引内容
  • 返還金額
  • 消費税

また、返金や値引きの理由についても具体的に示しましょう。これにより、両者の税務上の認識が一致し、後々のトラブル防止にもつながります。

こうして作成したインボイス制度対応のマイナス請求書は、信頼性の高い取引証明となります。インボイス制度の決まりに従い、正確に保存しましょう。

出典:適格請求書等保存方式の概要(国税庁ホームページ)

適格簡易請求書(簡易インボイス)とは?レシートでもいいのかを詳しく解説

【税理士監修】インボイスで変わる!法人が免税事業者と取引をする際の注意点

消費税計算時の注意点

マイナス請求書を作成する際は、消費税の計算が重要なポイントです。通常、値引きや返金を行った場合は、消費税額を再計算する必要があります。この時、値引きの金額から消費税を差し引くという順序で計算すると、誤った税額が発生する恐れがあります。

そのため、消費税の計算は値引き後の金額に基づいて行うのが望ましいです。また、標準税率、軽減税率という税率区分ごとに分けて計算する必要があります。

消費税額の記載が不十分だと、税務署から指摘を受ける可能性もあるため注意しましょう。正確な消費税計算は、経理業務の透明性を担保するために欠かせません。

【税理士監修】消費税の確定申告とは?やり方や計算方法、インボイス制度との関係

【税理士監修】インボイス制度と消費税の基礎知識!計算方法や納付の仕組みについても解説!

インボイスで消費税の計算が変わる!端数処理や計算方法について

金額表記にカンマを使う理由

請求書の金額表記は、明確性と正確性が求められます。特にマイナス請求書では、カンマを使用すると金額の読み取りやすさが向上します。3桁ごとにカンマを入れると、高額な金額でも瞬時に理解しやすくなるため、誤読を防ぐ効果があります

また、マイナス記号はわかりやすい位置に記載しましょう。複雑な取引だけに、相手が視覚的に分かりやすい請求書を作成することが求められます。

これらの配慮が取引先に対して透明性をもたらし、信頼関係を構築する助けとなります。特に、カンマの使用は単なる慣習ではなく、実務的な利点をもたらすと言えます。その意義を理解して積極的に使用しましょう。

マイナス請求書の保存と管理方法

ファイルボックス

取引の修正や返品などで生じるマイナス請求書は、通常の請求書と同様、適切な管理が求められます。

適切な期間のあいだ、関連する書類や記録と一緒に保存することで、将来的なトラブル回避に繋がるでしょう。

特に、取引が発生した理由や背景に関する情報を附属させておくと、有効な証拠として役立つ場面も。必要な時に迅速に確認できる体制を整えておくと、経理部門内の情報共有もスムーズに進むでしょう。

マイナス請求書の保存期間

マイナス請求書の保存期間には、法律や税務上の決まりがあります。通常、請求書は7年間の保存が義務付けられており、適格返還請求書についてもそのルールが適用されます。

保存期間は、交付日の属する課税期間の末日翌日から算出され、指定された期限に従って保管する必要があります。

例えば、2023年8月1日に交付された請求書は8月決算の場合、2030年10月31日まで保管しなければなりません。これを遵守することにより、後々の税務調査やトラブルを防ぐことができます。

請求書発行・管理システムの導入

マイナス請求書を含む請求書管理業務を効率化するには、請求書発行・管理システムの導入を検討するのも一案です。請求書の作成や送付、さらには保存がデジタル化され、多くの手作業を省略できます。

システムの活用によって、ミスを軽減し、情報の検索やアクセスも容易になるでしょう。また、業務の効率化だけでなく、請求書の履歴の追跡も可能となり、経理部門での透明性向上にもつながります。

マイナス請求書に関するまとめ

マイナス請求書の処理には、さまざまな注意点があります。特に経理担当者は、請求書の発行手順や仕訳について理解を深めておきましょう。

マイナスの金額が発生した際は、取引先との信頼関係を維持するために、その原因を適切に記載すする必要があります。また、インボイス制度への対応や消費税の取り扱いについても正確に行いましょう。

さらに、マイナス請求書を含むすべての請求書は、法律によって保存期間が設けられています。

煩雑な管理の手間を省くには、請求書発行・管理システムの導入を検討するのも戦略のひとつと言えるでしょう。適切な手続きと情報管理が業務を円滑にし、経理部門の信頼性を高めていくことにつながります。

法に則った適切な経理業務を行うには、専門家のサポートが大いに役立ちます。請求書発行をはじめ、経理業務についてサポートを受けたい場合は、ぜひ小谷野税理士法人までお問合せください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談