久しぶりに現代小説で興奮しました。
「ジェノサイド(大量殺戮)」というオドロオドロしいタイトルで、戦場シーンではグロい描写も登場しますが、全体としてはSFエンターテイメントといった感じで、読後感は爽快なものでした。でありつつ、人間ってなんだろう、とも考えさせられます。
「人類絶滅の危機」という壮大なテーマを扱っていながら、人類史、民族紛争、最新兵器、創薬化学、ハッキング等様々な分野についての記述が、それぞれ緻密な取材に基づいているせいか、これは現実に起こり得ることかもと、リアリティを損なってないところがスゴイ。
ワシントン・東京(事務所近くの千駄ヶ谷も出てきます)・コンゴと舞台は地球上の3カ所に渡り、各所で別々に進行するストーリーが、だんだんと交錯していき、徐々に謎が明かされていきます。
これはもう世界レベルの傑作なんじゃないかと。
作者は、髙野和明という人で、もともと映画監督を志望していたそうです。是非とも映画化してほしいです。製作費500億くらいかかりそうですが。
東京の物語の主人公である日本人と韓国人の2人の大学院生が熱い。いまから科学者を目指したくもなっちゃう。生き方考えちゃう内容です。
賞もいくつかとっていて、本屋さんに行くと、平積みされたり、目立つポップがついていたりするので、目にされた方も多いと思います。読もうかどうか迷ってましたら、是非お試しください。寝不足必至です。