新しい中村勘九郎さんの襲名披露が行われていたのです。
勘九郎さんは「襲名披露 口上」で、
お父様が勘九郎時代に夢であった芝居小屋の「平成中村座」を旗揚げ、
その地で「中村勘九郎」の名を継ぐこと、
「このような嬉しいことはない」とお喜びになっていました。
近松門左衛門作の「傾城反魂香」では
何をやっても認められない絵師・浮世又平が
墓碑に描いた自画像が裏側まで突き抜けたことから、
その筆力を認められ、土佐光起の名を免許皆伝として、
元信の救出を命じられるまでが演じられましたが、
一途な又平と彼を助ける妻お徳の夫婦愛に心が温かくなり、
河竹黙阿弥作の「曽我綉侠御所染」より「御所五郎蔵」では、
本花道と設置された仮花道から登場してきた
五郎蔵と星影土右衛門の華やかさに目を奪われ、
「元禄花見踊」では舞台奥が開かれ、現代を背景に、
長唄舞踊が披露され、なんとも言えない不思議な空間に包まれました。
学生の頃、授業の一環で観劇した当時は
演目の内容がよく判らないまま、時間だけが過ぎ、
衣装の美しさが微かに記憶に残っているぐらいでしたが、
少しずつ歌舞伎が楽しめるようになってきました。
が、「大向うさん」になるまでの道のりは遠そうです。