『石のスープ』
飢えた修道士が集落にたどり着き、民家に食事をわけてほしいと立ち寄りました。
家人は食べさせるものはないと、修道士を追い払いました。
一計を案じた修道士は、路傍の石を拾うともう一度民家にかけあいました。
「煮るとスープができる不思議な石を持っているのです、鍋と水だけでも貸してください」
興味を持った家人は、旅人を招き入れることにしました。
修道士は石を煮始めるとしばらくして
「この石はもう古くなっているので濃いスープになりません、塩を加えるとよりおいしくなるのですが・・・」
と、家人に説明した。
そこで家人は塩を持ってくると修道士に渡しました。
修道士は同じようにして、小麦や野菜、そして肉を持ってこさせました。
できあがったスープは見事な味に仕上がっていて、何も知らない家人は感激しました。
修道士はスープのできる石を家人に預けると、また旅立っていったそうです。
はい、『石のスープ』はポーランドの寓話が起源とされているそうです。
村の中央の広場で鍋を作り始めて、面白がった村人がどんどん食材を持ってきた、というような展開になっているものもあります。
あとは修道士ではなくオオカミがスープつくる童話もあるみたいですね。
修道士がまんまと家人をだましておいしいものにありついた、みたいなことが言われていますけど、どうなんでしょうね、野菜あたりからはもう家人も気づいてはいたけど、乗っかってやったんじゃないかって思いますよね。
そうでないとさすがに気づかずなんでもかんでも差し出したりしないでしょうと思うのですが・・・。
家人と修道士のあいだにある程度共犯関係がないとスープは完成しなかったんじゃないかって気がしますよね。
村の中央の広場でみんなにふるまったならなおさら、ある程度共犯関係が必要というか。
信じてもよさそうなくらいのウソなら乗っかったほうが思いもよらぬことがあるよ、くらいの気持ちなんじゃないかって気がしますよね。
良くも悪くもこの業界の仕事に似ているのかもしれません。
いや、もしかしたら聞こえが悪くなるかもしれませんけど、とはいえ、というか。
ではまた。