スタッフブログ

2022年01月20日 / 投稿者:Takeuchi 2022年、新年展望−世界の構造変化と日本の針路

多摩大学「現代世界解析講座ⅩⅣ」の最終回(12回目、1月13日)は、寺島学長による「2022年、新年展望―世界の構造変化と日本の針路」でした。

 

21世紀に入ってからの20年間(2000年~2020年)の変化を、マクロ・セミマクロ・ミクロの観点で確認してみます。

 

1.マクロの観点

■この20年間で世界における日本の位置付けは大きく減少しました。

(1)世界のGDPに占める日本の比率

(2000年)14%→(2020年)6%で▲8% IMF見通しによると2021年はさらに5.8%に低下

(2)国連分担金比率

(2000年)①米国25%、②日本20%→(2020年)①米国22%、②中国12%、③日本8%で▲12%

(3)名目GDP

アベノミクスは、”2020年度名目GDP600兆円”を目標としていましたが、実績は536兆円(▲11%)でした。

 

2.セミマクロの観点

■この20年間で経済・産業規模は約2割縮小しました。

粗鋼生産量▲22%、エチレン生産量▲22%、国内自動車生産量▲20.4%、国内自動車販売量▲22.9%、一次エネルギー▲21%

 

3.ミクロの観点

■この20年間で国民生活は大きく落ち込みました。

現金給与総額▲8.5%(1997年のmax612万円からは▲11.2%)

全世帯消費支出▲12.3%(1993年のmax33.5万円からは▲17%)→品目別の増減をみると、増加した消費支出は“通信費”“食料品”、減少した消費支出は“交際費▲50%”“衣料▲47%”“住環境▲11.3%”“教育・娯楽▲28%”

衣料や住環境が落ち込む中、ユニクロが売上を8倍に伸ばし、同じくニトリが15倍に伸ばしていることには驚かせられます。いずれも値段に対する高い品質でそれぞれの業界で一人勝ちを果たしています。

 

4.ベーシックインカムとMMT

21世紀の日本が埋没する中、ベーシックインカムとMMT理論がパッケージで語られていますが、努力と研鑽によって人生を切り開くという資本主義の逞しさや家は貧しかったが親が頑張って学校に行かせてくれたという社会感が失われていくようで心配です。

 

5.分配と負担

東日本大震災の復興費用は、所得税額の2.1%を復興特別所得税として25年間にわたって国民が負担します。加えて、この間、消費税引き上げが重なって国民には重圧となっています。

一方、コロナ対策費用は、全額国債発行(日銀丸投げ?)で賄っており、2回目となる10万円給付も“まあ、いいんじゃないの”という雰囲気で進んでいます。

議員定数や文書交通費問題等、政治の身を切る改革は置き去りにして、自堕落な政策が続いています。

 

★工業生産時代が終焉する中、これから重要な産業は国民の安心・安全にまつわる領域です。この意味で、「食と農」「医療・防災」「文化・教育」の育成が喫緊の課題です。

PAGETOP

お問い合わせ