貧しい人たちでもちゃんとした家に住めるよう、住宅家賃の上限を制限する必要があります。
・・・。
あります・・・か?
さて、似たようなことばっかり書いていますね、すみません。
経済学的には間違っているとされている考えを、それっぽく提言として書いてみると本当にそれっぽい感じがしますよね。
さらっと間違っていることをバラしましたが、なぜ経済学的には間違いだとされてしまうのでしょうか。
日本でも1980年代まではこの手の家賃規制は広く行われていました。
家賃の上限が決まっていれば人々は安く家を借りられるし、貧しい人でもちゃんとした住宅に住めるはずですよね。
だから、家賃規制には根強い規制賛成派が存在していたことも事実です。
(いまも、いるのかもしれません)
ただ、残念ながらこの考え方はきわめて短絡的であり、長期的な視野が欠落していると言わざるをえません。
家賃を規制することは住宅供給の量と質に悪影響を及ぼします。
本当に援助を必要とする人々を助ける政策のなかでもきわめて非効率的な方法だ、というのが多くの経済学者の考え方です。
なかには家賃規制を「爆弾以外で都市を破壊する最良の方法」と批判する人もいるのだそうです。
(と、ものの本には書いてありますが、実際にそう表現してるところを見たことはありません)
しかし、多くの自治体は経済学者の意見を無視して家賃規制を実施しています。
実際に、家賃の上限が法律で定められた場合を考えてみましょう。
法律で家賃の上限が制限されたあと、しばらくの間は家主が所有する賃貸アパートの数は変化しません。
じわじわと賃貸料収入が減っっていきますが、だからといってすぐにアパートを取り壊すというような話にはならないからです。
つまり、家賃規制によって短期的には人々が家を安く借りることができるようになります。
賃貸収入を不労所得と呼ぶと聞こえがいいですが、その実、管理費や定期的な修繕などそれなりの支出が発生します。
しかし、家賃の上限が規制されているため、収支のバランスが取れなくなることから家主はアパート経営に魅力を感じなくなります。
貸しても思うような収入が得られないので、新しくアパートを建てるのを控えたり、既存の物件の補修を怠るようになります。
なかには古くなったり、採算の悪いアパートを取り壊してしまうケースも増えてきます。
借りる側も家賃の規制によって、安く住むことができるようになりますから、多くの人が家を借りたいと思うようになるでしょう。
つまり、長期的に見た場合、住宅に対する需要は増えるのに、供給は減少してしまうわけです。
その結果、家主の手元には家を借りたい人の長い順番待ちリストが出来上がります。
家主からすると「ほっておいてもこれだけの人が借りたいと思っているのに、建物を改良・維持する必要はないだろう」と考えるようになります。
もっと言えば経済的に安定した長期にわたって住んでくれる借り主を選定することにもつながります。
結局、借家人にとって家賃が安くなっても、借りられる住宅の数は減少し、質も悪くなるわけです。
住めない人が増えれば町の治安は悪化し、荒廃していきます。
爆弾以外で都市を破壊する方法とはよく言ったものですが、全然笑えない冗談ですね。
なんだか長くなってしまいました。
ではまた。