多摩大学の「現代世界解析講座XⅣ(春学期)」をインターネット聴講しています。
5月27日収録分は、寺島実郎学長による「日本人の魂の基軸を求めて―世界宗教史研究」でした。
私自身、宗教にあまり関心がなかったことに加え、学生時代に、追いかけをやっていた桜田淳子が統一
教会に奪われて(?)ショックを受けた経験もあり、あえて避けてきた宗教ですが、現代世界を語る
上では必須の学科であることが分かりました。
寺島学長は、三井物産時代に米国・欧州・中東・ソ連等、世界各国を渡り歩きましたが、そのビジネス
を通して得た結論が、「世界は宗教で溢れている。宗教が時代と世界を突き動かしている。」という
現実でした。
“それでは日本はどうなの?”、というと、敗戦から今日までの80年というものは、明治維新から敗戦
までの“日本神道”の80年と同様、日本は世界の中では例外的に宗教が希薄です。
宗教から逃げてきた、ともいえましょう。
その理由として、第一に、敗戦後、冷戦の時代にあって、左派勢力が、宗教より階級闘争だ、という
運動を巻き起こしていたことです。
第二に、欧米に追い付け追い越せと経済一辺倒の時代を生きてきたことです。
日本は先進国に仲間入りした後、相当な月日が過ぎて、目標を見失う中、東日本大震災や新型コロナ
ウイルスという衝撃を受けて、レジリエンス(ストレスに耐える力)が求められています。
無宗教者なら無宗教者としての覚悟がいるのであって、無知ではいけないということです。
宗教心のない人間が末期がんになると、パニックになって「人間は死んだらどうなる!」と医者に
絡んだり、看護師さんには暴力をふるったりする傾向があるようです。
レジリエンスがないため、自分をコントロールする力がないことによるものです。