9月30日のブログにおいて、「消えた銀行員(講談社現代新書)」
という本を通じ、“半沢直樹”に相通じる銀行マンが現実にいるんだ
ということをご紹介しました。
その余韻も冷めやらぬ中、こんどは同じ金融業界である証券会社を
舞台とした、その名も「証券会社がなくなる日(講談社現代新書)」
という本を見つけました。
同じ出版社、かつ発行時期も同じなので、シリーズ化でもされている
のでしょうか? とすると、次は「かんぽ」??
それではどんな”半沢直樹”が登場するのか?そんな視点で読み進めた
ところ、“半沢直樹”を彷彿させる証券マンがいました。
いちよし証券の武樋政司会長です。
いちよし証券のHPに入ると、「売れる商品でも、売らない信念」
という決意表明と共に、次の「7つのいちよし基準」が目に
飛び込んできます。
・公募仕組み債は取り扱いません。
・債券は高格付けのみとし、不適格債は取り扱いません。
・私募ファンドを取り扱いません。
・個別外国株は、勧誘しません。外国株は投信での保有をお勧め
します。
・投信運用会社は、信頼性と継続性で選びます。
・先物・オプションは勧誘しません。
・FX(外国証拠金取引)は取り扱いません。
投資商品の品揃えが限られるため、多様な投資ニーズに対応できない
のではないか、という疑問はあります。
しかしながら、1999年の株式売買委託手数料の完全自由化以降、
さかんに喧伝されてきた「回転売買による手数料商売から預り資産
重視の資産管理型営業(注)」が20年経過した今でも浸透していない
現状を振り返った場合、いちよし証券の覚悟~この点が“半沢直樹”
を彷彿させる~が感じられます。
(注)単に預り資産から報酬を得る、ということではなく、お客様の
資産の増加と共に報酬を得るというWINWINの関係を構築する
資産管理型営業
1994年にビル・ゲイツが「銀行機能は必要だが、いまのような銀行
は必要ではなくなる。」と語ったことはよく知られていますが、
著者は最後に、「証券機能は必要だが、いまのような証券は必要では
なくなる。」と締めていました。