代表 小谷野幹雄のブログ

2025年11月12日不適切と適切 ~ある懲罰委員会~

小谷野です。

 

上場会社のコンプライアンス部門に勤める友人が、嘆いていました。

懲罰委員会メンバーとして参加した会議で、ある事案の処分に疑問を感じたといいます。

処分されたのは若手支店長で、下からも横からも人望が厚く、赴任した店舗の営業成績を大きく伸ばすスター的な存在だったそうです。

懲罰委員会の処分は降格、減給、他店舗異動だったそうです。

 

(肩を叩く癖)

この支店長は、多くの部下に対して、「頑張ろうな!」「よくやった!」と声がけをするときに、部下の肩を軽く叩く癖があったそうです。

他の従業員の証言によれば、殴るような行為ではなく、よく見かける肩に触れる程度のものであったそうです。

しかし、この行為が大きな問題となり、一人の従業員に本人と会社が訴えられたのです。

殴られながら業務を強要された、仕事ができないと暴力を受けた、などのパワーハラスメントに加えて、異性に体を触られてとても性的な苦痛を感じたというセクシャルハラスメントの主張も重なり、従業員は会社に鬱病の診断書を提出し、長期の休暇となったそうです。

私の友人は、直接よく知っている支店長のようで、ハラスメントが想像できない人間性であったといいます。

 

(本人がどう感じたかが全て)

懲罰委員会の構成メンバーである弁護士は、「行為をした側や、他の従業員がどう感じたかは関係ありません。ハラスメントは受けた本人がどう感じたのかが全てです。」と、教科書的なコメントしかなかったそうです。本件では、部下の主張通り、勤務の継続ができなくなったのはこの支店長の責任と認定され、上記処分が下されたそうです。

勿論、社内処分だけでは済まず、会社を訴える専門弁護士が出てきて、和解金交渉の最中だそうです。

 

~適切の判断基準は? 小谷野でした~

 

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