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iDeCoを活用した節税とは?いくら節税できる?効果的な運用方法・シミュレーション・注意点などをご紹介

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iDeCoを活用した節税とは?いくら節税できる?効果的な運用方法・シミュレーション・注意点などをご紹介

人生100年時代といわれている昨今において、老後の資金づくりは若い世代からも注目を集めています。老後資金の準備は早くから行うべきと分かっていても、後回しにしてしまう方も多いのではないでしょうか。そこで注目されているのが、コツコツと老後の資金づくりを行えるiDeCo(個人型確定拠出年金)です。今回はiDeCoに関する基礎知識や、iDeCoを活用した節税などについて詳しく解説していきます。

iDecoとは?

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後の資金づくりを目的として、国民年金や厚生年金に上乗せする年金制度のひとつです。iDeCoの加入者は掛金を拠出することで、自分が選択した金融商品を運用することで資産形成を行います。その運用成績によって将来受け取れる金額が変わり、60歳以降に積み立てた資産を受け取ることが可能です。

2017年1月から会社員や公務員、個人事業主や専業主婦などもiDeCoの加入対象者の範囲に含まれるようになりました。そして、2022年5月には65歳未満のほとんどの方が加入できるように改正されています。

ただし、以下の条件に該当する方はiDeCoに加入することができません。

  • 65歳以上の方
  • 国民年金保険料を納付していない方
  • 国民年金保険料の納付猶予・免除を受けている方
  • 農業者年金に加入している方

これらに該当する方はiDeCoに加入することができないため注意しましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の仕組み

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、加入者が自ら決めた掛金を拠出し、預金や投資信託などの金融商品の運用を行います。積み立てた資産は、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取ることができるという仕組みです。iDeCoで受け取れる金額は積立金と運用損益の合計額となっているため、自分の運用成果次第で変動します。

また、年金として給付を受ける場合、支払い予定期間は5年以上20年以下の年単位で指定することが可能です。ライフプランに応じて受け取り方法や受け取り期間を選択できることは、iDeCoの大きな魅力といえるでしょう。

iDeCoの基本情報

運用期間

これまで、iDeCoの受け取り開始年齢の上限は70歳とされていましたが、法改正によって75歳までに引き上げられました。そのため、iDeCoに加入した場合は75歳まで金融商品の運用が可能です。また、法改正によって原則65歳までの方がiDeCoに加入できるようになったため、60歳以上でiDeCoへの加入をあきらめていた方も長期間の運用ができる可能性があります。

また、iDeCoで積み立てた資産はすぐに受け取る必要がないため、75歳までの都合の良いタイミングで受け取ることができます。ただし、会社の退職金や公的年金を受け取るタイミングを考慮し、節税につながるよう注意しましょう。

運用方法

iDeCoは自分で決めた額の掛金を拠出し、自分で選択した金融商品を運用していくことで老後の資産形成を行う制度です。自分で金融機関を選択し、運用する金融商品も自分で選択する必要があります。

iDeCoで選択できる金融商品には定期預金や投資信託などがあり、金融機関によって20本程度の中から選ぶことが可能です。それぞれの金融商品によってリターンやリスクの大きさは異なるため、自分の目的にあった金融商品を選択しましょう。

掛け金

iDeCoは月々5,000円の掛け金からスタートすることができ、1,000円単位で掛け金を上乗せすることが可能です。ただし、掛け金の額は年に1回しか変更できないため、金額を設定する際は注意しましょう。

また、iDeCoの掛け金には上限額があり、職業や加入している年金制度などによって上限額が定められています。自分がどの区分に該当するのか、以下の表で確認しておきましょう。

加入資格

拠出限度額

第1号被保険者

自営業者等

月額6万8,000円

(年間81万6,000円)

第2号被保険者

(会社員・公務員)

会社に企業年金がない会社員

月額2万3,000円

(年間27万6,000円)

企業型DCに加入している会社員

月額2万円

(年間24万円)

企業型DC+DBに加入している会社員

月額1万2,000円

(年間14万4,000円)

DBのみ加入している会社員

公務員

第3号被保険者

専業主婦(夫)

月額2万3,000円

(年間27万6,000円)

iDeCoの節税効果

掛け金の全額が所得控除される

iDeCoの掛け金は、所得控除の小規模企業共済等掛金控除に該当し、掛け金の全額が所得控除の対象です。所得税と住民税は、年間収入から必要経費や各種控除を差し引いた課税所得に対して課せられます。iDeCoに加入することで課税所得を圧縮することができるため、所得税や住民税の節税につながるという仕組みです。

なお、所得税は年末調整で還付され、住民税は翌年度分から軽減されます。

運用時に非課税で再投資される

本来であれば、投資信託を運用することによって得られた利益(譲渡益や分配益)や、定期預金の利息には20.315%の税金が課せられます。しかし、iDeCoを運用することによって得た利益には、その全額が非課税対象です。つまり、運用によって得た利益の全額を再投資にまわすことができ、利益が利益を生み出す「福利効果」を得ることができます。

iDeCoは法改正によって加入年齢が引き上げられており、若い頃からiDeCoの長期運用を始めることができれば、より高い福利効果を実感できるでしょう。

受取時に税控除が受けられる

iDeCo の積立金を60歳以降に受け取る場合、老齢給付金として受け取ることになります。この老齢給付金は、5年以上20年以下の期間に少しずつ分割して受け取る「年金方式」か、一括で受け取る「一時金方式」を選択することが可能です。また、これらの方式を併用して受給することもできます。

年金方式の場合は公的年金控除、一時金方式の場合は退職所得控除の対象となるため、iDeCoを受け取る際には大きな控除が適用されて節税につながるというメリットがあります。

iDeCoの効果的な運用方法

リスクとリターンのバランスを考慮したポートフォリオの組み方

iDeCoで拠出した掛金の運用先は、自分で選択する仕組みです。そして、どの金融商品を選ぶのかによって、期待できるリターンと注意しなければならないリスクは異なります。どの国の資産かによっても投資信託のリスクとリターンには差がありますが、高いリターンを期待するとリスクも高くなることが一般的です。

このように、将来受け取る金額を増やしたいからといってハイリスクな資産ばかりを所有してしまうと、最終的な目標金額を達成できないリスクがあります。そのため、リスクとリターンのバランスが適切なポートフォリオを組む必要があるのです。

iDeCoの運用先を検討する際は資産の割合を確認し、リスクとリターンのバランスが適切か注意しましょう。

長期投資に向けた資産運用のポイント

先述のとおり、どの金融商品を選択するかによってリターンとリスクの割合が変わっていきます。例えば、iDeCoの掛け金を定期預金だけで運用した場合、元本割れしないためリスクはありませんが投資信託などと比較するとリターンは期待できません。一方、掛け金のすべてを外国株式などに投資した場合、期待できるリターンは大きいかもしれませんが損失を被るリスクも高くなってしまいます。

そこで、iDeCoで投資信託を運用する際は、対象となる金融商品や地域をひとつに集中させるのではなく、複数の投資対象に分散して運用してみましょう。異なる資産や地域に分散することで、全体的な値下がりのリスクを避けることができます。

このような分散投資は、運用期間が長期になるほど効果が高まることが特徴です。iDeCoは長期的な投資ができる仕組みとなっているため、分散投資でリスクを抑えることができれば、一定のリターンも期待しながら老後の資産形成を行うことができるでしょう。

定期的なリバランスと運用状況のチェック

分散投資が重要であることを述べましたが、どれくらいの配分を目安にすればいいのでしょうか。このときに考えたいのが、自分の「リスク許容度」です。このリスク許容度は、以下の表のように総合的に判断する必要があります。

項目

リスク許容度が低い

リスク許容度が高い

今後の収入や資産が増加する見通し

あまり増加しない

増加する

年齢

高齢

若い

投資に対する考え方

安定指向

リスク指向

投資経験

少ない

多い

iDeCo以外での老後資金の準備

準備していない

準備している

このように、自分の収入や年齢、投資経験の有無などによってリスク許容度を判断していきます。リスク許容度が高いのであれば、株式等の投資信託の割合を多くしてもいいかもしれません。反対に、リスク許容度が低いのであれば投資信託の配分を少なくし、元本確保型の金融商品を加えることも検討したほうがいいでしょう。

また、iDeCoは年に1回であれば資産配分や金融商品の見直しが可能です。自分の年齢や収入状況などに応じて定期的に見直し、運用状況をチェックしていきましょう。

iDeCoの節税効果をシミュンレーション!いくら・どれくらい節税できる?

Aさん(26歳・サラリーマン)の場合

iDeCoの節税効果は、加入者の年齢や職業、収入などによって異なります。場合によっては30年間で100万円以上の節税につながることがあるため、仕組みをしっかり理解しておくことが重要です。ここではいくつか具体例を挙げて、iDeCoはどれくらいの節税効果が期待できるのかシミュレーションしていきましょう。

年齢

26歳

職業

サラリーマン

年収

300万円

毎月の掛け金

5,000円

年間の節税額

9,000円

節税効果

65歳までの40年間で約36万円の節税

Bさん(31歳・公務員)の場合

続いて、Bさんのケースを見ていきましょう。なお、課税所得は「年収-給与所得控除-社会保険料控除(年収の15%)-基礎控除」で計算し、住民税は10%で計算しています。また、復興特別所得税は考慮していません。概算となっているため、あくまでも節税の目安として参考にしてみてください。

年齢

31歳

職業

公務員

年収

400万円

毎月の掛け金

1万2,000円

年間の節税額

2万1,600円

節税効果

65歳までの35年間で約75万6,000円の節税

iDecoの活用上の注意点

掛け金限度額や運用期間の制限

iDeCoは毎月5,000円からの積み立てが可能で、掛け金は1,000円単位で上乗せすることが可能です。ただし、国民年金の種類や企業年金制度への加入状況などによって、年間に積み立てられる掛け金には上限が設定されています。また、積み立てた資金は原則60歳以降でなければ受け取れないことにも注意しましょう。

なお、iDeCoには原則65歳の方まで加入することができますが、運用期間は75歳までとなっていることにも注意が必要です。

運用商品選びのポイント

上述のとおり、iDeCoでは自分が選んだ金融商品で運用を行っていきます。運用成果によって将来受け取れる額が異なるため、運用先の選定は非常に重要です。リスクとリターンのバランスを考えたポートフォリオを組み、定期的に運用状況をチェックすることで成果を上げていきましょう。

手数料や税金の比較

iDeCoは税制優遇があるため節税につながりますが、維持費や手数料の負担が発生します。まずは口座開設の際に2,829円が必要で、どの金融機関を利用しても発生するため注意しましょう。また、iDeCoの運用中は金融機関や国民年金基金連合会に対して毎月171円の手数料を支払わなければなりません。

金融機関によって手数料は異なりますが、年間で2,000円から1万円程度の手数料が発生する場合があります。リスクの低い金融商品だけで運用していると、手数料が運用益を上回る可能性があるため注意しましょう。

iDecoと他の節税対策との比較

NISA(少額投資非課税制度)との違い

NISA(少額投資非課税制度)とは、投資信託による運用益が非課税になるという制度です。NISAの積立額は所得控除の対象外となっているため、節税面ではiDeCoに軍配が上がります。しかし、NISAは20歳以上であれば誰でも加入することができ、積立額もいつでも引き出すことが可能です。また、iDeCoは65歳未満の方しか加入することができませんが、NISAは何歳からでも始めることができるという違いもあります。

企業型確定拠出年金(企業型DC)との違い

iDeCoは自分で運用して老後の資金づくりを行う自助努力の制度であることに対して、企業型確定拠出年金(企業型DC)は福利厚生の一種です。そのため、企業型DCへの掛け金は企業が負担し、運用商品の選定も企業が行います。

また、企業型DCに加入できるのは、厚生年金被保険者で原則70歳未満の会社員および私学教職員に限られます。掛け金の拠出限度額も異なるため、勤務先が企業型DCに加入している場合は確認しておきましょう。

各制度の活用方法と組み合わせのポイント

iDeCoは掛け金の全額が所得控除の対象となっているため、他の制度と比較しても節税効果の高い制度といえます。また、加入者が自身の状況に合わせて運用商品を変更できる点もiDeCoの魅力です。

そのため、iDeCoの上限額を超えて積み立てを行いたい場合や、65歳を超えている方はNISAなど他の制度との併用を検討してもいいといえるでしょう。

iDeCoを活用した節税について詳しく知りたい方は専門家に相談を検討

今回は、iDeCoが節税につながる仕組みや運用方法、運用する際の注意点などについて解説してきました。iDeCoは、他の制度と比較しても節税面でのメリットが大きい制度であるため、少額からでも始めておくといいかもしれません。将来に向けてiDeCoを有効活用し、老後の資金づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。なお、iDeCoを活用した節税方法について詳しく知りたい方は、専門家への相談も検討することをおすすめします。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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