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税金の控除とは?節税のために知っておきたい種類や目的を詳しく解説!

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税金の控除とは?節税のために知っておきたい種類や目的を詳しく解説!

所得税や住民税などの各種税金は、納税者自身が得た収入の全額に対して課せられるわけではありません。一定の額が課税所得から差し引かれたり、算出された税額から直接差し引かれたりする場合があります。このように、税金を計算する際には「控除」が適用される場合があるのですが、一体どのような種類や目的があるのでしょうか。今回は、税金の控除に関する基礎知識や各種控除の内容などについて詳しく解説していきます。

税金の控除とは?

税金の控除の意味

税金の控除とは、課税対象額から一定の金額を差し引くことを意味する言葉です。税金の控除が適用されることで、課税対象額や負担する税金そのものが減少するといったメリットを受けられます。所得税や住民税、法人税や相続税など、さまざまな税金を算出する際に「控除」という考え方が採用されています。

税金の控除の目的

税金の控除の目的として、国は「必要最低限の生活費を保障すること」を掲げています。また、「税負担を公平にする」ということも、税金の控除が採用されている目的です。税金の負担は経済力に比例するべきであり、所得が多い方ほど負担も大きくなるべきとされています。税金には「公平・中立・簡素」という三大原則があり、控除は公平性の見地に立った考え方といえるでしょう。

税金の控除の種類

所得控除

所得控除とは、課税対象となる所得を減少できる制度です。所得税や住民税は、収入から経費を差し引いた課税所得に応じて算出されますが、所得控除が適用されることで課税所得を圧縮することができ、結果として節税につながります。

税額控除

税額控除とは、算出した税額から差し引かれる控除のことです。所得控除は課税所得を減少させるのに対し、税額控除は確定した税金から直接控除するという違いがあります。

例えば、課税所得100万円の場合に50万円の所得控除が適用された場合、課税所得は50万円です。つまり、所得税率が20%であれば10万円の節税効果が得られます。一方、50万円の税額控除が適用され、納付する所得税が50万円以上だった場合、50万円の節税効果を得られることになるのです。

所得控除は15種類

医療費控除

医療費控除とは、年間に一定の医療費(10万円以上が目安)がかかった方が受けられる所得控除の一種です。納税者自身はもちろん、生計を一にする配偶者などの親族にかかった医療費も、控除対象に含まれます。ただし、美容整形や健康診断などに要した費用については、医療費控除の対象外となるため注意が必要です。

なお、医療費控除の控除額は以下の2通りのうち、どちらか高い額となります。

①        医療費-保険金などによって補填される額-10万円

②        医療費-保険金などによって補填される額-総所得金額等の5%にあたる額

社会保険料控除

社会保険料控除とは、生計を一にする扶養親族の保険料などを支払っている場合に、その全額が納税者自身の所得から控除される制度です。国民健康保険料、厚生年金保険料、国民年金保険料、後期高齢者保険料などを負担している方が対象となります。

社会保険料控除の控除額は以下のとおりです。

年間に支払った社会保険料の全額または給与から差し引かれた社会保険料の全額

寄附金控除

寄附金控除とは、国や地方公共団体、公益法人などに対して寄附を行った方が受けられる控除です。寄附金控除の対象となるものは、以下の通りとなっています。

  • 国・地方公共団体に対する寄附金
  • 特定公益増進法人等に対する寄附金
  • 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
  • 指定寄附金
  • 認定NPO法人に対する一定の寄附金
  • 政治活動に関連する寄附金

また、寄附金控除の控除額は、以下のどちらか高い額となっています。

①        特定寄附金額-2,000円

②        総所得金額等×40%-2,000円

雑損控除

雑損控除とは、災害・横領・盗難などによって、住宅や家財などに損害が発生した際に受けられる控除のことです。雑損控除の対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 損害が発生した原因が火災・震災・横領・盗難などであること
  • 損害が発生したものが「日常生活に必要な財産」であること

横領や盗難は対象ですが、「振り込め詐欺」などの詐欺や恐喝による被害は対象外となるため注意が必要です。また、対象となるものが「日常生活に必要な財産」であることから、別荘や絵画、機械設備などの事業用資産は対象外となります。

なお、雑損控除の控除額は以下のどちらか高い額となっています。

①        災害関連支出額-5万円

②        損失額-総所得金額等×10%

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済掛金や確定拠出年金などを支払っている方が受けられる控除です。小規模企業共済とは、個人事業主や中小企業の退職金代わりになるような制度であり、掛け金が所得控除の対象となります。また、個人型確定拠出年金(iDeco)への掛け金も所得控除の対象であり、年金を受け取る際には退職所得または雑所得に該当します。

なお、小規模企業共済等掛金控除の控除額は、「年間に支払った掛け金の全額」が控除対象です。

配偶者控除

配偶者控除とは、年間の所得が48万円以下の配偶者がいる方を対象とした制度です。ただし、2018年から納税者自身の所得が1,000万円を超える場合には対象外となりました。なお、配偶者控除の控除額は、納税者自身の所得額によって異なります。

①        配偶者が69歳以下の場合=最高38万円

②        配偶者が70歳以上の場合=最高48万円

配偶者特別控除

上述した配偶者控除は、配偶者の所得が48万円を超えた場合は受けることができません。しかし、配偶者の所得が133万円未満であれば、配偶者特別控除を受けることが可能です。また、配偶者控除と同様に、配偶者特別控除も所得額に応じて控除額が変動します。最高で38万円の控除を受けられるため、配偶者控除の対象外の方は、配偶者特別控除が受けられるか確認しましょう。

基礎控除

誰でも無条件で受けられた基礎控除ですが、2020年の税制改正によって納税者自身の所得が2,500万円以下の方のみ適用されるようになりました。なお、基礎控除の控除額は48万円となっています。

扶養控除

扶養控除とは、所得の合計が48万円以下の両親や子ども、兄弟姉妹などの親族のうち、控除対象となる扶養親族がいる場合に受けられる制度です。控除額は親族の年齢や同居の有無などによって変動し、38万円~63万円の控除を受けることができます。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、生命保険料や介護保険料、個人年金などを支払っている方を対象とした制度です。ただし、生命保険料控除を受けるためには各種保険金の受取人が納税者本人や配偶者、親族でなければなりません。

サラリーマンが生命保険料控除を受ける場合は、保険料控除申告書に必要事項を記入して勤務先に提出することで、年末調整の際に控除が適用されます。

地震保険料控除

地震保険料控除は、地震保険などの損害にかかる保険料を支払っている方が受けられる控除です。居住用の不動産や家財などを目的物とし、地震や火災などによる損害に対して保険料を支払っている場合、その保険料が所得から控除されます。ただし、控除額は最大で5万円までとなっているため注意しましょう。

勤労学生控除

勤労学生控除とは、納税者自身がアルバイトなどによって収入を得ている学生の場合に利用できる所得控除です。勤労学生控除を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 所得の合計が75万円以下であること(実際の収入は130万円以下であり、総所得控除額の55万円を差し引いた額であること)
  • 学生本人がアルバイトなどによって収入を得ていること
  • 給与所得以外の所得が10万円以下であること

なお、勤労学生控除の控除額は27万円となっています。

障害者控除

障害者控除とは、納税者自身や配偶者、扶養親族が障害者の場合に適用される制度です。控除対象である配偶者や扶養親族が特別障害者だった場合、以前は配偶者控除や扶養控除に35万円の控除を加算する措置が設けられていました。しかし、2011年に年少扶養控除が廃止されたことによって、特別障害者控除額である40万円に、35万円を加算する特例が設けられています。

障害者控除の控除額は以下のとおりです。

●  控除対象者1人につき27万円

●  特別障害者1人につき40万円

●  同居している特別障害者1人につき75万円

ひとり親控除

納税者自身がひとり親である場合、35万円の控除を受けることが可能です。ひとり親控除の対象となるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 婚姻をしていない、または配偶者の生死が明らかでないこと
  • いわゆる事実婚関係に該当する方がいないこと
  • 生計を一にする子どもがいること(総所得金額48万円以下)
  • 合計の所得金額が500万円以下であること

2022年から「合計所得金額が500万円以下」という制限が設けられており、これまでひとり親控除の対象だった方が対象外となる場合があるため注意しましょう。

寡婦控除

寡婦とは、夫と離婚をした後に再婚をしていない方のことを指し、納税者自身が寡婦である場合には寡婦控除を受けることが可能です。寡婦控除を受けるには合計所得金額が500万円以下であることなどの要件を満たす必要がありますが、所得から27万円を控除することができます。

税額控除は5種類

1.配当控除

配当控除とは、基金利息や法人からの配当、証券投資信託の利益の分配などによって、配当所得を得ている方が受けられる制度です。配当控除の控除額は、課税所得や配当所得の額によって変動するため、納税者自身の状況に応じて計算する必要があります。

2.住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームの購入・新築・増改築を行った方が受けられる制度です。住宅ローン控除の控除額は、ローンの残債にもとづいて算出されます。また、住宅ローン控除を受けるには、以下の要件を満たさなければなりません。

  • 合計の所得金額が3,000万円以下であること
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 住宅の床面積が50㎡以上であること
  • 取得または増改築を行ってから6か月以内に居住すること
  • 住宅を店舗などの事業にも使用している場合、床面積の半分以上が居住用として使用されていること
  • 中古住宅の場合は建築後20年以内、中古マンションの場合は建築後25年以内の物件であること
  • 増改築を行った場合、100万円以上の工事費用がかかっていること

ただし、これらの要件は税制改正によって変更される場合があるため、要件については事前にしっかり確認しておきましょう。

3.外国税額控除

外国税額控除とは、外国所得税などを納付している方が受けられる控除です。この制度は、国際的な二重課税を避けることを目的として設けられました。なお、外国税額控除の控除額は、以下のどちらか高い額となっています。

①        年間の所得税額×(国外所得総額÷所得総額)

②        年間に納付した外国所得税額

4.源泉徴収税額

源泉徴収とは、給与所得にかかる所得税の徴収事務を、国が会社に代行させている制度のことを指します。既に毎月の給与から所得税と復興特別所得税にあたる額が天引きされているため、所得から控除されるという仕組みです。

5.災害減免額

災害減免額とは、火災や自然災害などによって、住宅や家財に損害が発生した場合に受けられる税額控除です。災害減免法の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 災害によって住宅や家財に発生した損害額が、時価の1/2以上の金額であること
  • 災害にあった年の合計所得が1,000万円以下であること

ただし、災害減免は所得控除の一種である「雑損控除」との選択適用であることに注意が必要です。

税金の控除を受けるために何をすれば良いか?

個人事業主の場合

個人事業主が各種控除を受けたい場合、確定申告を行う必要があります。控除のために必要な書類を紛失しないよう、しっかり保管しておきましょう。また、控除対象であるにも関わらず、手続きを失念してしまうことがあるかしれません。そのような場合であっても、控除対象となる年から5年以内であれば還付を受けることが可能です。

給与所得者(サラリーマンなど)の場合

給与所得者(サラリーマンなど)の場合、その年に対象となる控除について年末調整で手続きを行います。ただし、所得控除のうち「医療費控除」「寄附金控除」「雑損控除」については、給与所得者であっても確定申告が必要です。

また、税額控除の一種である「住宅ローン控除」については、住宅ローンの返済が始まった最初の年だけは確定申告をしなければなりません。2年目以降は年末調整によって手続き可能であるため、税務署から送付された申告書を勤務先に提出しましょう。

税金の控除の種類や内容を理解して節税対策をしよう

税金の控除を利用することによって、節税効果を得ることが可能です。ただし、ほとんどの控除は自動的に適用されるものではなく、確定申告や年末調整を行うことによって受けることができます。税金の控除の仕組みや種類をしっかりと理解し、正しく手続きを行うことが重要といえるでしょう。

税金の控除について詳しく知りたい場合は専門家に相談の検討を

今回は、税金の控除に関する基礎知識や種類、控除が設けられている目的などについて詳しくご紹介してきました。控除の内容や目的を正しく理解することで、自分にとって適切な節税対策を実施することができます。是非とも本稿を参考にしていただき、受けられそうな控除があるか確認してみてください。また、税金の控除について更に詳しく知りたいという方は、専門家への相談も検討することをおすすめします。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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