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会社設立の基礎知識

寄付は節税になる?法人・個人の節税効果や仕組みについて詳しく解説!

更新日:2023.2.28

他者を思いやる気持ちや実現したい未来のために、特定の団体に金銭などを贈与する「寄付」。一般的に、寄付という行為は見返りを求めて行うものではないイメージがありますが、実はさまざまな税制上の優遇措置が設けられていることをご存知でしょうか。また、これらの制度は国が定めたものであり、寄付を検討している方は把握しておくべき内容といえるでしょう。そこで、今回は寄付によって法人・個人が得られる節税効果や、節税につながる仕組みなどについて詳しく解説していきます。

寄付すると法人・個人で節税になる?

結論として、個人や法人が寄付を行うことは節税につながります。対象となる寄付金を支払った際に「寄付金控除」が認められる場合があるためです。この寄付金控除は、国・地方公共団体・特定公益増進法人などに対して寄付をした場合に適用されます。寄付金控除の対象であれば所得を減少させることができるため、個人の場合は「所得税・住民税」が軽減され、法人の場合は「法人税」の負担を抑えられるという仕組みです。

なぜ寄付をするのか?主な理由とは

上述のとおり、寄付をすることによって個人・法人ともに節税が可能です。しかし、お金を貸し付けることで利子所得を得たり、投資をしたりすることによって配当所得を得たりする場合と違い、寄付という行為は利益を期待して行うものではありません。では、一体なぜ寄付をするのでしょうか。

内閣府が実施した「平成28年度 市民の社会貢献に関する実態調査報告書」を参照すると、最も多かったのは「社会の役に立ちたいと思ったから」という理由で、59.4%もの割合を占めています。寄付をした多くの方が、社会に貢献したいと考えているようです。

その他の理由として多かったものは「町内会・自治会の活動の一環として」という理由が33.0%、「自分や家族が関係している活動への支援」が13.2%という結果となっています。家族や町内会など、身近な存在からの依頼で寄付を行ったという方も多いようです。

先述でも記載したように寄付をすることで節税にはなりますが、節税のために寄付をするだけではなく「社会貢献など、自分のお金を有効活用することができる」という姿勢で寄付を行うことも重要といえるでしょう。

税金の仕組みと寄附金控除とは

所得税や住民税などの各種税金は、収入から経費や各種控除を差し引いた「課税所得」にもとづいて課せられます。よって、たとえ年収が同じ額だったとしても、差し引ける控除額などが多ければ課税所得も減少するため、支払う税金も少なくなるという仕組みです。

控除には、所得から差し引く「所得控除」や、税額を算出した後に控除される「税額控除」があります。そして、「寄付金控除」は所得控除の一種です。この寄付金控除は、一定の団体に対して寄付をした場合に所得控除を受けられる制度となっています。

寄付金控除を活用することによって、既に納付した所得税の還付を受けられたり、翌年に負担する住民税が減額されたりする可能性があります。また、一定の要件を満たすことで、寄付金控除によって税額控除を受けられる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

寄付金を用いた節税のポイント

寄付金控除によって寄付金額が所得控除の対象になる

寄付をすることによって節税する場合、主に4つのポイントがあります。まず、上述した「寄付金控除」を活用することによって、所得控除を受けることが可能です。所得控除を受ける場合、所得の40%を上限として、以下の計算式によって控除額を求めることができます。

年間の寄付金の合計額-2,000円=寄付金控除額

例えば、年間に寄付した合計額が10万円の場合、寄付金控除を受けられる額は9万8,000円となります。この寄付金控除は基礎控除や給与所得控除などと合わせて所得から差し引かれ、課税所得が減少することで節税につながるという仕組みです。また、所得税は課税所得に対して課されますが、所得税率は納税者の所得額によって5~45%の範囲で変動します。

住民税の控除対象になる

寄付をすることによって、所得税に加えて住民税も節税することが可能です。ただし、寄付が控除対象になるかどうかは、各自治体によって取り扱いが異なるため事前に確認しておきましょう。寄付金による住民税の控除が認められていれば、所得の30%を上限として、最大10%までの控除を受けることができます。例えば、年間に寄付した額が10万円の場合、1万円が住民税の控除分となります。

所得控除と税額控除をうまく使い分ける

所得税の控除を受ける場合には、「所得控除」と「税額控除」を選択することが可能です。どちらが有利になるかは所得状況によって異なりますが、一般的には「税額控除」を利用したほうが節税につながるケースが多いといえます。税額控除の計算式は以下のとおりです。

(年間の寄付金額-2,000円)×40%=税額控除額

例えば、年間10万円の寄付をした場合の税額控除額は3万9,200円となり、この額が算出された税額から控除されるという仕組みです。高額所得者が多額の寄付をした場合などを除き、税額控除を利用したほうが節税効果は高いことを覚えておきましょう。

法人税の節税効果が期待できる

法人が寄付を行う場合、国や地方公共団体、指定寄付金などに対して寄付することによって損金算入が可能です。つまり、寄付金を経費として計上することができるため、法人税の節税につながることが期待できます。

ただし、特定公益増進法人などへ寄付した場合、損金算入できる額に上限があるため注意が必要です。また、国内で完全支配関係にある法人間での寄付は、その全額を損金算入することができないことにも注意しましょう。

寄付金の送り先の種類と特徴

国や地方公共団体に関する寄付金

寄付金の送り先には4つの種類があります。まず、国や地方公共団体に対して寄付をする場合です。これは、災害などが発生した場合に、国や地方公共団体の窓口に直接寄付を行うケースが該当します。

また、放送局や新聞などが呼びかけた先に寄付した場合や、日本赤十字社に対して寄付を行った場合にも、最終的に義援金配分委員会などの公共機関に寄付されることが明確であれば、国や地方公共団体に対して寄付を行ったものとみなされます。

国や地方公共団体に対して寄付を行った場合、法人であれば寄付金の全額を損金算入することができるため、節税につながるというメリットがあります。

特定公益増進法人などへの寄付金

特定公益増進法人とは、公共法人や公益法人等のうち、教育または科学の振興、社会福祉への貢献、文化の向上といった公益の増進に著しく寄与する法人のことです。具体的には、以下の法人などが該当します。

  • 独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人
  • 公益社団法人・公益財団法人
  • 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校復興・共済事業団、日本赤十字社
  • 社会福祉法第22条に規定する社会福祉法人
  • 地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方独立行政法人のうち一定のもの
  • 更生保護事業法第2条第6項に規定する更生保護法人
  • 私立学校法第3条に規定する学校法人のうち一定のもの

これらの特定公益増進法人などに対する寄付は、個人・法人ともに損金算入することが可能であるため、節税につながります。ただし、特定公益増進法人などに寄付した場合、一定額までしか損金算入できない点に注意が必要です。

指定寄付金

指定寄付金とは、以下の要件を満たすことで財務大臣が特に指定した寄付金のことを指します。

  • 広く一般に募集されていること
  • 教育または科学の振興、社会福祉への貢献、その他公益の増進に寄与するための支出であり、緊急性の高いものに充てられることが確実であること

指定寄付金には、赤い羽根共同募金や日本赤十字社などへの寄付のうち、財務大臣が指定したものが該当します。個人・法人ともに損金算入や控除対象となるため、指定寄付金によって節税が可能です。

一般の寄付金

一般の寄付金とは、上述した3つの寄付金のどれにも該当しないものを指します。町内会や政治団体、神社仏閣や宗教法人などへの寄付も一般の寄付金です。法人であれば、これら一般の寄付金も損金算入が可能であるため、節税することができます。しかし、個人の場合は「政治活動に関する寄付金」以外は寄付金控除の対象外となるため注意しましょう。

このように、寄付先の種類によって得られる節税効果は異なります。寄付をすることで上手に節税したいのであれば、どこに寄付するのかも慎重に検討しましょう。

2種類の寄付金控除

寄付金控除

寄付金控除には2種類あり、所得控除の対象となる「寄付金控除」と、税額控除の対象となる「寄付金特別控除」があります。寄付金控除は全部で15種類ある所得控除の一種であり、課税所得が減少することで節税が可能です。なお、寄付金控除の対象となる「特定寄付金」には、以下のようなものがあります。

  • 国または地方公共団体に対する寄附金
  • 指定寄付金
  • 特定公益増進法人に対する寄付金
  • 認定NPO法人に対する寄付金
  • 特定公益信託への支出金
  • 政治活動に関する寄付金

なお、既にご紹介したとおり、寄付金控除額は以下の計算式で求めることができます。

年間の寄付金の合計額-2,000円=寄付金控除額

寄付金特別控除

寄付金特別控除とは、以下の3つの特別控除のことを指し、算出された税額から直接差し引くことが可能な「税額控除」にあたります。

  • 認定NPO法人等寄付金特別控除
  • 公益社団法人等寄付金特別控除
  • 政党等寄付金特別控除

それぞれの控除額は、以下の計算方法によって求めることができます。

寄付金特別控除

計算方法

認定NPO法人等寄付金特別控除

(認定NPO法人等に寄付した金額-2,000円)×40%

公益社団法人等寄付金特別控除

(公益社団法人等に寄付した金額-2,000円)×40%

政党等寄付金特別控除

(政党等に寄付した金額-2,000円)×30%

なお、寄付金控除と寄付金特別控除に該当する場合は有利な方法を選択することができますが、すべての寄付金がどちらにも該当するわけではありません。

節税効果のための寄付を検討する場合の注意点

寄付金控除の対象となる団体への寄付を行う

節税効果を得るために寄付を行う場合には、注意点があります。それは、寄付金控除の対象となる団体へ寄付を行うことです。寄付金が所得控除の対象となる団体は、以下のとおりとなっています。

  • 国・地方公共団体
  • 独立行政法人
  • 地方独立行政法人のうち、当該法人の主たる目的となる業務に該当する部分
  • 公益社団法人・公益財団法人
  • 学校法人
  • 国立大学法人・公立大学法人
  • 更生保護法人
  • 社会福祉法人
  • 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団、日本赤十字社
  • 認定NPO法人
  • 認定特定公益信託
  • 政治活動に関する寄付金のうち一定部分

これらの団体へ寄付をすることで寄付金控除の対象となりますが、寄付によって寄付者が一定の利益を得られると判断された場合など、寄付金控除の対象外となるケースもあります。また、自治体によっても寄付の対象は異なるため、公式サイトなどで事前に確認しておきましょう。

確定申告はもれなく行う

寄付金控除の対象となる団体に寄付を行ったとしても、確定申告をしなければ控除を受けることはできません。特定の団体へ寄付を行えば自動的に節税できるというわけではないため、必ず確定申告を行うようにしましょう。

また、寄付金控除を受けるためには、確定申告の際に「寄付金受領証明書」を提出しなければなりません。こちらは寄付を行った際に発行される証明書であるため、寄付金控除を受けたい場合は紛失しないよう保管しておく必要があります。

寄付による節税を詳しく知りたい場合は専門家に相談の検討を

今回は、寄付をすることによって節税につながる仕組みや、法人・個人が寄付によって得られる節税効果についてご紹介してきました。法人・個人ともに、寄付金の損金算入や控除を受けることによって、節税効果を得ることは可能です。しかし、節税を目的とした寄付を行う場合には、寄付先の選定や利用する控除を慎重に検討する必要があります。寄付による節税について、さらに詳しく知りたいという方は専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

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今野 靖丈

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