個人事業主が事業の拡大を検討する際、法人化は比較的身近な選択肢の1つです。しかし、その手続きは複雑で、どこに相談すれば良いのか分からない方も多いです。法人化の相談については、一般的に税理士や司法書士等の専門家にすることが推奨されますが、それぞれ得意分野が異なります。この記事では、法人化を検討している方に向けて、最適な相談先の選び方や各専門家の役割と費用相場について解説します。なお、法人化について相談したい方は、以下からお気軽にお問い合わせください。
目次
法人化(法人成り)は専門家への相談から始めるのがおすすめな理由

法人化を検討する場合、前提として専門家への相談が推奨されます。その理由は以下の通りです。
- 法人化・許認可に関する手続きが複雑であるため
- 資金調達の相談も同時にできるため
- 法人化すべきタイミングかどうかを判断できるため
そもそも法人化に関する手続きは、未経験の方では不備が生じるほど煩雑になりやすい項目です。ミスや漏れがあれば再手続きが必要になり、本業に時間的リソースが割けなくなる、複雑化しているために途中で挫折するなどの可能性があります。
特に、許認可手続きに抜けがあると処罰の対象となる可能性があるため、専門家への相談によってリスクを回避しながら法人化を実現できます。
このほか、資金調達を検討中の場合、各種手続きと並行して、状況・事業規模・事業領域に適した融資のアドバイスも受けられます。法人化すべきタイミングについてもアドバイスが受けられるため、事業の方向性の特定につながるでしょう。
法人化手続きの相談ができる専門家一覧
法人化手続きを検討する場合、一般的には以下の専門家に相談することになります。
- 税理士
- 司法書士
- 行政書士
- 社会保険労務士
- 中小企業診断士
- 弁護士
ここでは6種の専門家と依頼すべき状況を合わせて解説します。
税理士|設立後の税務や資金繰りが不安なとき
税理士は税務に関するプロであり、法人化に伴う税金面でのメリット・デメリットについて具体的なアドバイスを提供することに特化しています。相談によって、個人事業主の所得と法人化後の役員報酬にかかる税金をシミュレーションし、最適なタイミングについて判断できます。
また、資本金の額や役員報酬の設定、決算期の決定など、設立後の節税に直結する項目についても相談可能です。このほか金融機関からの融資を検討する場合も、事業計画書の作成支援等の資金調達に関するサポートも受けられます。設立後の税務顧問として長期的な関係を築ける点は、税理士ならではのメリットと言えるでしょう。
司法書士|設立登記の手続きを丸ごと任せたいとき
司法書士は、法務局へ提出する会社設立登記の申請を代理できる専門家です。例えば定款の作成から認証、登記申請書類の準備等の法的手続きを一貫して任せられます。手続きの正確性と迅速性が求められる登記申請も、司法書士に依頼することでスムーズな会社設立を実現できるでしょう。
なお近年では税理士と連携し、税務相談から登記までワンストップで対応している事務所も増えています。そのため、将来的に税理士との顧問契約を検討する際も、スムーズに進められるでしょう。
行政書士|許認可の取得が必要な事業を始めるとき
行政書士は、官公庁に提出する書類作成の専門家です。法人化においては、会社の基本ルールを定めた「定款」の作成を得意とします。
また建設業や飲食業、古物商など、事業を開始するために行政からの許認可が必要な場合に、手続きを代行する役割を担います。許認可申請は要件が複雑で多くの書類が求められるため、行政書士への依頼によって事業開始までの時間を短縮できるでしょう。
なお、多くの事務所で無料相談を実施しているので、許認可が必要な事業かどうかをはじめ、準備の詳細について気軽に確認することが可能です。
社会保険労務士|従業員を雇う予定があるとき
社会保険労務士は、労働・社会保険に関する手続きの専門家です。法人化した後は、社会保険や雇用保険、労働保険への加入が義務付けられます。こうした保険関連の加入手続きを社会保険労務士に代行することで、適切な労務管理体制の構築を実現できるでしょう。
また、就業規則の作成や給与計算、雇用に関連する助成金の申請代行も対応可能です。設立当初から従業員を雇う予定があるときや将来的に雇用を考えているときは、早い段階で相談しておくと安心です。
中小企業診断士|資金繰り・融資・助成金等の相談をしたいとき
中小企業診断士は、中小企業の経営に特化した専門家です。例えば経営課題の特定や課題に適した改善策の提案を得意としており、自社の状況に応じたアドバイスが受けられます。
法人化にあたっては、状況に応じて資金繰りや融資、補助金や助成金等の相談先が必要になることがあります。経営面・資金面の見直しを図り、最適な対策を講じながら改善へとつなげたいときには中小企業診断士への相談が効果的です。
弁護士|法的トラブルへの備えやサポートを受けたいとき
弁護士は法律の専門家であり、事業における法的な問題の特定から解決までのサポート、定款に法律上欠かせない記載の抜け・漏れをチェックしてもらえます。
また、従業員を雇用する際の雇用契約書に関する相談も可能です。法律面の備えとして専門家を確保したいとき、または社内整備を実施したい方は弁護士への相談を検討しましょう。
専門家以外で法人化の相談ができる公的な窓口

法人化に関する相談は、専門家以外でも受け付けています。例えば公的機関であれば、以下の施設が該当します。
- 法務局
- 商工会議所・商工会
- 日本政策金融公庫
- 税務署
ここからは各公的機関の詳細について解説するので、相談先をお探しの方は参考にすると良いでしょう。
法務局|会社設立の登記申請
法務局は、会社設立に関する登記申請を行う施設であり、登記手続きに関する相談窓口が併設されています。例えば登記申請書の書き方や必要な添付書類、手続きの流れといった形式的な事項については気軽に質問可能です。
担当者は丁寧に教えてくれますが、内容はあくまで一般的な手続き案内にとどまります。「どのような会社形態が良いか」「資本金はいくらにすべきか」といった個別の経営判断に関わるアドバイスは受けられないので注意しましょう。
商工会議所・商工会|中小企業や個人事業主を支援
商工会議所および商工会は、地域の中小企業や個人事業主をサポートする公的団体です。経営指導員が常駐し、法人化に関する相談にも無料で応じます。法人化のメリットやデメリットをはじめ、手続きの詳細や事業計画の立て方など、経営全般に関する幅広いアドバイスが受けられるでしょう。
また、地域の税理士や司法書士等の専門家を紹介してもらえる場合もあります。定期的に創業セミナーや経営相談会を開催しているため、情報収集の場としても有効活用できます。
日本政策金融公庫|中小企業等への融資
日本政策金融公庫は、中小企業等の融資に特化した政府が管轄する金融機関です。法人化と同時に融資を検討している際は有効な相談先の1つです。融資相談では事業計画の策定が必須のため、詳細について担当者からアドバイスをもらえます。
事業計画の策定にあたっては、法人化の妥当性や資本金の設定など、いくつかの課題が明確になることがあります。設立手続きの相談窓口ではないものの、資金調達という観点から法人化を考える際には有効な機関です。
税務署|国税に関する手続きを管轄
税務署は、国税に関する手続き・納付・相談を管轄する公共機関です。法人設立後に必要な「法人設立届出書」の提出先であり、書き方や添付書類についての相談ができます。
また、法人税や消費税など、税金の取り扱いに関する質問にも対応していますが、法務局と同様に、あくまで一般的な情報提供が中心です。「どのような方法を活用すれば節税できるか」といった具体的な相談には応じられないことが多いので注意しましょう。
小谷野税理士法人では、税金の相談やお悩みにも対応しています。納付や手続きにお悩みの方は、こちらからお気軽にご相談ください。
法人化に向けて|税理士から受けられる主要なサポート
法人化は個人事業主とは税務会計が異なるため、税に対する深い知識が求められます。税に関する知識を必要とする際は、税のプロである税理士に相談するのが効果的です。ここでは税理士に相談した際に受けられる主要なサポートについて解説します。
税に関するアドバイスが受けられる
繰り返しになりますが、税理士はいわば税金関係のプロです。そのため、個人事業主のときでは直面しなかった税務会計や税制に関する問題も、税理士への相談によって速やかに解決できます。法人に必要な税対応など法人化する前に把握しておくべき知識も身につけられるため、税理士の存在が経営において心強いものとなるでしょう。
融資・補助金・助成金のサポートが受けられる
法人化前あるいは法人化して間もない方が申し込める融資制度に創業融資がありますが、関連する相談およびサポートも税理士から受けられます。創業融資を受ける場合、資本金額がポイントになるほか、事業計画書の作成・提出が欠かせません。細かな書類の準備や作成ポイントのアドバイスが受けられるのは、税理士ならではの特権と言えるでしょう。
また、事業規模や状況に合わせた助成金・補助金の情報提供が受けられるほか、申請自体をサポートしてもらえることもあります。
各種届出の漏れを防げる
法人化した後は、税務署に必要書類を提出する必要があります。自分ですべて行おうとした場合、慣れないことが多く、不備が生じる可能性もあるでしょう。特に、青色申告の承認申請書の提出期限は、下記のうち、早い方の日が提出期限と決められています。
- 設立事業年度終了の日の前日
- 設立の日から3か月を経過した日の前日
後者に該当していた方が、設立日から3か月を過ぎてから手続きを済ませた場合、1期目は青色申告ができません。特に設立初年度は赤字になる可能性があり、白色申告は損失を繰り越せないため注意が必要です。
こうしたトラブルは後の税額計算に影響をきたすため、手続きの不備をなくすためにも税理士に相談し、サポートを受けることが望ましいでしょう。
法人化に向けて必要な書類や作成方法について質問がある方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
法人化相談の費用相場

法人化について相談する場合、無料と有料のどちらかを利用できます。ここでは、無料および有料相談の詳細と、設立手続きまで一貫して依頼する場合の詳細について解説します。
無料相談|短時間で一般的なアドバイスを受けたい方向け
無料相談は、税理士との相性やサービス内容・料金体系の把握・確認、会計処理における基本的な疑問を解決する際に向いています。相談時間は30分から1時間程度と比較的短時間で、内容は軽微なアドバイスが多いです。例えば複数の税理士に相談し、どの税理士事務所・会計事務所を利用するか比較検討する際におすすめです。
有料相談|時間をかけて手厚いアドバイス・サポートを受けたい方向け
有料相談は、あらかじめ用意した資料を基に、具体的なアドバイスやサポートを受けたい方に向いています。じっくりと時間をかけた話し合いができるため、会計処理に悩む方はもちろん、節税対策や事業規模の拡大等についての相談も可能です。無料相談を終え、信頼関係の構築がスムーズに行えそうと判断できる税理士が見つかったときに利用すると良いでしょう。
ちなみに、相談に留まらず、企業の設立手続き一式を税理士に依頼する際の費用は、「実費」と「報酬」の2つで構成されているのが一般的です。実費・報酬の詳細は以下の通りです。
| 実費における費目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
収入印紙代(定款用) | 紙:40,000円 電子:0円 | 紙:40,000円 電子:0円 |
認証手数料(定款用) | ・資本金額100万円未満:30,000円 ・資本金額100万円以上300万円未満:40,000円 ・資本金額がその他の場合:50,000円 (※特定目的会社も該当) | |
登録免許税 | 15万円あるいは資本金の0.7%のどちらか高い方 | 6万円あるいは資本金の0.7%のどちらか高い方 |
| 報酬における費目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
税理士への報酬 | およそ50,000円~15万円 | およそ50,000円~15万円 |
いずれも一般的な目安であるため、詳細については気になる税理士事務所等に問い合わせることをおすすめします。
法人化の相談なら小谷野税理士法人
法人化の相談先は、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士といった専門家が中心であり、それぞれに役割と得意分野が存在します。設立後の税務や資金繰りまで見据えるのであれば税理士を、登記手続きを正確に行いたいなら司法書士など、目的に応じて選ぶことが望ましいです。
法人化にあたっては、手続きに要する書類において専門知識を求められることも多いため、税理士のような専門家に1度相談することが推奨されます。円滑なコミュニケーションを取りながら法人化を目指す際は、ぜひ小谷野税理士法人までお気軽にお問い合わせください。









