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会社設立の基礎知識

不動産投資は節税対策になる?ならない?節税効果や仕組みについて詳しく解説!

更新日:2023.2.24

年収が高い方や多額の相続財産がある方は、節税対策として不動産投資を勧められこともあるのではないでしょうか。実際、いくつかのポイントを抑えることができれば不動産投資によって節税効果を得ることが可能です。そこで、今回は不動産投資によって得られる節税効果や、節税につながる仕組みなどについて詳しく解説していきます。

目次

不動産投資とは

不動産投資とは、購入した土地や戸建ての建物、マンションなどを運用することによって収益を得る投資方法のことを指します。例えば、マンションの一室を購入し、入居者に貸し出すことによって家賃収入を得ることが可能です。そのほかに、マンションやアパートを一棟丸ごと購入して家賃収入を得たり、駐車場やコインランドリーとして運用したりするケースなどがあります。

不動産投資の節税効果

実際に税金を減らすことができる効果

不動産投資によって享受できる節税効果には二種類あり、給与所得のある方が不動産投資を行う場合には、実際に税金を減らす効果が期待できます。そのためには、減価償却期間中の所得税・住民税の税率と、不動産譲渡税の税率に差があることが重要です。

「減価償却」とは、高額かつ何年間も使用可能なものを購入したときに、購入費用をその年に全額計上するのではなく、数年間に分けて計上することができるという仕組みです。この減価償却期間中における税率の差異を利用することで、節税効果を得ることができます。

例えば、給与所得が年間2,000万円の方の場合、所得税・住民税の税率は50%となります。減価償却期間中は「所得税・住民税の税率50%相当にあたる額×会計上の赤字」を節税することが可能です。さらに、不動産を売却する際の譲渡税は、長期譲渡の場合であれば20%の税金を納付する必要があるため、所得税・住民税の税率50%との差である30%相当の額は実際に税金を減らせることになります。

課税を先延ばしにすることができる効果

企業が不動産投資を行った場合、減価償却期間中に利益を圧縮することで法人税の課税を先延ばしにする効果もあります。トータルで支払う税金が同じであれば意味がないように思われるかもしれませんが、手元にキャッシュが残ることで別の投資資金に充てたり、事業拡大資金に充てたりすることが可能です。また、事業が赤字となった際には不動産を売却し、事業の赤字と不動産の売却益を相殺することによって法人税を節税することもできます。

不動産投資で節税できる税金の種類

所得税

所得税とは給与所得に応じて税率が変動する税金ですが、不動産投資を行うことで節税することが可能です。具体的には、減価償却によって赤字を作り、赤字と給与所得を相殺する「損益通算」を行うことで給与所得を圧縮します。これによって課税される給与所得を減らし、所得税を節税することができるという仕組みです。

相続税

相続税とは、相続財産の額によって税率が変動する税金です。現金で相続するよりも、不動産投資によって「賃貸用不動産」として相続した場合のほうが相続税の税率が低くなります。賃貸用不動産を相続した場合、本来の価格の50~60%程度の評価額となることが多いため、同じ額を現金で相続するよりも高い節税効果が期待できるでしょう。

住民税

住民税は所得税と同様に、給与所得に応じて税率が変動する税金です。こちらも不動産投資によって赤字を作り、利益を圧縮することで住民税を節税することができます。なお、所得税・住民税を節税するためには確定申告が必要となることに注意しましょう。

法人税

法人税とは、法人の所得に応じて課税される税金のことを指します。個人が不動産投資を行った場合は所得税・住民税の税率が最大55%となりますが、法人税であれば最大33%まで抑えることが可能です。不動産投資による所得が大きくなってきた場合は、法人化も検討する必要があるといえるでしょう。

贈与税

贈与税とは、第三者に無償で財産を贈与した際に課税される税金のことを指します。具体的には年間110万円以上の贈与を受けた場合に課税対象となりますが、贈与を受けた財産の種類によって税率が変動する税金です。贈与税に関しても、現金より不動産のほうが20~30%ほど税率が低くなるというメリットがあります。

不動産投資が節税につながる仕組み

損益通算

上述のとおり、損益通算とは給与所得と不動産投資による赤字を相殺できる仕組みのことを指します。例えば、価格が5,000万円で耐用年数が5年間のマンションを購入したとしましょう。この場合、減価償却によって毎年1,000万円ずつ費用計上することが可能です。そして、家賃収入が700万円で必要経費が300万円、減価償却費を1,000万円と仮定した場合、年間の赤字額は以下のとおりとなります。

700万円(家賃収入)-300万円(必要経費)-1,000万円(減価償却費)=-600万円(赤字額)

このように、毎年600万円の赤字額を給与所得と相殺することができるという仕組みです。相殺できる額は不動産価格や耐用年数などによって異なりますが、損益通算によって所得を圧縮できるという点は不動産投資の大きなメリットだといえるでしょう。

減価償却

減価償却についても既に解説したとおり、不動産価格の全額を購入した年に計上するのではなく、毎年分割して計上していく仕組みのことです。例えば、1億円の設備投資を行った企業の年間利益が5,000万円だった場合、設備投資を行った年に1億円を全額計上してしまうと5,000万円の赤字となってしまいます。

仮に、価格が5,000万円で耐用年数が5年間のマンションを購入した場合、毎年1,000万円ずつ費用計上することが可能です。つまり、年収1,500万円の方であれば5年間に渡って年収を500万円まで抑えられるということになります。

なお、減価償却できる不動産は建物に限られており、土地の費用は赤字として計上できないことに注意が必要です。

不動産投資の節税で気をつけるべきデットクロスとは

デットクロスとは

デッドクロスとは、会計上は黒字になっているが、実際に手元にある資金は赤字となっている状態のことを指します。いわゆる「黒字倒産」のリスクが高い状態です。

減価償却期間中は年間利益を圧縮することができるため、税金の負担も抑えられます。しかし、減価償却期間を終えると課税所得が増加し、支払う税金が多くなることによって手元資金が少なくなるという状況に陥ってしまうのです。

また、金融機関から融資を受けて不動産投資を行っていた場合は債務を返済する必要もあるため、さらに資金繰りが悪化していくという危険性があります。

デッドクロス発生前に出口戦略を考えることが重要

デッドクロスを避けるためには、減価償却期間を終えた物件を売却したり、さらに不動産投資を行って減価償却費用を計上したりするなど、事前に出口戦略を考えておくことが重要です。あらかじめ収益シミュレーションを行っておくことで、デッドクロスが発生する時期は予想できます。不動産投資を行う場合はデッドクロスの対策も併せて検討するようにしましょう。

不動産投資が節税になる人の特徴

相続税対策が必要になっている

相続税対策が必要な場合、不動産投資を行うことで相続税の節税が可能です。相続税は相続する財産の種類によって税率が異なり、現金よりも不動産のほうが税率は低くなっています。また、賃貸用不動産であればさらに相続税の評価額は下がるため、相続税対策として効果的といえるでしょう。

課税所得が900万円以上(年収1,200万円以上)

年収が約1,200万円以上の方は課税所得が900万円以上となり、所得税・住民税の税率が33%になります。この場合、不動産を売却した際にかかる不動産譲渡税との差異が大きくなるため、不動産投資による節税効果が高くなるのです。

不動産譲渡税は、不動産を購入した翌年の1月1日から起算して所有期間が5年を超えた場合、税率が40%から20%に変動します。つまり、所得税・住民税の税率が20%以上の方でなければ、不動産投資による節税効果は薄いといえるでしょう。

不動産投資が節税にならない人の特徴

課税所得が900万円以下(年収1,200万円以下)

上述のとおり、所得税・住民税の税率と不動産譲渡税の税率に差がなければ、不動産投資によって大きな節税効果を期待することが難しくなってしまいます。年収1,200万円以下の方が節税を目的とした不動産投資を検討している場合、節税効果が薄いにも関わらずリスクを背負ってしまうことになるため注意が必要です。

ちなみに、課税所得が900万円以上の方は所得税・住民税の税率が33%となりますが、その下の範囲にあたる税率23%が適用される課税所得は、695万円以上となっています。

不動産投資で節税効果が出やすい物件と出にくい物件

節税効果が出やすいのは築古の木造物件

課税所得が900万円以上の方であれば不動産投資による節税効果が高いことを述べましたが、どんな物件を購入しても節税効果を得られるというわけではありません。不動産投資によって節税するためには、減価償却費を計上することで利益を圧縮する必要があるため、減価償却費が大きい物件を購入することがポイントです。

その点、築古の木造物件は減価償却費を大きく計上することが可能です。

築古

法定耐用年数を超えた物件の場合、「法定耐用年数×20%=減価償却可能な年数」となります。よって、同じ価格で同じ構造の物件を購入した場合と比べて、減価償却費を大きくとることが可能です。

木造

木造建物の場合、法定耐用年数は22年です。これは他の構造よりも短い年数となっているため、同じ条件の物件と比べて減価償却費を大きくとることができます。

節税効果が出にくいのは新築区分マンション物件

一方で、不動産投資による節税効果が出にくい物件が新築区分マンションです。新築区分マンションは減価償却期間が長く、1年間に計上可能な減価償却費が少ないことから節税には向かないとされています。

また、新築区分マンションは売却時の価格が購入価格の70%程度とされることが多いため、売却益がローンの残債を下回る可能性があることも覚えておきましょう。

不動産投資の節税でよくある誤解

減価償却による節税は納税時期の先送りというわけではない

不動産投資を行うことで減価償却期間中は節税できたとしても、結局のところ不動産の売却時に不動産譲渡税を支払う必要があるため、納税時期を先送りしているに過ぎないと誤解される場合があります。これは、所得税・住民税の税率が20%以下の場合など、不動産譲渡税の税率との差が開かないケースと混同していることによって生じている誤解です。

課税所得900万円以上の方が、長期譲渡の税率となるタイミング(不動産を購入してから6年後が目安)で不動産を売却すれば、所得税・住民税と不動産譲渡税の税率の差が大きくなるため、実際に税金を減らす効果があります。

減価償却前の利益が黒字であれば減価償却後が赤字でも問題はない

減価償却によって赤字を作ってしまうと、金融機関から融資を受ける際に不利になるのではないかと誤解されるケースがあります。しかし、金融機関が評価するのは減価償却前の利益であって、減価償却後の利益ではありません。そのため、減価償却前の利益が黒字であれば、減価償却後の利益が赤字でも問題ないことを覚えておきましょう。

減価償却をして赤字になる物件は収益性が低すぎるというのは誤解である

減価償却をして赤字になる物件は収益性が低すぎると考える方がいますが、これは新築区分マンションなどの減価償却期間が長い物件を購入する際に生じる誤解です。上述のとおり、不動産投資によって高い節税効果を得るためには築古木造物件を選択するなど、減価償却期間が短い物件を購入する必要があります。

節税目的で不動産投資を行うのであれば、築古の物件が望ましいという前提が抜け落ちないよう注意しましょう。

不動産投資の節税で失敗した事例

新築一棟マンションを購入してしまった事例

高収入で、年々高くなる税金の支払いに悩んでいたAさんは、節税目的で新築一棟マンションを購入しました。しかし、新築マンションは減価償却期間が長いことを把握していなかったため、期待していたほど節税効果を得ることができなかったのです。むしろ、高い年収に家賃収入が上乗せされてしまったため、支払う税金の額が増えてしまうという結果になりました。

このような失敗をしないためにも、節税目的で不動産投資を行う場合は物件選びが重要なポイントとなることを覚えておきましょう。

新築区分マンションを複数購入してしまった事例

Bさんは不動産会社に勧められるがまま、新築区分マンションを複数戸購入してしまいました。これは、不動産会社の営業担当者に「経営にかかる雑費を計上することで節税につながる」と言われたからです。

何度も述べているとおり、新築区分マンションは年間で計上できる減価償却費が少ないため、節税には向いていません。節税を目的とした不動産投資を行う場合は、必ず減価償却を視野に入れたうえで物件を購入するようにしましょう。

不動産投資で節税する場合は確定申告が必須

不動産投資で節税するなら青色申告・白色申告のどちらがベスト?

結論、不動産投資で節税するのであれば青色申告がおすすめです。青色申告は、法人または事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある個人事業主が選択できる申告方法であり、白色申告よりも高い節税効果があります。なお、青色申告を行うためには「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

青色申告のメリット

青色申告には以下のようなメリットがあります。

  • 青色申請特別控除を受けることが可能
  • 純損失の繰越控除ができる
  • 繰戻還付を受けられる
  • 家事関連費を経費にすることができる

なかでも、青色申請特別控除は最大65万円もの控除を受けられるため、大きなメリットといえるでしょう。

青色申告のデメリット

青色申告のデメリットとしては、白色申告よりも書類作成に手間がかかる点が挙げられます。また、作成した書類に不備が見つかると、青色申告の許可を取り消されてしまう可能性もあるため注意が必要です。

白色申告のメリット

白色申告のメリットとしては、手続きの簡便さが挙げられます。確定申告に慣れていない方にとって、簡単に申告できる点は大きなメリットだといえるでしょう。

しかし、制度変更によって白色申告の手続きが複雑になってしまったため、現在はこのメリットがほとんどなくなってしまいました。

白色申告のデメリット

白色申告のデメリットとしては、青色申告のような特別控除が存在しません。また、計上できる経費に限界があり、赤字を繰り越すこともできないため、青色申告と比べて節税効果に大きな差があります。やはり、不動産投資で節税するのであれば青色申告を行うべきだといえるでしょう。

不動産投資での失敗しない節税を考える場合は専門家に相談も検討

今回は、不動産投資は節税対策として有効なのか、節税につながる仕組みや効果などについてご紹介してきました。本稿でご紹介したポイントなどを満たすことができれば、不動産投資によって高い節税効果を得ることができます。不動産投資による節税を失敗しないためにも、事前に専門家へ相談することも検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

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今野 靖丈

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