年収2,000万円の会社員は、所得税・住民税・社会保険料を合わせて年間700万円前後の負担が生じます。手取りは1,300万円程度です。ただし、iDeCoやふるさと納税などの制度を適切に活用すれば、年間で30万程度の節税が可能です。さらに、不動産投資やマイクロ法人を組み合わせることで、節税効果をより大きくする余地もあります。
本記事では、年収2,000万円の会社員が活用しやすい節税方法を、基本的な制度から実践的な手法まで体系的に解説します。自分の収入やライフプランに合った方法を選び、無理のない形で手取りを最大化していきましょう。
目次
年収2,000万円の会社員における手取り額と税金の実態

年収2,000万円あっても、その全額を自由に使えるわけではありません。所得税と住民税、社会保険料などが差し引かれるため、実際の手取り額は想像以上に目減りします。
例えば、配偶者と子どもがいる世帯でも、手取りはおおよそ1,300万円前後にとどまるケースが一般的です。税金は約530万円になるため、2,000万円のうち約26%が税金です。
さらに年収が増えれば税率も上がるため、収入の伸びに比例して可処分所得が増えるわけではありません。高所得層ほど「稼いでも手元に残りにくい」構造になっている点を理解することが、節税対策を考える第一歩といえます。
年収2,000万円の会社員におすすめの節税対策7選
年収2,000万円クラスの会社員が節税を考える際は、「使える制度を知る」だけでなく、「自分の収入構造や将来設計に合うかどうか」を見極めることが重要です。単に控除額が大きい制度を選んでも、ライフプランやリスク許容度に合っていなければ、かえって負担になるケースもあります。
ここでは、所得控除・税額控除といった基本的な節税策に加え、資産形成や将来のキャッシュフローにも影響する手法を厳選して紹介します。「今すぐ取り組めるもの」と「中長期で検討すべきもの」を整理しながら、自身のステージに合った節税戦略を見つけてください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)で掛金を全額所得控除にする
iDeCoは、老後の備えと節税を同時に実現できる制度です。掛金の全額が所得から控除です。年収2,000万円の方が上限まで拠出すると、年間で約11万円の節税効果があります。資産形成を有利に進めたい方に、おすすめの制度と言えます。
ふるさと納税で実質2,000円の負担で返礼品を受け取る
ふるさと納税は、実質2,000円で各地の特産品を楽しめるお得な制度です。限度額以内であれば寄付額のうち2,000円を超える部分が、税金から直接差し引かれます。年収2,000万円の方は控除枠が大きいため、活用しない手はありません。ただし、住宅ローン控除と併用する場合は、控除限度額が下がる点に注意しましょう。
新NISAを活用して投資の利益を非課税にする
資産運用の利益を最大化したいなら、新NISA(少額投資非課税制度)の活用が欠かせません。通常なら利益にかかる約20%の税金が、この制度内ではゼロになるためです。生涯で1,800万円までの投資枠が、無期限で非課税運用できます。節税と資産形成を両立させるため、優先的に活用したい制度です。
住宅ローン控除で所得税の還付を受ける
マイホームの購入は、所得税の大幅な還付を受けるチャンスです。年末のローン残高に応じて、計算された税金から直接控除されるからです。年収2,000万円の方でも、給与所得控除後の所得が要件を満たせば利用できます。
ただし、初年度は確定申告が必要なため、忘れずに手続きを行いましょう。また、合計所得金額が2,000万円を超える年は住宅ローン控除は使えません。
家族の医療費を合算して医療費控除を申請する
医療費が年間10万円を超えた場合は、医療費控除を申請しましょう。支払った医療費の一部を、課税所得から控除できます。生計を一にする家族や親族の分もまとめて計算できる点が特徴です。高額な歯科治療や出産があった年は、領収書を大切に保管しておいてください。
スーツ代も対象になる特定支出控除とは
仕事に関わる支出が多い会社員には、特定支出控除という選択肢があります。業務に必要な衣服費や図書費が、一定額を超えた場合に適用される制度です。スーツ代も対象ですが、会社からの証明が必要なためハードルは高めです。適用事例は多くありませんが、自己負担が大きい場合は検討の余地があります。
株式などの譲渡損失を翌年以降に繰り越す繰越控除
投資で損失が出た年は、確定申告で「損失の繰越」を行いましょう。その赤字を翌年以降3年間にわたり、投資利益と相殺できるからです。例えば、今年の赤字を翌年の黒字と相殺すれば、翌年の税金をゼロにできます。損失が出たときこそ、忘れずに税務署へ報告しておくことが重要です。
【効果大】不動産投資を活用した本格的な節税スキーム

年収2,000万円クラスでは、一般的な控除だけでは節税効果に限界があります。そこで有効なのが、不動産投資を活用した方法です。
不動産投資では、減価償却費やローン利息などを経費として計上できるため、赤字になる可能性があります。この赤字を給与所得と損益通算することで、課税所得を圧縮できる点が大きな特徴です。税率の高い年収2,000万円層ほど、節税効果は大きくなります。
ただし、節税目的だけで物件を選ぶのは危険です。収益性の低い物件では、将来的にキャッシュフローが悪化するおそれがあります。あくまで「収益性のある投資」を前提に、税務メリットを活用する姿勢が重要です。
不動産投資で所得税・住民税を抑えられる仕組みとは?
不動産投資による節税は、会計上の経費を最大化する点です。管理費やローン金利に加え、建物の減価償却費などを経費にできます。この仕組みにより、現金は手元に残しつつ、税制上は赤字という状態を作ることが可能です。この赤字を給与所得と相殺することで、所得税と住民税を減らせます。
給与所得と不動産所得の赤字を相殺する「損益通算」
不動産投資の最大のメリットは、不動産所得の赤字と給与所得とを損益通算できる点です。例えば、300万円の不動産所得の赤字があれば、課税対象の給与を300万円減らせます。所得税率が高い年収2,000万円層には、極めて高い減税インパクトをもたらします。
実際の支出なく経費計上できる「減価償却費」の活用法
減価償却費は、建物の取得費用を分割して経費にする会計処理です。現金の流出を伴わない経費のため、手元の資金を減らさずに節税が可能です。物件の構造によって償却期間が異なるため、購入前に耐用年数を確認しましょう。
不動産投資で節税する際に知っておくべき注意点
不動産投資による節税は魅力的ですが、その効果は「将来の収益性」が前提となります。 不動産は流動性が低く、売りたいときにすぐ売却できない点もリスクです。市況悪化時には売却価格が想定を下回り、含み損を抱えるケースもあります。
節税効果はあくまで副次的なメリットと捉え、「長期的に保有しても収益が見込めるか」「出口戦略が描けているか」を基準に判断することが重要です。
節税効果だけを追求する不動産投資の危険性
節税効果を最優先に物件を選ぶのは、本末転倒な行為です。不動産投資の本質は、家賃や売却益で利益を得ることにあります。
特に注意したいのは、表面的な節税額だけを見て判断してしまう点です。空室率の上昇や修繕費の増加、金利上昇などが重なると、想定していたキャッシュフローが崩れ、結果的に資金繰りを圧迫する可能性があります。
節税額よりも、空室や値下がりによる損失が上回っては意味がありません。物件自体の収益力や資産価値を、冷静に見極める眼を養いましょう。
減価償却期間が終わると税負担が増える可能性
減価償却による節税には「期限」があります。建物の耐用年数が過ぎれば、経費として計上できなくなるからです。経費が減れば所得が増え、以前よりも税負担が重くなる可能性があります。償却終了後を見据え、売却や買い増しなど次の対応を検討しましょう。
物件売却時に譲渡所得税がかかるケースも
不動産の売却時に売却益が出た場合、その利益に対して税金が課せられる可能性があります。過去に減価償却費を多く計上しているほど、売却時の帳簿価格は下がります。その結果、想定以上の売却益が出ることもあるため、売却時の税額シミュレーションは必須です。
不動産投資で節税を成功させるためのポイント
不動産投資による節税を成功させるには、「節税効果が出るか」ではなく「長期的に資産全体の効率が高まるか」という視点が欠かせません。重要なのは、購入前の段階でキャッシュフロー・税負担・将来の売却益を一体で設計することです。
具体的には、自己資金と借入比率のバランス、返済期間中の手残り額、税負担が変化するタイミングを事前に数値化し、複数シナリオで検証する必要があります。また、給与収入が高いほど「今の節税額」だけに目が向きがちですが、将来の所得低下やライフステージの変化まで見据えることが重要です。
節税を目的とした不動産投資は、単体で完結させるのではなく、資産全体の設計図の一部として位置づけることで初めて効果を発揮します。短期的な節税額ではなく、中長期での資産効率を軸に判断する姿勢が求められます。
資産価値が落ちにくい物件を見極める方法
不動産投資の成否を左右する最大要因は、物件選びです。資産価値が落ちにくい物件とは、長期的に安定した賃貸需要が見込める立地・仕様を備えた物件を指します。都心へのアクセスが良い駅の近く、再開発が進むエリア、大学や大企業が集まるエリアなどが候補となるでしょう。
高年収の強みを活かした金融機関からの融資戦略
年収2,000万円の会社員は、高い収入と安定した勤務形態により、金融機関の融資審査で有利な立場にあります。この強みを活かして、低金利かつ長期のローン条件を引き出せば、毎月のキャッシュフローに余裕が生まれます。複数の金融機関に相談し、金利・融資期間などの条件を比較することが大切です。
節税の成功を左右する信頼できるパートナー会社の選び方
不動産投資は、購入後の管理運営や売却まで続く長期的な事業です。そのため、物件紹介から管理、出口戦略まで一貫して相談できる信頼性の高い不動産会社をパートナーとして選ぶことが重要です。良いパートナー会社は、メリットだけでなくリスクも含めて説明し、節税シミュレーションだけでなく長期のキャッシュフロー計画も提示してくれます。
【上級編】マイクロ法人設立による節税方法
不動産投資よりもさらに能動的な節税を検討する上級者向けの方法として、マイクロ法人の設立があります。年収2,000万円クラスの所得層にとっては、条件が整えば大きな節税効果が期待できる場合があります。
マイクロ法人を設立して所得を分散させるメリット
マイクロ法人を設立し、所得を法人と個人に分散させることで、結果として適用される税率を引き下げられる場合があります。また、法人名義にすることで、自宅家賃の一部や一定の保険料など、個人では経費になりにくい支出が法人経費として認められる余地が広がる場合もあります。ただし、節税目的が前面に出たスキームは否認リスクがあるため、専門家と相談しながら設計しましょう。
法人設立や維持にかかるコストと手間を理解する
マイクロ法人の設立には、定款作成や登記などの初期費用がかかります。設立後も、利益が出ていなくても法人住民税の均等割を負担する必要があり、会計・税務申告も個人より複雑です。税理士への顧問料など継続的なコストや事務負担も発生するため、節税メリットがこれらを上回るかどうかを事前に慎重に検証することが欠かせません。
まとめ
年収2,000万円の会社員が税負担を軽減するには、各制度の要件と効果を正しく理解することが重要です。そのうえで、収入や家族構成に合う制度を組み合わせて活用しましょう。
より大きな節税効果を狙う場合は、不動産投資やマイクロ法人設立といった手法も選択肢ですが、いずれもリスクやコストを伴います。節税だけを目的とせず、資産全体と将来のキャッシュフローを踏まえて、専門家と相談しながら進めましょう。
小谷野税理士法人では、年収2,000万円層の方々に最適な節税戦略を、リスクとリターンのバランスを考慮しながらご提案します。お気軽にご相談ください。









