税務のプロである税理士に任せた仕事が間違いだらけだったとしたら、今後も依頼を継続するべきか不安になるでしょう。申告や納税などでミスが続くと、ペナルティを受けたり、社会的に信用を失ったりといったリスクが生じます。この記事では、税理士のミスが多い要因、間違いだらけの状態を放置するリスク、トラブルを防ぐための適切な対処法について分かりやすく説明します。
目次
税理士が間違いだらけになる要因

税務分野のプロとして依頼しているにもかかわらず、仕事内容が間違いだらけだった場合、税理士への信頼を失うでしょう。ここでは、税理士がミスを頻発する主な要因について説明します。
経験が不足している
税理士として必要な知識を身に付けていても、実務経験の不足によりミスをすることがあります。日本の税制や税法は複雑で難解、多様であるだけでなく改正頻度も高めです。
経験が不足していると、例えば、所得税の控除制度や控除額、法律の改正点を理解できなかったり、複雑な事例に対応できなかったりします。
また、税理士の業務も多岐にわたっています。経験の浅い分野の業務や対応した経験のない業種からの依頼を引き受けた場合、見落としや誤った処理につながるリスクが高いでしょう。
さらに、顧客に合わせた提案をする際にも経験不足が足かせとなり得ます。例えば、顧客ごとに適した節税対策の提案を依頼された場合、税制優遇制度の理解はもちろん、業種や顧客の状況を理解したうえでの対策を求められるからです。
税理士の苦手な分野である
依頼を受けた業務が、税理士にとって苦手な分野であることも、間違いを引き起こす要因です。税理士の業務は専門性が高いだけでなく、多岐にわたっているため、税理士によって得意な分野と苦手な分野があります。
例えば、正しい記帳を含めた経理作業に強くても、税務調査や経営アドバイスを苦手とする税理士もいます。税理士それぞれが専門分野を持っているため、専門外の業務を依頼した場合、作業に時間がかかったり、ミスしたりすることも起こり得るでしょう。
チェック体制が機能していない
税理士事務所のチェック体制が甘いと、ミスや漏れが起こりやすいです。顧客からの依頼に正確に対処するために、複数人によるチェック体制を取り入れている税理士事務所が多いです。
しかし、チェック体制が十分に機能していなければ、データのミスや漏れが起こっていても見過ごされてしまうでしょう。
他のスタッフを雇わず、税理士が一人で業務を行っている場合も、確認作業が疎かになりがちで、ミスや漏れが起こりやすいです。
例えば、記帳代行を担当している税理士事務所のスタッフが数字を誤って入力したとします。他のスタッフが、入力内容をしっかりと確認していればミスに気づき修正できます。
チェック担当者がミスを見落とせば、申告書に誤った数値が記載され、結果として申告や納税ミスを招くのです。
チェックが甘いと、ミスを見つける機会を逃すだけでなく不正な処理にもつながります。
費用や事務所名で選んでいる
顧問税理士を選ぶときに、費用や事務所の知名度で決めてしまうことも、間違いが多発する要因として考えられます。
税理士に業務を依頼する際の費用は、相場はありますが事務所によって異なります。他の事務所と比べて費用が安い税理士事務所に依頼した場合、作業の質が劣ることがあるのです。
また、有名な税理士事務所に依頼したからといって、スキルや経験のある税理士が担当してくれるとは限りません。担当が新人の税理士だったり、先輩税理士から十分なサポートを受けられなかったりすることもあるからです。
事務所内の引継ぎがうまくいっていない
税理士事務所内の引継ぎがうまくいかないことで、間違いが頻発するリスクを高めます。税理士事務所内で人事異動や退職、休職といった担当者が交代することにより、適切な処理が困難となり得ます。
業務の内容はもちろん、業務のポイントや注意点、顧客の状況などが適切に引継がれないことがあるからです。
例えば、過去に税務調査でペナルティを受けた顧客など、顧客ごとにこれまでの経緯や事情があります。それぞれの状況や事情を新しい担当者が把握していなければ、顧客ごとに適した処理や対応が難しくなる恐れがあります。
顧客からの情報や資料が不足している
顧客からの情報や資料が不足することにより、税理士のミスにつながります。領収書など、正しい申告に必要な資料や情報に不備や漏れがあると、申告ミスを招きます。
例えば、領収書が不足することで経費を計上できず、課税所得が高くなり必要以上に税金を支払うことになるでしょう。優秀な税理士でも、顧客からの情報や資料が不足していれば、正確な申告や納税が困難です。
間違いだらけの税理士を放置するリスク

税理士に業務を依頼するのは、専門性を活かした正確な申告や納税をサポートしてもらうためです。ところが、税理士に依頼した業務が間違いだらけであると、さまざまなリスクが生じます。ここでは、間違いだらけの税理士を放置するリスクについて説明します。
ペナルティを課される
税理士のミスで正確な申告や納税ができていなければ、税務署からペナルティを課されるでしょう。例えば、本来は経費にできない費用を計上し、正しい納税額よりも少ない額を納税していた場合、追徴課税や延滞税といったペナルティの対象となり得ます。
ペナルティが高額となれば、資金繰りを圧迫することもあるでしょう。ペナルティの負担を避けるためにも、正しい申告と納税が求められます。
誤った経営判断につながる
税務や会計のデータを参考にした経営判断に誤りが生じるリスクを高めます。経営判断をするときに、資金繰りや決算書を参考にするケースが多いです。
例えば、正しい資金繰り表を参考できなければ、本来はできたはずの設備投資をあきらめてビジネスチャンスを逃すことにつながります。逆に、資金に余裕があると勘違いして、高額な投資をすることも起こり得ます。
正確な数値を基にした経営判断は、経営危機からの脱却やビジネスチャンスの拡大に効果的です。しかし、判断の基になる数字が誤っていれば、経営判断自体を間違えるリスクを高めるのです。
社会的な信用度が低下する
税務や申告の間違いは、社会的な信用度の低下に結び付きます。例えば、金融機関に融資を申し込むと、融資の可否を判断するために決算書や申告書を細かくチェックされます。
決算書や申告書に誤りがあれば社会的な信用度が下がり、融資の審査に不利となるでしょう。事業拡大のために資金を必要としているとき、資金繰りが厳しくなったときなど、金融機関から必要な資金を調達できなくなるリスクが高いです。
また、取引先からも申告や納税の誤りを不安視されて、掛け取引から前払いへの変更を依頼されたり、取引自体の継続を検討されたりと、経営への悪影響も懸念されます。
税務調査が入る確率を高める
申告や納税ミスが頻発すると、税務調査が入る確率を高めます。税務署が税務調査の対象を決めるポイントがいくつかあると言われていますが、申告や納税ミスが多い納税者は、調査対象になりやすいからです。
税務調査が入ることになれば、申告を担当した税理士に立ち会いを依頼する事例が多いです。しかし、担当税理士が作成した申告書に誤りがある場合は、税務調査への対応が不十分となるでしょう。
税務調査官は申告内容に従ってさまざまな面から質問をしてきます。間違いだらけの税理士は、税務調査対策の提案だけでなく、調査官を納得させる説明ができない可能性が高いです。
調査官が納得しなければ、追徴課税を課されるでしょう。さらに、帳簿や書類に不備が見つかった際は、過去の書類もさかのぼって調査され、ペナルティの負担が大きくなることがあります。
税務調査が長引くことで、経営者や経理担当者が本業に集中できず、通常業務にも多大な支障が出ます。
経営者や経理担当者のストレスと業務が増える
間違いだらけの税理士に業務を任せ続けていると、経理担当者と経営者の精神的な負担が増えます。
決算や確定申告の時期になると、「本当に正しく申告できているのか」「修正申告やペナルティを課されるのではないか」といった不安が大きくなり、本業に集中できないかもしれません。
また、税理士への業務依頼に不安を感じ、自ら申告や納税業務を担うことで、余計な手間や負担が増える可能性があります。
税理士との信頼関係が崩れる
間違いが多い税理士に対して不信感が募ると、信頼関係を維持することが困難です。会計や税務は、企業や個人事業主にとって重要な業務の一つです。ミスが頻発すると税理士に対して不信感を抱き、安心して相談や依頼ができなくなるでしょう。
信頼関係が崩れると、税務や会計業務において何か分からないことや困ったことが発生したときに、税理士への相談を検討しなくなります。
税理士とコミュニケーションをとる機会が少なくなることで、税務や会計業務をサポートしてもらえず、誤った申告や納税につながる恐れがあります。
間違いだらけの税理士への対策
間違いだらけの税理士をそのまま放置するのは、企業や個人事業主にとってデメリットが大きいです。税理士自身が気を付けるだけでなく、業務を依頼する立場である個人事業主や企業にもできることがあります。ここでは、間違いだらけの税理士への対策について紹介します。
業務の改善を求める
まずは、間違いだらけであることを税理士に伝え、改善を求めることです。例えば、決算書でミスが見つかったときは、ミスが起こった理由を説明してもらうだけでなく、再発防止策まで提案してもらいましょう。
ミスの原因が入力時の誤りだった場合は、チェック体制を強化することでミスを予防できる可能性が高いです。
顧客である個人事業主や企業が直接改善を求めなければ、対応してくれないこともあるため、まずはできるだけ詳しく改善してほしい点を伝えることが大切です。
また、業務の改善点を求めた際に、税理士が顧客に対して要求をしてきたときはできる限り協力することが重要です。例えば、税理士から業務に必要な資料の準備を依頼されていたにもかかわらず、資料の提出が遅れることで業務に支障が出ることがあります。
税理士が改善してほしい内容に合わせた対策や提案をして間違いがなくなれば、今後は安心して業務を依頼できるでしょう。
定期的にコミュニケーションをとる
顧問税理士とこまめにコミュニケーションをとることで、誤りやミスの削減につなげましょう。定期的に打合せの場を設けることにより、顧客は疑問や不安を早期解消でき、税理士は、顧客の状況を把握しやすくなるからです。
適宜、税務や会計データを税理士にチェックしてもらうと、早い段階でミスや修正点が見つかります。
また、税理士も顧客の状況を詳しく理解できるため、実情に合わせた助言や提案をしやすくなるのです。
コミュニケーション不足は、誤解や認識のずれを生じさせ、ミスに結び付くリスクを高めます。また、綿密に連絡をとり合うことで、税理士と良好な関係を築きやすくなるでしょう。
税理士会に相談してみる
税理士会に相談してみることで、中立的な立場からアドバイスをもらえることがあります。間違いだらけの税理士によって、例えば追徴課税などの損害を受けた場合、税理士に損害を補償してほしいと考えるでしょう。
税理士は、顧客から訴えられたときに備えて保険に加入しているケースが多いですが、訴訟に発展した場合、相当の費用と時間がかかる可能性が高いです。
税理士会は、税理士から損害を受けた顧客から相談を受けた際に、過去の事例を参考にしながら適切なアドバイスをしてくれます。また、間違いだらけの税理士に対しても、税理士会から意見するなどして、できるだけ円満に解決できるようにサポートしてくれます。
改善が難しい場合は税理士の変更を検討する
税理士의 業務に対する改善を要求したり、話し合いの機会を増やしたりしても間違いだらけが直らない場合は、税理士の変更を検討しましょう。
対策をしてもミスが続く場合は、税理士本人や事務所の体制に問題があると考えられるからです。
再度改善を要求しても状況が変わる見込みがないため、できるだけ早めに税理士の変更を検討しましょう。税務や申告で間違いが続くと、申告ミスに対するペナルティや税務調査などで不利となる恐れがあります。
誤った申告が多い個人事業主や企業は、正しく申告をしている納税者に比べて税務調査が入る確率が高いです。
間違いだらけの税理士を変更するときに確認したいポイント

間違いだらけの税理士を変更することに決めたら、新しい税理士を探します。後任の税理士探しや引継ぎには相当の労力や時間がかかります。税理士に不満があるからといって頻繁に変更できないため、慎重に税理士を選ぶことが大切です。
経験と実績
税理士本人の経験と実績を確認します。税務や会計の知識を有していても、実務経験が不足すると、多様な事例に対応できないことがあるからです。
また、業界ごとに特有の会計処理をする場合があるため、特定の業界に強い税理士を探すことも、安心して税務や会計業務を任せることにつながります。
例えば、建設業界は材料費や外注費が多かったり、売上と入金にタイムラグがあり資金繰りが苦しくなりやすかったりといった特徴があります。
業界ごとの特性を理解しないまま税務や会計業務を進めると、ミスや誤った判断をするリスクが高いです。
業界独自の会計や税務に詳しい税理士なら、業界の事情と顧客の状況を把握し、適切に税務や会計業務をサポートしてくれます。
実際の評判
税理士事務所のホームページだけでなく、口コミサイトなどから実際の評判を調べることも大切です。
事務所のホームページでは、メリットや強みをメインで掲載しているからです。口コミなどで実際に利用した人の意見を確認することで、業務や対応の質を把握できるでしょう。
ただし、口コミサイトの過信は要注意です。税理士の対応に関する感じ方は人それぞれであること、悪意のある口コミが投稿されるケースもあるからです。実際に会ってみないと分からない点も多々あるため、口コミは参考程度にとどめましょう。
コミュニケーションスキル
気になる税理士は、実際に会ってみてコミュニケーションスキルを確認しましょう。税務や会計では、専門的な知識を求められる場面が多々あります。専門用語ばかりで説明が分かりにくい税理士は、認識のズレや誤解を生じさせやすいです。
専門的な用語も分かりやすく丁寧に説明してくれる税理士は、コミュニケーションがとりやすいため、間違いやミスが起こりにくいでしょう。
また、実際に会ったときに、依頼したい業務についてできるだけ詳しく相談することも大切です。業務に対応できるか否か、依頼したい業務における経験などを確認できるからです。
料金体系
料金体系の明瞭さも確認しておきましょう。顧問契約の場合、事務所によって業務範囲が異なる場合があります。
まずは、依頼したい業務について詳細を伝えたうえで、見積もりを出してもらうことが重要です。料金について疑問や不明な点があれば、質問して不明点を解消しておきます。
業務内容や料金について曖昧にしたままで契約を進めると、後にトラブルになるリスクを高めます。
間違いだらけの税理士を放置しない!適切な対策で現状を改善
税理士が間違いだらけなのは、税理士自身や事務所の問題、顧客である企業や個人事業主との関係性などが主な原因です。
税理士は会計や税務といった専門的かつ重要な業務を担うため、間違いを放置しておくと多大なリスクを被ります。間違いだらけの税理士には、改善を要求するなど適切な対策が求められます。対策をしても改善が難しい場合は、税理士の変更を検討しましょう。








